今回で250話達成しました。読者の皆様ありがとうございます。そして今後もよろしくお願いします。
王竜星武祭編、300話までに終わるのか?
それと活動報告にアンケートを実施しましたので時間があれば協力お願いします
王竜星武祭9日目、今日からいよいよ本戦が始まる。予選を勝ち抜いた32人がぶつかり合い今日の夕方には16人になる。
予選と違って本戦は一部を除いて強者が集うので観客も盛り上がるのは当然だが……
「まだ試合が始まってないのに凄い熱気だな……」
「……そうね」
俺とオーフェリアはシリウスドームの廊下を歩きながら観客席を見て思わず呟く。ちなみにシルヴィはカノープスドームで試合があるので居ない。
シルヴィは俺を応援してからカノープスドームに向かいたかったようだが、シルヴィは俺と同様第1試合なので時間が重なっている為断念した。
ちなみにシリウスドームで行われる4回戦は……
第1試合 俺VSヒルダ・ジェーン・ローランズ
第2試合 雪ノ下陽乃VS雪ノ下雪乃
第3試合 アルディ(材木座義輝)VSリムシィ(カミラ・パレート)
第4試合 ネイトネフェルVS比企谷小町
以上の4試合だ。残りの12試合はシリウスドーム以外の大規模ステージ3つを使って4試合ずつ行われる。
しかしメインステージだけあって凄い盛り上がりだ。まあ今回は俺、『大博士』、雪ノ下陽乃、ネイトネフェルと壁を越えた人間が4人も出るからな。今大会にて壁を越えた人間は、俺、ロドルフォ、シルヴィ、ネイトネフェル、天霧、暁彗、梅小路、雪ノ下姉、レナティ、『大博士』の10人(1人は擬形体だけど)いるが、内4人がシリウスドームで試合をするから盛り上がるのも仕方ないだろう。
そう思いながら俺とオーフェリアは自分の控え室に入って息を吐く。後20分ぐらいしたら俺は入場ゲートに向かわないといけない。
相手は因縁ある『大博士』ヒルダ・ジェーン・ローランズ。純星煌式武装を壊す圧倒的な力を見せた怪物だが、俺も負けるつもりはない。昨日オーフェリアとシルヴィに勝つと誓ったからな。
そう思いながら軽くストレッチをしようとした時だった。いきなりインターフォンが鳴りだした。どうやら来客のようだ。空間ウィンドウを開いて見れば若宮達チーム・赫夜がいた。
それを確認した俺は控え室のドアのロックを解除する。若宮達なら特に疑う必要はないだろう。基本的に全員馬鹿正直だし。
するとドアが開いて5人が入ってくる。
「お邪魔しまーす。ごめんね試合前なのに押しかけて」
「別に構わない。んでなんか用か?」
若宮にそう言う。若宮は午後にシルヴィと同じカノープスドームで試合がある。時間に余裕があるとはいえ俺の控え室に来るとは予想外だった。
「うん。八幡君にあげたいものがあってね。はいこれ!」
言いながら若宮は俺になにかを差し出してくるので見てみると……
「お守り?」
そこにはお守りがあった。しかし神社で買ったお守りではなく、明らかに手作りだ。しかもお守りを見ると表にはレヴォルフのマークである双剣が、裏には5つのイラストが描かれていた。
描かれているイラストはナックルと弓、サーベルにトランプ、そしてハンドガンだった。これは……
「お前らの武器を描いたのか?」
チーム・赫夜が使う武器だった。ナックルが若宮、弓が蓮城寺、サーベルがフェアクロフ先輩、トランプがアッヘンヴァル、ハンドガンがフロックハートが使う武器である。
「美奈兎さんを除いて私達は選手でないですが……」
「気持ちだけでも八幡さんと一緒に戦いたいと思っていますわ!」
「が、頑張って……!」
「相手は得体の知れない強敵だけど貴方なら勝てると思うわ」
5人がそんな風にエールを送ってくれる。そんな5人に対して俺の返答は決まっている。
「じゃあ……ありがたく貰っとくぜ」
言いながらズボンのベルトに付ける。わざわざ俺の為に作ってくれたのだ。貰わないと失礼というものだろう。
「どういたしまして!私は選手だけど、八幡君と当たるまでは八幡君の応援をするから!」
若宮はガッツポーズをしながらそう言ってくる。本当に元気な奴だな。見ていて癒される。
「ありがとな。俺もお前と当たるまでは勝ちを祈っとく」
当たったら容赦しないで叩き潰すつもりだが、当たるまでなら応援してもバチは当たらないだろう。
「うん!じゃあ私達はもう行くね。いつまでも邪魔したら悪いし」
「頑張ってください」
「八幡さんなら勝てますわ!」
「ちゃんと、見てるから……!」
「情けない姿は見せないでちょうだい?」
5人はそう言いながら控え室から出て行った。なんだか嵐のようだったな。まあ気持ちは嬉しかったけど。
「……良かったわね八幡」
オーフェリアは優しく俺に抱きつきながらそう言ってくる。確かにオーフェリアの言う通り良い時間だった。短い時間だったが有意義な時間と言えるだろう。
「ああ、本当に良かったよ……」
そう返すとオーフェリアは小さく笑ってから唇を寄せて……
ちゅっ……
触れるだけのキスをしてくる。気持ちは嬉しいが不意打ちは止めろ。でないとリミッターが解除されそうだし。呆れながらもオーフェリアの頭を撫でる。本当に可愛いなぁ……
そんな事を考えながら5分くらい頭を撫でていると再度インターフォンが鳴ったので空間ウィンドウを開くと今度はヴァイオレットだった。
俺はオーフェリアから離れてロックを解除するとヴァイオレットが入ってくる。その様子はかなり元気に見えるが気の所為ではないだろう。どうやらこいつのコンディションは絶好調みたいだ。
「お邪魔しますの!」
「いらっしゃいませー。もう直ぐ試合だからもてなしは出来ないが許せ」
「私は激励に来ただけですから結構ですわ!八幡さん!」
「何だ?」
「相手は相当の強敵ですが、八幡さんなら勝てると思っていますの!てゆーか私の師匠が負けるなんて許せないですの!」
そう言ってピシッと指差してくる。随分と強気な激励だな。
そう思っているとヴァイオレットがポケットからある物を渡してくる。若宮達と同じようにお守りなのかと思いながら受け取ると、お守りではなく待機状態の煌式武装であった。
起動してみるとマスケット銃が顕現される。いつもヴァイオレットが使用してる煌式武装じゃねぇか。
「お守りですの!いざとなったら使って欲しいですの!」
随分と物騒なお守りだな。まあ何かの役に立つかもしれないし、貰っとくけど。
「サンキューなヴァイオレット。お前も頑張れよ……まあお前は負けないと思うがな」
ヴァイオレットの相手は界龍の序列入りだが運だけで勝ち抜けたような雑魚だ。星露に一撃を入れて、一回だけとはいえ影狼修羅鎧を纏った俺に勝ったヴァイオレットが負けるのは絶対にあり得ない。
「当然ですの!ですが5回戦の相手は厳しいですの……」
途端にヴァイオレットの口調は弱くなる。まあヴァイオレットが5回戦で当たる相手は所謂壁を越えた人間だからな。緊張するのは致し方ない。
「んな風にやる前から弱気になってんじゃねぇよ。お前目標は優勝なんだろ?」
「……っ!と、当然ですの!誰が相手でも優勝するのは私ですの!」
するとヴァイオレットは即座にいつものテンションに戻る。やはりヴァイオレットは高飛車じゃないとな。高飛車じゃないヴァイオレットはそれはもうヴァイオレットじゃない。ヴァイオレット擬きだな。
「なら良い。とりあえずこの煌式武装は場合によっては使わせて貰う」
「ええ!絶対に負けるんじゃないですの!負けたら王竜星武祭が終わってから1日買い物に付き合って貰いますので!では、失礼しますの!」
ヴァイオレットはそう言ってから俺の控え室から出て行った。元気なのは良いがハイテンション過ぎだろ?てか1日買い物に付き合うって……
そう思いながらヴァイオレットに渡されたマスケット銃を待機状態にしてポケットに入れると視線を感じる。てかこの場で俺以外にいる人間は……
「…………」
「何だオーフェリアその目は?」
オーフェリア以外ありえないだろう。ものすっごいジト目で俺を見てくる。ハッキリ言って怖いです。
「……別に。八幡は相変わらず女子に慕われているって思っただけよ」
「いや慕われてるって言われてもだな……」
別に付き合ってる訳じゃないから良いだろ。ラッキースケベ以外では手を出してないんだし。
「………」
そう思いながらもオーフェリアは不機嫌なままだった。どうしたら良いんだよ?ディープキスでもすれば……ダメだ。絶対に夢中になって試合を忘れる自信がある。
どうしたものかと悩んでいたら再度インターフォンが鳴り出す。今度は誰だよ?今日は試合前から結構人が来るな。
そう思いながらも空間ウィンドウを開くと……
「……次はノエルね」
空間ウィンドウに映ったのはヴァイオレットと同じように俺の弟子だったノエルで、それを見たオーフェリアが更にジト目を強くしてくる。そこで俺をジト目で見るのは勘弁してください。
ともあれノエル相手に居留守を使うのは心が痛むので止めておこう。そう判断した俺は先のチーム・赫夜やヴァイオレットの時と同じようにドアのロックを解除する。
「八幡さん!」
ドアが開くと同時にノエルが元気良くこちらに向かって走ってくる。チーム・赫夜といいヴァイオレットといい元気な奴らだ。
「ようノエル。もしかして応援しに来てくれたのか?」
「は、はい!八幡さんの応援に来ました……」
既に6人も連続で応援に来てくれたので、そうだと思って確認してみるとノエルはコクコク頷く。
「そうか。わざわざありがとな」
「い、いえ!わざわざだなんて!私が八幡さんに会いたくて来ただけです……!」
なにこの子?メチャクチャ可愛いんですけど?今すぐハグしたいんだけど?
まあしないけどな。したら……
「………」
今現在俺の背中を抓っているオーフェリアが怒りそうだし。てか痛いからそこまで強く抓らないでくれませんか?
「そ、そうか……」
「は、はい……それで八幡さん。八幡さんの今回の相手ですが……」
「俺よりも強いから警戒しろ、と?」
「あ、い、いや、私は「誤魔化さなくて良い。俺自身、『大博士』の方が強いと思ってる」それは……」
実際単純なスペックなら『大博士』の方が上だろう。ウルム=マナダイトをぶっ壊したくらいだし。多分俺もウルム=マナダイト壊せない事はないと思うが奴より時間がかかるだろうし。
「だけど負けるつもりはない。格上だろうと勝ちに行くつもりだ。それはお前もだろう」
魎山泊で厳しい修行を積んだノエルも本気で優勝を目指している筈だ。つまり格上だろうと勝ちに行く心構えということになる。
「はい……私も負けるつもりはないです」
「だろ?そんで俺は今回格上の『大博士』に勝ちに行く。それだけだ」
「そうですね、強い人が勝つとは限らないですし……八幡さん!」
するとノエルがいきなり大声を出してくる。予想外の声に驚く中、ノエルが詰め寄ってくる。
「私と約束してください!必ず勝つと!」
そんな事を言ってくる。言われるまでもねぇよ。オーフェリアとシルヴィに勝つと誓った以上必ず勝つつもりだ。
「わかったよ。約束する」
「わ、わかりました……では」
するとノエルはおずおずと俺に小指を見せてくる。この仕草からして指切りだろう。
「ほれ」
俺も小指を差し出すと、ノエルは嬉しそうに小指を絡めてくる。前も思ったが柔らかいな……
そんな事を考えながらも指をしっかりと絡め合い……
「ゆ、ゆ〜びきりげんまん。嘘吐いたら買い物につ〜きあってからパフェお〜ごる、指切った」
可愛らしく指切りげんまんをしてくる。しかし今回は針千本ではなく買い物に付き合うだと?
予想外の約束にポカンとしているとノエルは指を切って……
「じゃあ八幡さん、約束を守ってくださいね」
そう言ってから控え室を出て行った。と、同時に後ろから寒気を感じたので振り向くと……
「……八幡、今の約束は何かしら?」
オーフェリアがドス黒いオーラを撒き散らしながら俺に詰め寄ってくる。余りのオーラに思わず一色のように失禁してしまいそうだ。
「ま、まてオーフェリア。向こうが提案しただけで、俺は別に……」
思わず後ずさりをしてしまう。ハッキリ言おう。メチャクチャ怖いです。
内心ビビりまくっていると……
pipipi……
俺の端末のアラームが鳴り出す。これは入場5分前を伝えるアラームだ。つまり今から会場に行かないといけない。
そこまで考えるとオーフェリアはドス黒いオーラを消して息を吐く。
「……続きは帰ってから聞くわ。だから八幡……」
オーフェリアはそう言ってから俺に近寄り……
ちゅっ……
そっと唇を重ねてくる。オーフェリアの柔らかい唇から熱が伝わってくる。
暫く唇を重ねているとオーフェリアは離れて……
「行ってらっしゃい」
満面の笑みでそう言ってくる。それに対して俺の返事は決まっている。
「行ってきます」
ちゅっ……
オーフェリアにキスを返す。必ず勝ってくるという気持ちを伝えるかのようにら、
10秒近くキスをした俺はオーフェリアから離れて一度会釈をする。するとオーフェリアが小さく頷いたので、俺は控え室を後にする。
そして入場ゲートに向かっていると再度端末が鳴り出したので見てみるとシルヴィからで……
『fromシルヴィ 時間がないからメールで話すね。私はこれから試合だけど八幡君もでしょ?会場は違うけど頑張ろうね』
そんなメールが来た。それを見た俺は嬉しく思う。若宮、蓮城寺、フェアクロフ先輩、アッヘンヴァル、フロックハート、ヴァイオレット、ノエル、オーフェリアにシルヴィ、沢山の人から激励を受けて俺は嬉しく思う。
皆の期待に応えるなんて柄じゃないが、勝たないとな……
そう思いながら俺は走り出し、入場ゲートをくぐる。
いよいよ本戦の始まりだ。