学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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原作13巻読みました。ネタバレにならない程度に思った事。

面白かった

星露、他所の学園の生徒鍛え過ぎ

どの学園も半端ねぇ強さの人間ばかり

14巻が来月発売とか、俺得過ぎる


獅鷲星武祭初日、開会式前から面倒な事が起こる(前編)

pipipi……

 

アラーム音が耳に入ったので薄っすらと目を開けると、部屋の窓からは眩しい朝の日差しが部屋全体を照らしていた。

 

それによって完全に目を覚ました俺は未だに鳴り続けているアラームのスイッチを切ってベッドから身体を起こして伸びをする。

 

同時に両隣に恋人2人がいない事を理解する。シルヴィは知っている。最近忙しくて家に帰ってきてないのだから。

 

しかしオーフェリアは特に予定は……ん?

 

「良い匂い……嗅いでいたら腹が減ってきたな……」

 

どうやらオーフェリアは朝食を作っていたようだ。オーフェリアの作る飯は美味いからな。

 

早速朝飯にありつこうとベッドから降りてリビングに向かおうとするが、その前に部屋の扉が開き……

 

 

「……八幡。朝ご飯が……起きていたのね」

 

オーフェリアが部屋に入ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

白いエプロン1枚だけ着ている状態で。

 

 

瞬間、俺の中にあった眠気は一瞬で吹き飛び、顔に熱が生まれる。え?裸エプロン?!

 

改めてオーフェリアを見るも、オーフェリアが着ている衣類は白いエプロン1枚だけだった。最近になってオーフェリアの胸は成長しているので、胸の部分はハッキリと膨らんでいるし、色白とした手は肩から丸見えで、美しい足は付け根ギリギリまで丸見えとなっていて美術品のような美脚が晒されている。

 

前にシルヴィの裸エプロン姿も見た事があるが、オーフェリアの裸エプロン姿はシルヴィのそれと同じくらい破壊力がある。獅鷲星武祭が無ければ今直ぐ押し倒している自信がある。

 

しかし……

 

「ど、どうしたオーフェリア?いきなり裸エプロンなんかして」

 

理由がわからん。オーフェリアは俺がコスプレを頼むとやってくれるが、自分からした事は余りないので気になって聞いてしまう。

 

すると……

 

「……最近の八幡、シルヴィアが居なくて寂しいと思ったから元気を出して貰おうと八幡の好きそうな格好をしてみたの……似合ってないかしら?」

 

「そんな事はない」

 

不安そうな表情を浮かべて尋ねてくるオーフェリアに対して俺は即座に首を横に振る。似合っているし、俺の為に尽くしてくれているんだ。嬉しい事この上ない。

 

「凄く可愛いぞ。可能なら毎日やって欲しい」

 

「……八幡のエッチ」

 

「いや待て。俺は悪くない。可愛過ぎるお前が悪い」

 

「……バカ」

 

言いながらオーフェリアは俺に抱きついてポカポカと叩いてくる。マジでこの子可愛過ぎだろ?

 

そう思いながらも俺もオーフェリアを抱き返して謝る。

 

「悪かったよ。でも嘘じゃないからな?」

 

「……じゃあ、キスして」

 

おっと、そうきましたか。まあ朝の挨拶でオーフェリアやシルヴィにキスをするのは普通だし良いか。

 

「はいはい」

 

言いながら俺はオーフェリアの顔に近付き……

 

 

「んっ……」

 

そっとキスを落とした。オーフェリアは目を瞑って俺のキスを受け入れて優しいキスを返してきた。

 

こうして獅鷲星武祭初日が幸せな気分で幕が開いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば八幡。開会式が始まるまではどうやって時間を潰すの?」

 

「うーん……何かステージが変更されて、客は開会式ギリギリまでドームに入れないし外の屋台で何か食べようぜ。シルヴィは開会式が終わるまで会えないし」

 

朝食の席に着いた俺は裸エプロン姿のまま俺にあーんをしてくるオーフェリアの質問に答える。

 

何か次の王竜星武祭の際に統合企業財体の最高幹部が観戦に来るらしく、シリウスドームはそれに伴い改造されたのだ。参加チームは改修された会場を見学出来るらしいが、俺達は観客なので見学は不可能だ。

 

「……わかったわ。じゃあ食べたら行きましょう……あーん」

 

「あーん……美味いぞ」

 

「ふふっ……八幡にそう言って貰えると嬉しいわ」

 

オーフェリアは喜びを露わにしながら甘えてくる。やっぱりオーフェリアには笑顔が1番似合ってるな。これから先、オーフェリアは昔体験した地獄のような日々を忘れることはないと思うが、それを気にしないで済む位楽しい時間を作ってやらないとな。

 

俺は改めてそう決心しながらオーフェリアのあーんを受け続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を済ませた俺はオーフェリアと一緒に家を出て、アスタリスクの中央区ーーーシリウスドームに向かったが……

 

「……わかった。じゃあ今から20分後にシリウスドームの第二ゲートの入口付近にある騎士の銅像の前で会おう」

 

『……わかったわ。じゃあまた後で』

 

「またな」

 

はい。見事にはぐれました。しかしこれは仕方ないだろう。ついさっき参加選手がシリウスドーム内部を見学するのが始まったのだ。見学時間の間、観客はドームに入れないので、シリウスドーム周辺は10万人以上の観客で賑わっているのだ。

 

電話を切った俺はため息を吐いて第二ゲートを目指して歩くが人が多くて歩きにくい事この上ない。こんなことになるなら私服じゃなくて目立つレヴォルフの制服で来れば良かった。

 

内心ため息を吐いている時だった。

 

「おや、比企谷君じゃないか」

 

いきなり穏やかな声がしたので振り向くと……

 

「学園祭以来っすね、フェアクロフさん」

 

ガラードワースの序列1位のアーネスト・フェアクロフさんが穏やかな笑みを浮かべながら、同じようにガラードワースの制服に身を包んだ一団を引き連れてこちらにやって来る。

 

フェアクロフさんの横にはブランシャール、ケヴィンさんにライオネルさん、ガードナー……チーム・ランスロットの4人が居て、その後ろにはチーム・トリスタンの5人や獅鷲星武祭に参加すると思えるガラードワースの学生がズラリと並んでいた。流石チーム戦を得意とする学園だけあってかなりの人数だ。

 

しかしチーム・ランスロットとそれ以外に違いがあるとすれば2つある。

 

1つは圧力の違い。チーム・トリスタン辺りからは強い圧を感じるが、チーム・ランスロットからはそれを遥かに上回る圧力を感じる。フェアクロフさんが率いるチーム・ランスロットが揃って居並ぶ様は、まるで巨大な山が俺を押し潰す位の圧をかけてくる。

 

チーム・ランスロットは毎回ガラードワースの序列1位から5位の人間で構成されているが、今回の獅鷲星武祭に参加するチーム・ランスロットは間違いなく歴代最強だろう。聖剣と聖杯持ちが居るんだし。

 

そしてもう1つの違いは俺に向ける視線の意味合いだ。

 

チーム・ランスロットの方はそれなりに交流があるので負の感情を向けられていないが、それ以外の人間とは接点がないので、チーム・ランスロット以外の殆どの人間が嫌悪の混じった表情を浮かべて俺を見ている。

 

特に鳳凰星武祭で妹の小町に負けたチーム・トリスタンのリーダーのエリオット・フォースターや、その後ろにいるオーフェリアによって失禁してしまった葉山なんてメチャクチャ睨んでるし。俺は別にどうこうするつもりはないが、そんなあからさまに睨むのは止めた方が良いぞ?

 

(そういや葉山の率いるチーム・ヴィクトリーは若宮達の初戦の相手だが……多分問題ないだろうな)

 

全員が序列入りしている葉山のチームだが、鍛え方を見る限り若宮達には及ばない。他のガラードワースのチームも見てみるが、チーム・赫夜が負けるとすればチーム・ランスロットとチーム・トリスタンだけだろう。

 

そんな事を考えながらガラードワースの大半の人の睨みをスルーしているとフェアクロフさんが話しかけてくる。

 

「そうだね。ところで今は1人なのかい?」

 

「さっきまでオーフェリアと居ましたが迷子になりました。てかフェアクロフさんは随分と遅いんですね。てっきりもう会場入りしてると思いましたよ」

 

堅物が多いガラードワースはてっきりどの学園よりも早く来ていると思っていた。

 

「少し仕事が残っていてね。彼らには申し訳ない事をしたよ」

 

言いながらフェアクロフさんが後ろにいる面々を見ている。その事から察するにチーム・ランスロット以外のチームはフェアクロフさん達と一緒に行くべく待っていたのだろう。

 

「慕われているみたいですし良いんじゃないですか?統率の取れた軍隊みたいですよ」

 

「待ちなさい比企谷八幡!そこは軍隊ではなく騎士団と言ってくださいまし!」

 

するとブランシャールがプリプリしてくる。と、同時に俺の中で嗜虐心が生まれてきた。フェアクロフ先輩のことはしょっちゅうからかっているが、ブランシャールは最近からかってないしな。多少からかってもバチは当たらないだろう。

 

そう思いながら俺が口を開けようとしたが……

 

「ーーーくだらなくない!」

 

その直後、少し離れた所から聞き覚えのある声が聞こえてきた。この声は……

 

「(若宮?何でこんな場所で叫んでいるんだ?理由はないが嫌な予感がするな……)すみませんフェアクロフさん。失礼します」

 

「えっ?!どうなさったんですの?!」

 

俺が踵を返すと、背後からブランシャールの呆気に取られた声が聞こえてくるが返事をする暇はない。

 

俺は半ば強引に人をかき分けて声のした方向へ向かう。すると少し離れた場所で10人の人間が5人ずつに分かれて向かい合っているのが見えた。

 

片方は俺が面倒を見たクインヴェールのチーム・赫夜で、もう片方は

見覚えのない白と赤を基調とした制服を着た集団だ。しかし白と赤を基調とした制服を着た連中の胸には双剣の校章ーーーレヴォルフの校章を付けていた。その事からこの5人は……

 

(こいつらが傭兵制で外部からやって来たチーム・ヘリオンって奴らか)

 

傭兵制とは外部の人間を星武祭に参加させる制度だ。獅鷲星武祭はチーム戦なので鳳凰星武祭や王竜星武祭に比べて人を集めるのが難しい。そこで運営は外部からチームを雇ったり、生徒の多い界龍に生徒の少ないクインヴェールから参加枠を買う権利を与えたりと色々と手を打っているのだ。

 

今回レヴォルフは傭兵制を使ったのは知っていたが、開会式前に揉めるとは予想外だ。てか若宮達も揉めてんじゃねぇよ。失格になりたいのか?

 

半ば呆れながら人混みを掻き分けて、遂に10人との距離が3メートルまで近付くと……

 

「ちっ、どいつもこいつも気に食わない目をしてやがる……!ミネルヴィーユが腑抜けた原因はお前らか」

 

「ミネルヴィーユじゃない!クロエだ!」

 

ぼさぼさ髪の女が舌打ち混じりに喋ると、若宮が張り合うように怒鳴り返す。

 

その直後だった。ぼさぼさ髪の女はいきなり煌式武装を展開させてくる。

 

(あれは『虚渇の邪剣』……?!ヤバイな)

 

かつて王竜星武祭で優勝したリベリオ・パレートが使用した純星煌式武装。あんなものを一般客がいる中で使用するなんてイカれてやがる……

 

そこまで判断した俺は反射的に2人の間に割って入り……

 

「ああっ?!」

 

「ひ、比企谷君?!」

 

義手の左手で『虚渇の邪剣』を受け止める。瞬間、火花が飛び散り義手からはギチギチと音が鳴る。どうやら相当のダメージを受けているようだ。

 

しかしそれも当然だろう。俺の義手は強度を上げているとはいえ、『虚渇の邪剣』は純星煌式武装だ。普通にぶつかったら義手が壊れるのは必然だ。

 

とはいえ易々と義手を壊される訳にはいかないので……

 

「影よ」

 

同時に足元の影を伸ばして『虚渇の邪剣』と女の手を拘束する。同時に『虚渇の邪剣』から義手に来る力が弱められて義手からギチギチという音が消える。

 

それを確認した俺は目の前にいる女を見ると殺意を剥き出しにして俺を見ている。

 

「何だてめぇ?オレの邪魔をしてんじゃねぇよ」

 

「知るか。そもそも星武祭が始まる前に揉め事が起こしてんじゃねぇよ。失格になるぞ?」

 

「はっ!それがどうした?寧ろこんな屑共のお遊びをやらずに済むから清々するぜ!」

 

対する女は失格上等とばかりに影の拘束を破ろうとしてくる。ディルクの野郎……こんなイカれた人間を雇ってるんじゃねぇよ。

 

内心呆れている時だった。突如女の足元に紫色の光が走り……

 

「ああっ?!今度は何だ?!」

 

女の身体がふわりと浮き上がる。それによって影に拘束された『虚渇の邪剣』を離しながら。

 

(重力操作……これは……)

 

この力の正体を理解すると……

 

 

 

 

「……騒々しいと思ったら面倒そうな事になっているわね、八幡」

 

さっきまで一緒に居たが迷子になったオーフェリアが手に重力操作の能力を持つ『覇潰の血鎌』を持ちながらこちらにやってくる。『覇潰の血鎌』からは悲鳴のような叫び声が聞こえてくるが気にしない事にする。

 

「向こうが突っかかってきたんだよ」

 

「……そう。でもこれ以上は止めておいた方が良いわ」

 

同感だ。これ以上揉めていたら面倒な事になるだろう。

 

「言われるまでもねぇよ。行くぞお前ら。……馬鹿やらかした件について聞きたい事もあるからな」

 

言いながらチーム・赫夜のメンバーをギロリと睨む。いくら向こうから先に危害を加えようとしたとはいえ状況によっては失格もあり得るだろうし。

 

「うっ……わ、わかったよ」

 

対する若宮は苦い顔をして黙る。他の4人も差はあれど後ろめたい感情があるようで苦笑をしたり目を逸らしたりしている。

 

「なら良い……って、訳でそっちもこの辺りで引いてくれないか?」

 

「こちらとしてもそれで構いません。ロヴェリカが迷惑をかけましたね」

 

俺はチーム・ヘリオンのメンバーにそう尋ねると眼鏡をかけた女が一礼してくる。どうやら空中に浮いて喚いている女ーーーロヴェリカと違って話は通じるようだ。

 

「別に構わない。行くぞお前ら」

 

「待ちやがれテメェ!オレを下ろしやがれ!」

 

ロヴェリカの声が上から聞こえる。『覇潰の血鎌』は重力を軽くする事も出来て、アレを食らうと殆ど何も出来なくなる。星脈世代といえども力を加えられるものがないの状態だとどうしようもなく、ばたついても手足が空を切るのがオチだ。

 

「……後3分すれば重力を切るように設定したわよ。行きましょう」

 

オーフェリアはロヴェリカにそう言ってから俺を見てくる。これ以上の悪目立ちは避けた方が良いな。

 

俺は頷いて、後ろ上から聞こえるロヴェリカの叫びを無視しながらオーフェリアと赫夜のメンバーを先導しその場を去った。

 

 

にしても開会式前にこんな揉め事が起こるとはな……マジで面倒臭い。




おまけ

シルヴィアの日記

◯月◇日

今日はウチの学校で公式序列戦があった。1位だけあってかなりの人数に挑まれたが、お義母さんこと涼子さんに鍛えられた生徒が多く結構梃子摺る場面もあった。特に2位ネイトネフェルと戦った時は一瞬負けそうになってしまった。私も時間がある時に新曲の開発をしたり、涼子さんや八幡君と戦って腕を上げたりしたいと思った。

しかしその日の放課後にチーム・赫夜の様子を見に行ったら、八幡君がニーナちゃんのスカートに顔を埋め、美奈兎ちゃんの胸を揉んでいる光景を目にした。わざとではないとわかっていてもカッとなってしまいオーフェリアと一緒に八幡君をボコボコにして、その日の夜はオーフェリアと一緒に八幡君が干涸びるまで搾り取った。




◇月×日

ニュース番組のゲストとして出演した。ニュースを聞いていると、とある女優が育児休暇で休みを取った事が判明した。その時に私は、自分と八幡君の子供について想像した。どんな子供になるかはわからないが早くアスタリスクを卒業して八幡君との愛の証を作りたいと思ってしまった。

そういえば名前についてはどうしようかわからなかった。ハーフだから日本名は止めた方が良いのか、星脈世代なら日本人でも金髪の人もいるし日本名でも良いのか悩んでしまった。今度時間がある時に八幡君やオーフェリアと相談して子供の名前について考えてみたいと思った。

×月△日

今日は最高の日だった。今日で八幡君としたキスは100万回を超えたのだ。それでありながら八幡君とのキスは毎回毎回違う感触なので飽きず、もっとキスをされたいと思うようになった。

しかしオーフェリアは既に200万回以上八幡君とキスをしている。私は仕事上、オーフェリアに比べて八幡君とキスをする回数は少ないのは仕方ない。

もちろん八幡君はキスの回数で優先順位をつけないのはわかっているがやっぱり悔しい。結婚して引退したら頑張ってオーフェリアに追いつきたいと思った。

そして夜だが、今回はオーフェリアが私に気を遣って八幡君と2人きりにしてくれたので、私は初めて八幡君と2人きりで身体を重ねた。オーフェリアを入れた3人でスるのも悪くないが、2人きりの時間は本当に至福だった。

尚、翌日この事をペトラさんやルサールカに話したら全員がブラックコーヒーを飲み始めたのが不思議でならなかった。


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