俺は今あり得ない光景を目にしている。これは夢か?現実か?それとも星露が星仙術で作り上げた幻術か?
自身の目を擦ってみてから再度前を見る。しかし目の前にある光景に変化は無かった。
そんな中……
「どうしたの八幡君、目が痒いの?」
「……目薬を持ってきた方が良いかしら?」
目の前にいる最愛の恋人ーーーオーフェリアとシルヴィが心配そうな表情を俺に向けてくる。
ナース服を着ている状態で。
オーフェリアは白の、そしてシルヴィは薄ピンク色のナース服を着ていた。
特に露出は激しい訳ではないが2人のスタイルが良いからか妙な色気を感じてムラムラ……ドキドキしてしまう。
当の2人は俺がドキドキしているのを知らないのか知っていて敢えてスルーしているのか知らないが、特に表情を変えずに俺に近寄り……
「……どう?似合っているかしら?」
「……っ。あ、ああ。2人とも似合ってる」
俺がそう口にすると2人は嬉しそうに顔を綻ばせる。
「……そう?ふふっ……」
「良かった……八幡君にそう言って貰えると嬉しいよ」
「そいつはどうも。てか何でナース服?」
疑問なのはそれだ。いや、まあ眼福だから良いんだけどナース服で来るとは完全に予想外だった。
「……怪我人の八幡のお世話をするならナース服が良いと思ったからよ」
「そうか。そんじゃあそのナース服は何処で手に入れたんだ?」
2人がナース服を持っているなんて今知ったし。
するとシルヴィが口を開ける。
「あ、それはね。先週オーフェリアと出掛けた時に八幡君を喜ばせる手段として色々なコスプレ衣装を買ったんだ」
マジで?!初耳なんですけど!
「……ちなみにどんなコスプレ衣装を買ったんだ?」
思わず聞いてしまうのは男として仕方ないだろう。決して見たいとかそんなんじゃないからね?!……いえ、すみません。見たいです
「えーっと、ナース服以外に確か……バニーガール、レースクイーン、キャビンアテンダント、チャイナ服でしょ?後は……」
「……ミニスカポリスにOLスーツ、サンタにハロウィン……ああ、後は……」
オーフェリアが一息吐いて……
「……八幡の好きなプリキュアで全部ね」
とんでもない事を言ってきた。瞬間、顔に熱を感じる。
「ちょっと待てオーフェリア!」
俺が慌ててオーフェリアに話しかけると、
「……どうかしたの?」
首を傾げながら返事を返してくる。
「あ、いや、そのだな……何で俺がプリキュア好きなのを……?」
思わず聞いてしまう。マジで何で知っているんだ?俺は2人と付き合ってからは引かれるのを避けるために見るのを止めたんだが……
すると……
「……ああ。この前コスプレ衣装を買いに行った時に小町に八幡の趣味を聞いたら小町が『お兄ちゃんはプリキュアが大好きだよ〜』って言ってたから」
瞬間、俺は実の妹に対して本気の殺意が芽生えた。
(小町ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!てめぇ、マジで余計な事を言ってんじゃねぇよ!!)
オーフェリアとシルヴィが居なかったら声に出して叫んでいる自信がある。あの愚妹め……!次に会ったら影狼修羅鎧を纏った状態でアイアンクローをぶちかましてやる。
まあそれは今はどうでもいい。いない奴に文句を言っても仕方ないし。
今の問題は……
「そ、そうか。とりあえず出所はわかった。その上で聞くが……引いてないのか?」
問題は2人に引かれているかどうかだ。男子高校生、それも自分の彼氏が幼女向きアニメを好きだと知ったら間違いなく引くだろう。俺自身オーフェリアとシルヴィの立場なら多分引くと思うし。
俺がそう尋ねると2人は顔を見合わせる。暫く見合わせていると俺の方を向き……
「うーん。まあ少し引いたけど……どちらかと言ったら嫉妬の方が強かったかな?アニメのキャラとはいえ八幡君が私達以外の女の子に興味を持ってるのを理解したら嫌な気分になったし」
「……そうね。出来ることなら私達以外の女子に意識を向けて欲しくないし、私達が八幡のプリキュアになろうと思って買ったの」
あ、若干引いたんですね。まあそれは仕方ないだろう。自覚はあるし。
しかしアニメのキャラに嫉妬って……こいつらの愛が重過ぎる。まあその重過ぎる愛は俺にとって掛け替えのない物なんだけどさ。
しかし2人が俺だけのプリキュア………
(え?最高じゃね?)
プリキュアの姿の2人とイチャつけるなら死んでも良いんだけど。いや、冗談抜きで
「……八幡、顔がいやらしいわよ」
オーフェリアがジト目で俺を見てくる。シルヴィも苦笑混じりの表情で俺を見ていた。
「す、すまん」
「……別にいいけど、そんなに見たいの?」
「ああ、見たい」
「八幡君、即答するって……後で見せてあげるから楽しみにしててね。それより今は……」
するとシルヴィは持っているヨーグルトを近くの机の上に置いて俺の上着に手をかける。対してオーフェリアはパジャマを片手に俺のズボンに手をかけてくる。
「……先ずはお着替えをしましょう」
そう言って2人は蠱惑的な笑みを浮かべて俺を見てくる。気の所為か手つきもいやらしく感じてしまう。
「い、いやいいよ。自分で出来るし恥ずかしいからな?」
そう言って身を捩り2人から離れようとするも2人は俺を逃すつもりがないのか服から手を離さない。
「……八幡、恥ずかしいって今更じゃないかしら?」
「だよね。エッチする時は私達が八幡君の服を脱がしてるから慣れてるでしょ?」
「それは……!」
いや、まあ確かにそうだけどよ……夜2人を抱く時は雰囲気があるから抵抗を感じないが、今は雰囲気がないので恥ずかしく感じてしまう。
そう思ったのは束の間……
「はいはい。苦情は着替えてからね」
「……変な事はしないわ」
シルヴィが上着のボタンを外し脱がし、オーフェリアがズボンを下げてきた。その動きは一切の淀みがなく滑らかなものだった。
そして……
「えっ……ちょっ、待っ……!」
そのまま上下の下着を脱がされた。
2分後……
「くそっ……マジでお婿に行けない……」
パジャマ姿俺は不貞腐れながらシルヴィが差し出すヨーグルトを食べ終える。
結局俺は2人を止め切れず、着ているもの全て脱がされてパジャマに着替えさせられた。脱がされるのはともかく、服を着せられたのはマジで恥ずかしかった。死ねるわ。
しかしそんな俺を他所に2人は……
「大丈夫だよ八幡君、私とオーフェリアがいるからお婿さんに行けるよ」
「……それ以上に絶対に私とシルヴィアのお婿に行かせるわ」
全く気にする様子もなく俺の横で腕に抱きつき甘えてくる。怪我人である俺からしたら、ナース服を着ている2人に甘えられると背徳感がするな……
しかし俺には2人を拒絶する事が出来ない。何故なら……
「ふふっ……八幡は温かいわ」
「やっぱり八幡君の腕は安心するなー」
幸せそうな笑みを浮かべている2人の顔を見ると茶々を入れる気も失せる。
「そいつは何よりだ。にしても今日は苦労の割に合わねえ試合だったな」
俺は今日行った暁彗との試合を思い出してため息を吐く。何せ本来の目的は暁彗のデータ収集だったのだが、暁彗の奴、俺と戦った事でやる気を起こしちゃったし。
勝ち気を得た以上暁彗は今後凄く伸びるだろう。これならいっそデータ収集出来なくても良いから暁彗に挑むべきではなかった。
(次、若宮達に会う時は土下座しよう)
「あー……まあそうだね。本来の目的は達成出来たけど、向こうをやる気にしちゃったからね」
「……まあやってしまったものは仕方ないわよ。今は疲れを取りなさい」
オーフェリアはそう言って自身の頬を俺の頬に当ててスリスリしてくる。オーフェリアのプニプニした頬が気持ち良い。
「まあそうだな。そういやお前らに礼を言わないとな」
「……?何のお礼?」
「ああ。今日の試合で終盤に暁彗の拳を受けた時にお前らの声が聞こえてな。アレのおかげで勝てたよ」
始め暁彗の拳を鳩尾に食らった時は諦めようかと思ったが、オーフェリアとシルヴィの声を聞いて立ち直れた。2人の声が聞こえていなかったら諦めて気絶していただろう。
俺がそう言って礼をすると2人は一瞬だけキョトンとした表情が浮かべるも直ぐに笑みを見せてくる。
「……そう。声を出したのは事実だけど届くとは思わなかったわ。それで勝てたと言うなら嬉しいわ」
オーフェリアはそう言って俺の腕に自身のメロンを当ててくる。てか少し大きくなってないか?!
「……それはそうよ。あれだけ八幡に揉まれたら大きくなるわ」
「心を読むな。てかそれは迷信だろうが」
知らんけど。大体揉めば揉むほど大きくなるならもっと大きくなっている筈だし。
「まあでも、私達からしても勝って嬉しかったよ。って訳で……」
言うなりシルヴィは俺の顔に近付き……
「んっ……」
そっと唇を重ねてくる。ナース服のシルヴィがパジャマ姿の俺にキスをする。端から見たらAVみたいだな……
暫くの間キスをしていると、
「ぷはっ……!ご褒美のキスだよ。どう?美味しかった?」
艶のある表情をしながらそう聞いてくる。このキス魔め……
「ああ、美味かったな」
「そっか。じゃあもっとあげ「……シルヴィア、次は私よ」うん、わかった」
オーフェリアがシルヴィの言葉を遮る。シルヴィはそれを聞いて1つ頷くと俺の正面から避ける。すると代わりにオーフェリアが俺の正面に立ち……
「んっ……」
シルヴィ同様に唇を重ねてくる。ああ……やっぱりコレには逆らえん。オーフェリアは俺の首に手を絡めて俺の口の中を容赦なく蹂躙してくる。
「んっ、ちゅっ……試合をしている時の八幡、凄く格好良くて惚れ直したわ」
そう言って再度キスをしてくる。こいつに惚れ直されるなんて、それだけで勝って良かったと思えるな。
「ありがとな……あ!そういやお前に聞きたい事があるんだけど」
「……?何かしら?」
「今日のお前の試合についてだよ。お前いつ純星煌式武装なんて手に入れたんだよ?」
「あ、それは私も気になるな」
俺の意見にシルヴィも同意する。
今日の試合でオーフェリアが『覇潰の血鎌』を使った時は冗談抜きで驚いた。アレが無くても最強の魔女だというのに……まさに鬼に金棒だろう。
「……ああ、アレね。雪ノ下陽乃を完膚なきまでに叩き潰す為に、この前学園に申請して借りたのよ」
マジですかい……どんだけ叩き潰しかったんだよ?
「でも純星煌式武装の使用の申請をしたって事はディルクと会ったんだろ?何か言われたか?場合によっては屠りに行かないといけないし」
あいつの事だ。自由になったオーフェリアに対して何か言った可能性が充分にあるし。
「まあ喧嘩腰に色々言われたけど無視したわ。申請しなかったら地獄を見せると言ったら申請を通して貰ったの。それから適合率検査をして使えるようになったわ」
怖っ!オーフェリアマジで怖いんですけど?!てか、地獄を見せるって何?!敵ながら若干ディルクに同情するわ!
「なるほどな……つまり『覇潰の血鎌』は雪ノ下陽乃の為に用意した訳か。それはわかったが、今後そいつはどうするんだ?」
雪ノ下陽乃を完膚なきまでに叩き潰すという目標は達成した。そうなるとオーフェリアが持つとは考えにくい。
すると……
「とりあえず持っておくわ。例のシルヴィアの師匠や処刑刀と戦う場合に備えて持っておくのも悪くないし」
オーフェリアはそう返す。それを聞いたシルヴィはポカンとした表情を浮かべてから礼を言う。
「あ、うん。ありがとうね」
「……別に気にしなくていいわ。シルヴィアの師匠を助ける事は私達3人が本当の幸せを掴む為には必要な事だから」
オーフェリアは頬を染めてそっぽを向く。何だこの子?マジで可愛過ぎだろ?
それはシルヴィも同じだったようで……
「あー、もう!可愛いなぁ!」
オーフェリアに飛びつきオーフェリアの頬に頬ずりし始める。相変わらずシルヴィはオーフェリアに弱いな。
一方のオーフェリアは頬ずりされながらシルヴィから逃げようとするが離れる気配はない。
「し、シルヴィア……離れて」
「んー。やーだ。八幡君も抱きしめない?凄く可愛いよ?というか抱きしめよう」
………まあ、偶にはこういうのも悪くないか。
「……は、八幡?」
オーフェリアが珍しく驚きの表情を浮かべるのを他所に俺も……
「あー、確かに可愛いなぁ」
「んっ……八幡のバカ……」
オーフェリアに抱きつきシルヴィと同じようにオーフェリアを愛で始める。良い匂いがするし抱き心地も最高。おまけに反応も可愛い。
これは一日中こうしていても余裕だろう。
そう思いながら俺とシルヴィはオーフェリアに抱きつき、とにかく愛でまくった。
結局、俺達がオーフェリアから離れたのはそれから1時間後の事で、抱擁を解くとオーフェリアが真っ赤な顔をして文句を言ってきたのは言うまでもないだろう。