学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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学園祭2日目が始まる

学園祭2日目

 

「到着、っと」

 

現在、俺達は星導館学園の校門前にいる。今日の予定は午前中に星導館で遊び、昼食を取ったら界龍に向かい、界龍のイベントに出るって感じだ。

 

俺はエンフィールドと協力関係を結んでいるから学園祭以外の時にも星導館に足を踏み入れた事はあるが、基本的に生徒会室以外には足を運んだ事がないので結構楽しみだ。

 

「んじゃ何処から回る?午後は界龍に行くし早めに行こうぜ?」

 

可能なら全部見たいがそんな事をしたら3日全て埋まってしまう。よって有名どころ以外は残念だが切り捨てないといけない。

 

「とりあえず色々回って見るけど……あ!」

 

シルヴィはいきなり歩き出したので俺とオーフェリアもそれに続く。向かった先は星導館の校舎を取り巻くように配置されている大量の出店だった。

 

「やっぱり身分を隠したデートにはアイスクリームだよね」

 

あー、そういやそんなシーンがある映画を見た事あるな。まあアイスクリームは好きだし別に構わ……ん?!

 

「マジかよ……!MAXコーヒー味のアイスクリームだと!!……店員さん!これくれ!」

 

何とシルヴィが選んだアイスクリームの屋台にはMAXコーヒー味のアイスクリームが売られていたのだ。何と素晴らしい店だ!

 

「あはは……まあ気に入っている味のアイスクリームがあって良かったね。あ、店員さん、私はバニラでお願いします」

 

「……じゃあ私はストロベリーで」

 

「あいよ!」

 

言うなり店員の兄ちゃんは直ぐに準備して俺達に差し出してくる。受け取ると同時に俺は自身の買ったMAXコーヒー味のアイスクリームを一口食べてみる……

 

「うん、美味い。流石人類が作り上げた中で至高の飲み物をアイスにした事はあるな」

 

出来るならこれを流行らせて、全国に新しくMAXコーヒー味のアイスを販売して欲しいものだ。

 

「……それは大袈裟よ」

 

「まあまあオーフェリア。それはそうと八幡君、私の一口あげるから八幡君も頂戴」

 

シルヴィがいきなりそう言ってくる。これを機にシルヴィにもMAXコーヒーの魅力を理解して欲しいものだ。

 

「ほらよ」

 

「ありがとう。じゃあ八幡君も」

 

そう言われてバニラのアイスを差し出されたので口にする。うん、これも中々美味いな。

 

「サンキューシルヴィ。美味かった」

 

「どういたしまして。八幡君のそれはアイスになっても甘いね。それより八幡君」

 

するとシルヴィは唐突に小悪魔的な表情を見せてくる。何か嫌な予感しかしねぇ……

 

無意識のうちに構えを取っていると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「間接キス……しちゃったね」

 

そう言ってきた。

 

瞬間、俺は一瞬だけ思考を停止したが直ぐに再起動して顔が熱くなるのを実感してしまう。ヤバい、かなり恥ずかしい……!

 

「あ、八幡君照れてる。可愛いな〜」

 

シルヴィは悪戯を成功したような純粋無垢な子供のような笑みを浮かべてくる。

 

「へ、変な事を言うな馬鹿!」

 

「え〜?でもさ、私達毎日最低2時間はキスをするから、間接キスなんかでは緊張しないと思っちゃったよ」

 

いや、まあ…確かに俺はオーフェリアとシルヴィの3人で毎日キスをしている。ちなみに内訳は3割が普通のキスで、3割がソフトキス、4割がディープキスである。ディープキス多過ぎだろ?

 

しかし間接キスは殆どしないのでぶっちゃけ慣れていない。その上、間接キスは普通のキスとはまた違った魅力があって妙に緊張してしまう。

 

よって俺はシルヴィの不意打ちにドギマギしてしまっている。あいつ、本当に悪戯好きだなオイ。

 

内心呆れながらシルヴィに毒づいているといきなり肩を叩かれたので横を見ると、そこにはオーフェリアがいて……

 

 

 

 

 

 

 

 

「……八幡、私とも間接キスしましょう?」

 

そう言いながら自身の購入したアイスを差し出してきた。アイスを食べっこしようではなくて、間接キスをしようときましたか。そんな風に頼まれるとは相変わらずオーフェリアはぶっ飛んでんな……

 

まあ……

 

「はいよ」

 

そう言いながら自身のアイスを差し出しながら、オーフェリアが差し出してきたアイスを口にする。

 

シルヴィと間接キスした以上、オーフェリアとしないという選択肢はない。2人を愛すると決めた以上、2人には可能な限り平等に接するつもりだ。

 

「んっ……美味しい」

 

オーフェリアは俺のアイスを食べながらそう言って自由になる前には一度も見せないような可愛い笑みを見せてくる。

 

やっぱりこいつの笑顔は普段とのギャップもあって最高だ。この笑顔を独り占め出来るだけでこいつを助けた意味は充分にあるだろう。

 

そう思いながら俺もオーフェリアの差し出してきたアイスを味わう。その味はいつも食べているストロベリーのアイスより数段美味く感じたのは気の所為ではないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺達は暫く他愛のない会話をしながら、星導館を適当にブラブラした。イベントは気になったのはチラッと覗くくらいで、基本的に歩いている時間の方が多かった。

 

俺個人としては星導館の屋内プールで開催されていた『ウォーターサバイバル』ってイベントでオーフェリアとシルヴィのスク水姿を見たかったが、身バレするのを避ける為断念したのが悔やまれる。まあその時に2人に、帰ったらスク水でもビキニでも見せてやると言われたので良しとしよう。

 

 

閑話休題……

 

そんな感じで色々な場所を見回っていると時計は11時半を示していた。

 

「シルヴィ、午後には界龍に行くしそろそろ昼食を摂ろうぜ」

 

「あ、そうだね。でも……」

 

「……この混み具合じゃ、店に入るのも立ち食いも厳しいわね」

 

オーフェリアの言う通り、今は昼飯時だからか座って食べれる店は混んでいる。屋台の店はそこまで混んではいないがその周囲、歩道は立ち食いをしている人で溢れている。ベンチに至っては全て埋まっているし。

 

さて、どうするか?

 

そんな事を考えていると……

 

 

 

 

 

 

「でしたら生徒会室に来ませんか?」

 

いきなり後ろから声をかけられた。この声は知っている。

 

「……直で会うのは旅行の時以来だなエンフィールド」

 

振り向きながらそう言うと、星導館の長であるクローディア・エンフィールドがいつもの完璧な笑みを浮かべて立っていた。

 

「はい、ランドルーフェンさんもお久しぶりです。……それと、そちらの方は『戦律の魔女』ですか?」

 

「うん、そうだよ。鳳凰星武祭の閉会式以来かな?」

 

「そうですね。まああそこでは殆ど話が出来なかったのでもっと久しぶりな気がしますね」

 

「まあ私は殆ど六花園会議に出てないからね」

 

旧知の間からか、2人は和やかに会話をしている。

 

「まあ仕事上仕方ないでしょう。それより話を戻しますと、生徒会室なら今は誰もいませんのでのびのびと昼食を摂れますが、どうですか?」

 

そう言われて現在の問題について考える。確かに混雑している以上、のびのびと昼食を摂れる場所については魅力的だ。

 

「……俺としてはそれで構わない。お前らは?」

 

「私もそれでいいかな?オーフェリアは?」

 

「……構わないわ」

 

「決まりですね。では私はここで待っていますので、屋台に行って各々食べたい物を買ってきてください」

 

エンフィールドにそう言われたので俺達はバラバラに散って、各々が食べたい屋台に向けて歩き出した。

 

 

 

 

 

10分後……

 

「ではどうぞ。他の役員はいないので変装を解いても大丈夫ですよ?」

 

屋台で昼食を買った俺達はエンフィールドに案内されて生徒会室に入る。

 

 

 

 

 

 

 

俺は何度か入った事があるが、相変わらず大企業の社長室のような部屋だ。俺は今までレヴォルフとガラードワース、星導館の生徒会室に入ったが、どの生徒会室も雰囲気を感じさせる部屋だと思う。こんな場所で仕事なぞ、俺には絶対に無理だろう。

 

そう思いながら俺は変装を解いて、いつもエンフィールドと会談する時に使用するソファーに座ると、オーフェリアとシルヴィが左右に座り、エンフィールドが向かいに座る。

 

「ありがとねクローディア。わざわざこんな豪華な場所を貸して貰って」

 

シルヴィが笑顔で礼を言うと、エンフィールドも同じように笑顔で首を振る。

 

「いえいえ。そちらはデートですか?」

 

「まあそんなところだ。つーかお前は生徒会長として忙しいのか?」

 

執務机を見ると紙の書類が大量にある。その事から相当忙しい事は簡単に想像がつく。

 

「そうですね。ぶっちゃけ殆ど仕事ですね。おかげで綾斗と一緒に過ごせませんね」

 

残念そうに頬を膨らませる。それを見たシルヴィは珍しく驚きの表情を浮かべる。

 

「へぇ……クローディアがそんな顔をするの初めて見たよ。天霧君って相当やるみたいだね」

 

「ああ、あいつは天然の女誑しだからな」

 

そう言いながらさっき買ったたこ焼きを食べるとエンフィールドがコロコロ笑い出す。

 

「あら?シルヴィアとランドルーフェンさんの2人と付き合っている比企谷君も中々だと思いますよ?」

 

ぐっ……まあ端から見たらそう思われても仕方ないか……

 

「そこを言われると返せないな……てか、お前が忙しいって事は、天霧はリースフェルトや沙々宮、刀藤と一緒にいるのか?」

 

3人は天霧といて、エンフィールドだけ仕事……不憫過ぎる。不幸中の幸いなのは天霧が鈍感である事だ。だからエンフィールドが学園祭で一緒に過ごせなくても差がつく事はないだろう。

 

「ええ。あ、でも午後は私も合流するつもりです。今日の午後に界龍の生徒会との仕事もあって、そのついでにこれを見るつもりです」

 

そう言ってエンフィールドは空間ウィンドウを二つ開いて俺に見せてくる。

 

するとそこには『激闘!黄振殿!』と記された界龍のイベントサイトと『激震!黄振殿に最強の挑戦者、オーフェリア・ランドルーフェンと比企谷八幡現る!迎え撃つは万有天羅の一番弟子と二番弟子!』と大きく書かれたネット新聞が映っていた。

 

「……随分とデカデカと載ってるな」

 

「ええ。おそらく最終日に行われるグラン・コロッセオと同じくらい話題になっています」

 

「まあレヴォルフ不動の2トップである八幡君とオーフェリアが挑戦するからね」

 

「それに『覇軍星君』のデータは殆どないですからね。彼が獅鷲星武祭に出る事が噂されている以上獅鷲星武祭に参加する人間は間違いなく見に来るでしょうね」

 

「シルヴィは参加しないのか?お前の実力なら問題ないだろうし、星露なら飛び入り参加も認めてくれるかもしれないぜ?」

 

てかあのバトルジャンキーなら絶対に認めると思う。寧ろシルヴィに挑みそうで怖い。

 

「うーん。面白そうだけど、今回は2人の応援に回るつもりだね。だから2人とも頑張ってね」

 

「そうですね。特に比企谷君、『覇軍星君』の底を見れるように頑張ってくださいね」

 

言われるまでもない。元々俺は奴の本気のデータを手に入れる為に挑むんだ。そして奴に本気を出させるにはこちらも本気を出さないと無理だろうし。

 

「ああ。しっかりと目に焼き付けときな」

 

「期待していますよ。それとずっと気になっていたのですが、何故ランドルーフェンさんは『魔王』雪ノ下陽乃に挑むのですか?こう言ってはなんですが、弱いものイジメにしかならないと思うんですが」

 

あー、それを聞いちゃうのね。エンフィールドの質問を聞いた俺とシルヴィは乾いた笑みを浮かべる。

 

まあエンフィールドの疑問は最もだ。俺自身も部外者だったは気になるだろうし。しかしハッキリと言っていいのか?

 

俺がそんな風に悩んでいると……

 

「……ただの私怨よ」

 

オーフェリアはただ一言、シンプルにそう言った。確かにその通りだな……

 

それを聞いたエンフィールドは

 

「……なるほど。何やらキナ臭い話みたいなので聞かないでおきましょう」

 

それが賢明だな。聞いたら不快になる話だし。てか俺自身も余り知られたくないし。

 

「ま、まあそんな感じで2人は挑むんだよ。クローディアもこれ終わったら一緒に界龍に行かない?」

 

シルヴィが焼きそばを食べながら話を逸らすようにエンフィールドに誘いをかけると、エンフィールドはそれに乗るかのように頷く。

 

「そうですね……綾斗達と集合する場所は界龍の校門前なのでそこまでご一緒しても良いですか?」

 

「別に構わない。オーフェリアは?」

 

「私も構わないわ」

 

「どうもありがとうございます。ではお言葉に甘えて……」

 

エンフィールドがぺこりと頭を下げて礼を言ってくる。俺達はその礼を受けながら食事を摂るのを再開した。

 

さて、これを食ったらいよいよ界龍に行って暁彗と戦うのか……しっかり食べて万全の状態で挑まないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、黄振殿では……

 

 

「さて、もう直ぐ午後の催し物が始まるが……儂を滾らせるのを期待しておるぞ?」

 

『はっ!』

 

星露の言葉に星露の弟子達ーーー例のイベントに参加する面々は声を揃え了承の意を表明する。

 

それを見た星露は満足そうに頷いてから、

 

「暁彗」

 

「……はっ」

 

自身の一番弟子の名を呼ぶ。それに対して暁彗は星露に恭しく傅く。

 

それを見た星露は優しく穏やかに……

 

「ぬしと八幡の戦い、楽しみにしておるぞ」

 

そう口にする。瞬間、暁彗は身体中の血が沸き立つのを感じた。

 

比企谷八幡

 

界龍の生徒でないにもかかわらず星露の教えを受けている者で、星露に血を流させて星露自身がアスタリスクに来てから戦った人間で一番の強さを持つと認めた者。

 

暁彗は星露が今の自分に満足していない事を重々理解している。彼を倒せば星露は認めてくれるだろうか。

 

暁彗はそう考えてから一息を吐く。やる事は変わらない。どんな時でも星露の為に全力を尽くすだけだ。

 

「……御意。全霊をもって、師父のご期待に応えてみせましょう」

 

暁彗はそう言って立ち上がり、他の弟子より早く戦いの舞台に歩き出す。

 

星露に報い、星露の望みを叶える事に全力を尽くすと誓いながら

 

 

 

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