学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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開会式が終わり、比企谷八幡は会場の移動をする

マディアス・メサの開幕宣言が終わると各学園の運営母体の統合企業財体のお偉いさんのつまらない話が始まる。同時にお袋はつまらなそうに欠伸をしながら俺に話しかけてくる。

 

「そういや八幡よ。アンタは今日どうすんだ?協力したチーム・赫夜を見るのか?それとも優勝候補のチーム・エンフィールドの試合を見るのか?」

 

既にステージに意識を向けず酒をガンガン飲むお袋の問いに俺は考える。

 

(確かに迷ってんだよなぁ……強敵なチーム・エンフィールドを見たい気持ちもあるが……)

 

「いや、チーム・赫夜を見に行く。あいつらもチーム戦の経験は殆ど無いからな。場合によっては本戦までに調整をするだろうから、そん時に役立てるように記録映像じゃなくて直で見たい」

 

悩んだ末にチーム・赫夜を見に行く事にした。するとお袋は酒を飲みながら頷く。

 

「ふーん。んじゃ私はここでペトラちゃんとじゃれ合いながらチーム・エンフィールドの試合を見ておいてやるよ」

 

「わかった。じゃあ頼む」

 

「あいよ。っと、そろそろ終わるな。あんた達も混む前にシリウスドームを出な」

 

「わかった。じゃあな」

 

「……ええ」

 

俺とオーフェリアはお袋とペトラさんに一礼してからクインヴェール専用の観戦室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

シリウスドームを出た俺とオーフェリアはチーム・赫夜の試合が行われるカペラドームの近くにあるカフェの席に着いている。若宮達の試合は2時過ぎなのでまだ時間はある。

 

よって俺達はシルヴィと合流して昼飯を食べてからカペラドームに入る予定だ。

 

そんな感じでシルヴィが来るまでカフェで飲み物を飲んでいると、シリウスドームの方からぞろぞろと選手や観客がやって来る。その事から開会式が終わったのだと理解出来る。

 

そしてその中には……

 

「あー!比企谷君にオーフェリアちゃん!2人もここでお昼ご飯を食べるの?!」

 

チーム・赫夜のメンバーもいて、若宮が笑顔で走ってきて他の4人がそれに続いてやって来る。同時に選手や観客はギョッとした表情を浮かべて俺達を見てくる。

 

まあ当然だろう。クインヴェールの生徒らが悪名高いレヴォルフの2トップに近寄ってあるのだ。注目を浴びるのは仕方ない。

 

「まあな。と、言ってもシルヴィが来るまでは飲み物を飲んで待ってる」

 

「そうなんだ。私達も隣に座って良いかな?」

 

若宮は周りの人の視線を気にせずにそんな事を聞いてくるが……

 

「……良いの?私や八幡と一緒の席に着いたら悪目立ちするわよ」

 

オーフェリアがそんな事を聞くが、俺も同意見だ。今でも目立っているのに一緒に飯を食べたりしたら更に目立つだろう。

 

しかし……

 

「別に私は気にしないよ。私は昔49連敗してたから悪目立ちには慣れてるし」

 

若宮は特に気にすることなく席に座る。そういや若宮は1年くらいまでクインヴェールで49連敗した事からアスタリスク最弱とまで評されていたな。最近は近接戦においては冒頭の十二人クラスになったからすっかり忘れていたな。

 

「私も気にしません。お2人が優しいのは知っていますので」

 

「てゆーか、私は天霧綾斗と修行した帰りにしょっちゅう比企谷さんと夕食を食べていますから今更ですわね」

 

「わ、私も大丈夫……」

 

「私は見知らぬ人からどう思われても気にしないわ」

 

他の4人も同じような事を言って席に座る。本当にこいつらは純粋だな。ここまで言われたら拒否するのは無理だろう。

 

「まあ、お前達が良いなら気にしないが……じゃあシルヴィが来るまで1回戦の確認でもするか?」

 

「もちろんそのつもりだよ!あ、すみませーん!」

 

若宮は頷いてから店員さんを呼んで、注文をする。同じように4人も注文して店員がキッチンに向かうとフロックハートが口を開ける。

 

「じゃあ元々の予定だった最終確認をするわ」

 

言いながら空間ウィンドウを開くとガラードワースの制服を着た5人が映る。

 

「1回戦の相手はガラードワースのチーム・ヴィクトリー。メンバーは序列34位の『友情剣』葉山隼人をリーダーに、46位の三浦優美子、51位の戸部、59位の大岡に64位の大和の5人よ」

 

全員見覚えのある顔だ。てか同じ中学の人間だ。まさか全員が序列入りとはな。てか友情剣って……皆仲良くの葉山らしい名前だ。まあ葉山は口だけだが。皆仲良くとか言っといて俺とは仲良くなかったし。

 

そしてオーフェリアよ。葉山の映像を見て不愉快そうにするな。お前が怒ると怖過ぎるからな?

 

内心ビクビクしている間にもフロックハートの話は続く。

 

「チームのフォーメーションはウチと同じよ。前衛が葉山と三浦の2人、遊撃が戸部の1人、後衛が大和と大岡の2人。それと調べてみたらこの5人は貴方と同じ中学出身なのだけど……詳しい情報は知っているかしら?」

 

「え?!比企谷さんは5人と同じ中学なんですの?!」

 

フロックハートが俺を見て聞いてくるとフェアクロフ先輩は驚きながら聞いてくる。流石諜報機関に所属しているだけあってフロックハートの持つ情報は凄いな。

 

「ええ、まあ……ですが、俺の学校は普通の学校で星脈世代に関するカリキュラムは無かったんで彼らの情報は知らないですよ?」

 

学校によっては星脈世代を対象とした星武祭に向けてのカリキュラムがあったが、総武にはなかったからな。

 

「そうなの?なら仕方ないわね。既存のデータの見直しをするわ」

 

言いながらフロックハートは更に新しい空間ウィンドウを開くと、戦闘の映像が流れる。

 

「へー、ガラードワースの序列戦は随分と平和だな」

 

見れば葉山がサーベル型煌式武装を使って相手の剣に突きを放ち、手から武器を落としていたが、追撃はしないで降伏を促していた。

 

これがレヴォルフの序列戦なら手ぶらになった相手の顔面に拳を放っているだろう。

 

「貴方とオーフェリアの学園の序列戦に比べたらどの学園もそうでしょうね。特に貴方の前に序列2位だった『砕星の魔術師』とか、『螺旋の魔術師』の戦い方はレヴォルフでも群を抜いて残虐だし」

 

だろうな。ロドルフォの奴、毎回敵の身体の星辰力に干渉して敵の身体を爆発させて病院送りにしていたし。昔挑んでいてアレだが、あのイカれ野郎とは2度と戦いたくないのが本心だ。

 

「まあそれについては否定しない……っと、悪い。話が逸れたな。本題に戻ってくれ」

 

「え?あ、そうね。じゃあ先ずは前衛の葉山隼人と三浦優美子について話すわ。葉山隼人はソフィア先輩と同じサーベル型煌式武装を使って突きをメインとした攻めを、三浦優美子はハンマー型煌式武装を使ってゴリ押しで攻めてくるわ」

 

見れば葉山の突きが序列外の人間の校章を破壊していた。しかし映像を見る限り突き以外は得意とは思えない。

 

三浦は多少の隙を気にしないでガンガン殴る戦い方をしている。ガラードワースらしくない戦い方だな……

 

「葉山隼人はどちらかと言えば槍に近い戦い方をするから美奈兎が懐に入るように攻めて。三浦優美子は一撃一撃は怖いけど、攻撃の間隔は長いからソフィア先輩はそこを突いてください」

 

「わかった!」

 

「わかりましたわ」

 

「では次に遊撃と後衛の3人について、遊撃の戸部は片手剣型とハンドガン型の煌式武装を、大和と大岡の2人はアサルトライフル型の煌式武装を使ってくるわ。序列戦を見る限り3人ともガンガン攻めるタイプじゃないから、ニーナが開幕直後に大技を放って主導権を握って頂戴。私と柚陽はニーナの防御と前衛2人の援護を」

 

「わ、わかった……」

 

「わかりました」

 

「総合力ではこっちの方が上だけど、ウチのチームは1人落ちたらバランスが一気に下がる。無理な攻めをしないで油断せず堅実に行くわよ」

 

『了解!』

 

フロックハートの言葉に4人が力強く頷く。チーム・ランスロットみたいに常に全力なのはアレだが、手を抜くのは論外だろう。実際に界龍の双子は前回の鳳凰星武祭で天霧達を嬲るのに集中して負けていたし。

 

そこまで考えていると……

 

「おー、試合が近いのに落ち着いていて良いね」

 

聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきたので振り向くと……

 

「……久しぶりね、シルヴィア」

 

俺の恋人の1人でクインヴェールの序列1位にして生徒会長のシルヴィが変装した姿で手を振っていた。既に改造制服ではなく私服になっているのでバレる事はないだろう。

 

「うん。久しぶりだね八幡君、オーフェリア」

 

シルヴィは可愛らしい笑顔を見せて俺の隣に座ってくる。

 

「久しぶりだな。最近は仕事が続いているが疲れてないか?」

 

ここ数日、シルヴィは忙しくて家に帰ってきてないので心配である。

 

「ちょっと疲れが溜まってるね。だから八幡君。家に帰ったら思いっきり甘えて良い?」

 

シルヴィは期待の籠った瞳を俺に向けてくる。ここで断ったらシルヴィの瞳に涙が浮かぶだろうな。

 

「(まあ、ハナから断るつもりはないけど)わかったよ。好きに甘えろ」

 

「えへへ……ありがとう八幡君」

 

するとシルヴィはニコニコしながら俺の腕に抱きついて甘えてくる。お前夜じゃなくても甘えてるじゃねぇか。

 

「……シルヴィアって彼氏の前だと本当に甘えん坊になるわね」

 

「仕方ないじゃん。八幡君の事が好きなんだから。クロエも彼氏が出来たら同じ気持ちになると思うよ」

 

「……別に私は恋愛なんて興味ないわよ」

 

フロックハートはプイッと視線を逸らす。普段クールな奴がそんな仕草をすると妙に可愛らしくって痛え!

 

いきなり脇腹に痛みが走ったので見てみると、両隣に座るオーフェリアとシルヴィがジト目で脇腹を抓っていた。

 

(八幡君、クロエにデレデレしてたよね?)

 

(八幡のバカ……)

 

毎回毎回思うが何故俺の思考回路が読めるんだよ?

 

「比企谷さん?いきなり苦しそうな顔をして大丈夫ですの?」

 

俺の顔に苦悶が生まれたのかフェアクロフ先輩が心配そうな表情を浮かべて聞いてくる。オーフェリアとシルヴィはテーブルの下で抓っているのでチーム・赫夜は気付いていないようだ。

 

「い、いや何でもないから気にするな」

 

俺はそう返すと赫夜のメンバーは訝しげな表情を浮かべてくるが、そう返すことしか出来ないので勘弁してくれ。

 

 

 

 

 

結局、その後カフェで昼食を取る際にオーフェリアとシルヴィにジャンボパフェを奢ったら許して貰えた。

 

 

 

 

 

 

 

それから1時間後……

 

「じゃあ行ってきまーす!」

 

「うん。美奈兎ちゃん達の事、しっかり見てるから頑張ってね」

 

昼食を済ませて、試合が近付いたので俺と恋人2人はチーム・赫夜のメンバーと一旦別れる事になった。

 

「……あ、ちょっと待って。クロエ」

 

するとオーフェリアはフロックハートに近寄って何かを耳打ちする。対するフロックハートは目を細める。

 

「何でそんな要求をしたのかは知らないけど、余り期待しないで。最優先なのは勝つことだから」

 

「……わかってるわ。あくまで余裕があったらの話」

 

「なら良いわ。時間だし行きましょう」

 

「あ、クロエ!と、とりあえず失礼します!」

 

「あ、うん。またね皆」

 

先頭にいる若宮とシルヴィが挨拶をすると、俺を含めたそれ以外の6人がそれぞれ会釈をして各々が向かうべき場所に歩を進める。

 

「オーフェリア、お前フロックハートに何て言ったんだ?」

 

「……葉山隼人を完膚なきまで叩き潰して欲しいって言っただけよ」

 

「「あ〜」」

 

俺とシルヴィは納得したように頷く。確かにオーフェリアは俺関係で葉山を嫌っていたな。だからフロックハートに試合にかこつけて叩き潰して欲しいと言って、フロックハートは勝つことを最優先だから余り期待するなと言ったのだろう。

 

そんな事を考えながら暫く歩くと、クインヴェールのマークがついた部屋があり、シルヴィがパネルをタッチするとドアが開く。中を見るとさっきまでお袋と一緒にいた部屋に似ていることからカペラドームにあるクインヴェール専用の部屋だろう。

 

「さ、入って入って」

 

シルヴィがそう言ったので俺とオーフェリアは部屋に入って手頃な椅子に座る。するとシルヴィは俺の右側に座って……

 

「んっ……八幡君の温もり……」

 

早々に抱きついて甘えてくる。鼻にはシルヴィの匂いがやって来て変な気分になってくる。

 

「……さっきは人目が多かったら我慢してたけど、もう無理。八幡君、美奈兎ちゃん達の試合が始まるまで甘えさせて……」

 

シルヴィはウルウルした瞳を浮かべて上目遣いで見てくる。それを見た俺は心臓の鼓動が高鳴るのを実感した。

 

「……わかった。済まんがオーフェリア。今だけはシルヴィに集中しても良いか?」

 

「……勿論。思う存分楽しみなさい。ただし夜は私も、良いかしら……?」

 

「勿論だ」

 

「なら良いわ。邪魔はしないからごゆっくり」

 

「ありがとうオーフェリア。じゃあ八幡君……」

 

言うなりシルヴィは俺に顔を寄せてきて……

 

 

 

 

ちゅっ……

 

そっと唇を重ねてくる。同時にシルヴィは両手を俺の首に絡めてきたので俺はシルヴィの背中に手をまわす。

 

するとシルヴィは唇を離してトロンとした表情を浮かべてくる。

 

「私ね、たった1週間八幡君と離れただけなのにね……凄く寂しかったの……んっ」

 

言いながらキスをしてくるので俺もキスを返してやる。

 

「ちゅっ……なら、寂しさが無くなるまで……んっ……好きに甘えろ」

 

「んっ……んんっ……んちゅ……ありが、んっ……とう……」

 

シルヴィは一度礼を言ってから更に激しくキスをしてくる。舌を使って俺の唇をこじ開けて強引に俺の舌に絡めてくる。

 

「んっ……八幡、君。大好き……ちゅるっ……ずっと3人、一緒だよ?」

 

当然だ。俺はこれから先、シルヴィとオーフェリアの3人で幸せになるつもりだ。

 

「んっ……ちゅっ……んんっ……」

 

俺はシルヴィの言葉に対して舌を絡めて応える。するとシルヴィは目を見開いて驚きを露わにするも直ぐに舌を絡め返してくる。

 

 

 

 

 

結局、俺とシルヴィはオーフェリアにチーム・赫夜の試合が始まると言われるまで舌を絡め続けたのだった。





おまけ

シルヴィアの日記②

△月△日

今日はオーフェリアと2人でショッピングモールに行った。初めに雑誌を数冊買った後に、ランジェリーショップに行って八幡君が喜びそうなエッチな下着を幾つか買った。その時に八幡君に抱かれる妄想をしてしまい店の中で立ち止まり他のお客さんに迷惑をかけてしまった。

その後はカフェで一息ついたが、以前のようにガラードワースの生徒が八幡君を侮辱するような不愉快な事件は無くて安堵した。

その後に高級アクセサリーショップに行ったら結婚指輪も売られていた。八幡君は左手を斬り落とされたから左手に指輪をはめるのは無理だ。それについては仕方ないが早く結婚して私の指に指輪をはめて欲しいと思った。


△月×日

今日、オーフェリアとルサールカとチーム・赫夜のメンバーと女子会に参加した。女子会の代名詞とも言える恋バナもしたが、ルサールカや赫夜のメンバーは今のところ誰かに恋しているようではなかった。しかし恋をして私やオーフェリアの様に変わってみたいと言っていたので恋に興味を持っている事は理解出来た。

その後、自宅に帰って寝る直前の事だった。八幡君が『砕星の魔術師』から凄い媚薬を貰ったらしく使ってみたいと言ってきた。私はちょっと怖かったが、八幡君を喜ばせたかったのでオーフェリアと一緒に媚薬を口にしたのだ。

その結果、私の身体は物凄く熱くなり、気が付けば私とオーフェリアは八幡君の雌犬になっていた。そして身体に溜まって熱を発散するべく夢中になって八幡君の身体を求めた。あの夜は本当に熱い夜だったが、熱に身を委ねて生でやってしまった。幸い安全日だったので問題ないが次からは気を付けたい。

気を付けて八幡君の雌犬になると決めたのだった。


×月□日

今日は珍しく八幡君がチーム・赫夜のメンバーにラッキースケベを起こさなかった。それには私やオーフェリア、チーム・赫夜のメンバーも驚いてしまった。八幡君は文句を言っていたが、これに関する文句についてはスルーした。

何かが起こる前触れかもしれないので警戒をしていたが、特に何も起こらずに夜を迎えた。結果偶にはこういう事もあると割り切って八幡君とオーフェリアの3人で一緒に寝た。



×月◇日

……と、思っていたが翌日八幡君は転んで柚陽ちゃんを押し倒して柚陽ちゃんの胸に顔を埋めた。

やっぱり八幡君は八幡君だなぁと思いながらオーフェリアと一緒にボコボコにして、夜に八幡君が干涸びるまで搾り取った




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