学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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激闘の準決勝、チーム・赫夜VSチーム・ランスロット(後編)

「ふむ……クロエが前に出るという事は短期決戦に出ましたか」

 

「長引けば不利になるから間違っちゃいないだろ。まあ私がクロエちゃんならアーネストちゃんじゃなくて『黒盾』と『王槍』の方に向かうけどなー。そんで3人でアーネストちゃんを叩くな」

 

「それも1つの戦術ですね。しかしクロエがソフィアの脱落を防ごうとするのも間違ってはいないと思いますよ。何せソフィアが脱落したらアーネスト・フェアクロフがフリーになるので」

 

「まあどっちにしても試合はそこまで長引かねぇだろうなー」

 

クインヴェールの専用の観戦室にて、俺は試合を見ながら、俺と同じように試合を見ているペトラさんとお袋の戦術談義に耳を傾ける。見れば俺の恋人2人に加えてルサールカも、試合を見ながらお袋達の話に耳を傾けいた。

 

まあお袋にしろペトラさんにしろ星武祭で活躍してるからな。加えて年の功もあって中々興味深い話だと思う。つーかペトラさんはともかく、お袋が真面目に話しているのを見ると妙な気分になるな……

 

「しっかしここまでは順調だが……ここからが正念場だな」

 

今のところは順調だが、そうでなくては困る。チーム・ランスロットとの力量差を考えると順調でなかったらとっくに負けているだろう。そしてチーム・ランスロットに勝つには最後まで順調でないといけないだろう。試合の初めから最後まで常に順調でいるのがどれほど困難である事は理解出来る。

 

「……大丈夫。美奈兎達なら勝つ」

 

すると恋人の1人であるオーフェリアは両手をギュッと握りながらそう言ってくる。若宮達と友達になったオーフェリアからしたらそう思うのも当然であろう。

 

「そうだな……」

 

ならば俺も信じないといけないだろう。こんな俺でも1年間あいつらを見てきたんだし。

 

内心ハラハラしながらも改めてステージを見ると、試合が動き出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんっ!」

 

「はあっ!」

 

ステージの中央付近にて美奈兎とライオネルの叫び声が聞こえて、同時に互いの持つ武器を使用する。

 

ライオネルのパルチザンが唸るような薙ぎ払いを仕掛ける。対する美奈兎はソフィアの剣技を駆使して、サーベルでライオネルのパルチザンを撫でるように受け流す。ガラードワースでトップクラスの槍使いのライオネルの薙ぎ払いだが、ソフィアの技術はその薙ぎ払いすら容易く受け流せる。

 

それによってライオネルは隙だらけとなるので、美奈兎はそれを逃すつもりはない。

 

「させませんわよ!」

 

ライオネルの背後にいるレティシアが柚陽の妨害を受けながらも光の翼を放つが、今の美奈兎を止めるのは不可能で、美奈兎が刃を一閃してやって来た4枚の翼全て斬り払う。

 

そして間髪入れずにライオネルの校章目掛けて神速の突きを放とうとするも……

 

ギィンッ

 

「あっ!」

 

ライオネルの校章に刺さる直前にレティシアの後ろーーーチーム・ランスロットの最後尾にいるパーシヴァルが小銃型煌式武装から光弾を放ち、美奈兎の持つサーベルを弾き飛ばす。

 

パーシヴァルは『贖罪の錘角』を除いても桁違いの射撃技術を持っている故に侮れない、試合前にクロエと八幡から聞かされていたがこれ程の射撃技術とは思わなかった美奈兎であった。

 

しかし美奈兎は悔しさを表に出さずにナックル型煌式武装に星辰力を込めて距離を詰める。対するライオネルはレティシアとパーシヴァルの援護を受けたので隙は大幅に減っているが、まだ体勢を立て直し切れておらず、防御の構えを見せていない。

 

よって美奈兎は攻めることにした。

 

「玄空流ーーー”転槌”!」

 

「ぐっ!」

 

怒号と共に放たれた美奈兎の肘打ちがライオネルの校章を狙うも、ライオネルが身体を僅かにズラした事により、美奈兎の肘打ちはライオネルの校章ではなく、ライオネルの鳩尾に叩き込まれる。

 

初めてマトモに食らったライオネルは苦悶の表情を浮かべるも目は死んでおらず、パルチザンを構えて上段の構えを見せる。

 

肘打ちをした美奈兎に回避する暇はない為、美奈兎は迎撃を選択する。腰にあるホルダーから『ダークリパルサー』を抜いて動き出す。

 

「うおおおおおっ!」

 

「まだまだぁっ!」

 

互いに雄叫びをあげて各々の武器を振るう。上段からライオネルのパルチザンが振り下ろされて、下段から美奈兎の『ダークリパルサー』が振り上げられて……

 

「ああっ!」

 

『ダークリパルサー』の特性故に、互いの武器がぶつからず美奈兎の肩にライオネルのパルチザンが叩き込まれる。それによってミシミシと嫌な音が美奈兎の左肩から聞こえるも、美奈兎は痛みを無視して『ダークリパルサー』を振るい……

 

「ぐうっ……!こ、これは……?!」

 

そのままライオネルの首に突き刺す。瞬間、ライオネルは苦しそうに悶えながらパルチザンを地面に落とし、その巨体ががくりと膝をつく。

 

『ダークリパルサー』は刃が超音波で構成された武器で殺傷能力が一切なく、相手の攻撃を受けれないという武器としては致命的な欠陥持ちの武器だが、長所として相手の防御をすり抜けるという破格な条件を持っている。

 

そして刃を構成する超音波は桁違いで強力であり、マトモに食らえば今のライオネルのように敵を前にしても隙だらけとなる。

 

そんな中美奈兎は肩に走る痛みに耐えながらも拳を突き出して……

 

『ライオネル・カーシュ、校章破損』

 

遂にチーム・ランスロットの一角を落とす事に成功して、ライオネルが強烈な頭痛により地面に倒れ伏す。それを確認した美奈兎はケヴィンの長剣を蹴りで受け流すニーナの頭にクロエの能力を使って話しかける。

 

『ニーナちゃん!ケヴィンさんは私がやるからニーナちゃんはアーネストさんの所に行って!』

 

ライオネルを倒したとはいえチームリーダーのアーネストを倒さねば勝利にならない。その為美奈兎はそこまで負傷してないニーナをアーネストの元に行かせることを考えたのだ。

 

それを理解したニーナは一瞬だけ迷うも……

 

『わ、わかった……じゃあ美奈兎も気をつけて』

 

美奈兎を信じる事にした。ソフィアの剣技をトレースしてケヴィンの盾に突きを放ち、僅かに隙が出来た所でアーネストの元に走り出す。

 

「悪いけど行かせないよ!」

 

「それはこっちのセリフだよ……ぐうっ……!」

 

ケヴィンはニーナを止めようと長剣を振るうも、その前に美奈兎が割って入りナックル型煌式武装で受け止める。校章は無事だが長剣を受けた衝撃がライオネルのパルチザンを受けた肩に走り、美奈兎の全身に苦痛が生まれる。

 

しかし美奈兎は痛みに屈することなく、『ダークリパルサー』を振るう。対するケヴィンは……

 

「おっと!危ねぇ!」

 

『ダークリパルサー』の詳しい能力を知らないが、ライオネルを倒すきっかけとなった武器である事は理解出来たので、食らってはマズイと思い大きく後ろに跳び『ダークリパルサー』の攻撃範囲から逃れる。

 

それは正しい判断だが、ニーナを行かせないという行動には大きな障害となる。既にニーナはアーネストとソフィアとクロエの元にかなり距離を詰めている。

 

チラッとそれを確認した美奈兎は小さく息を吐く。

 

「(多分私がケヴィンさんを足止め出来る時間は長くて2分……だからそれまでにお願い……!)行っくぞー!」

 

美奈兎は自身を鼓舞するかのように大きく叫び、身体に走る痛みを無視してケヴィンに突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ライオネル・カーシュ、校章破損』

 

美奈兎がライオネルを撃破するのを告げると、アーネストと対峙するクロエとソフィアは安堵の息を吐く。

 

(美奈兎さんは自分の仕事を成し遂げた……私も負ける訳にはいきませんわ!)

 

(身体は痛いけどそうも言ってられないわね)

 

そして2人は奮起してアーネストに斬りかかる。対するアーネストは 『白濾の魔剣』を使って2人の斬撃を受け止めてカウンターを仕掛けてくる。狙いはチームメイトであるクロエだ。

 

対するクロエは八幡の体術をトレースして頭を後ろに倒してブリッジをする事でアーネストの斬り払いを回避する。アーネストは追撃を仕掛けようとするも……

 

「させませんわ!」

 

ソフィアがアーネストの校章目掛けて突きを放つので追撃をやめて 『白濾の魔剣』を防御に使用する。クロエはその間に体勢を立て直して再度サーベルを構えるも……

 

「うっ……!」

 

「クロエさん?!」

 

全身に走る痛みに思わず膝をついてしまいそうになる。クロエは短期決戦を狙うべくソフィアや美奈兎、八幡の技術を駆使してアーネストを攻めたが、アーネストの力がクロエの想定を超えていたのだ。

 

アーネストもそれなりにダメージを受けているが、このまま試合が続けばクロエの方が先にやられるのは必然である。

 

「どうやらその力は相当身体に負担が掛かるみたいだね」

 

アーネストがそう言って間合いを詰めようとした時だった。

 

「女王の心弾!」

 

アーネストの横から12の光弾が風を裂きながらアーネストに襲いかかる。対するアーネストは 『白濾の魔剣』で全て一閃するも僅かに隙が出来たのでソフィアはクロエを掴んでから距離を取り、光弾を放ったニーナがソフィアの横に立つ。

 

「大丈夫、クロエ?」

 

「何とか……でも肉体は大分限界ね」

 

実際クロエの身体はかつてないほど痛みを感じている。しかしクロエの中には諦めるという選択肢はなかった。

 

『でしたら私とニーナさんが攻めますわ。クロエさんはフォローを重視して状況によって動いてくださいまし』

 

ソフィアはアーネストに作戦がバレないようにクロエの頭にそう呟く。

 

『わかりました。ですが時間は無いので短期決戦でお願いします』

 

チラッと横を見れば美奈兎はケヴィンの足止めをしているが完全に押されているし、レティシアが先に援護を潰すべく柚陽を狙っている。このまま行けば負けるのは目に見えている。

 

『わかりましたわ!行きましょうニーナさん!』

 

『うん!』

 

同時に2人はアーネストの元に向かって動き出す。両者共にサーベルを持って上段から振るう。対するアーネストは 『白濾の魔剣』を振るって、サーベル2本を防ぐや否や 『白濾の魔剣』を盾のように構えて突撃を仕掛ける。アーネストの突撃に対してニーナは八幡の体術をトレースして身を屈めて回避するも……

 

「きゃあっ!」

 

既にアーネストとの戦いで消耗しているソフィアは対処出来ずに突撃をモロに受けて体勢を崩す。そんな隙をアーネストが見逃す筈もなく、 『白濾の魔剣』でソフィアに袈裟斬りを放つ。

 

ソフィアは何とか身体を起こして後ろに下がるも、その前にアーネストの 『白濾の魔剣』が校章ギリギリの位置にあるソフィアの胸を掠る。

 

『白濾の魔剣』は任意の物体だけを斬る能力なので実際ノーダメージではあるが、後一歩のところでソフィアの校章は破壊されていただろう。

 

更に……

 

『気をつけてください!アレが来ます!』

 

柚陽の声がクロエの能力を介して全員の頭に響く。同時に全員が顔を上げると、パーシヴァルの『贖罪の錘角』が黄金色の光を生み出している。『贖罪の錘角』のチャージが完了したのを意味する。

 

「汝らに、慈悲と贖罪の輪光を」

 

そして『贖罪の錘角』から光の帯が放たれ、同時にアーネストとケヴィンはレティシアの生み出す翼に乗る。

 

対するチーム・赫夜の5人も受けるわけにはいかないのでそれぞれ回避行動を取ろうとするも……

 

「美奈兎?!」

 

ケヴィンと相対していた美奈兎は膝をついていた。チームメイトの能力をトレースしてライオネルを撃破して、ケヴィンと相対していた美奈兎は既に限界でマトモに動くことが出来なかった。

 

そんな美奈兎に光の帯が襲いかかり……

 

『若宮美奈兎、意識消失』

 

機械音声が美奈兎の敗北を告げる。『贖罪の錘角』から放たれた光の帯が消えたので、光の帯をやり過ごしたクロエ達4人の視線の先にはステージに倒れ伏す美奈兎がいた。

 

(マズイわね……美奈兎が負けた以上ケヴィン・ホルストはこっちに来る)

 

そう判断したクロエの頬に汗が流れ始める時だった。

 

『クロエさん。このままでは負けますわ。ですからあの作戦を実行しましょう』

 

ソフィアの言葉が若宮以外の3人の頭に響く。同時に3人が息を呑む。試合前のミーティングで考えた作戦の1つだ。決まれば充分に勝機はあるが、失敗したら負けに繋がる作戦だ。

 

しかしソフィアは既に負けかけている今なら使用しても問題ないと判断して作戦の使用を提案する。

 

『良いんですか?』

 

『はい。どうしても負けられないので』

 

クロエの躊躇いの混じった問いにソフィアは躊躇い無く答える。それを聞いたクロエも覚悟を決めた。

 

『わかりました。ではソフィア先輩がアーネスト・フェアクロフをお願いします』

 

『わかりましたわ!』

 

クロエはソフィアの頭にそう指示を出しながらナックル型煌式武装を外して、腰にあるホルスターからハンドガン型煌式武装を出す。

 

同時にソフィアは痛む身体に鞭打って、レティシアの翼から飛び降りるアーネストとの距離を詰める。対するアーネストはソフィアの頭上から斬撃を放つ。

 

間一髪 『白濾の魔剣』による一撃を回避したソフィアは上段からサーベルを振るう。校章を破壊される訳にはいかないアーネストはソフィアの上段を 『白濾の魔剣』で受け止めて……

 

「はっ!」

 

即座に 『白濾の魔剣』を振り上げ、膂力の差を利用してソフィアのサーベルを跳ね上げる。ここにきてアーネストの剣技は一段とギアを上げる。

 

しかしこれはソフィアにとって予想の範囲内だ。

 

『ニーナさん、クロエさん!今ですわ!』

 

2人の頭の中に声を出しながらソフィアは腰のホルダーから『ダークリパルサー』を取り出して起動する。同時にアーネストの顔面目掛けて袈裟斬りを放つ。ソフィアが人を傷つけられない事を知っているアーネストは疑問に思いながらも 『白濾の魔剣』でソフィアの袈裟斬りを防ごうとする。

 

が……

 

「アーニー!回避しろ!その刃に絶対に触れるな!」

 

先ほど美奈兎がライオネルを倒したのを見たケヴィンの声がステージに響き、アーネストは反射的に 『白濾の魔剣』で受けるのを止めて後ろに跳んでソフィアの袈裟斬りを回避する。

 

受けようとしてから即座に回避する技術は圧倒的であり、対峙するソフィアも驚愕した程だ。

 

しかしソフィアに諦めるという考えはなく、前に一歩を踏み出して『ダークリパルサー』でアーネストに斬りかかる。

 

しかし既に『ダークリパルサー』が危険である事を理解しているアーネストに受けるという選択肢はない。アーネストは身を屈めてソフィアの一振りを回避して……

 

「ああっ!」

 

ソフィアの距離を詰めたまま剣の柄で『ダークリパルサー』の柄を叩き、再度ソフィアの手から引き離す。

 

そしてアーネストは手首を捻り 『白濾の魔剣』の切っ先をソフィアの校章に向けて神速の突きを放つ。この体勢からソフィアが対処する方法をはない。

 

しかしソフィアは……

 

(予想通り……ですわ!)

 

内心そう叫びながらクロエの伝達能力で八幡の体術をトレースし、同時に足に星辰力を込めて地面を蹴り、アーネストに覆い被さるかのように敢えて距離を詰めにかかった。

 

対するアーネストはソフィアの行動に眉を寄せるも、焦ることなく手首を再度捻り『白濾の魔剣』の軌道を変えて再度ソフィアの校章を狙いに行く。

 

そしてソフィアがアーネストの両肩を掴むと同時に……

 

「今……!」

 

『ソフィア・フェアクロフ、校章破損』

 

 

アーネストの 『白濾の魔剣』がソフィアの校章を破壊するも、ニーナがソフィアの後ろから『ダークリパルサー』を使ってソフィアもろともアーネストを刺す。

 

「こ、これは……!」

 

「くうっ……!」

 

同時にアーネストとソフィアの頭にとてつもない激痛が襲いかかる。しかしソフィアは口元に笑みを浮かべている。

 

「くっ……後は、お願いしますわ」

 

そう言って地面に倒れ伏す。それを確認したニーナはジャンプしてソフィアを飛び越えると、八幡の体術をトレースして鋼靴型煌式武装に星辰力を込めてアーネストに蹴りを放つ。『ダークリパルサー』の一撃をもろに受けたアーネストは対処出来ずに……

 

「ぐっ……!」

 

ニーナの蹴りがアーネストの鳩尾にめり込み後ろに吹き飛ぶ。それによって生まれた隙をニーナが逃すつもりもなく、『ダークリパルサー』を投げ捨てて普通のサーベルでアーネストの校章に突きを放つ。

 

「させるかよ!」

 

しかしその直前にケヴィンが割って入り黒い盾でニーナの突きを防ぐ。同時にレティシアの8枚翼がケヴィンの後ろからニーナに襲いかかる。

 

内5枚はニーナに当たる直前に柚陽が破壊するも……

 

「きゃあっ!」

 

残りの3枚は直撃してニーナを吹き飛ばす。同時にケヴィンがニーナとの距離を詰めて、それに一拍遅れてアーネストも若干フラフラしながらも走り出す。初めて『ダークリパルサー』の一撃を受けて尚、そこまで動けるのは驚愕の一言につきる。

 

対するニーナはボロボロになりながらも立ち上がり……

 

「絶対に……勝つ……女王の崩順列!」

 

ケヴィンの剣がニーナの校章に当たる直前に巨大な大砲を生み出して、自身の足元に放った。

 

直後、ニーナの足元から大爆発が生じて……

 

「うぉぉぉぉっ?!」

 

「きゃぁぁぁぁっ!」

 

「ぐうっ!」

 

『ケヴィン・ホルスト、校章破損』

 

『ニーナ・アッヘンヴァル、校章破損』

 

ケヴィンとニーナとアーネストの叫び声が聞こえて、間髪入れずにケヴィンとニーナの校章の破壊が告げられる。アーネストはケヴィンの後ろにいて爆発を直撃せず校章は破壊されなかったが、『ダークリパルサー』の頭痛がある状態で爆風を食らったのでかなり苦痛を感じていた。

 

それを見たクロエは全身に走る痛みに悲鳴をあげながらも走り出す。これが最後のチャンス、ここで動かなければ負けてしまう。

 

「させませんわよ!」

 

「行かせません」

 

レティシアが10枚の翼を、パーシヴァルが光弾を放ちクロエを倒そうとする。

 

しかしクロエはそれを気にしないで歩を進める。何故なら……

 

「させま……せん!」

 

まだ味方がいるからだ。今までずっと後衛で援護に徹していた柚陽が弓を捨てて、クロエに当たる直前にソフィアの剣技をトレースして全ての攻撃を斬り払う。

 

「……ありがとう!」

 

クロエは礼を言ってアーネストとの距離を詰める。対するアーネストもここが正念場だと理解しているようで……

 

「悪いけど……こちらも負ける訳にはいかないよ!」

 

苦痛に塗れた表情でありながらも 上段から『白濾の魔剣』を振り下ろす。今までの中で最速の速度で。

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

対するクロエも負けじとソフィアの剣技を使って最速の突きを放つ。既に身体は限界でサーベルを持つ右手からは血が噴出するにもかかわらず。

 

この試合において最速で放たれた上段斬りと突きはお互いの校章に向かっていき……

 

 

 

 

 

『アーネスト・フェアクロフ(クロエ・フロックハート)校章破損』

 

 

両者の校章を破壊する。

 

『試合終了!勝者ーーー』

 

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