『ここで試合終了!歴代最高と評される今回の王竜星武祭で頂点に立ったのはレヴォルフ黒学院の比企谷八幡選手ーっ!』
『最後の戦いは素晴らしかった。比企谷選手もリューネハイム選手も文字通り、持てる力を全て出していたからな。覇を競う王竜星武祭らしい終わり方だ』
実況と解説の声が聞こえる中、シリウスドームにいる観客らは大歓声をあげていた。
八幡とシルヴィアの戦いは正真正銘、全てを賭けた試合だった。出し惜しみなく能力を使い、星辰力が少なくなったら体術による激突、終いには両手両足が使えなくなっても諦めず頭突きのぶつかり合い。観客からしたら血湧き肉躍る戦いであり、ただただ大興奮する試合であった。
八幡とシルヴィアがステージに倒れ伏すと即座に救護班がステージに入ってきて、2人を担架に乗せて搬送するが、その間観客は皆八幡とシルヴィアに拍手を惜しげなく送り続けたのだった。
「あーあ……小町も強くなったけどまだまだ足りないなぁ」
「そうだな……私が5回戦で戦った時の比企谷は万全から程遠かったしな」
「確かに比企谷君は強いです、加えて後一回星武祭に参加する資格を持ってますから来シーズンの王竜星武祭も大変でしょう」
「……問題ない。その時までに綺凛も小町も強くなっている」
「紗夜先輩?!」
「それにクローディアもいるしね。俺とユリスと紗夜は今回で引退だけど、綺凛ちゃんも小町ちゃんは来シーズン、頑張ってね」
「「はい!」」
星導館の専用観戦室にて小町と綺凛は来シーズンに備えて気合を入れていた。
「すごいすごーい!はちまんが勝ったー!やったー!」
「ふふっ、レナティは本当に八幡ちゃんのことが好きだねー」
「うん!レナまた今度はちまんとバトルしたい!」
「そっかー。じゃあ次は勝つように頑張ろうね?」
「うん!おかーさんも頑張ってね!」
「ふにゅ?何を頑張れば良いの?」
「おじーちゃんと恋人になる事!アレ?でもおかーさんとおじーちゃんって恋人になれるのかな?」
「な、ななな何でそんな話になるのかな?」
「にゅ?だっておとーさんやおにーちゃん、はちまんも言ってたよ?おかーさんとおじーちゃんは喧嘩ばかりしてるけどりょーおもいだって言ってたよ?」
「ちょっ?!カミラにアルディに八幡ちゃんも何言ってんだか……!レナティ違うからね?!私と将軍ちゃんは両想いじゃないからね!」
「え?おかーさん、おじーちゃんの事好きじゃないの?」
「え?!と、当然だよ!実際私と将軍ちゃんは敵だしね……ま、まあ偶に話していて楽しいって思ったり、偶に一緒にに居たくなったりしたり、優しくしてくれたりしてるから大っ嫌いって訳じゃないけど……さ」
「うん!やっぱりおかーさんとおじーちゃんは仲良しだー!」
「何でそうなるのかなぁ?!」
アルルカントの専用観戦室にてレナティが元気良くはしゃぐ中、エルネスタ真っ赤になって否定をする。
しかしこの時の彼女は知らなかった。自分は材木座と喧嘩をしながらもこれから先ずっと一緒に過ごす事を
「ほほほっ!実に見事な試合じゃったのう!」
「そうですねー。まさか最後は頭突きで決着をつけるとは思いませんでしたよ」
「うむ。やはり八幡にしろシルヴィアにしろ、是非ともウチに来て欲しいのう……」
「いやいや。比企谷さんは卒業した後はW=Wに就職が決まっているらしいですから無理ですよ。シルヴィアさんは言うに及ばずです」
「うーむ……ならば仕方あるまい。2人が退院次第レヴォルフとクインヴェールに殴り込みに行く事にしようではないか。暁彗や、ぬしも儂と同伴して楽しもうではないか」
「御意」
「いやいやいや!殴り込みは勘弁してください!大師兄も悪ノリしないでください!」
「あー虎峰。私、トイレに行ってくるから」
「って、逃げないでくださいセシリー!」
界龍の専用観戦室にて、星露はぶっ飛んだ提案をして暁彗がそれに乗り気で虎峰は慌てて2人を止めにかかり、セシリーは逃げたのだった。
「やった……!八幡さんが勝った!」
「そうですわね……泥臭い試合でしたが、目が離せず不思議と興奮してしまいましたわ」
「そうだね。それにしてもレヴォルフの生徒が優勝して嬉しくなるのは今回だけかもね」
「今回が異常ですからね。というか何故比企谷さんってレヴォルフなんですか?六花園会議で話す時も話が通じますし、余り粗暴ではないですし他所の学園ーーーそれこそウチでも浮く事なく通えると思いますが」
「でしょうね。呆れた事にあの男、編入先をクジ引きで決めたのですの」
「「ええっ?!」」
「……まあその反応が普通ですわよね」
「ははっ。もしもウチに来てくれたなら獅鷲星武祭三連覇出来たかもね」
「……本当に破天荒な人だ」
「(まさか八幡さんがクジ引きで入る学校を決めてたなんて……もしもガラードワースに来てくれたら八幡さんとの学園生活を送れて最初に八幡さんの恋人になれたかもしれないのに……いやいや!まだ諦めるのはダメ……シルヴィアさんには認められたんだし、これから頑張って八幡さんとオーフェリアさんに認められて、八幡さんのお嫁さんにならないと……!)」
ガラードワースの専用観戦室にてアーネストは出会ったばかりの八幡の発言を思い出して苦笑をして、レティシアとエリオットは呆れ返り、ノエルは八幡と過ごす学園生活を妄想して、今後八幡の嫁になれるように一層奮起したのだった。
ちなみにこの5年後、ノエルは八幡と……
「隼人!」
「優美子?!それに皆?!どうして君達が?!」
「それがヒキオを粛清しようとしてシリウスドームに行ったら、ヒキオの妹に会って、隼人の事を屑呼ばわりしながら襲いかかってきて……」
「なっ?!兄妹揃って性根が腐ってるなんて……!優美子、今は我慢だ。いつか必ず懲罰房を出て、比企谷達を正義の名の下に粛清するぞ!」
「隼人……うん!あーしらは間違ってないよね!」
『そうだ!俺達は間違ってない!』
『俺達は誇りあるガラードワースの未来を担う人間なんだから正しいに決まってる!』
『今は捕まっているが、いつか葉山君が比企谷八幡から全てを救ってくれるさ!』
『HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!』
『HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!』
『HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!』
「皆……ありがとう!これからも俺に付いてきてくれ!比企谷から世界を救うぞ!」
『もちろん!』
ガラードワースの懲罰房にて、葉山隼人は突如やってきた三浦達に驚くも彼女らの発言(全て嘘)を聞いて比企谷兄妹に怒りを抱き、懲罰房を出てから八幡と小町を粛清すると誓ったのだった。
それを聞いた三浦達は内心喜びながら葉山の応援をし始める。そこには確かに希望が満ちていた。……正しい希望かはさておき。
尚、看守室にいる看守が呆れ果てているのは言うまでもないだろう。
「ぐすっ……シルヴィアさーん!」
「良い勝負だったぜー!うぅっ……」
「最高よー!……ひっぐっ」
「……本当に見事だったわ……スン」
「素晴らしかったですぅ……!」
「おいおいルサールカよ泣くなって……ま、良い勝負だったのは同感だけどよ」
「ええ。結局シルヴィアが優勝出来なかったのは残念ですが」
「ま、そういう事もあんだろ。重要なのは楽しめたかどうかと、敗北を次にちゃんと活かせるかだぜ?」
「そうですね……まあシルヴィアなら大丈夫でしょう」
「だろうな……って訳でペトラちゃん。閉会式と表彰式終わったら飲みに行かね?」
「随分と急な誘いですね。まあ偶には良いでしょう。ちなみに場所は?」
「ん?ホテル・エルナトの展望バー」
「……良くそんな席を手に入れられましたね。一体どうやって?」
「知りたいか?」
「遠慮しておきます。絶対に聞きたくないです」
クインヴェールの専用観戦室にて、ルサールカは人目を憚らずに泣き始めて、涼子は2人の試合を肴に酒を飲み、ペトラは涼子の質問に対して関わらないことを決めていたのだった。
「良い勝負だったね……」
「はい。全てを賭けた戦い……私、胸が熱くなってしまいました」
「私もですわ!2人とも実に見事に一進一退の攻防でしたわ!」
「私もいつか、あんな風に強くなりたい……!」
「ニーナならきっとなれるわ。ねぇオーフェリア?……オーフェリア?」
「…………何?」
「何でもないわ。それより涙は拭きなさい。感動したって気持ちはわからなくもないけど、貴女は後で八幡とシルヴィアに会いにいくのよ?どうせなら優しい笑顔で迎えてあげないと」
「っ……そうね。ありがとう……私、八幡とシルヴィアの所に行って良いかしら?」
「もちろん。私達は待ってるからごゆっくり」
「ええ……じゃあまた後で」
チーム・赫夜もルサールカ同様に感動して、オーフェリアは涙を流しながらも八幡とシルヴィアが向かったであろう治療院に向かって走り出したのだった。
「……知らない天井だ」
「そうだね……でも横には知っている人がいる」
目を覚ますや否やそう呟くと、横から声が聞こえたので顔を動かすと……
「おはよう八幡君」
隣にはシルヴィが笑みを浮かべて俺を見ていた。そして横の時計を見れば3時過ぎ。決勝は正午からだったので3時間近く寝ていたのだろう。
「おはようシルヴィ、やった俺が言うのもアレだが随分とボロボロだな」
シルヴィはベッドの上にいて、頭には包帯を巻いていて両腕と左足にはギプスが付いていて明らかにボロボロだった。
「いや、八幡君も大差ないからね?」
言われて俺は自分の状態に気付く。頭には包帯を巻いていて、右腕には包帯が巻かれていて左腕は肩から先が無く、左足にはギプスとシルヴィと大差ない。
「だな……しかし痛みが全くないから治癒能力による治療をして貰ったみたいだな」
「そうだね……それにしても、今年は勝てると思ったんだけどなー」
シルヴィはそんなことを言っているが、そこまで悔しそうではなく、寧ろ満足した表情だった。
「ありがとうね八幡君。負けたのは悔しいけど楽しかった。最後に戦えたのが八幡君で良かったよ」
そんな風に礼を言ってくるが、俺も同感だ。シルヴィと持てる全てを賭けた戦いは激痛が伴ったがスカッとした気分で幕を下ろしたからな。
「俺もだよ。お前と戦えて良かった」
シルヴィとの試合ーーーいや、今回の王竜星武祭を通して俺は更に強くなれたと思っている。一部を除いて、どの試合も俺の糧になれただろう
そんな風に思いながらシルヴィと笑い合っていると……
「八幡、シルヴィア。入るわよ」
オーフェリアが病室に入ってくる。見れば目元が赤く、息を切らしていた。そして俺達の元に寄ると今まで1番優しく、それでありながら美しい笑みを浮かべて……
「2人とも、お疲れ様……!」
俺とシルヴィを労ってくる。それだけで俺は幸せな気分になってくる。見ればシルヴィも同じ気持ちのようで優しい笑顔を浮かべている。今すぐハグしたいが、俺もシルヴィも腕が動かないので断念する。
「うん。オーフェリアも激励ありがとね」
「全くだ。退院したら美味い飯を食わせてくれや」
「……わかったわ。腕によりをかけて作るわ」
オーフェリアは満面の笑みを浮かべながら小さく頷く。その笑顔は初めて会った頃には絶対に浮かべないような笑みで見ていて興奮してしまう。
(ああ、やっぱりアスタリスクに来て良かったな……)
俺は心からそう思う。昔は一人で本を読んで、ボンヤリと過ごしていれば満足だったが今では無理だろう。
アスタリスクに来て色々癖のある人間と出会ったり、自分より遥かに強い人間や互角に渡り合える人間と戦ったり、可愛い弟子達を通じて戦いの楽しさを知ったりと、楽しい事だらけだ。可能なら死ぬまでこんな風に過ごしたいものだ。
「じゃあグラタンはお願いな」
「あ、私もオーフェリアのグラタン食べたい」
「ふふっ……はいはい」
そんな事を考えながら俺達は他愛ない雑談を楽しんだのだった。
3時間後………
「ーーー以上の事から今回の王竜星武祭は歴代最高だと判断出来ます。力と力の激突、全てを賭けた戦いと個人戦の王竜星武祭らしい戦いーーー」
俺は今車椅子に乗ってシリウスドームーーーより正確に言うと表彰式のステージにて、運営委員長の話を聞いている。隣には同じように車椅子に乗っているシルヴィと、俺達の後ろにオーフェリアとルサールカのミルシェがいる。
俺とシルヴィは生徒会長故に原則表彰式と閉会式には出ないといけないが、今回は運営委員会からは出なくて良いと言われた。
しかしシルヴィが最後の星武祭だし表彰式には出たいと言ったので、俺も出る事にした。その時にヤン院長は物凄い怒ったが最後には車椅子での参加ならと許可したので表彰式に参加する事が出来た。
ちなみに表彰式に出席する選手は優勝者と準優勝者だけであるのに何故オーフェリアとミルシェがいるのかというと、俺とシルヴィは両腕がマトモに動かせずにトロフィーが受け取れないので代わりに受け取る為だ。
そんな事もあって俺とシルヴィは表彰式に参加しているが、参加すると言った時の知り合いの反応は凄かった。最初は無理しないで寝ろと物凄く反対して説得に苦労したし。(特に小町やノエル)
閑話休題……
ともあれ俺とシルヴィとオーフェリアは今表彰式のステージに立っている。その際に同じ生徒会長のフォースターとエンフィールドは呆れ顔を、左近は苦笑い、星露は楽しそうに笑っているが気にしないでおく。
「さて、それでは優勝者と準優勝者をお呼びしようか」
そんな事を考えていると運営委員長がそう言ってくるので、オーフェリアが俺の、ミルシェがシルヴィの車椅子を押して委員長の前に出ると観客席から大歓声と拍手が沸き起こった。
「先ずはシルヴィア・リューネハイム、どんな時も笑みを絶やさずに戦いした事を称える。準優勝おめでとう」
「ありがとうございます」
シルヴィがボロボロになりながらも一礼すると大きなトロフィーを差し出されるのでミルシェが代わりに受け取る。
運営委員長は1つ頷くと、次は俺と向き合ってシルヴィが受け取ったトロフィーより一段と大きなトロフィーを取り出す。そこにはアスタリスクの象徴たる六角形の紋章が刻まれている。アレこそ星武祭に参加する人間がなによりも求めるものである。
「そして比企谷八幡。力を象徴とする王竜星武祭にて、あらゆる強者を文字通り力で打ち破った事を称える。優勝おめでとう」
「どうもっす」
俺が一礼すると優勝の証たるトロフィーを差し出されるので、オーフェリアが俺の前に出て代わりに受け取る。
すると運営委員長は俺とシルヴィに向きを変えるように促す。同時にオーフェリアとミルシェが車椅子を動かして、メディアの取材陣がいる方向に身体を向けられる。
「さあ!我々に至上の戦いと興奮を与えてくれた彼らに盛大な拍手を!」
同時に会場から先程以上の歓声と拍手が巻き起こり、フラッシュが焚かれまくる。王竜星武祭が始まってから最も盛大で熱狂的な喝采だ。
(ふぅ、目立つのは好きじゃないが……偶にはこういうのも悪くないな)
内心苦笑しながら俺は暫くの間、拍手と歓声を受け続けたのであった。
初めて足を踏み入れた頂点が立つ場所……思っていたより居心地が良かったのだった。
………
………………
………………………
………………………………
「……て」
真っ暗の中、いきなり声が聞こえて身体に軽い衝撃が走る。何なんだよ一体?
「起き……い。もう……よ」
次の瞬間、さっきよりハッキリした声が聞こえて身体を揺らされる。同時に目を閉じている事を理解する。
だから……
「んんっ……」
目を開ける。するとそこにはスーツを着た女性が呆れた表情を浮かべていた。長い常盤色の髪にミステリアスな雰囲気な美女。彼女は……
「フロックハート……いや、クロエか」
「そうよ。だけど貴方にフロックハートって呼ばれるのは久しぶりね。昔の夢でも見たのかしら?」
「ああ。俺がシルヴィを王竜星武祭で倒したーーー20年以上前の夢をな」
随分と懐かしい夢を見た。それでありながら鮮明な夢を。同じ夢を偶に見るが毎回鮮明な夢である。
「なるほどね……貴方が私をクロエ呼びするようになったのはW=Wに就職してからだし、フロックハート呼びをしても仕方ないわね」
「だな。それより本題に入るぞ。俺を起こしたって事は仮眠時間は終了で仕事が来たんだな?」
「ええ。さっき報告があって歓楽街を根城とするマフィアグループが最近W=Wの所有する倉庫を出入りしているらしいからその情報を集めてこいとの事よ」
歓楽街のマフィアがW=Wの所有する倉庫の出入り……コソ泥だとは思うが容赦はしない方が良いな
「了解。クロだとわかったら潰した方が良いか?」
「いえ。とりあえず情報の収集を第一にしろとの事よ」
「はいよ。んじゃさっさと終わらせて家に帰らないとな」
「あら。自分の妻達に早く会いたいからかしら?」
クロエがからかうように笑ってくるが、それだけじゃない。
「それもあるが、今日は茨がウチに帰って来るんだよ」
可愛い愛娘がやって来るんだ。思い切り可愛がって仕事のストレスを発散しないといけない。そんな中、仕事を明日に回すなんて絶対に嫌だ。
「茨ちゃんが帰ってくるの?何で?」
「茨は週に一度は親と過ごしたいってガラードワースの寮じゃなくて、俺んちで過ごすんだよ。マジで天使じゃね?」
「……相変わらずの親バカね。でも毎週必ず自宅に帰るなんて律儀じゃない」
「だろ?それに比べて他の3人ーーー歌奈も翔子も竜胆も各学園に入学して3ヶ月近いのに1回も帰って来ないんだぜ。お父さん寂しい」
いっそ俺が直接出向こうか?……いや、それやってキモがられたら嫌だしな……
「歌奈は今アメリカ横断ツアーなんだから仕方ないでしょう。翔子ちゃんと竜胆ちゃんは何故?」
「翔子はレヴォルフの女子を全員纏め上げてヤンチャしまくってて、竜胆は毎日黄辰殿に籠りきりって虎峰から聞いた」
俺には娘が4人いるが全員その学園に染まっている気がする。
「破天荒過ぎね……まあ良いわ。それより時間よ。八幡に地図データを送るから現場に向かって頂戴」
「あいよ。んじゃ情報手に入れたら直ぐに送るから、対策しとけよ?」
クロエにそう言ってから俺は自身の影に星辰力を込めて、そのまま影の中に入る。俺が情報収集に向かう時は絶対にバレないようにW=Wの社内から影の中に入っている。
レヴォルフを卒業して20年近く経過した。当時は星武祭だの序列戦だの生徒会長の仕事で忙しかったが、今は諜報員をやったり教師をしたりと学生時代よりも忙しい。
だが……中学時代の頃ならいざ知らず、今の俺は大変とは思っても嫌ではない。
そう思いながらも俺は影に潜ったまま端末を開き、愛する妻達からの行ってらっしゃいメールを見て幸せな気分になりながらもW=Wの本社を出て歓楽街に一直線に突き進んだのだった。
「さて……と。家族の為にも、頑張って働きますか」
学戦都市でぼっちは動く 完
ひとまずこれで本編は終了です。読者の皆様、読んでいただきありがとうございます。
今後の予定としては前に言ったように本作品の後日談や番外編、次回作の予告を投稿していきます。
その際投稿ペースは少し遅くなりますがご了承ください
今後もよろしくお願いします