「いやだから本当に悪かったって」
俺はベッドの上で手を合わせて謝る。視線の先には……
「……知らないわよ馬鹿」
恋人の1人であるオーフェリアが頬を染めてそっぽを向いている。ツーンとした表情が俺の保護欲を駆り立てる。
「本当にごめんね。可愛くてつい……」
隣ではもう1人の恋人であるシルヴィが俺と同じようにオーフェリアに謝っている。
何故俺達がオーフェリアに謝っているのかというと、オーフェリアが余りに可愛かったので我慢出来ずに抱きしめて愛でまくったからだ。
それだけならともかく、1時間はやり過ぎだったな。いや、俺やシルヴィからしたらやり過ぎではないが、オーフェリアからしたら長かったのだろう。
「……シルヴィアのその言い訳は既に10回は聞いたわ」
「うっ……だ、だってオーフェリアが可愛いんだもん。ねえ八幡君」
するとシルヴィは俺に同意を求めてくるが……
「そうだな。オーフェリアが可愛いからつい愛でたくなるシルヴィの気持ちは痛い程にわかる」
俺は男であったり性格的にアレ故に自分からオーフェリアに抱きつくことはないがシルヴィの立場だったら同じ事をしているだろう。
しかし……
「……2人で意気投合しないでちょうだい」
「「はい、すみませんでした」」
オーフェリアが冷たい目で俺達の意見を一蹴するので俺とシルヴィは素直に謝る。オーフェリアに冷たい目で見られたらゾクゾクするが、ここで馬鹿正直にそれを口にしたらマジで許して貰えない気がするので黙る事にした。
「……もう、馬鹿」
「だから悪かったって。何でも言う事を聞くけら許してくれ」
「……そう。何でも、ね?……じゃあ今週末、ここでデートして」
そう言ってオーフェリアは空間ウィンドウを開いたので見てみると、『六花マリンワールド』と表示されていた。
つまりオーフェリアはプールデートをしろってか?
「俺は構わないが、そんなんで良いのか?」
てっきりもっと凄い要求をしてくると思ったので若干拍子抜けしてしまった。
「……ええ。元々3人でプールに行ってみたかったし」
あー、そういやリーゼルタニアに行った時にもそんな事を言っていたな。帰国してからはシルヴィの都合とかもあって行く時間がなかったが、春休みの今なら3人揃って行けるだろうから今提案したのだろうな。
ともあれ……
「わかった。じゃあ週末までに水着を準備しとく」
良く考えたら俺は水着を持っていないし、学園祭が終わってから買わないとな。
「……そう。じゃあ許すわ」
オーフェリアはそう言ってから俺の右横に位置取ってから俺の耳に顔を寄せて……
「……八幡の喜びそうな水着を準備するから」
ちゅっ……
小さい声でそう言って、それから頬にキスをしてくる。
オーフェリアが言った言葉の意味と耳に当たる吐息、そして頬に当たった柔らかい感触によって自分の顔が熱くなるのを自覚する。
(こいつ……狙ってやっているとは思えないが、破壊力あり過ぎだろ?!)
普段クールなこいつがそんな事を言うとギャップを感じてドキドキしてしまう。これが天然の小悪魔の恐ろしさか?!
そう思っていると……
「……八幡君、プールデートで八幡君が私達以外の女の子に興味を持てないようにしてあげるから」
ちゅっ……
左側からシルヴィの蠱惑的な声が聞こえてきたかと思いきや、オーフェリア同様頬にキスをしてきた。
こいつらマジで俺の理性の壁を壊す天才だな……!正直言って今直ぐベッドに押し倒して、自身の欲望を思う存分ぶつけて2人の嬌声を聞きたい。
しかしそれはしない。したら冗談抜きで歯止めがかからないと断言出来るからだ。
それと今直ぐ2人から離れないといけない。これ以上2人と一緒にいたらマズい。
「そ、そうか。楽しみにしておくよ」
まあ実際に2人の水着を見るのは楽しみで仕方ない。寧ろ2人の水着を見て理性が吹っ飛ばないかとか、2人を見て鼻の下を伸ばす男を見てぶちのめさないか心配だ。
「うん、楽しみにしててね。っと、もう夜9時過ぎてるね。そろそろお風呂に入ろうよ?」
言われて時計を見ると時間はシルヴィの言う通り既に9時を回っていた。どうやらオーフェリアを愛でまくっていたから時間を忘れていたようだ。恐るべしオーフェリアの可愛さ。
「そうだな。一応聞くが……今日も一緒に入るのか?」
今日は2人のナース姿を見てかなり理性の壁の耐久度が下がっている。一緒に風呂に入ったら崩れるかもしれん。
そう思いながら2人に尋ねると……
「「勿論」」
そう言って頷くとベッドから降りて、各々のクローゼットから下着と寝巻きを取り出し始める。
(……どうやら逃げられないようだ。耐えろよ俺の理性よ。……まあ多分無理だろうけど)
俺は自身の理性の強さに殆ど期待せずに、2人と同様にベッドから降りて自身のクローゼットから替えの下着を取り始めた。
それから5分後……
俺はシルヴィが家にいる時は基本的に毎日3人で一緒に入っている。だから今回もいつものように若干緊張しながら入って身体を洗われて湯船で甘えられて終わり、そう思っていた。
しかし今回は……
「ダメだ……マジで離れてくれ……!」
でないと俺の理性の壁が壊れてしまう。
しかし俺がそう言うのも仕方ないだろう。
何故なら……
「んっ……ここまで来たら最後まで洗わせてよ」
「……それに以前八幡はこうして欲しいと言ったじゃない」
シルヴィとオーフェリアが俺の身体を2人で挟み、自身の身体を擦り付けて洗っているからだ。前をシルヴィが、後ろをオーフェリアが洗っている。
きっかけはこうだ。いつものように俺達3人が風呂場に入り、いつものように身体を洗おうとした時だった。
シルヴィが突然、
『八幡君。八幡君は今日頑張ったからご褒美をあげよっか?』
そう聞いてきたので、俺は欲しいから貰うと言った。
するとシルヴィと間髪入れずに俺に抱きついて
『じゃあ……たっぷりとご奉仕してあげるね』
蠱惑的な表情を見せ、俺の右耳をハムハムしながらそう言ってきたのだ。それを聞いた俺は理性の壁の危機を感じて慌ててシルヴィを引き離そうとするも時すでに遅く、後ろからオーフェリアも俺に抱きついて、
『……八幡を喜ばせるように頑張るから』
そう言って俺の左耳をハムハムしながら背中に柔らかな膨らみを当ててきたのだ。
予想外の不意打ちに呆気に取られていると、後は早かった。2人は自身の身体にボディソープを付け泡立たせると再度俺に抱きついて身体を擦り付けてきたのだ。
そんな訳で今に至るが……
(ヤバいヤバいヤバい!サンドイッチはガチで破壊力がヤバ過ぎる。もう理性の壁の耐久度が半分を切ったぞ!)
既に何回かされた事はあるが破壊力がヤバ過ぎる。しかも……
「んっ……ちゅっ……ちゅっ……」
「はむっ……八幡の胸……硬いわ」
いつもと違って前にいるシルヴィは俺の首に腕を絡めてキスをしてきて、後ろにいるオーフェリアは耳をハムハムしながら胸や脇腹を触ってくるのだ。
ハッキリ言って破壊力単体の時より数十倍ある。漫画やアニメだとよく2人が協力すれば1+1が2ではなく3や4、それ以上にもなると言われているが、それは本当の事だ。
(でもまさか実体験、それも2人にエロい事をされて気付くとは完全に予想外だがな……)
てかこれを予想出来る奴はいないだろう。いるとしたらそいつは間違いなく神だ。
そう思う間にも2人は更に動きを速めて身体を洗ってくる。シルヴィに至っては舌を絡め初めてくるし。というか……
「あの、お二人さん?そろそろ全身にボディソープは行き渡ったと思うんですけど……?」
2人が洗い始めてから5分、とっくに俺の身体にボディソープは行き渡っている。しかし2人は離れる気配はない。
疑問に思った俺は2人に尋ねると……
「知ってるよ。さっきまでは八幡君の身体にボディソープを付ける為、今は八幡君を喜ばせる為にやっているんだから」
「……八幡はこういうの好きでしょ?前に八幡の実家に帰省した時に見つけたいやらしいDVDを見て勉強したわ」
おぃぃぃぃぃぃ?!マジですかい?!いやらしい映像データって、例のシルヴィのそっくりさんが出てるアレとかだよな?!
「てかいつ勉強したんだよ?!帰省した時はいつも一緒にいたから見る時間なかっただろ?!」
まさか俺が寝てる時にこっそり見たのか?
すると……
「……ああ、それ?帰省した時に八幡が持ってるDVDのタイトルを全て覚えて、それと同じ物をネットで拾ったのよ」
拾うなバカが!てかその言い方だと例のシルヴィのそっくりさんが出てる物以外のDVDの存在も知られているって事だよな?!
マジで死にたい……文化祭が終わってから直ぐに転向したが、その際に全て捨てときゃ良かった……
内心後悔していると2人が離れた。どうやら漸く終わったようだ。
「どう?八幡君、気持ち良かったかな?」
「あ、ああ。でも後少しで理性を失っていたな」
そう返しながらシャワーを浴びて泡を洗い流す。
身体を洗いながら自分の理性の壁の耐久度を確認すると3割を切っていた。あと3分くらい続いていたら理性を失っていただろう。
「そっか……じゃあ後5分くらい……」
「させねぇよ。てかお前アイドルだろうが。いくら経験があるからって自分から俺の理性を壊しに行くな」
再度抱きつこうとしてくるシルヴィを離して風呂場から脱衣所に上がる。今日は湯船に浸かるのは止めておく。入ったら2人が甘えてくるのは簡単に予想が出来るし。
「あ、待ってよ」
風呂場からそんな声が聞こえてくるが、脱衣所に上がった俺はそれを無視して猛スピードで身体を拭く。
風呂場を見るとまだ2人は上がっていない。シャワーの音がする事から身体に付いている泡を洗い流しているのだろう。
今のうちに……
俺は急いで寝巻きに着替えて脱衣所を後にした。脱衣所のドアを閉めると同時に……
『えっ?!いない?!』
『着替えるの速いわね……』
そんな声が聞こえてきたが、火事場の馬鹿力ってヤツだろう。あのまま2人と一緒に湯船に入っていたら歯止めがきかなかっただろうし。
俺はため息を吐きながら寝室に向かった。
「あらら……八幡君速かったね」
「……そうね。まあ良いんじゃないかしら?私達が着替える所を見られなくて」
「あ、そっか。やっぱりアレを見せるならサプライズは必須だよね」
「……でもやっぱり恥ずかしいわ」
「あはは……まあ私もちょっと恥ずかしいな。でも……」
「……ええ」
「「八幡(君)が喜んでくれるなら安いものだわ(だね)」」
寝室に到着した俺は落ち着きを取り戻す為に深呼吸をする。
(とりあえず風呂という1番の山は越えれた……後は寝るだけだが、まあ風呂に比べたら問題ないだろう)
パジャマ越しに抱きつかれたり、キスされたりするのはドキドキするがそれについては大分慣れた。だから問題ないだろう。
その時だった。
寝室のドアが開いた音が聞こえてきた。おそらく2人が寝巻きに着替えたのだろう。
そう思いながらドアの方を見ると……
「「ハートキャッチ、プリキュア!」」
ドアの近くに2人のプリキュアがいた。
………え?