10月×日
今日からアーネストさんに引き継がれて生徒会長となった。アーネストさんに比べたらまだまだ未熟ではあるが、頑張りたいと思う。
10月△日
生徒会長に就任して3日。早くも生徒会長を辞退したくなった。最初に上層部であるEPから与えられた仕事は最近話題となっている比企谷八幡の二股に関する仕事だ。
諜報工作機関の至聖公会議からの情報によると暴露したのは我が学園の一色いろはという生徒らしい。EPは前から比企谷八幡ら3人の関係を知っていたが、シルヴィア・リューネハイムが引退する可能性を危険視して公表しなかったが、彼女は逆恨みを晴らすべく暴露したようだ。
もしも来週の会見でシルヴィア・リューネハイムが引退宣言をしたら他の統合企業財体が『シルヴィア達の関係を暴露したのはガラードワースの生徒』と公表するのは容易に想像出来る。
そう判断したEPは僕に『もしシルヴィア・リューネハイムが引退宣言をして、3人の関係を暴露した人間かガラードワースの生徒だという事が世間に知られたら、世間の矛先を一色いろは1人に向けさせろ』と指示をしてきた。
要するに彼女をスケープゴートにするという事だ。彼女の自業自得とはいえ正直やりたくない仕事なのでシルヴィア・リューネハイムは引退宣言をしないで欲しいと思った。
EPから仕事を命じられた直後、胃が痛くなった僕は前副会長のレティシア先輩が残した胃薬を飲んだ。
10月□日
今日は例の会見があった。その際に3人は堂々と交際していると宣言した。途中記者が無礼な質問をして比企谷八幡とシルヴィア・リューネハイムが激怒した時は引退宣言するのかと焦ったが、3人の邪魔をしなければ引退はしないようなので安心した。
しかしEPはいつでも一色さんをスケープゴートに出来るようにしとけと警戒していた。命令だから逆らうつもりはないが出来るなら平和な状態が続いてほしい。
そして一色さんはこれ以上問題を起こさないで欲しい。冗談抜きで
12月×日
今日は今年の書類の整理をしていた。新年まで2週間を切ったので早めに終わらせたいと思った。
しかし夜になって仕事をしていたら事件が起きた。仕事の合間にネットでニュースを見ていたら、『ガラードワースの『友情剣』、公共の場でレヴォルフの生徒会長を殴り飛ばす?!』って見出しのニュースが映っていた。
次の瞬間、胃に猛烈な痛みが発生したので急いで胃薬を飲んで突っ伏した。直後レティシア先輩が来たので空間ウィンドウを渡したが、その後の記憶はなく、気がつけば医務室で寝ていて隣のベッドにはレティシア先輩が寝ていた。
僕のすぐ近くには幼馴染のノエルが泣いて抱きついてきた。心配をかけたのは申し訳ないが胃に負担が掛かるので抱きつくのは勘弁して欲しい。
12月◎日
僕は昨日の事件の真相を知るべく、昨日比企谷さんを殴った葉山さん及びその時にいた面々を呼び出した。
彼らから事情を聴くと、比企谷さんが葉山さんのチームをカス呼ばわりしたからカッとなって殴ったと言ってきた。他の面々もそう言ったので、彼らを返した後にホットラインを使って比企谷さんに問い合わせた所、
『あいつらをカス呼ばわりしたのは事実だが、その前に向こうが人の妹にデマを吐いたり、チーム・赫夜を侮辱したから、葉山が売った喧嘩を買っただけだ』
と言ってきた。それが事実なら明らかにこちらに非がある。
その後、再度葉山さん達を呼び出して問い詰めた所、『チーム・赫夜が卑怯なのは事実だ!』と十数人が言ってきた。
しかし僕の目から見たらチーム・赫夜は卑怯とは思わない。小細工を使ってはいたが、それを強豪チームに通用するまでには相当な努力が必要と理解出来たからだ。
その事から完全にこちらに非があると判断した僕は葉山さんの序列を剥奪する罰を与えた。葉山さんと連れは反対したが撤回するつもりはない。
その夜、再度ホットラインを使って比企谷さんに謝罪をすると言ったら、
『じゃあマッ缶100本くれ』
と要求してきた。何とも欲の無い人だ。
通話を終えた後、比企谷さんや葉山さんなどが通っていた総武中を調べてみたが酷いの一言だった。
特に学園祭。実行委員が9割以上サボったり、エンディングセレモニーで実行委員長が逃げ出すなど論外としか思えなかった。この事件は比企谷さんが泥を被ってなんとか成功に終わったようだが、危険性があり過ぎる。
だから僕は来年度以降は総武中の生徒の受け入れを拒否するように上層部に申請した。