学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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レナティとの終わり方がぶっ飛んだ試合は終わり、比企谷八幡は控え室に戻る

『こ、ここで試合終了!ステージが崩壊する程の激戦は何とぉっ!じゃんけんによって幕を下ろしたぁ!』

 

『長い星武祭の歴史でもこれほど斬新な終わり方は無かったな……』

 

実況と解説の呆然とした声が響く。そして観客席からは歓声は生まれず戸惑いと驚愕の声が生まれていた。自分で提案しといてアレだが、じゃんけんはぶっ飛んだ案だな……

 

てかこの試合を見ている知り合いは呆れてそうだ。

 

 

 

 

 

 

「だーはっはっはっはっ!馬鹿だ!馬鹿過ぎる!私以上に馬鹿だ!それでこそ私の息子!」

 

「まさかじゃんけんで星武祭準決勝の勝敗を決めるとは……」

 

「何考えてんだアイツ?!馬鹿?!」

 

「マジで馬鹿じゃねぇの?!」

 

「馬鹿過ぎじゃない!」

 

「……本当に馬鹿ね」

 

「え、えーっと皆さん、気持ちはわからなくないですけど、あそこまで馬鹿というのは……」

 

涼子とペトラ、ルサールカの5人は八幡を馬鹿呼ばわりして……

 

 

 

 

「「えぇぇぇぇぇぇっ!?」」

 

「……凄い終わり方ですね」

 

「柚陽、それを言うなら馬鹿な終わり方の間違いでしょう?」

 

「八幡って……馬鹿?」

 

チーム・赫夜の美奈兎とソフィアは驚き、柚陽が苦笑していて、クロエとニーナは八幡を馬鹿呼ばわりしていて……

 

 

 

 

 

 

「まさかじゃんけんで勝敗を決めるとはな……」

 

「えー……お兄ちゃん、考え方吹っ飛び過ぎでしょ?」

 

入院しているユリスと小町は呆れ果てて……

 

 

 

 

 

「比企谷……!ズルをしただけじゃ飽き足らず、星武祭という神聖なステージでじゃんけんで勝敗を決めるなんてどこまでふざけてるんだ……!やっぱり比企谷を倒さないとアスタリスクに平和は来ない……皆を救う為に奴を討たないと……!」

 

 

『(何を言っているんだこいつは?)』

 

『(知るか。ともかくこの馬鹿が比企谷八幡に手を出そうとしたらその前に阻止するぞ)』

葉山隼人は八幡により一層怒りを抱き、彼を監視する至聖公会議のエージェント2人は葉山の言動に呆れ果てて……

 

 

 

 

 

「くくくっ……!じゃんけんとはまた愉快な事をやりよるわ!やはり八幡が欲しいのう……!暁彗や、主に叶えたい願いがないのなら優勝した暁には八幡を界龍に編入させるのじゃ。そうすれは儂は毎日八幡と戦える」

 

「必ずや」

 

星露は満面の笑みを浮かべて一番弟子の暁彗に命じ、暁彗自身も闘争心を滾らせながら了承して……

 

 

 

 

「もう、八幡さんったら……でも、戦ってる時の八幡さん、格好良かったなぁ……」

 

ノエルは八幡の行動に若干呆れながらも、八幡の戦闘を思い出して恋する乙女の表情を浮かべ……

 

 

 

 

「あはは……八幡君凄いなぁ、色々な意味で」

 

シルヴィアは若干口元を引攣らせながら笑みを浮かべ……

 

 

 

 

「八幡……馬鹿?でもそんな八幡も好き……」

 

オーフェリアは頬を染めながら空間ウィンドウに映る八幡を眺めて……

 

 

 

 

 

「にゃはは〜。これは予想外だな〜」

 

「うむ、まさかじゃんけんで勝敗を決めるとはな……しかしエルネスタ殿からしたら良かったのでは?」

 

「ほほう……ちなみにそう思う理由は?」

 

「普通の擬形体ーーーそれこそアルディ殿やリムシィ殿が主であるエルネスタ殿の代理をするなら絶対自分から負けを認めることはないが、レナティ殿はそれに反して負けを認めた。今までの擬形体と比べたらあり得ない行為だが、完全に自律した擬形体を作る事を目標にしている貴様からすれば良いことであろう」

 

「まあね。負けちゃったのは悔しいけど、レナティが自分の意思で負けを認めたのはそれと同じくらい嬉しいね」

 

「これで自律した擬形体の製作は完了、すなわち貴様の夢が1つ叶った訳だ」

 

「残りは擬形体に人間と同じ権利を持たせる事だけど……将軍ちゃんさ。来シーズンの鳳凰星武祭に備えて煌式武装作ってくれない?」

 

「来年度の鳳凰星武祭で優勝してアルディ殿達3人を正式に学生にする算段か?」

 

「そ、今シーズンの鳳凰星武祭では剣士くんに、今大会では八幡ちゃんに負けちゃったけど、来シーズンの鳳凰星武祭は強い選手が居ないだろうし確実に勝っておきたいんだ」

 

「まあその位なら良いだろう」

 

「ありがと将軍ちゃん」

 

エルネスタと材木座は試合で負けたが、穏やかな口調で今後について話し合いながらステージにいる八幡とレナティを見ていた。

 

 

 

 

 

試合が終わったにもかかわらず、歓声がないのはなんとも微妙な気分だ。

 

そんな事を考えているとレナティが俺の元にやってくる。

 

「はちまん!レナ、はちまんとバトル出来て良かった!はちまんのおかげで良い試合ってのがわかった!」

 

「って事は満足したのか?」

 

「うん!負けたのは悔しいけど、はちまんと殴り合ったり、一発勝負をしたのは楽しかった!またバトルしよう!」

 

「はいはい」

 

言いながらレナティは手を出してくるので、試合前と同じように俺も手を出して握手をする。

 

観客からしたら俺達の試合について思うところがあるかもしれないが俺からしたら知った事じゃない。何故なら……

 

「はちまんはどうだったな?楽しかった?」

 

「ああ」

 

観客が俺達の試合をどう思おうと、俺はレナティと戦えて本当に楽しかったからな。

 

 

 

 

 

 

 

「ったく……マスコミの連中は本当にしつこいな。こっちはレナティとの試合で疲れてるし、天霧とロドルフォの試合を見ないといけないってのに」

 

俺はため息を吐きながら早足でオーフェリアの待つ控え室に向かう。マスコミの連中は予想通り何故じゃんけんで勝敗を決めたの聞いてきた。

 

だから俺は『一発勝負で勝敗が決まらなくて、チマチマした勝負は怠いからじゃんけんにした』と正直に答えたが、それ以外にもリースフェルトとの八百長だのどうでもいい質問ばかりされてぶっちゃけ凄く疲れた。

 

内心苛々しながらも俺の控え室に入ると……

 

「お疲れ様、八幡……」

 

オーフェリアが俺の元にやってきて……

 

ちゅっ……

 

そっとキスをしてくる。すると身体に走る痛みが薄れた気がする。それほどまでにオーフェリアのキスは魅力的だった。

 

「ただいま。にしても疲れたよ」

 

「まあアレだけ激しい戦いをしたらそうでしょうね。……というか何故じゃんけんで勝敗を決めたのかしら?」

 

お前も聞いてくんのかよ?まあ気持ちはわからんでもないがよ……

 

「実は……」

 

俺はさっきマスコミにした回答を口にする。それを聞いたオーフェリアは何度か小さく頷いた。

 

「……話はわかったわ。とりあえず準決勝進出おめでとう」

 

「サンキュー。んで俺の対戦相手はどうなるやら……」

 

そう言いながらオーフェリアの後ろにあるテレビを見れば、既に天霧とロドルフォの戦闘は始まっているが……

 

「何であいつは『黒炉の魔剣』を使ってないんだ?」

 

見れば天霧は『黒炉の魔剣』ではなく徒手空拳なんだ?一応ロドルフォとは距離をとっているが徒手空拳でロドルフォに勝つのは絶対に無理だ。

 

「最初は使っていたけど、ロドルフォ・ゾッポが『黒炉の魔剣』に注ぎ込む星辰力を遮断して使えなくしたの」

 

なんだそりゃ?!確かに『黒炉の魔剣』の代償は大量の星辰力だし、ロドルフォは星辰力に干渉する力を持ってるけどよ……そんな事が出来るなんてチートだろ?

 

「……影の中に入れる貴方の能力も大概だと思うわ」

 

「人の心を読むな。そんじゃあ、何で天霧は軽傷を負っているけど負けてないんだ?」

 

身体を見る限り手足の一部と胸の部分がが焦げているが、アレはロドルフォの能力を食らったからだろう。

 

しかしそれはつまりロドルフォの能力の範囲内に入ったからだが、それだったらロドルフォは手足とかではなく全身を爆発した方が合理的だ。まさかとは思うがロドルフォの奴、天霧を嬲る為にわざと全身爆発させなかったのか?

 

「解説によれば、高速移動する天霧綾斗の動きを捉えきれずに身体の表層部分の星辰力にしか干渉出来なかったみたい」

 

「なるほど……っと、ロドルフォのやつ本領発揮したな」

 

見ればロドルフォが巨大な煌式遠隔誘導武装を3本起動していた。一昨日の試合で1本はヴァイオレットに壊されたが修理が完了しているようだ。

 

対する天霧は『黒炉の魔剣』ではなく普通のブレード煌式武装を起動する。

 

「ねえ八幡、何故『黒炉の魔剣』を起動しないのかしら?」

 

「そりゃ相手の間合いで使えなくなる『黒炉の魔剣』を使っても意味がないからだ。仮にロドルフォが攻めてきて、天霧が攻撃を防ごうとした時に使用されたらヤバいだろ?」

 

「……?でも『黒炉の魔剣』を封じるくらいなら天霧綾斗本人を叩くのが合理的じゃないかしら?」

 

「その辺りは駆け引きだな。天霧を狙うと思わせて『黒炉の魔剣』を封じて煌式遠隔誘導武装で仕留めるか、『黒炉の魔剣』を封じると思わせて天霧を狙うか……って感じだな」

 

「……つまり天霧綾斗が『黒炉の魔剣』を持ってる時は、戦いの主導権はロドルフォ・ゾッポが握ってるの?」

 

「ああ。天霧はそれを嫌って普通の煌式武装を使ったんだろう」

 

『黒炉の魔剣』を使ってるならロドルフォは煌式遠隔誘導武装を使わないが、ノーリスクで天霧の元に攻めれるからな。

 

逆に普通の煌式武装を使っている時は煌式遠隔誘導武装は厄介だが、身体がロドルフォの間合いに入らないように注意するだけで済むからな。

 

そんな事を考えるなか、ロドルフォの煌式遠隔誘導武装3本が同時に天霧に襲いかかる。上空から一本、中段から一本、下段から一本と天霧を挟み撃ちするかのように攻め続ける。

 

対する天霧は回避したり、自身の煌式武装で受け流す。今大会トップクラスの身体能力を持つ天霧からしたら見切れるだろう。

 

それでも受けに回っているのは、ロドルフォの能力を警戒しているからだろう。何せロドルフォの間合いに入ったら即負けだから。

 

テレビに映る天霧は煌式武装を使ってロドルフォの煌式遠隔誘導武装を受け流したり、躱したりしている。そしてロドルフォが距離を詰めにかかると全力ダッシュで距離をとる。

 

そんな攻防が続いていると……

 

「……煌式遠隔誘導武装の動きが雑になっているわ」

 

オーフェリアの言う通り、ロドルフォの煌式遠隔誘導武装の動きが雑になっている。これはロドルフォが疲れたからだろう。

 

煌式遠隔誘導武装は強い集中力と星辰力のコントロールが必要で長期戦には向いていない。

 

加えてロドルフォの能力は一撃必殺の能力で基本的に長期戦はしない事もあるので、長引けば長引く程動きが鈍くなるだろう。

 

それは天霧も理解しているようだ。いきなりブレード型煌式武装を地面に向けたかと思えば一閃して、その衝撃を利用して砂煙を立ち上げる。

 

普段のロドルフォなら通用しないかもしれないが、疲れているロドルフォなら効果はあるだろう。

 

そう思った時だった。

 

天霧が煙に紛れて攻撃を仕掛けようとした瞬間、天霧の背後から刀身を二倍近くに膨らませた煌式遠隔誘導武装が襲いかかる。

 

(煌式遠隔誘導武装3本による流星闘技か!相変わらずバトルセンスはずば抜けてやがるな……!)

 

内心ロドルフォの技量に感心する中、天霧はブレード型煌式武装で受け流そうとするもパワーが違い過ぎる故に呆気なく吹き飛んだ。

 

慌てて回避しようとするも、二本は回避出来たが、最後の一本が天霧の右足をざっくりと抉る。

 

それによって膝をついた天霧に再度煌式遠隔誘導武装が襲いかかるが……

 

「ここで『黒炉の魔剣』を起動したか」

 

天霧が『黒炉の魔剣』を起動したので、煌式遠隔誘導武装は天霧から距離を取る。

 

「……これはロドルフォ・ゾッポの勝ちね」

 

オーフェリアがそう言ってくるが、俺も同じ意見だ。足は抉られて機動力は下がっている。加えて『黒炉の魔剣』による攻撃はロドルフォの能力によって阻害される。俺の見る限り詰みだろう。

 

そう思う中ロドルフォはゆっくり、それでありながら一切油断しないで天霧に迫っている。口元は笑っているが警戒は解いてないだろう。

 

それに対して天霧は……

 

「ん?」

 

ロドルフォの能力の範囲外から『黒炉の魔剣』を薙ぎ払った。何やってんだこいつは?

 

疑問符を浮かべていると、ロドルフォの顔から笑みが消えて驚愕に染まる。いきなりどうしたんだ?

 

テレビではロドルフォは慌てた様子で天霧から距離を取ろうとしているが、その前に天霧が大きく踏み込む。しかし何故か天霧は全身爆発をしていない。

 

そしてそのまま『黒炉の魔剣』を振るってロドルフォの校章を断ち切っていた。

 

『試合終了!勝者、天霧綾斗!』

 

試合終了のお知らせが来るがテレビからは歓声が聞こえずに静まり返っている。観客も何が起こったかわからないからだろう。

 

マジで天霧は何をしたんだ?ロドルフォの反応や天霧の思い切りの良さを見る限り、ロドルフォの能力が発動出来なかったようだが…….あ。

 

(なるほどな。天霧の奴、万応素を焼き斬ったのか)

 

能力者が能力を発動するには万応素と星辰力を必要とする。万応素を媒体としてそこに星辰力を込める事で能力を発動する、

 

いくらロドルフォの能力が星辰力干渉能力でも万応素が無ければ発動は出来ないので、天霧はロドルフォの周囲にある万応素と焼き斬って能力を使えない隙を突いたのだろう。

 

(しっかしロドルフォの能力も大概だが、『黒炉の魔剣』は本当にチートだな)

 

所有者が斬りたいと思えば超音波や万応素など目に見えない存在すらも斬れるからな。多分俺の影神の終焉神装やオーフェリアの瘴気ですら簡単に斬れるだろう。

 

(マジで面倒だ。俺明日こいつと戦わなくちゃいけないのかよ……?)

 

相性が悪過ぎる。一応作戦は立てているがぶっちゃけ怠い。ロドルフォが勝ってくれたら割と勝算があるんだがな……

 

そんな事を考えている時だった。

 

「……落ち着いて。確かに天霧綾斗は強いし八幡との相性は悪いけど、八幡も強いわ。八幡は自分のやってきた努力を信じて頑張れば結果は出るはずよ」

 

オーフェリアが優しい笑みを浮かべ俺の手を握ってくる。同時に緊張が和らいでくる。

 

「……っ。そうだな、済まないオーフェリア」

 

ぶっちゃけ天霧に気圧されていたが、恋人の前で情けない姿を見せるのは論外だ。勝てるかどうかは知らないが、やれる事はしっかりとやろう。

 

「気にしないで。私は八幡が勝つって信じているから」

 

オーフェリアは俺の頭を撫で撫でしてくる。本当にオーフェリアには敵わないなぁ……

 

そう思いながら俺は暫くの間オーフェリアに頭を撫で撫でされ続けるだけの存在と化した

 

 

 

 

 

 

 

午前の2試合が終了した。

 

準々決勝も残り2試合。

 

プロキオンドームにて武暁彗と若宮美奈兎が、カペラドームにてシルヴィア・リューネハイムとノエル・メスメルが激突する。

 

 

奇しくも両試合共に魎山泊の生徒2人が壁を越えた人間に挑む試合となったのだった。

 

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