学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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関係がバレても3人の絆は無敵である事には変わりない

「全く……交際が公になっても貴方達3人は変わらないわね」

 

病室にて、チーム・赫夜のフロックハートが呆れながらそう言ってくる。クインヴェールの諜報機関ベネトナーシュの人間故に昨日の騒動にも関わっているのかもしれない。

 

しかし……

 

 

「当たり前だ。俺達はどんなに邪魔が入って変わるつもりはない」

 

「うん。私達3人の絆は誰にも犯されないよ」

 

「……世間が反対しようと知ったことじゃないわ」

 

交際が公になった?だからどうした?俺達は何があろうとも3人で愛し合うと決めたんだ。人前で積極的にイチャイチャするつもりはないが、人目に付かない場所なら妥協するつもりはない。まあ今回は若宮達の予想外の介入があったけど。

 

「……その様子じゃ記者会見も大丈夫ね……それより左腕は大丈夫なの?」

 

「まあな。退院は5日後だ」

 

「思ったより早いですわね。ところで誰に斬り落とされたんですの?」

 

「ん?マディアス・メサ」

 

『えぇっ?!』

 

 

フロックハートを除いた面々が驚きを露わにする。

 

あ、ヤベ。逮捕されたからって馬鹿正直にフェアクロフ先輩の問いに答えちまったよ。一応星武祭の最終日に事を荒立てたくないらしく公表されてないので今の話は彼女らには予想外だろう。

 

 

「ま、マディアス・メサって星武祭の実行委員長の?」

 

アッヘンヴァルが驚いた表情のまま尋ねてくるが、こいつらなら話しても問題ないだろう。既にマディアスの名前は出しちまったし、俺がしらばっくれてもベネトナーシュのフロックハートに聞けば直ぐにわかる事だし。

 

「そう。そんでマディアスは蝕武祭の専任闘技者でもあって、昨日治療院にいた天霧を襲ったんだよ」

 

「その時に義手の定期診断に来ていたら八幡君が助太刀したって感じ」

 

「す、凄い偶然だね……ところでエクリプスって何?」

 

若宮が手を挙げて不思議そうな表情で聞いてくる。フロックハート以外のチームメイト3人も似たような表情をしているが、お嬢様が知らないのは無理もないだろう。

 

 

「星武祭では物足りない屑共が作った非合法・ルール無用の武闘大会」

 

「ギブアップは不可能で、試合の決着はどちらかが意識を失うか、もしくは命を失うかによって決まる大会で大分前に警備隊長に潰されたわ」

 

そういやフロックハートがアスタリスクに来る前に勤めていたPMCの社長リベリオ・パレートも蝕武祭の参加者だったな。ディルクも観客だったし意外と人気だったのかもな。

 

「ええっ?!そんな大会があったの?!」

 

「怖いですね」

 

「そんな大会の専任闘技者に襲われるって……」

 

「貴方と天霧綾斗は何をしたんですの?」

 

俺とフロックハートの言葉に赫夜の4人は驚きを口にする。そしてフェアクロフ先輩の質問には答えられないな。天霧については理由がわからないし、俺が狙われた理由についてはフローラの誘拐だのオーフェリアの自由だの色々な事情が絡み合っていて説明するのが怠いし。

 

「まあ色々だ。それより本題ーーー今日の決勝についてだが、マズいことになった」

 

「マズいこと?何かしら?」

 

赫夜のメンバーの中で唯一落ち着いているフロックハートが俺に問い返してくる。

 

「昨日の戦闘中に天霧の封印が全部解けた」

 

『はい?』

 

俺の言葉にチーム・赫夜の5人だけでなくシルヴィとオーフェリアもポカンとした表情になる。そういや2人にも言ってなかったな。

 

「え?ちょっと待って。つまり決勝での天霧綾斗は昨日の準決勝の試合で『覇軍星君』相手に見せた力をフルに使えるって事?」

 

「……そうなるな」

 

珍しく慌てた様子のフロックハートの問いにそう返すと、全員がゲンナリした表情を浮かべる。

 

(無理もないな……昨日の試合を見る限り封印が全部解けた天霧はフェアクロフさんよりも強いだろうし)

 

その上チーム・赫夜は昨日のチーム・ランスロット戦でボロボロだ。いくらチーム・エンフィールドの刀藤が参加しないからって実力差は埋まらず、寧ろ広がっただろう。

 

「それは厄介だし、作戦も変更した方がいいわね」

 

昨日立てた作戦では天霧をフェアクロフ先輩が、沙々宮を蓮城寺が、リースフェルトをアッヘンヴァルが足止めして、若宮とフロックハートがリーダーであるエンフィールドを叩く予定だったが、天霧の封印が全部解けた今、フェアクロフ先輩一人で足止めするのはキツいだろう。

 

「そうなると、誰か1人をソフィア先輩の所に入れるって事だよね?」

 

「ああ。俺としては若宮を入れるべきだな」

 

「私?!」

 

「当たり前でしょう?沙々宮紗夜と『華焔の魔女』はフリーにしたら危険だし、私より美奈兎の方が天霧綾斗相手に戦えるでしょうから美奈兎が1番の適任者よ」

 

驚く若宮にフロックハートがそう口にするが俺も同意見だ。

 

俺直伝の嫌がらせ技を会得したリースフェルトと高威力の煌式武装を複数所有する沙々宮をフリーにするのは論外だからアッヘンヴァルと蓮城寺は除外。若宮とフロックハートのどちらか1人がフェアクロフ先輩と一緒に天霧を足止めするならフロックハートの能力の恩恵を受けていなくても充分強い若宮が適任だ。

 

「わ、わかった」

 

「なら良い。他の4人は変更無しだが……フロックハートは大丈夫か?」

 

若宮が天霧の足止めをする事になった以上、フロックハートは必然的にエンフィールド………チームリーダー同士のタイマンとなるだろう。

 

フロックハートの伝達能力抜きなら絶対にエンフィールドが勝つ。

 

フロックハートがフェアクロフ先輩や若宮、俺の体術を伝達すれば勝ち目はあるが、フロックハートは昨日の試合の疲れが取れてないだろうし、ただでさえ短い技術のトレースの時間が更に短くなる。

 

普通に考えてフロックハートが不利なのは間違いない。かと言って若宮達他の4人は各々の足止めで行けないだろう。総合力は向こうの方が数段上なのだから。

 

「ここまで来たんだから意地でも何とかするわ」

 

俺の質問に対してフロックハートは不敵な笑みを浮かべそう言ってくる。初めてあったばかりの頃は昔のオーフェリア程じゃないが余り感情を出さない人間だったのに……俺もそうだが、人って変わるもんだな。

 

「なら頑張れ……っと、そろそろ時間が迫ってるしお前らはもうシリウスドームに行け」

 

今の時刻は10時半でドームまで15分近くだ。試合開始は12時だが前回の鳳凰星武祭の誘拐事件のように何が起こるかわからない以上、早めに会場入りしといた方がいいだろう。

 

「……そうね。緊張を解す為にも早めに会場入りはしておいた方が賢明ね、皆行くわよ」

 

フロックハートがそう言って立ち上がる。同時に若宮達も立ち上がり……

 

「優勝してくるね!」

 

「行ってきます」

 

「しっかりと見ていてくださいまし!」

 

「が、頑張るから……!」

 

全員やる気に満ちた表情で挨拶をしてくる。それに対する返答は決まっている。

 

「ああ、行ってこい」

 

「楽しみにしてるね」

 

「……頑張って」

 

ただ一言、激励するだけで十分だ。5人は小さく笑みを浮かべてから会釈をして病室から去って行った。

 

「勝てると良いな……」

 

「そうだね。私は仕事があって八幡君やオーフェリア程一緒に居た訳じゃないけど、あの子達の頑張りは知ってるから報われて欲しいな」

 

「そうね……ところでシルヴィア。貴女は会場に行かなくて良いの?」

 

オーフェリアがそんなことを聞いてくる。まあシルヴィは生徒会長だから閉会式には必ず出ないといけない。だから俺もフロックハート達と一緒に会場に向かうと思っていたが、違うようだ。

 

「閉会式は決勝が終わって1時間くらいしてからだから、決勝が終わってから行くつもりかな。それまでは八幡君の近くに居たいし、会場にマスコミが待機してる可能性もあるし」

 

なるほどな。確かにシルヴィがシリウスドームに入るのは絶対だし、待ち伏せしている可能性もゼロではないだろう。

 

それに……俺の近くに居たいからか……正直言って嬉しいな。左腕は無くなったが俺達3人の幸せを邪魔しようとする障害は2つ排除出来た。時間はかかるかもしれないが次の障害ーーーマスコミや世間の反応も排除していこう。

 

「そうかい……じゃあ決勝が始まるまでお前らに甘えても良いか?」

 

俺達は基本的に毎日甘えたり甘えられたりしているが、昨日の夜は別々に寝たので物足りない気持ちで一杯だ。だから決勝が始まるまで2人に甘えたい。

 

俺が2人に頼むと、2人は目をパチクリするも直ぐに笑顔になり……

 

「「もちろん、好きなだけ甘えて良いわ(よ)」」

 

 

 

 

ちゅっ……

 

同時に俺の唇にキスをしてくる。俺は幸せな気分になりながらキスを返す。

 

「んっ……ふっ……」

 

「八幡、君……ちゅっ…」

 

2人は俺の背中に手を回して目を瞑り、左右から挟み込むように俺にキスをしてくるので、俺は2人の唇に擦り付けるように唇を動かす。すると俺の唇に異なる柔らかい感触が伝わって気分が高揚としてくる。

 

(ダメだ……もっと堪能したい)

 

既に箍が外れた俺は我慢出来ずに自分の舌をオーフェリアとシルヴィ、2人の唇の間に挟み込むように出す。

 

すると2人は軽く目を見開いてから同じように舌を出して、俺達3人の間で3人の舌が重なる。上からシルヴィ、俺、オーフェリアの順であり、俺の舌は2人のそれにサンドイッチされている状態だ。

 

そして……

 

「んっ……ちゅっ……んんっ」

 

「はち、まん……だいしゅき……」

 

2人はそのまま舌を動かして俺の舌に絡みつく。それによってくすぐったい気持ちになるが、我慢だ。今はこれをずっと堪能したい。

 

(俺もお前らが好きだよ……オーフェリア、シルヴィ)

 

俺も2人に負けじと舌を動かして3人でネットリと絡め合う。出来ることならずっとこうやって3人で愛し合いたい。

 

卒業したら直ぐに挙式をして、愛し合いながら子供を作って、愛し合いながらも子供をしっかり育成して、子供が独り立ちしたら3人で愛し合って、孫を抱く事を楽しみとして、死ぬまで3人で愛し合いたい。

 

別に裕福じゃなくても良い。環境とかも恵まれたものでなくて良い。オーフェリアとシルヴィが居れば他に何もいらない。2人さえ居れば俺はそれだけで幸せだし生きていけるのだから。

 

そう思いながら2人を見ると、2人は舌を絡めながらも優しい笑みを浮かべて小さく頷いてくる。まるで俺の心情を理解しているかのように。

 

(もしそうなら本当に嬉しいな……んっ……)

 

そう思いながら俺は2人に負けじと一心不乱に舌を絡めるのを再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(八幡、今貴方が伝えてきた事は私も同感よ。私は八幡とシルヴィア、2人が居れば幸せよ。私は一生2人を愛するから2人も一生私を愛して……)

 

 

(八幡君、君の言いたい事は理解出来たよ。私も3人で愛し合えるなら他に何も望まない。私とオーフェリアは八幡君に全てを捧げたい……だから八幡君も私達に全てを捧げて欲しいな)

 

オーフェリアとシルヴィア、2人も八幡と似たような気持ちを込めながら舌を絡め合ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから1時間後……

 

 

pipipi………

 

「「「ぷはっ!」」」

 

アラームが鳴ったので俺達は舌を絡めるのを止めて少しだけ距離を取る。同時に俺達の舌に乗っていた唾液が僅かに垂れてベットに落ちるが、俺はそれにそこまで意識を向けていなかった。

 

何故なら……

 

「はぁ……はぁ……八幡、君……凄く気持ち良かったよ……コクッ……」

 

「んっ……やっぱり、八幡が居ないと、コクッ……ダメみたいね」

 

目の前にいる恋人2人が艶めかしい笑みを浮かべて俺達が生み出した唾液を飲んでいるのだから。喉が動くのを見れば妙にドキドキしてしまう。

 

しかしアラームは試合開始20分前に設定したが、それはつまり俺達は1時間ちょいもディープキスをしていた事を意味している。

 

やっぱり2人とのキスは麻薬のように思えてしまう。まあこんな麻薬なら喜んで中毒になると思うけど。

 

そんなアホな事を考えながらも空間ウィンドウを開くとシリウスドームではこれまでの試合の総評を行なっていた。見ればチーム・赫夜とチーム・ランスロットの試合を振り返っているから後少しだろう。

 

「あー……試合に出場する訳じゃないのに緊張してきたな」

 

これはアレだな。幼稚園の劇で主役を演じる息子の撮影をする母親みたいな感じだな。

 

「……私も少し緊張してきたわ」

 

「私も。私自身が王竜星武祭に参加するのとは違う緊張だな」

 

どうやら2人も差はあれど緊張してきたようだ。後1試合勝てば優勝だが、その後1試合がデカいんだよなぁ……

 

内心緊張しながらもこれまでの試合の総評は続き、遂に……

 

 

 

 

 

 

『長らくお待たせいたしました!これより決勝戦が始まります!』

 

実況の声が流れて空間ウィンドウに映るステージから大歓声が沸き起こった。

 

いよいよか……頑張れよ、チーム・赫夜。

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