学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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バカップル3人はとにかくイチャイチャしてイチャつく(後編)

目の前にとんでもない光景が目に入ると思考を停止する。漫画やアニメではよくある事なのは知っているし、俺自身恋人2人と付き合ってからは2人の予想外の行動に何度か思考を停止した事がある。

 

しかしそれを踏まえても……今回目に入った光景は予想外過ぎる。

 

それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ハートキャッチ、プリキュア!」」

 

目の前にいる恋人2人ーーーオーフェリアとシルヴィがプリキュアの格好をして俺の前に立っている。

 

それの破壊力がヤバ過ぎる。

 

プリキュアは小さい女の子や大きなお友達に向けて制作されたアニメだ。よって衣装は基本的にヒラヒラした子供向けの衣装である。

 

しかしスタイル抜群の2人が着ると何とも言えない色気が漂っている。オーフェリアとシルヴィはかなりの巨乳だ。プリキュアの衣装越しでも膨らみが明らかになっていてヤバい。

 

そんな予想外の光景に呆気に取られていると、

 

「どう八幡君?似合ってるかな?」

 

プリキュアーーーシルヴィが満面の笑みでこちらに近寄って抱きついて上目遣いで俺を見てくる。まさかプリキュアに抱きつかれるとは……

 

そう思ったのも一瞬で、今度はオーフェリアがシルヴィと同じように抱きついて上目遣いで見てくる。しかしその表情は……

 

「……八幡、やっぱりシルヴィアと違って無愛想な私じゃ似合わないかしら?」

 

シルヴィと違って不安に満ちていた。

 

それを見た俺は手を広げて2人を抱き返して2人の頭の間に自身の頭を挟む。

 

「……褒め言葉になるかはわからないが凄く似合ってるぞ。だからオーフェリア、お前は自信を持て。過去に色々あったけど……お前は可愛いんだから」

 

「……本当?」

 

「ああ。お前は可愛い。これは紛れもない事実だ」

 

世間ではオーフェリアは恐怖の対象に見られているが俺は知っている。オーフェリアは花や甘い物が好きで、甘えん坊な何処にでもいる1人の可愛い女の子である事を。

 

俺がそう言うと……

 

「……嬉しいわ。八幡にそう言って貰えて本当に嬉しいわ」

 

オーフェリアは目尻に僅かに涙を浮かべながら小さく笑みを浮かべてくる。ほら、お前は自覚がないかもしれんがお前の笑みは可愛いからな?

 

その時だった。

 

「むー」

 

いきなり妙な声が聞こえたのでオーフェリアから目を逸らすと、シルヴィが向日葵の種を口に入れて頬張っているハムスターのように頬を膨らませていた。

 

「……どうしたシルヴィ?」

 

「べっつに〜。八幡君はオーフェリアに優しいねって思っただけだよ」

 

そう言うとシルヴィはプイッとそっぽを向く。何だいきなり?何で怒っているんだ?もしかして……いや、まさかな……でも……

 

「……もしかしてお前……構って欲しいのか?」

 

疑問に思った事を口にする。対してシルヴィはそっぽを向いたまま口を開ける。

 

「……私だって八幡君の彼女なんだから」

 

マジか……本当に構って欲しかったのかよ。可愛過ぎかよ?

 

そう思うと頬が緩む。構ってちゃんで拗ねた表情を浮かべるシルヴィを見れる男は世界でも俺1人だけだろう。

 

「ごめんなシルヴィ。でも俺はお前らに優劣を付けたりはしないからな。それだけは信じてくれ」

 

よく王は複数の女と囲み優先順位をつけるが、俺は違う。俺はオーフェリアとシルヴィに対して差別をするつもりはない。どちらも俺にとってはかけ替えのない存在であり、同じくらい大切な存在だ。どっちかを優先するなんて事は一切考えていない。

 

これは2人のプロポーズを受けた時に決めた事だ。俺達は3人で幸せに生きるってな。

 

そう言ってシルヴィの頭を撫で撫でする。シルヴィの機嫌が悪い時はこうすればいいのは学習済みだ。

 

「……わかってるよ。八幡君が差別しない事くらい。でもオーフェリアばっかり可愛い可愛い言われると妬けちゃうんだよ」

 

膨れっ面をして俺をジト目で見てくる。うわ、拗ねてるシルヴィも可愛いな。

 

まあそれはともかく確かにシルヴィには余り可愛いって言わないな。オーフェリアの場合は良く自虐をするから訂正する為に言ってるがな。

 

でも……

 

「シルヴィも可愛いぞ。その格好も凄く眼福だし」

 

世界の歌姫が俺の好きなアニメのコスプレをしてくれているんだ。これを眼福と言わずに何を眼福と言うのかって話だ。

 

俺がそう言うとシルヴィは口をにやけさせて更に強く抱きついてくる。

 

「本当?えへへー」

 

ったく、俺の恋人は2人とも甘えん坊だな。

 

(だが……それがいい)

 

2人に甘えられるのは凄く良い気分だ。逆に俺が甘えると2人は俺を甘やかして幸せな気分にしてくれる。出来る事ならこのまま死ぬまで甘え合いたいものだ。

 

「ところでお前ら……その、さっきのもう一回やってくれないか?」

 

正直言ってさっきの2人の決め台詞はマジで可愛かった。てかもう一回見たい。

 

俺が頼み込むと2人は頬を染める。シルヴィは苦笑の色が強いが、オーフェリアは対称的に恥じらいの色が強く見える。

 

「あ、うん。それは別にいいけど……」

 

「……改めてやるとなると……恥ずかしいわ」

 

ですよね。改めてやれと言われたら恥ずかしくなるよな。その気持ちは良くわかる。

 

だが……

 

「そこを何とか一回だけ、な?」

 

俺も譲るつもりはない。最愛の恋人2人が好きなアニメのコスプレをしているんだ。もう一度見たいし写真に収めて永久保存したい。

 

そう思いながらハンディカメラを準備すると2人は恥ずかしそうにしながらもベッドから降りて俺の正面に並ぶ。

 

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ハートキャッチ、プリキュア!」」

 

顔に恥じらいの色を出しながらさっきのように2人のプリキュアがポーズを取る。

 

それを見た俺は内心から湧き上がる興奮を露わにする事なく、冷静に写真に収める。

 

端末を見ると画面には世界で一番可愛らしいプリキュアの写真が保存されていた。

 

それを確認した俺は即座にコピーして自室のパソコンと千葉の実家にある俺のパソコンに送信した。これで万が一携帯端末からデータが失っても大丈夫だ。

 

それを見たシルヴィは苦笑を浮かべてくる。

 

「八幡君大袈裟だよ。もしもデータが無くなってもまた撮らせてあげるよ?」

 

いや、まあそうだけどよ……だからと言ってこの写真が無くなったら嫌だし。

 

「悪い悪い。でもお前らがプリキュアだったら敵は呆気なく散って人類は安泰だろうな」

 

何せ世界最強の魔女であるオーフェリアと世界屈指の魔女のシルヴィなんだし。寧ろ敵に同情するわ。間違いなく敵はなす術もなく負けるだろう。

 

すると2人は首を横に振る。

 

「……それは違うわ八幡」

 

「うん。私達は人類の為のプリキュアじゃなくて……」

 

2人は1つ区切るとベッドの上にいる俺に近付き……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「私達は八幡(君)だけのプリキュアだから」」

 

ちゅっ……

 

2人は同時に俺の唇にキスを落としてくる。頬を染め目を瞑りながら。

 

瞬間、俺の中で何かが崩れる音が聞こえ間髪入れずに……

 

「きゃっ」

 

「……八幡?」

 

2人をベッドの上に押し倒す。そして2人の頭の横に手を当てて逃げられないようにしてから……

 

「んっ……は、八幡君……!」

 

「ちゅっ……んんっ……」

 

最初にシルヴィ、次にオーフェリアの唇にキスを落とす。普段と違って貪り尽くすように荒々しいキスだ。

 

それをすると同時に俺は自身の中で理性の壁が崩れている事を理解した。俺が押し付けるようなキスをするのは理性を失った時だけだからだ。つまりさっき俺の中で崩れる音がしたが、アレは理性の壁が崩れた音という事になる。

 

しかし俺はそんな事を直ぐに頭の隅に放り投げて、2人に対して交互にキスをしながら両者の胸に手を這わせる。

 

「……お前ら散々俺に誘惑してきたんだ。今から抱くが文句はないよな?」

 

いつもと違って野獣先輩のように笑みを浮かべ、荒々しい口調で抱くと言ってくる八幡に対して2人は……

 

 

 

 

 

「……勿論。八幡の好きにして」

 

「……いいよ。私達は八幡君になら何をされても構わないから……メチャクチャにして欲しい」

 

頬を染め、艶のある表情を浮かべながらハッキリと俺の要望を受け入れる。

 

2人から了承を得た以上憂いは無くなった。これで俺を止める人間は誰も何もない。

 

なら俺も止まる必要もないだろう。

 

そう思いながら俺は一息吐いて、2人と足を絡めて2人に覆い被さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後……

 

「……まだ起きてるか?」

 

暗闇の中、俺が小さい声でそう呟く。すると……

 

「……ううん。まだ起きてるよ」

 

「……今はまだ八幡に甘えたいわ」

 

左右にいる恋人2人がそう言って俺に抱きつき甘えてくる。窓から見える月明かりが2人の身体を照らす。2人はプリキュアのコスプレを着ているも、はだけていて半裸の状態である。はっきり言って裸よりエロい。

 

「……そうか。なら好きにしろ」

 

「うん。八幡君は大分落ち着いたみたいだね」

 

シルヴィが苦笑しながらそう言ってくる。2人に自身の欲望を一定時間ぶつけたら落ち着きを取り戻した。今はやり過ぎたと後悔しているくらいだ。

 

「ああ、さっきは悪かったな。自身の欲望を満たす為に自分勝手に色々やらかして」

 

アレは明らかにやり過ぎた。そう思い2人に謝るも……

 

 

「ううん。元々メチャクチャにしてって頼んだのは私達だから八幡君は気にしなくていいよ」

 

「そうね。それに私達は八幡の全てが好きなの。捻くれている八幡も甘えん坊な八幡も、野生的な八幡も全て好き。欲望を満たす為に私達をメチャクチャにしたくらいで嫌いになる訳ないわ」

 

2人は俺の謝罪を一蹴して特に気にする素振りを見せることなく甘えてくる。

 

「そうか……」

 

2人にそう言って貰えると気が晴れる。2人が俺の横で甘えてくる。こんな時間がずっと続いて欲しいな。

 

そう思うと2人が

 

「「八幡(君)」」

 

剥き出しになっている俺の肩を叩いてくる。同時に叩いてきたのでどっちを向いたら良いのか悩んだ末、どっちの方も向かずに上を見ながら

 

「何だよ?」

 

そう尋ねる。すると2人は……

 

「「おやすみのキスをして欲しいわ(な)」」

 

同時に同じ事を要求してくる。

 

(まあアレだけ俺の自分勝手な行動に付き合ってくれたんだ。そんくらいならしても良いか……)

 

「はいよ。じゃあどっちからする?」

 

「「2人一緒で」」

 

「はいはい」

 

2人の同じ回答に苦笑しながら、身体を起こして2人を押し倒すように見る。ベッドの上にはプリキュアのコスプレを着崩した2人の艶姿が目に入る。

 

さっきアレだけ2人と身体を重ねたにもかかわらず興奮してしまう。しかし今日はもう手を出すつもりはない。5回目は無理だ。

 

「じゃあ……」

 

俺がそう呟き2人の顔に近付くと2人は目を瞑り……

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「んっ……」」」

 

3人でそっと唇を重ねる。それによって一瞬で眠気は吹き飛び、胸に幸せを生み出す。キスは触れるだけの軽いキスだ。激しいのをすると歯止めがきかないしおやすみのキスとは言えないからな。

 

幸せな気分を感じながら唇を離して……

 

 

 

「「「おやすみ」」」

 

そう言って2人に抱きつかれて、ゆっくりと眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日……

 

 

「おい小町。お前オーフェリアとシルヴィに俺がプリキュア好きって余計な事を言ったよな?」

 

『あ……!てへ!』

 

「お前今度覚えとけよ?」

 

『ごめんごめん!でも良いじゃん!2人のプリキュア姿が見れると考えたら安いもんじゃん!それにもしかしたらプリキュア姿の2人とエッチ出来るかもよ?!』

 

「それは昨夜した」

 

『へ……?何考えてんのさごみいちゃん?!』

 

「いや何でごみいちゃん呼びなんだよ?」

 

『冗談半分で言ったのに本当にコスプレプレイをするとは思わなかったよ!お兄ちゃんのど変態!』

 

「待て小町。俺は悪くない。2人が余りに可愛かったのがいけないんだよ。あの2人が俺だけの為に決め台詞を言ったんだぞ?俺だけのプリキュアって言ってきたんだぞ?そんな事を言われてら理性を崩しても仕方ないだろ?」

 

『自分の行動を正当化させた挙句惚気るのは止めてくれないかなぁ?!小町砂糖を吐きながら自分の寮の壁を壊しそうだよ!!』

 

「おい小町、物に当たるのは良くないぞ?」

 

『誰の所為だと思ってんの?!』

 

 

 

「あの……八幡君、そろそろ家出ない?」

 

そんな事もあって予定より20分遅れて家を出た。


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