学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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番外編 材木座の日記

 

10月◇日

 

今日は獅鷲星武祭準決勝があった。その時にクインヴェールのチーム・赫夜が我の作り上げた『ダークリパルサー』を駆使して絶対王者のチーム・ランスロットを撃破した。

 

それを見た我は驚きと共にとてつもない喜びを感じた。まさか自分の作った煌式武装が獅鷲星武祭二連覇を達成して三連覇を目指していた絶対王者を倒す鍵となったのだ。これほど嬉しい事はない。

 

だから我は思わずアルディ殿にこの事を話したが、それを上司のカミラ殿に聞かれてしまった。その時のカミラ殿の目はガチで冷たく、我思わず失禁してしまいそうになってしまった。

 

その後、リムシィ殿の新型煌式武装の的にさせられて気がつけば医務室で寝ていたのだった。

 

 

 

 

 

11月×日

 

今日、我が宿敵のエルネスタ殿が長期の仕事から帰ってきた。その際に新型擬形体であるレナティ殿を連れて、我とカミラ殿とアルディ殿とリムシィ殿レナティ殿に紹介してきた。

 

その後にエルネスタ殿はレナティ殿に我の事をレナティ殿の祖父と紹介した。何故カミラ殿とエルネスタ殿が父と母で、2人より歳下の我が祖父なのだ?数字の大小も忘れたのか?

 

そんな事をエルネスタ殿に言ったら、エルネスタ殿が引き攣った笑顔を浮かべながら我の顔面に飛び膝蹴りを放ってきたので、我はエルネスタ殿の首にラリアットをぶちかました。

 

その後我とエルネスタ殿はカミラ殿に止められるまで取っ組み合いを始めた。1年近く離れていたが、やはりエルネスタ殿は我の敵である。

 

 

 

 

 

12月×日

 

嫌な日だ。我は純粋にそう思った。

 

今日は『獅子派』と『彫刻派』の合同クリスマスパーティーの準備をする為にショッピングモールに行った。本来なら下っ端がやるべき仕事だと思うが、イベントのコンセプトが『幹部以上の人間が部下を労う為のパーティー』なので仕方ない。

 

その点については問題ない。イベントのコンセプトの内容がアレである以上、『獅子派』の幹部である我も準備に参加するのは面倒だが不満はない。実際去年も準備をしたし。

 

問題は一緒に準備する相手だ。このイベントの準幅をする際に基本的に2人1組でそれぞれ準備をするのだ。

 

尚、パートナーと仕事の内容はクジで決めるのであって、去年の我は『獅子派』の実践クラスの学生のカーティス殿とパーティーで食べるケーキを用意したのだが、今年はあろう事かエルネスタ殿と組むことになった。

 

この時ほど自分の運の悪さを恨んだ事はない。実際にエルネスタ殿もあからさまにため息を吐いていたし。

 

しかしショッピングモールに着いてからはそうも言ってられなくなった。我とエルネスタ殿の担当はパーティー会場の飾り付けに使う装飾の準備だが、パーティーに余り縁のない我達はどれを選べば良いかわからなかった。初めは別々に行動していたが、我はどれが良いチョイスかわからなかった。

 

その後買うべき装飾を決められずにエルネスタ殿と合流する。向こうも手に何も持っていなかったので事情を聴くと、半ば逆ギレしながらどれが良いチョイスかわからなかったと説明してきた。

 

どうやら我と似たような状況だったのだろう。我も同じように事情を話した結果、我とエルネスタ殿は仕方なく、本当に仕方なく一緒に行動して、各々の意見を言い合って、少しずつ装飾を買っていった。

 

今回の件については我もエルネスタ殿もセンスが無くて単独行動をしたら決まらないと判断したから一緒に行動しただけで、決してエルネスタ殿と友達だから一緒に行動したのではない。

 

その後、梃子摺りながらも装飾を買っているとエルネスタ殿が肩を叩いてきたので何事かと思えば顔を上げる。

 

すると視線の先には少し離れた場所にて我が相棒である八幡の妹の小町殿と我が作った煌式遠隔誘導武装を使うユリス殿と総武中の王であった葉山隼人と取り巻きがいて揉めていた。

 

エルネスタ殿を見ると何か面白そうと言って彼女らのやり取りを見つめる。エルネスタ殿と意見が合うのは癪だが意見には同感なので我も動画の準備をする。

 

同時に八幡が恋人2人とチーム・赫夜のソフィア・フェアクロフを連れてやって来た。理由はないが文化祭の一件もあるので面倒な予感がしてきた。

 

そう思っていると葉山隼人が八幡の胸倉を掴んだかと思えば、八幡を殴り飛ばしていた。それを見た我の内には怒りが湧き上がったので、録画した動画を即座にyout◯beにアップした。

 

エルネスタ殿はえげつないと笑いながら我の肩を叩くが知った事じゃない。元々葉山隼人は嫌っていたし、大した理由もなく八幡を殴り飛ばした時点で容赦をする理由はないのだから。

 

 

 

 

12月24日

 

今日は例の『獅子派』と『彫刻派』の合同クリスマスパーティーの日である。不本意だが現『獅子派』の会長の我が乾杯の音頭をとる事になったが、音頭をとった時に大爆笑したエルネスタ殿を見た時、我はパーティーが終わり次第しばき倒したい気持ちに駆られていた。

 

その後は特に問題なくパーティーが進んでいたが、ある時に差し出された飲み物を飲むと酒が混じっていた。おそらく大学部の面々が酒を用意したのだろう。それは構わないが高等部の我らがいる場所から届かない場所で飲んで欲しかった。

 

内心呆れているといきなり横から衝撃が走って気がつけば床に倒れていた。何事かと思い、顔を上げると顔を真っ赤にして息を荒くしたエルネスタ殿が我にひっついていた。しかもしどろもどろな口調で成敗だと爆破とか訳の分からない事を言って我を叩いてきたので明らかに酔っていると判断出来た。

 

何とか振り払おうとするも予想以上に力強く振り払えず、カミラ殿及び部下に助けを求めるも何故か全員優しい目で見てくるだけで助ける素振りを見せてこない。実に薄情な連中である。

 

そうこうしている間にもエルネスタ殿は徐々に絡んできて、終いには我の頬に唇を当ててきたり耳を舐めたりと不気味極まりなかった。これが他の女子ーーー特に美人声優なら大歓迎だが、宿敵のエルネスタ殿がやると怖過ぎて何も出来なかった。

 

結局エルネスタ殿が眠りに着くまで我は何も出来なかった。そして我の痴態をカメラに収めた部下については後日全員処分すると心に決めたのだった。

 

 

12月25日

 

波乱ありのクリスマスパーティーが終わって、新型煌式武装の開発に着手しようと廊下を歩いていたら前方からエルネスタ殿がやってきた。彼女は我を見るなり、顔を赤くするや否やいきなり駆け寄ってきて『ノーカンだから!』と叫んでドロップキックをぶちかましてきた。

 

反応から察するに昨日のやり取りを覚えているようだ。しかしいきなりドロップキックをするのは論外だろう。我が酔って絡んだならまだしも絡んできたのはエルネスタ殿だし。

 

以上の事から我は悪くないと判断して、お返しに二枚蹴りをして床に倒した。するとエルネスタ殿は直ぐに起き上がって組み合ってくるので我も負けじと組み返す。

 

こうしてエルネスタ殿と喧嘩をしていたら気が付けば夕方となり、新型煌式武装の開発の時間が大きく減った事を理解して絶望した。

 

その際にエルネスタ殿も擬形体の研究の時間が減ったと嘆いていたが貴様が悪いだろうに。

 

やはり我とエルネスタ殿は敵同士である。


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