「……と、言うわけで今回の鳳凰星武祭でウチは壁を越えた人間は出ないんで、言い出しっぺの星導館より情報の価値は低いのて合同合宿に参加する事に賛成ですね」
クインヴェール女学園の会議室にて、俺は他の戦闘担当教師陣と例の合同合宿についての話をしている。
「比企谷先生、それは確かな情報なのですか?」
「はい。実は昨日俺は綾斗達と男子会に、ウチの嫁3人も綾斗の妻4人が参加する女子会に参加した際に聞きましたから確かな情報です」
「えっと……話は脱線しますが、その男子会と女子会ってどんなメンバーだったんですか?」
「男子会は俺、綾斗、虎峰、アーネストさん、材木座の5人で、女子会はウチの嫁3人に綾斗の嫁4人、妹の小町に、エルネスタ、レティシア、セシリーはの11人ですね」
その言葉に騒めきが生まれる。まあ参加するメンバー全員が星武祭で実績を出している上に、統合企業財体の幹部だったり、警備隊の人間だったら世界トップクラスの会社の重鎮だからな。
「とにかく、話によれば綾斗の娘ーーー零と紗枝は出るらしいので情報収集しておくに越したことはないと思います」
俺がそう言うと合同合宿反対派のメンバーはメンバー同士で話し合い、やがて1人が手を挙げる。
「比企谷先生、それならば合同合宿に賛成したいと思います。前シーズンでは後一歩のところで星導館に総合優勝を奪われたのです。今シーズンで総合優勝する為には鳳凰星武祭で星導館に出来るだけ稼がせないべきです」
俺が学生だった頃のクインヴェールは星武祭を生徒の魅力を引きだす為のステージとしか思ってなくて、総合優勝を狙っておらず毎回六学園最下位であった。
しかしお袋がクインヴェールの教師に就任してからは一転、魅力を引き出しながら勝つという方針に変化して、毎シーズン総合優勝を狙いに行く学園に変化した。
客を魅了しながらも実績を出すようになったクインヴェールの人気は今や六学園ぶっち切りとなったくらいだ。
それによって教師陣も総合優勝をする為の最善の道を行くようになり、俺の意見が理に適っていると判断してくれたのだろう。
ならば俺は賛成してくれた教師の期待に応えるだけだ。
「では合同合宿の件については決まりですね。今後他学園との交渉は自分がするとして、次に公式序列戦の制度についてですが……」
そんな事もあって他学園との合同合宿については行われる事が決まった。
「って訳でウチの学園も参加する事になったわ」
『わかりました、ご協力感謝致します』
職員会議を終えた俺は合同合宿発案者の綺凛と電話をしている。しっかし職員会議って毎回毎回気を張ってるから疲れるなぁ……
「どういたしまして。ちなみに参加する学園と合宿場所は決まったのか?」
『はい。参加する学園は星導館、クインヴェール、ガラードワース、界龍の四学園で、合宿場所は大津です』
大津……アスタリスク外部にして銀河の本拠地がある場所か。随分と本気具合が見えるな。
「わかった。じゃあ詳しい日程が決まったら早めに教えてくれ」
そしたらW=Wとしての仕事やクインヴェール教師としての仕事の調整をしないといけないからな。
『わかりました、では失礼します』
空間ウィンドウに映る綺凛が小さく一礼して通話を切ったので空間ウィンドウを閉じて端末をポケットにしまう。
しっかし界龍も参加するのか……理由はない。理由はないが……
「なーんか嫌な予感しかしねぇな……」
思わずそう呟いてしまう。この合宿、間違いなく平和に終わる事はない気がしてならない。
「はーい……じゃあ日程が決まったらまた連絡ちょうだい、またねー」
「なんじゃセシリー。例の合宿について進展があったのかえ?」
同時刻、界龍の職員室にてセシリーが綺凛との電話を終えると、界龍最強の星露が話しかけてくる。
「あ、師父。うん、結局レヴォルフとアルルカントを除いた四学園でやる事になった。合宿場所は大津だね」
「大津……アスタリスク外部じゃのう……はっ!そうじゃセシリー!その合宿についてじゃが、クインヴェールの引率教師に八幡は来るかのう!」
「八幡?綺凛ちゃんは来るって言ってたけど?」
「ならば儂も同伴させて貰うぞ!久しぶりに八幡と戦いたいしのう!」
「はっ?!えぇぇぇぇぇぇっ!」
星露の突然の発言にセシリーを始め、職員室にいる教員は全員驚きの声を上げるも仕方ないだろう。八幡と星露の戦いによってシリウスドームが破壊されたのは有名な出来事なのだから。
「いやいやいや!2人が戦ったら星武憲章違反でしょう!師父はともかく、八幡が違反するとは思えないんだけど!」
セシリーが慌てながら注意するも星露は気にする素振りを一切見せずにいた。
「甘いなセシリー。星武憲章はアスタリスク内部での法律。アスタリスク外部には適応されない!よってアスタリスク外部の大津で戦えば儂も八幡も法律で罰せられらる事はないのじゃ!」
星露の言葉にセシリーはハッとした表情になる。彼女の言う通り、星武憲章では八幡と星露の戦闘は禁止されているのでアスタリスクで戦うのは無理だが、アスタリスク外部なら特に制限はない。
(こ、これは凄い事になりそうだなー。私1人の手には終えないし、虎峰も誘ってみようっと)
セシリーは満面の笑みを浮かべている星露を見て引き攣った笑みを浮かべながら、虎峰も道連れにする選択をしたのだった。
『それでだな八幡よ。エルネスタ殿が朝食を作ってくれたのだよ。味はお世辞にも美味いとは言えんが、不安そうな表情の彼女を見ると不思議と箸が進むのだよ』
「あー、はいはい。それは愛の力だな」
仕事を終えて帰宅した俺は、自室にて材木座から惚気話を聞かされている。
材木座とエルネスタが結婚したのは昨日だが、奴の話す惚気話は正直言ってガチで甘過ぎる。基本的にコーヒーは甘党派の俺でもブラックコーヒーを求めてしまうくらいだ。
『しかも八幡、我わかったのだが……』
「何をわかったんだよ?」
『……キスというものは甘いな』
「俺は20年以上前から知っとるわ!」
何で俺はこんな初々しい話を聞かないといけないんだよ?!マジでなんなんだお前らは?!結婚する前は無意識のうちに凄くイチャイチャしていた癖に、いざ結婚するとこっちが恥ずかしくなるくらい初々しいやり取りをやってんだよ?!
「で、今幸せなのか?」
『うむ……昨日までは結婚する事を考えてなかったが、なんというか……良いものだ。胸が温かい』
「そうかい……それはなによりだな」
もうやだ……何かメチャクチャ甘い純愛小説を読んでる気分だ。後で嫁の1人にブラックコーヒーを淹れて貰おう。
『それでだな八幡よ……新婚旅行に行くとしたら何処が良い?』
「あん?俺達は草津の温泉宿にしたぞ」
『……えらく地味ではないか?』
「うるせぇな。俺の嫁達は温泉に憧れてたんだよ」
全員ヨーロッパ出身で日本の温泉に強く興味を持っていたから温泉宿にしたんだ。そんで3人とも満足してくれたので本当に良かった。
『ふむ……そんな考えもあるのか。そうなればやはりエルネスタ殿と行ったことのない場所にするべきであるな……』
そういやこいつ、結婚する前から長期の休みにエルネスタと旅行に行っていたな。何でこいつらアレだけ仲が良いのに結婚するのは遅かったんだよ?
「そこはエルネスタ本人と決めろ。てか俺は仕事があるからそろそろ切るぞ」
嘘だけど。これ以上こいつの甘過ぎる惚気話は聞きたくないのが本心だ。
『むっ……それは失礼した。ではな八幡、また我が困ったら相談に乗ってくれると助かるわ』
誰が乗るか。また惚気話を聞かされるのが目に見えとるわ。
「気が向いたらな」
そう言って通話を切って空間ウィンドウを閉じる。これ以上話していると面倒な予感しかしないし。
ともあれ惚気話を聞かされまくってメチャクチャ口が甘いのでブラックコーヒーを飲もう。
口の中の甘みを消すべく一階に向かうと……
「はい。ブラックコーヒーが出来たわよ」
「ありがとうオーフェリア」
「では早速飲みましょう」
丁度俺の嫁達がタイミングよくブラックコーヒーを淹れていた。なんというナイスタイミングだ!
「済まんオーフェリア。俺の分も淹れて貰って良いか?」
俺がそう尋ねると嫁達も俺に気付いたようでこちらを向いて……
「もしかして八幡君、義輝君から惚気話を聞かされたの?」
「ああ……もしかしてお前らはエルネスタから?」
「うん。本人は惚気話をしているつもりはなかったみたいだけど、話してる内容が凄く甘かったら……」
「なんなのあの2人。結婚する前は無意識にイチャイチャしていたかと思ったら、結婚したら初々しくなるのかしら?」
「知らん。恋愛なんて人それぞれだからな。俺だって三股かけてるし、今オーフェリアとの出会いを思い出すと良く結婚出来たなって思うぞ」
初めてオーフェリアと会った場所はレヴォルフの校舎裏だ。中2の終わり頃、序列2位の座を手に入れる少し前に色々な人間に目を付けられていて、人目のつかない場所を探していたら気に入った場所にオーフェリアがいたのだ。
最初はどうしようか悩んでいたが、当時のオーフェリアはまるで俺に興味を持っておらず、居ないかのように過ごしていたので俺も気にしないでオーフェリアから少し離れた場所で飯を食ったのが、オーフェリアとの出会いだ。
その後は1ヶ月くらいお互いに無言で飯を食っていたが、俺が序列2位になってからオーフェリアが話しかけてきたのだ。何故ここで飯を食べるのかと。
そん時に俺が人と関わりたくないと返すと、オーフェリアは小さく頷いてまた無言になって飯を食うのを再開した。
その後、俺が序列戦でオーフェリアに挑んでボコボコにされたりしながら、週に一度言葉を一言二言交わして、中3になって王竜星武祭に参加した頃には普通に会話するようになった。
振り返ればアソコから結婚まで漕ぎ着けた俺って凄くね?
「そうね。あの頃の私は幸せを諦めていたけど、今は違うわ」
言うなりオーフェリアは俺の肩に頭を乗せてスリスリしてくる。既に歳は40以上だが見た目は学生時代と殆ど変化しておらず美しい。加えて昔と違って感情は豊かになって笑顔が可愛らしい。実に最高の妻だ。
「それは何よりだ……しっかし結婚と言えば俺達はもう結婚して15年以上経ってるな」
3人と結婚したのは大学を卒業して少ししてからだ。それからは色々あった。
式では3人のウェディングドレスを見て興奮したり、
その晩に初夜を迎えてノエルの純潔を奪ったり、
新婚旅行では4人で温泉を楽しんだり、
W=Wの諜報員としてクロエとコンビを組んだり、
仕事が軌道に乗ってきた時に妻3人が妊娠したり、
両親やチーム・赫夜のメンバーや天霧ハーレムに子供の名前を付けるのに協力して貰ったり、
育児休暇を手に入れる為に他所の統合企業財体の情報を手に入れまくったり、
3人の出産に立ち会ったり、
子供を適度に甘やかして適度に厳しく育てたり……
結論を言うと……
「うん。やっぱり俺お前らと結婚して良かったわ」
ただ純粋にそう思った。3人と結婚してからは毎日が幸せだ。家に帰れば3人は笑顔を見せてくれる。それだけで生き甲斐があるってものだ。
「うん。私も八幡君と結婚して良かったよ」
「私今、凄く幸せよ」
「私もです……八幡さん、死ぬまで一緒に居させてください」
すると嫁達3人が俺に抱きついてくる。この温もりがあればまさに百人力だ。
しかし……
「ノエル。死ぬまでじゃない。死んでからも天国で一緒に居ろ」
今男性の平均寿命は90歳前後で、仮に俺が90歳で死ぬとしたら後50年ある。
しかし俺からしたら僅か50年しかない。4人で過ごす時間は1000年あっても足りないだろう。だから死んでからも一緒に居るつもりだ。
その事を聞いたノエルは一瞬キョトンとするも……
「はい!」
満面の笑みを浮かべながら了承する。それを聞いた俺は胸が熱くなるのを実感しながら抱きついている3人を抱き寄せて………
ちゅっ……ちゅっ……ちゅっ……
オーフェリア、シルヴィ、ノエルの順番にキスをする。まだまだこれからもこんな風にイチャイチャして過ごしたいものだ。
そう思いながら俺は眠くなるまで愛する嫁3人の唇にキスの雨を降らせるのだった。
「隼人ー。さっき仕入れた情報なんだけど、今度クインヴェールと星導館とガラードワースと界龍の四学園がアスタリスクの外で合同合宿をやるみたい。そんでヒキオも参加するみたい」
「本当か……良し!皆聞いてくれ!ガラードワースの為に動いた俺達を理不尽な目に遭わせた比企谷を今度こそする粛清するぞ!世界の平和の為にも、皆協力してくれ!」
『任せろ!俺達は正義の遣いだ!悪の化身である比企谷を殺しても問題ない!』
『そうだそうだ!アイツの所為で俺は両親から絶縁されたってのに!』
『今こそ!葉山君と一緒に裁きの鉄槌を!』
『HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!』
『HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!』
『HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!』
「皆……ありがとう!比企谷から世界を救う為に協力を頼む!合宿まで時間はあるし武器と計画の用意をするぞ!」
『おーーー!』