我は材木座義輝。元剣豪将軍である。
つい最近学生時代から縁があったエルネスタ殿と結婚したのだ。結婚する前のエルネスタ殿はとにかくだらしがなく完全に居候状態であったが、結婚してからは我の家事を手伝ってくれたりと妻として動いてくれている。
まだお世辞にも家事能力が高いとは言えないが、我に質問したりネットで調べたりするなど一生懸命さが伝わっているので、とても嬉しく思う。
そんな訳で結婚して一月も経過していないが、我は結婚する前に比べて遥かに幸せである。以前我が相棒である八幡が『結婚すると人生が変わる』と言っていたがその通りであった。
こんな事ならもっと早くにエルネスタ殿と結婚していれば……と、思ってしまうくらい今の我は幸せだ。それはエルネスタ殿も同じ意見なようで事あるごとに愚痴をこぼしてくる。
そんな我は今何をしているのかというと……
「いやー、久しぶりの京都だから楽しみだなぁ。ね?将軍ちゃん?」
エルネスタ殿と京都に新婚旅行に行っているのだ。我もエルネスタ殿も忙しい立場故に結婚してからも中々暇を作れなかったが、漸く作れたのだ。
「そうであるな。仕事で京都に来た事はあるが、観光目的で来たのは中学の修学旅行以来であるな」
「そうなんだ〜。ってことは八幡ちゃんと観光したの?」
「いや。その時には八幡は既にアスタリスクに行っていたな」
我に一言も告げずにアスタリスクに行ったかと思えば、暫くしてレヴォルフの序列2位になっていたのだ。正直あの時は度肝を抜いてしまったくらいだ。
「それよりも早く荷物をホテルに置くぞ」
折角観光に来たのだから回らなければ損である。我にとってもエルネスタ殿にとっても休みは貴重なのだから。
「そだねー。じゃあ行こっか」
エルネスタ殿は言うなり我の手を握って走り出すのでそれに続く。そんなエルネスタ殿は学生時代と変わらずハイテンションな状態で走っている。
学生時代は憎らしい笑顔であったが、今はその笑顔を見ると誰よりも可愛らしい笑顔に見える。これも結婚したからであろうな。
我は内心苦笑しながらもエルネスタ殿に続く形でホテルに向かったのであった。
1時間後……
「おー!ここが映画村か。一度行ってみたかったんだよねー」
ホテルにてチェックインして荷物を置いた我とエルネスタ殿は太秦映画村の前にいた。実際にドラマや映画の撮影にも使われる時代劇テーマパークで精巧に作られたセットや池田屋などが再現された街並み、時代コスプレ体験にお化け屋敷や忍者屋敷など様々なアトラクションがある観光名所だ。
我としても中学時代は班行動故に行けなかったので楽しみである。おそらく学生時代ーーーまだ厨二病を拗らせていた我なら間違いなくハイテンションになって周りの人に迷惑をかけていた自信がある。
大手門をくぐると辺り一面江戸の街並みになっている。厨二病を卒業した我でもこういうのを見ると楽しくなってくる。
暫く歩くと侍の格好をした2人が殺陣をやっているのが目に入る。客は皆興奮しているが我はイマイチ興奮し切れない。
隣をチラッと見ればエルネスタも似たような表情を浮かべている。これはおそらく我とエルネスタ殿はアスタリスクで圧倒的な剣士同士のぶつかり合いを間近で何度も見て目が肥えているからだろう。
折角の新婚旅行である。余りエルネスタ殿を退屈させるの愚策だ。
そこまで考えていると視界の隅に『史上最恐のお化け屋敷』と表記されたアトラクションがある。
「エルネスタ殿。折角だしアレに入らないか?」
我がそう言ってお化け屋敷を指差す。同時にエルネスタ殿は我が指差した方向を見て、いつもの楽しそうな笑みを浮かべる。
「いいよー。私スリルは大好きだし」
「そういえばエルネスタ殿は学生時代にスリルを沢山味わっていたな」
擬形体のデータ収集の為にサイラス・ノーマンを唆して星導館の生徒を襲撃したり、レナティ殿を作る為に金枝篇同盟に協力したりと中々スリルな事をやっている。
その事について我はどうこう言うつもりはない。我もロドルフォ・ゾッポが頭目をやっているアスタリスク最恐のマフィア『オモ・ネロ』を味方につける為に大量の煌式武装を採算度外視で格安で売ったり、ライバル会社を叩き潰すべく『オモ・ネロ』に動いて貰ったりとそれなりに外道な事をやっているのだから。
我の言いたい事を理解出来たのかエルネスタ殿は苦笑いを浮かべる。
「まあね。でもアレは目的の為に動いた結果、スリルを味わったんでスリルを味わう為に動いた訳じゃないよ」
「知っとるわ。それでどうする?入るのか?」
「うーん……私は興味あるけど、将軍ちゃんは怖いんじゃないの?」
エルネスタはニヤニヤした表情を浮かべて俺を揶揄っているが浅はかだな。
「馬鹿め。ブチ切れたカミラ殿の方が怖いに決まっているわ」
ブチ切れた時のカミラ殿はガチで怖い。ゴミを見る目を向けながらしてくるアイアンクローは失禁しそうになるくらい怖い。
「ぷっ……あははっ!そうだよね!怒ったカミラの方が多分怖いよね!」
エルネスタ殿はそれはもう楽しそうに笑う。やはりあのアイアンクローの威力を知っている人間からしたら当然だろう。
「確かにそれなら怖くないかもね。それじゃあ行こっか」
言うなりエルネスタ殿は我の腕に抱きついてくるので、一応夫である我はエルネスタ殿をエスコートする形でお化け屋敷に入るのだった。
どうせなら怖いものが出てきて怯えるエルネスタ殿が見たいものだ。
同時刻……
「……何故だろう紗夜。今無性にあのバカップルを殴りたくなってきたな」
「エルネスタと義輝?多分2人がカミラの事を怖いとか言ったんだと思う、勘だけど」
「実際にあり得そうだな」
お化け屋敷に入ると、そこには異様な空間が広がっていた。江戸時代をモチーフにしたようだが最低限の灯りしかなく、加えてその配置が視線を誘導して、おどろおどろしいシンボルを的確に浮かばせている。そして周囲から聞こえる怨嗟の声と念仏が雰囲気を際立たせる。
このお化け屋敷に入るのは初めてだが……
「いやー、予想以上に雰囲気あるねー」
見ればエルネスタ殿も引き攣った笑みを浮かべている。それなりに裏の道を歩いているエルネスタ殿でも、純粋に怖がらせる為の施設は初めてのようで若干恐怖しているようだ。
しかしそれは我も同感だ。たかがアトラクションと侮っていたが中々怖い。学生時代の我なら失禁していたかもしれない。
そんな中暫く歩いていると……
「ぶるぁ!」
「きゃあっ!」
お化け(恐らく機械ではなくら中の人あり)が不気味な叫び声を上げて飛び出してきて、エルネスタ殿は予想外の展開に可愛らしい声を上げて驚きを露わにする。
その際には我も相当ビビったのは否定しない。否定しないが……
(エルネスタ殿の悲鳴、可愛過ぎではないか?)
エルネスタの驚く声は聞いた事はあり悲鳴は初めて聞くが、かなり可愛らしい声であった。
とはいえ初めて妻の悲鳴を聞いた以上、安全は確認しないといけないな。
「大丈夫であるか?」
「あ……うん。予想外の展開に驚いただけで特に問題ないよ」
「なら良いが……存外可愛い声を出すな」
「う、煩いよ!日本のお化けって不気味だから仕方ないじゃん!カミラとは別の怖さだよ!」
エルネスタ殿は顔を赤くしながら叩いてくる。普段は飄々としてる癖に偶に見せる感情が可愛らしい。
「悪かったな。次からは気をつけるから行くぞ」
「将軍ちゃんのバカ……」
我が手を差し出すとエルネスタ殿は毒づきながらも手を握ってくるので歩きだす。その後も暗くてひんやりした血みどろな道を、生首やら落ち武者などに追い回されながら先に進んだのだった。
5分後……
「いやー、日本のお化け屋敷を舐めてたよ。結構怖かったね」
出口に着いて日の光を浴びているとエルネスタ殿がそう言ってくる。しかし顔を見ると満足そうな色を確認出来た。その事から楽しめたのは理解出来たので我としても満足である。
「まあ否定はしない。結構ヒヤヒヤする場面があったからな。ま、エルネスタ殿の悲鳴を聞けたから満足したがな」
「だからそれは言わないでよ!いきなり予想外の事をされたら誰だって驚くじゃん!」
「ふっ、それはエルネスタ殿が未熟だからだろう?」
我がそう言えばエルネスタ殿はジト目で俺を見てくる。
「ふーん?じゃあ将軍ちゃんは予想外の事をされたら驚かないんだ?」
「我か?当然であろう。我の精神は鋼のように頑丈であるからな」
そう言った時だった。
「ふーん?そうなんだ?じゃあ……」
エルネスタ殿はいきなり俺に顔を寄せて……
「えいっ!」
ちゅっ……
沢山の人がいる中で、いきなり我の唇を奪ってきた。既に何度も味わった事のある柔らかい感触が我の唇に伝わり……
「って!貴様いきなり何をするのだ?!」
まさかいきなりキスをされるとは予想外過ぎるわ!既に何度もしているのでするのは構わないが人目のつかない場所でして欲しい。我は八幡と違って人前で堂々とキスをする度胸などないのだから。
我が文句を言うと……
「ほら?将軍ちゃんだって予想外の事をされて驚いてんじゃん?これでおあいこだね?」
エルネスタ殿は満面の笑みを浮かべながらそう言ってくる。そこを言われると返す言葉がない。
「そうであるな……我の負けだ」
「にひひー、私の勝ちー。後でパフェね?」
「まあそのくらいは構わんが……既に結婚して財産は共有しているから奢る意味はないのではないか?」
「あ、そっか。じゃあ……えいっ!」
「んむっ!」
するとエルネスタ殿は我の首に腕を絡めて再度我の唇を奪ってきた。柔らかい感触が再度伝わり……って違うわ!
「エルネスタ殿?!」
「あははっ。将軍ちゃんの可愛い姿が見れたから今ので終わり!次行くよー」
エルネスタ殿は楽しそうに笑いながら我の手を引っ張って歩きだす。向かう所敵なしだ。
(おかしい……結婚してからのエルネスタ殿は強くて勝てる気がしないな)
最近のエルネスタ殿は色々な意味で我をかき乱して、その勢いは止まる事を知らない。
(ま、最近の我はエルネスタ殿にかき乱されて楽しいと思っているから構わないが)
そう思いながら俺は小さく笑いながらエルネスタ殿に引っ張られる形で次の遊び場に行くのだった。
その後我とエルネスタ殿は時代コスプレや忍者屋敷で遊んだ後に、龍安寺の枯山水を見たり、金閣寺を拝観時間ギリギリまで見てからホテルに帰った。
エルネスタ殿の性格的に寺などは興味ないと若干不安だったが「将軍ちゃんと回るのは楽しいよー」などと嬉しい事を言ってくれたので安心した我だったのだ。
ただ不意打ちでキスをして我の反応を楽しむのは止めて欲しいと思ったのは仕方ないだろう。
おまけ
材木座とエルネスタを見守るスレ583
~~~~~~~~
145:名無しの見守り人
2人を京都で発見。時期的に考えて新婚旅行
146:名無しの見守り人
>>>146
マジで?!
147:名無しの見守り人
写真くれ
148:名無しの見守り人
婚約発表されて1ヶ月弱で新婚旅行か
149:名無しの見守り人
遅くね?
150:名無しの見守り人
>>>2人とも仕事が忙しいからだろ?
151:名無しの見守り人
『エルネスタが材木座の手を引っ張っている写真』
152:名無しの見守り人
初々しいwww
153:名無しの見守り人
禿同www
154:名無しの見守り人
エルネスタ天真爛漫過ぎるwww
155:名無しの見守り人
まるでエルネスタが娘で材木座が父親みたい
156:名無しの見守り人
俺、元材木座のクラスメイトだけど見慣れた光景
157:名無しの見守り人
>>>156
マジでか?!
158:名無しの見守り人
156の人間だけど……
『アルルカントの廊下にて、制服を着たエルネスタが材木座を引っ張っている写真』
『エルネスタが材木座の手を引っ張ってプールに入ろうとしている写真』
158:名無しの見守り人
仲良過ぎwww
159:名無しの見守り人
学生時代からこんなんだったのかよ……
160:名無しの見守り人
>>>158
の割に結婚するの遅くね?
161:名無しの見守り人
恋心を自覚するのが遅かったんじゃね?
162:名無しの見守り人
それよりも京都にいる人でこのスレ見ている人は逐一報告ヨロ
163:名無しの見守り人
>>>162
禿同。よろしくお願いします
〜〜〜〜〜〜〜〜
231:名無しの見守り人
『映画村のお化け屋敷の出口でエルネスタが材木座とキスする写真』
232:名無しの見守り人
>>>231
何でだぁぁぁぁぁぁっ!
233:名無しの見守り人
wwwwwwww
234:名無しの見守り人
大胆過ぎるwww
235:名無しの見守り人
お化け屋敷で何があったwww
236:名無しの見守り人
人前で堂々www
237:名無しの見守り人
>>>235
231の人間だが、予想外の事をされたら云々言っていた
238:名無しの見守り人
>>>237
予想外のキスをしたという事?
239:名無しの見守り人
お化け屋敷の中で何か起こったのか?
240:名無しの見守り人
なんか予想外のお化けに驚かされて、いつものように喧嘩したんじゃね?そんでエルネスタがキスをして驚かせたとか?
241:名無しの見守り人
>>>240
あり得る
242:名無しの見守り人
あり得るな
243:名無しの見守り人
だからって人前でするか?
244:名無しの見守り人
エルネスタって八幡ハーレムとは同じで気にしないタイプだからじゃね?
245:名無しの見守り人
>>>244
かもな。でもキスの雰囲気は全然違くね?
246:名無しの見守り人
>>>245
わかる。エルネスタからは初々しさを感じて、八幡ハーレムからはエロさを感じる
247:名無しの見守り人
前にカフェでお茶を飲んでいたら、目の前で八幡が嫁3人とディープキスをしていてクソ恥ずかしかった
248:名無しの見守り人
>>>247
ドンマイwww
249:名無しの見守り人
>>>247
それは気まずいwww
250:名無しの見守り人
俺も見たことある。マコンドってカフェで見た
251:名無しの見守り人
堂々過ぎるwww
252:名無しの見守り人
>>>250
247の人間だけど、俺もマコンドで見た
253:名無しの見守り人
マコンドwwww
254:名無しの見守り人
キスの現場www
255:名無しの見守り人
今度言ってみよう。世界でもトップクラスの有名人が何度も行くなら味に自信がありそう
256:名無しの見守り人
禿同
257:名無しの見守り人
>>>255
禿同。ついでに4人のキスシーンを直で見たい
258:名無しの見守り人
アレはアスタリスク名物だから
259:名無しの見守り人
大分話が逸れているが新しい写真が手に入った
『エルネスタが材木座の首に腕を絡めてキスをする写真』
260:名無しの見守り人
>>>259
まさかの2度目
261:名無しの見守り人
この2人はこの2人でバカップルwww
262:名無しの見守り人
世界で最も甘い新婚旅行www
〜〜〜〜〜〜〜〜