学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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比企谷八幡は大晦日を過ごす

『新年まで後ちょっと、今年も色々あったよなー』

 

『だよな。と言っても一番インパクトのある事件はシルヴィア・リューネハイムの恋愛関係でしょ』

 

『ですよね。僕前にグルメ番組でアスタリスク中央区で食べ歩きをやった時に3人と会ったんですよ』

 

『え?話したの?』

 

『いえ。僕が食べる予定だった露店のアイスを食べてたんですけど、3人で1つのアイスを食べてたんですよ』

 

『それは店の前、ってかお前の前で堂々と?』

 

『はい。それで食べ終わると3人で抱き合って、し、舌を絡め合って……』

 

『あ〜、それはアイスどころじゃないな〜』

 

『それで結局番組はどうなったん?』

 

『とりあえずアイスは後回しにして……』

 

 

pi

 

 

『今年ももう直ぐ終わりですよね』

 

『そうだね。そして今シーズンの星武祭も王竜星武祭だけになるね』

 

『今シーズンの鳳凰星武祭と獅鷲星武祭は前シーズンより遥かに盛り上がったよな』

 

『そりゃ鳳凰星武祭には人工知能を持った擬形体、獅鷲星武祭にはチーム・赫夜というダークホースが盛り上げたからな』

 

『となると王竜星武祭でもダークホースが出るかもな』

 

『だよね。まあ、でも……今話題のバカップル3人は言うまでもなく圧倒的な力を見せるよね』

 

『ですね。今のアスタリスクで3トップの能力者の最強バカップル3人は間違いなく上位にーーー』

 

pi

 

 

 

『まあ世間から見たら私達の関係は歪だと思います。それについては紛れもない事実だからどうこう言いません……ですが、私にとってこの歪な関係は何物にも変えられない大切な関係なので崩すつもりはありません』

 

 

『俺も同じ意見ですね。世間がなんて言おうと俺達3人は絶対に別れるつもりはないです。一生かけてオーフェリアとシルヴィを愛し続けます』

 

『……私も同じ意見よ。それ以前の話として……私達は倫理的には問題な行為をしているのは否定しないけど、法律的には何も悪い事をしていないから第三者が私達の関係に干渉する権利はないはずよ』

 

『いやー、何度聞いても凄いですよね』

 

『全く。男性が2人の女性を愛するのはよく聞きますが、3人で愛し合う関係は少ないでしょう』

 

『関係が公になってからは平然と公共の場でも愛し合っていて、道行く人々は大量の砂糖を吐いーーー』

 

 

pi

 

『〜♪』

 

「わかっていたことだが、殆どの番組で俺達の話題が出てるな」

 

思わずそう愚痴る。今日は大晦日で、俺は恋人2人と炬燵に入ってのんびりとしている。さっきまでテレビを見ていたが、今年の総集をやる番組の殆どが俺達3人の名前を出している。余りにウザいので紅白歌番組に切り替える。

 

まあ世界の歌姫のシルヴィの恋愛事情が明らかになったしわからんでもないけど。

 

「仕方ない事ね。まあ時間が経てば冷めるでしょう」

 

オーフェリアがミカンを食べながらそう言ってくる。言ってることは間違っちゃいないが、それは当分先だろう。

 

「あはは……迷惑をかけてごめんね」

 

当の世界の歌姫であるシルヴィは苦笑いをしながら謝ってくる。今年は紅白に参加していないで俺達と新年を迎える予定だ。

 

自身が有名過ぎて、関係を持っている俺とオーフェリアに対して引け目でも感じているのか?

 

だとしたら……

 

「「謝る必要はない(わ)。俺(私)はお前(シルヴィア)と過ごしている時に迷惑と感じたことは一度もない(わ)」」

 

寧ろ過ごしていて楽しい以外の感情は一度も生んでいない。シルヴィ、そしてオーフェリアと過ごす時間は何物にも変えられない大切な時間だ。

 

俺とオーフェリアが同時にそう言うと、シルヴィは一瞬キョトンとした表情を浮かべるも直ぐに……

 

「ありがとう2人とも……大好き」

 

ちゅっ……ちゅっ……

 

俺達の唇にキスを落としてくる。それによって唇には温かい温もりが感じる。既に何千何万と感じた温もりだが、俺はそれに飽きた事はなく、寧ろ麻薬中毒のように更に求めてしまう程だ。

 

俺は再度この温もりを感じる為に唇を寄せようとしたが……

 

ピンポーン

 

インターフォンが鳴ったのでシルヴィから距離を取って、空間ウィンドウを開く。

 

『あ、お兄ちゃん来たよー。お父さんとお母さんも一緒』

 

そこには小町と両親が映っていた。瞬間、俺の中でドス黒い感情が湧き上がる。

 

しかしそれを表に出さないように尽力しながら玄関に向かって鍵を開ける。

 

そして……

 

 

 

 

 

「邪魔すんぞ馬鹿むす「死ねこらぁぁぁぁぁぁっ!」うおっ?!なんだいきなり?!」

 

「「えぇぇぇぇぇっ?!」」

 

拳に星辰力を集中して、流星闘技の如く威力を高めた拳をお袋の顔面に放つ。それによってお袋の左右にいる親父と小町が驚きを露わにするが気にしない。

 

しかしお袋はいきなりの不意打ちにも関わらず、両手で俺の拳を受け止める。それによって足元のアスファルトが剥がれたがお袋は全く苦しそうな表情を浮かべていない。チッ!流石元序列1位か。影狼修羅鎧を纏って殴るべきだったな。

 

「おい馬鹿息子、会って早々殺すつもりの顔面パンチをするように教育した覚えはないぞ?」

 

お袋はカラカラ笑いながらも俺の拳を受け止める。

 

「黙れ。お袋の所為で俺はクリスマスパーティーでなぁ……!」

 

地獄にも等しい辱めを受けたんだ。あの屈辱は一生忘れないだろう。

 

「ちょっとちょっと!何があったの?!」

 

小町は焦るように俺とお袋に割って入るが、今は入るな。お袋をブチのめすのに巻き込んでしまうからな。

 

「あー、やっぱりこうなったか……とりあえず八幡君は落ち着きなよ」

 

「………」

 

同時に後ろから恋人2人が現れて、俺を羽交い締めにするので落ち着きを取り戻す。無理やり暴れたら拘束から逃れることも出来るが、2人が怪我するのは嫌だからな。

 

「何でこうなったんたよ……?」

 

親父の唖然とした表情が印象的だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

10分後……

 

「だーはっはっはっ!マジか?!それは悪いことを……ぶふぉっ?!」

 

「おいおい涼子、未成年に酒を渡しちゃ……くくっ!」

 

「ぷふふっ……お、お兄ちゃん巻き込まれ過ぎでしょ……あはははっ!」

 

リビングには俺の両親と妹の笑い声が響き渡る。

 

結局シルヴィが3人に何故俺がお袋に殴りかかったかーーー以前のクリスマスパーティーでの出来事を話した結果3人は大爆笑し始めたのだ。

 

どうやら敵はお袋だけじゃないようだ。マジでぶっ飛ばしたい。てかここが俺の家じゃなかったらぶっ飛ばしている自信がある。

 

「……八幡、前にも謝ったけどごめんなさい。記憶がないとはいえ、私は八幡に最低な事を……」

 

そんな事を考えているとオーフェリアが今にも泣きそうな表情をしながら謝ってくる。

 

以前クリスマスパーティーが終わってから、オーフェリアが俺とシルヴィに何故自分は寝ていたのかと聞いてきたので、説明をしたら涙目で謝ってきたのだ。俺は悪気がなかったからと許したが、今の反応を見る限りまだ気にしていたようだ。

 

 

「気にすんなオーフェリア。俺は別にお前に怒ってない」

 

オーフェリアの頭を撫でる。悪いのは酒を持ち込んだお袋だ。知らないで飲んだオーフェリアに落ち度はそこまでないだろう。強いて言うなら飲み過ぎは止めた方が良いと思うけど。

 

「だからお前は気にすんな。お前の悲しそうな顔は見たくないんだよ」

 

「んっ……」

 

オーフェリアはピクンと跳ねてから小さく頷く。世界最強の魔女なのに小動物みたいに可愛いなぁ……

 

そう思いながらオーフェリアを撫で続けると、お袋が俺を見て……

 

「八幡、メンゴ♩」

 

笑いながらそう言ってくる。マジでぶち殺したい……

 

「まあまあお兄ちゃん、折角の大晦日なんだし許してあげなよ」

 

「ちっ、わかったよ。その代わり年越し蕎麦はお袋が作れよ?」

 

オーフェリアとシルヴィは蕎麦を作るのに慣れてないので、この中で蕎麦を作れるのは比企谷の人間だけだ。そして家族で一番美味いのはお袋だ。俺を辱める原因を作ったのだから蕎麦を作るように要請してもバチは当たらないだろう。

 

「親を顎で使うとは良い度胸してんじゃん。まあ泊めて貰うんだし構わないよ」

 

お袋はそう言いながらもキッチンに向かった。良し、これで今年最後の仕事は終わったな。

 

「いやー、お兄ちゃんって今年は波乱の一年だったねー」

 

「人をラノベの主人公みたいに言うな。多少面倒事はあったが、そこまでじゃないだろ?」

 

「手と腕を斬り落とされて義手と義腕を作ったり、3人の関係が公になったお前は普通に波乱の一年だっだだろ……」

 

親父が呆れたように言うと、恋人2人と小町がうなずく。……うん、そう考えると波乱の一年だったな。寧ろ良く生きてるな俺。

 

「確かにそうかもな。てか親父はアルルカントに再就職してからなんかインパクトのあるイベントとかあったのか?」

 

アルルカントと言ったらマッドサイエンティストの巣窟と言われているし、何かしらあってもおかしくないだろう。

 

「ねぇよ。あったとしてもお前が巻き込まれたイベントに比べたら可愛いもんだ」

 

ですよねー。それが普通の返事ですよねー。

 

そんな事を考えていると……

 

 

『さあ!次は紅組から今躍進中の大型ルーキー、クロエ・フロックハートさんです!』

 

テレビからそんなアナウンスが流れたので俺達は意識を切り替えて空間ウィンドウを見る。

 

『先の獅鷲星武祭では圧倒的な執念で何度も金星を挙げたチーム・赫夜のチームリーダーであるフロックハートさん。歌でも星武祭でも実績を上げて、クインヴェールではシルヴィア・リューネハイム、ルサールカに次いで期待されている彼女の歌に注目です!』

 

同時に空間ウィンドウにお洒落な格好をしたフロックハートが現れてステージに立つ。

 

「うわー。前からわかっていたけど綺麗な人だね〜」

 

小町は感嘆の声を上げる。確かにフロックハートは美人だ。と言ってもシルヴィとは全く別のタイプだ。シルヴィは可愛さと美しさを兼ね備えているが、フロックハートは美しさに若干の儚さが含まれていて、それが美しさを際立たせている感じだ。

 

「あ!八幡君のブローチを付けてるよ!」

 

シルヴィがそう言ったので見ればフロックハートの胸には俺があげたサファイアが埋め込まれたブローチがあった。わざわざ紅白という大舞台で付けてくれるとはな……

 

「え?金に煩い八幡があんな高級そうなブローチをあげたのか?」

 

「意外だね。何で?」

 

親父と小町が不思議そうに聞いてくる。色々と言いたい事はあるが我慢だ。

 

「クリスマスパーティーのプレゼントだよ」

 

折角のパーティーだとテンションを上げた結果こうなった。最初は高いか?、と不安になったが、俺のブローチよりフェアクロフ先輩の用意したブレスレットの方が高い事を知って安心した。

 

俺がそう言うと……

 

「「クリスマスパーティーのプレゼント……ぷふっ……」」

 

親父と小町がなにかを思い出したかのように笑い出す。同時に俺は何を思い出したか直ぐに理解した。大方俺がクリスマスパーティーで生み出した黒歴史についてだろう。

 

それを理解した俺は親父と小町の頭を鷲掴みにする。すると指の間から2人の目が見開くのが理解出来る。

 

しかしもう遅い。地獄を味わえ。

 

「ま、待て八幡!俺達が悪かったから勘べぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「待って待って!お兄ちゃんにアイアンクローはいやぎにゃぁぁぁぁぁぁっ!」

 

俺が手の力を強めると、2人の悲鳴が空間ウィンドウに映るフロックハートの歌声で混ざり合ってカオスなBGMと化した。その際にシルヴィが顔に手を当てているが、昔俺にアイアンクローをされた事を思い出したのだろうな。

 

そんな事を考えながら俺はオーフェリアとシルヴィが止めるまでアイアンクローを続けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ〜、仕事が無くダラダラするのは最高だな〜、ずるる……」

 

お袋が年越し蕎麦を食べながらそう愚痴る。

 

午後8時半、俺とシルヴィとオーフェリアの家にて、俺は両親と妹と恋人2人と一緒に炬燵に入って年越し蕎麦を食べながら紅白を見ている。まさに理想的な大晦日の過ごし方だ。

 

「だよな〜。俺も年末の仕事は書類作業が多くて疲れたぜ。おーいオーフェリアちゃん。おかわりくれ〜」

 

「……ええ」

 

親父がカップを持つとオーフェリアが頷いて酒を注ぐ。普段は社畜の化身のような親父だが、仕事がないとダラダラするの相変わらずだな。

 

「俺もオーフェリアも年末は仕事が結構あったからな〜。あ、シルヴィ、お茶を取ってくれ」

 

「いいよ。カップに注ぐ?それとも口移しが良い?」

 

シルヴィがいたずらじみた表情を浮かべながらそんな事を聞いてくる。そんな事を聞いてくるのは予想外だが、答えは決まっている。

 

「カップで頼む」

 

カメラを構えているアホな妹がいるからな。やるならオーフェリアとシルヴィ以外の人間が居ない時だ。

 

「えー?お兄ちゃん口移ししないの?小町的にポイント「もう一度アイアンクローをするぞ?」な、なんでもないであります!」

 

途端に小町はニヤニヤ笑いを消して焦りながら敬礼をしてくる。提案しといてアレだが、そんなに痛いのか?

 

「まあ八幡君のアイアンクローは冗談抜きで痛いからね……って、お茶を注いだよ」

 

「ありがとな」

 

「八幡君八幡君、お礼に頭撫でてー」

 

シルヴィはニコニコしながらも自分の頭をポンポン叩いてアピールをしてくる。あざとい。でもそれ以上に可愛すぎる……!

 

「はいはい。この甘えん坊め」

 

「えへへー、やっぱり気持ちいいなー」

 

可愛い奴め。今すぐキスをして甘やかしたいがお袋がいる以上無理だ。間違いなくネタにしてくる。今も楽しそうに俺とシルヴィを見てるし。

 

「はいはい、どういたしまして……それにしてもマジで平和だ。頼むから王竜星武祭が終わるまで平和が続いて欲しい……」

 

こんな風に炬燵でのんびりと年越し蕎麦を食って紅白を見るなんてまさに至福のひとときだ。少し前からしたら考えにくい

 

(というか今シーズンに入ってから波乱が続き過ぎじゃね?)

 

誘拐犯と戦ったり、処刑刀という蝕武祭の専任闘技者に襲われたり、世界の歌姫と世界最強の魔女の2人とカップルになったり、他所の学園の生徒を鍛えたり、旅行先でテロリストに襲われたり、万有天羅て縁を持ったり、ヴァルダという正体不明の存在に襲われたり、左手首を切り落とされたり、再度処刑刀と相対して左腕を切り落とされさり……うん、明らかに波乱の日々だな。

 

「まあマディアス・メサとヴァルダとかいう訳のわかんねえ存在を潰したんだし大分マシになるだろ?てか馬鹿息子よ、やっぱり王竜星武祭には出んのか?あ、それとシルヴィアちゃんビールお願い」

 

お袋はシルヴィにジョッキを出すとシルヴィは笑ってジョッキにビールを注ぐ。シルヴィは気にしてないようだが、世界の歌姫にビールを注がせる事が出来るのはお袋ぐらいだろう。

 

「(とりあえずさっきの質問に答えるか……)勿論出る。シルヴィに借りを返したいからな」

 

あの時の悔しさは今でも覚えているし、借りは返しておきたい。

 

「ふふ〜ん。勿論私は受けて立つよ」

 

シルヴィはビール瓶をテーブルの上に置いて楽しそうに笑ってくる。しかし目には強い光があり譲る気はないのがよくわかる。

 

「頑張れよ〜シルヴィアちゃん、私の給料の為に」

 

「「「そこかよ」」」

 

お袋の言葉に俺と親父と小町の声がハモる。お袋は相変わらずブレねえな……

 

「ははは……頑張りますよ。でもお義母さんか鍛えた生徒は強くなってますから多分お給料は上がりますよ」

 

シルヴィが苦笑しながらそう言ってくる。まあ確かに……俺は魎山泊でクインヴェールのワインバーグを鍛えているが、成長が早過ぎる。

 

同じようにガラードワースのメスメルも目に見えて強くなっているが、ワインバーグの方が成長の伸びが早い。その事から魎山泊以外での環境はワインバーグ周囲の環境の方がいい事がわかる。

 

そしてそれは間違いなくお袋の影響だろう。クインヴェールの生徒でワインバーグ以外にも成長している人間がいるならお袋はその功績を称えられて昇給するだろう。

 

「だろう?ま、今回の王竜星武祭は盛り上がると思うぜー。私がしばき倒したガキ共が大量に出るからなー」

 

お袋は楽しそうにカラカラ笑う。お袋の奴、万有天羅を忌避している癖に万有天羅そっくりじゃねぇか。同族嫌悪ってヤツか?

 

「そうだよねー。他にも面白い人がたくさん出てくるかもね」

 

小町がそんな事を言っているが、面白い人とは魎山泊に参加している人のことだろう。全員が星露に鍛えられて各々の長所を伸ばしているのだ。ワインバーグとメスメルの成長の度合いを考えたら油断は出来ない。

 

(しかし魎山泊って何人いるんだよ?)

 

俺が知っている魎山泊の人間は、小町、リースフェルト、若宮、ワインバーグ、ウルサイス姉妹、メスメルの7人だが、多分他にもいるだろう。俺の予想じゃ15人くらいいると考えている。

 

「(まあ暫くすれば情報が入るか。それよりも……)そういや親父、面白い奴と言えばアルルカントから新しい擬形体も出るのか?」

 

噂ではアルルカントから新しい擬形体が王竜星武祭に出るという噂がある?

 

しかし六花園会議で左近に聞いてもはぐらかされるし、材木座に聞いたら『知らんわ!』とガタガタ震えながらそう言ってきて確実な情報を持っていないので、エルネスタとは派閥は違うがそれなりの地位にいる親父なら知っているだろうと聞いてみた。

 

「ん?詳しくは知らないが出すらしいぞ」

 

親父が蕎麦を食べながらも事もなくそう言ってくる。予想はしていたがやはりか……

 

「え?そうなの?!どんな擬形体?!」

 

「悪いが小町よ。お父さんは派閥が違うから詳しくは知らないんだよ。ただ、スペックはアルディとリムシィより遥かに上回っているらしい」

 

え?アレより更に上回っている擬形体が出んのかよ?加えてアルディとリムシィも出る可能性もあるし、マジで面倒だな。

 

「……まあまだ本番まで1年以上あるのだし、今は年末をゆっくりと過ごせばいいじゃない」

 

オーフェリアがそう言ってくる。確かにそうだ。幾ら話題が少ないからって大晦日に星武祭の話をするのはアレだな。今くらいは普通に凄そう。

 

「だな。どうせ新年早々仕事があるんだし。って訳で八幡、焼酎取って」

 

お袋は顔を赤くしながら焼酎を要求してくる。まだ飲むのかよ?!

 

「なぁ涼子。流石に飲み過ぎじゃ「馬鹿野郎、せっかくの休みに酒を飲んで何が悪いんだ、あぁん?」あ、はい」

 

弱っ!親父弱過ぎだろ?!軽く睨まれたら蛇に睨まれた蛙よろしく黙っちまったし。

 

てかお袋は休みじゃなくても授業中にも飲んでるだろうが。戦闘授業でも戦闘しながら酒を飲んでいるし。流石にシルヴィやネイトネフェルなどトップクラスの生徒を相手にする時は飲んでいないが、冒頭の十二人以外とやり合う時は大抵飲んでいる。しかもそれで負けないからタチが悪い。

 

「八幡〜。早く早く〜」

 

「はいはい。わかりましたよ」

 

ため息を吐きながら焼酎を渡すと、お袋は笑顔で焼酎を自分と親父のコップに注ぐ。

 

「いや涼子、俺はもうげんか「あん?」……ありがたくいただきます」

 

親父はそこまで酒に強いわけではないのだが、お袋には逆らえずに飲み始める。マジで不憫過ぎる。

 

そして酔ったお袋は怖過ぎる。オーフェリアも酔った時はある意味怖かったが、シルヴィが酔った場合はどうなるのだろうか。頼むからオーフェリアやお袋みたいに気性が激しくなるのは勘弁して欲しい。

 

 

 

それから10分後に親父は限界を超えたのか酔い潰れて寝てしまい、更にその30分後にお袋が同じように酔い潰れて寝始めた。2人の周囲には大量の酒瓶が転がっている始末。

 

新年まで3時間弱あるのに寝るの早過ぎだろ?、そしてどんだけ飲んだんだよ?

 

その2つの疑問が内心に埋まる中、俺はため息を吐いて2人を寝室に運んだのは言うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから2時間後……

 

「4、えーっと……【ハネムーンは大成功。子宝を授かる。他のプレーヤーから3000円の祝い金もらう】……」

 

「小町ェ……これで4人じゃねぇか」

 

「「うぅ……」」

 

俺がため息を吐く中、オーフェリアとシルヴィが涙目で小町に3000円を払う。

 

「だ、だからゲームですからそんな目で見ないでください!」

 

俺達は年が明けるまで暇だから半生ゲームをやっているのだが、ドロドロと化している。

 

どんな状況かというと結婚マスで俺と小町が結婚したのだ。その瞬間、オーフェリアとシルヴィはジト目で俺達を見て、今のように子供が出来たら涙目になって祝い金を払っているのだ。

 

「じゃ、じゃあ次は私だね」

 

シルヴィが涙目のまま引き攣った笑みを浮かべながらルーレットを回すと……

 

 

【想い人が他人と結婚。悲しんだ後に仕事に生きる事を決意。臨時収入80000円を入手】

 

「「「…………」」」

 

「あ、あはは……私がぶっち切りの1位だね……うぅ……」

 

いたたまれない。成績がダントツなのに涙目のシルヴィをみるととてもそうは見えない。

 

マジで気まず過ぎる。遊び道具として半生ゲームを持ち込んだ、お袋はやはり俺の敵だ。

 

「………次は私ね」

 

オーフェリアがディルクの所有物だった時よりも悲しみに満ちた表情でルーレットを回す。出た数字は8で……

 

 

 

【想い人が知らない女とラブホテルに入る。ショックを受けていたら車に轢かれる。自動車保険を没収。ない場合は10000円払う】

 

「……八幡」

 

「いや!これはゲームだからな!」

 

オーフェリアが涙目で自動車保険を払いながら俺を見てくる。凄い罪悪感から思わず叫んでしまうが仕方ないだろう。

 

(くそっ……マジで胸が痛くなってきた……しかも次は俺の番だ)

 

頼むから変な場所には止まるなよ……

 

(お兄ちゃんお兄ちゃん!絶対に6を出して!そうすれば離婚出来るから!)

 

小町がアイコンタクトでそう言ってくるので、ボードを見れば6を出せば確かに離婚出来る。そうすればオーフェリアにしろシルヴィにしろ立ち直るだろう。

 

「(わかった。任せろ)……よし、それじゃあ……」

 

俺が息を吐いてルーレットを回す。ルーレットは徐々に速度を落としていき、やがて止まる。

 

ルーレットの針が指す場所は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8

 

【夫婦生活は最高にラブラブだ。なんやかんやあってベッドが壊れる。ベッドの修理費6000円払う】

 

「この愚兄がぁぁぁぁぁぁっ!よりにもよって最悪のマスに止まるなぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

小町が怒鳴り散らす。確かに最悪のマスだ。てかなんやかんやって何だよ?!

 

俺が内心叫んでいると……

 

 

「ぐすっ……八幡君……」

 

「いやっ……私達を捨てないで……!」

 

オーフェリアとシルヴィが涙を流しながら俺に見捨てないよう懇願してくる。凄く胸が痛くなる。

 

「小町、ゲームは中止だ。お前は風呂に入ってこい」

 

これ以上のゲームの続行は不可能だ。だから俺はゲームで俺と結婚したりベッドを壊した小町を遠ざけることにした。俺の発言の意図を理解した小町は小さく頷くとそのまま風呂場に向かった。

 

同時に俺は2人に近寄り優しく抱き寄せる。

 

「落ち着け2人とも。これはゲームだからな?俺はお前らを見捨てるつもりはないからな」

 

小町の事も愛してはいるが、家族としてた。異性として愛しているのはオーフェリアとシルヴィだけだからゲームのような事にはならないだろう。

 

「ごめんね……ゲームだとはわかってるけど……」

 

「想像したら涙が止まらなくなって……ごめんなさい」

 

「謝る必要はない。気持ちはよくわかる」

 

2人が俺に抱きついてそんな事を言ってくるが、納得した。確かに俺がオーフェリアとシルヴィか知らない男とラブホに入っていたらショック死する自信がある。

 

「だからお前らも気にすんな。俺は何があってもお前らを愛し続けるから」

 

「んっ……」

 

「ちゅっ……はち、まん……」

 

言いながら俺は自分からキスをすると、2人は一瞬驚きを露わにするも直ぐに俺のキスを受け入れる。

 

そして暫くの間交互に、偶に3人で一緒にキスをすると2人は徐々に落ち着きを取り戻した。涙は消えて今はただ3人でキスをしている。

 

「んっ、んむっ……はち、まん…く、ん……ちゅっ……」

 

「好き……だいしゅき………ちゅっ……だいしゅきなの……」

 

2人はそう言いながら自分らの存在を刻むかのように俺にキスをしてくる。だから俺も俺自身の存在を刻みこむように2人にキスを重ねた。

 

結局俺達は小町が風呂から出てリビングに入る直前までキスを続けたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「後1分ね……」

 

オーフェリアはそう呟くので時計を見ると23時59分を示していた。俺は今恋人2人と妹と一緒に炬燵に入りながら新年を待っている。両親については酔い潰れて寝ている。

 

「あー、来年は面白い事があるかなー」

 

「だなぁ……腕を切り落とされるなんてもうゴメンだなー」

 

「そうならないように、私とオーフェリアが守るからね」

 

「……(コクッ)」

 

オーフェリアが小さく頷くと俺は2人にそこまで想われている事を理解して嬉しくなる。やっぱり2人がいるなら来年も良い年になるだろう。

 

そこまで考えているといつのまにか今年も後10秒で終わる。長かったなぁ……

 

5、4、3、2、1………

 

 

 

 

「「「「あけましておめでとう」」」」

 

秒針が0を指して日が変わると俺達4人は頭を下げて礼をする。年が変わったし挨拶はするべきだろう。

 

「さて、新年の挨拶も終わったし、小町は寝ようかな」

 

「もう寝るのか?」

 

「夜更かししたい気持ちはあるけど、明日……じゃなくて今日のお昼頃には初物セールにも行きたいし早く寝ようかなって」

 

あー、確かにな。そう考えたら夜更かしは良くないだろう。

 

「そうか。じゃあそこの和室を使ってくれ。布団は押入れにあるから適当に敷いてくれ」

 

「了解であります。あ、それと3人にお願いがあるんだけど」

 

「「「お願い?何だよ(何かな)(何かしら)?」」」

 

「うん。あのさ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしも新年初エッチをするなら、防音はしてね?」

 

「「「っ?!」」」

 

真っ赤になった小町の言葉に俺達は去年千葉に帰ってきた時の言葉を思い出す。あの時俺はオーフェリアとシルヴィを始めて抱いたが、その時隣の部屋にいた小町は一睡も出来なかったんだよなぁ……

 

そこまで考えると俺自身、顔が熱くなるのを実感する。確かに小町の言いたいことはよくわかった。

 

「わ、わかった。気をつける」

 

「それならお好きにどうぞ……お休み」

 

小町はそう言って和室に入っていった。それを見送った俺達3人は真っ赤になった顔を見合わせる。

 

しかしそれも長くは続かず……

 

「わ、私達も寝よっか?」

 

シルヴィの言葉によって俺達も二階の寝室に向かった。寝室に着くとシルヴィは辺りに星辰力を込めながら歌い出す。

 

暫く歌うとシルヴィが真っ赤になって口を開ける。

 

「こ、これで2、3時間はこの部屋で生まれる音が外に出ないよ……だから……」

 

つまりはそういう事だろう。

 

「……だ、そうだオーフェリア?お前はどうする?」

 

「………」

 

対するオーフェリアは返事をしないでパジャマを脱いで下着姿になる。水色のブラジャーとショーツが露わになると俺の顔が更に熱くなるのを実感する。

 

言葉は口にしてないが、行動を見ればシルヴィと同じ意見なのがわかる。

 

「はぁ……じゃあやりますか……」

 

言いながら俺も同じようにパジャマを脱いで下着姿になりベッドに横になる。するとシルヴィもパジャマを脱いで上下ピンク色の下着を見せてから……

 

「八幡君……今年もよろしくね……んっ」

 

「ずっと……ずっと私達を愛して……ちゅっ……」

 

オーフェリアと一緒にキスをしてくる。そして首を絡めて互いの心臓の鼓動を確認し合う。こうしていると胸が温かくなり幸せな気分になってくるな……

 

そこまで考えた俺は……

 

「ああ。死ぬまで愛してやるよ……」

 

「ああっ……!」

 

「はち、まぁん……あぁんっ……!」

 

2人のブラジャーのホックを外して2人の首筋を交互に甘噛みする。

 

同時に2人が嬌声を上げるがそれを無視して2人を押し倒し、俺は野獣の如く2人の美しき肢体を食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

気がついた時には2時過ぎで2人は幸せそうな表情で俺に抱きついて甘えてきた。

 

普通正月の深夜に裸で過ごすのは寒い筈だが、2人と繋がったからか寒さを感じる事はなく、眠りにつくまで2人の温もりだけを感じ続けた。

 

 

 

 

 

 

あ、後ベッドが壊れたので早い内に買いたいと思います

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