学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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番外編 エリオットの日記②

2月☆日

 

今日は王竜星武祭準々決勝の日であった。どの試合も見応えがあって素晴らしかった。……比企谷さんとレナティの試合の結末については前代未聞であったが。

 

またノエルはシルヴィアさん相手に最後まで諦めなかった結果、後一歩という所まで追い詰める良い試合であった。客観的に見てもノエルの戦い方は見事だったと断言出来る。

 

しかし同時に大きな問題も起こった。葉山先輩が比企谷さんに危害を加えようとしたのだ。幸い第三者には見られなかったり、比企谷さんは運営に報告しないと言ってくれたので最悪の事態は免れたと言って良いだろう。

 

そのおかげで胃に穴が開く事は避けれたが胃がキリキリして痛い。そろそろ人工の胃を作成しよう

 

 

 

 

2月♩日

 

王竜星武祭最終日。比企谷さんとシルヴィアさんの戦いは壮絶極まりないものだった。お互いの切り札をぶつけ合い、切り札が無くなったら持っているカード全てをぶつけ合い、最後は頭突きで勝負を決めた。

 

泥臭い戦いでガラードワースの戦いとは相反する戦いであったが、不思議と僕の胸には興奮が生まれていた。それはアーネストさん達も同じようで顔には興奮の色があった。

 

結果比企谷さんがシルヴィアさんを打ち破って優勝した。その時僕は凄いとプラスの感情が浮かんだ。レヴォルフの生徒が優勝して喜ぶのには驚いたが不思議と嫌な感情は無かった。よって王竜星武祭の閉会式も気持ちよく迎えられたのだった。

 

 

 

 

2月♫日

 

王竜星武祭が終わった次の日、僕とレティシア先輩は入院した。理由は胃に穴が開いてさたから。

 

昨日王竜星武祭の閉会式が終わった時のことだった。シリウスドームからガラードワースに帰ろうとした際に、至聖公会議から葉山先輩のグループが比企谷小町さんに襲撃をしたと連絡が入ったのだ。

 

その場にいたアーネストさんとノエルによると、それを聞いた僕とレティシアの口から血を流して倒れたらしい。

 

もう嫌だ。何故葉山先輩のグループは毎度毎度比企谷さんに喧嘩を売って殺そうとするのだろう。仮にもし比企谷さんを殺すなら、それこそ壁を超えた人間が必要なのを理解出来ていないのだれうか?

 

正直に言って今直ぐ会長を辞退したい。

 

 

 

 

 

3月◯日

今日は中等部を卒業する日だった。僕は晴れやかな気分の状態で挨拶をした。高等部に進学したら今以上に頑張らないといけない。僕の星武祭の参加枠は後1つしかないが2年後の獅鷲星武祭で優勝しないといけないのだから。

 

それと葉山先輩のグループと一色いろはの監視についても強化しないといけない。つい最近懲罰室や精神病院から戻ってきたが、また問題を起こす可能性が高いのだから。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

3月◯日

 

大学生活1年目ももう直ぐ終わる時だった。今日僕は突如ノエルに大切な話があると言われて呼び出された。

 

何の話だと聞いてみれば、ノエルはつい最近比企谷さんとシルヴィアさん、オーフェリアさんのバカップル3人に認められて比企谷さんの彼女になったと話した。

 

それを聞いた僕は胃に激痛が走るも、長年胃痛に苦しんで耐性が出来たからか穴が開く事は無かった。

 

それから詳しく聞くと比企谷さんが大学を卒業した後に実家に行って、許しを貰って式を挙げると言っていたので、当日は僕も行く事にした。メスメル家当主は温厚で割と放任主義だが、彼氏のイレギュラー性を考えると何が起こるかわからないから。

 

 

3月♫日

 

僕は比企谷さん及び彼女3人とメスメル家に向かった。目的は当然ノエルの結婚について。

 

そしてメスメル家当主と会ってから1分で荒れ始めた。当主は放任主義な上に比企谷さんオーフェリアさんシルヴィアさんとのコネを考えて反対はしなかったが、奥方様や部下は家の名が汚れるとそれはもう猛反発した。途中でオーフェリアさんが激怒しかけるくらいに。

 

暫くの間、反対されてオーフェリアさんが立ち上がろうとした時だった。ノエルが懐から何かを出したかと思えば、自分の持つメスメル家の権力を全て放棄する旨を記された紙、いわば絶縁状に近い紙だった。

 

当然奥方様やメスメル家の部下達は焦って撤回するようにノエルに促すも、ノエルは『ならば結婚を認めてください!』と諦める様子は無かった。

 

暫く押し問答を繰り返した結果、奥方様は渋々ながらも結婚を認め、それによって大勢は決まった。当主と奥方様が認めた以上部下は従うしかないのだから。

 

そうしてノエルの結婚が決まったのだった。式は比企谷さんがW=Wに就職してからとなった。これから先色々と面倒な事は起こるが、頼むからこれ以上僕の胃を傷つけないで欲しいと強く思った。

 

 

 

 

 

 

 

「おや、随分と懐かしい日記だな」

 

E=Pとして仕事を済ませ帰宅したエリオットは自室の書斎の整理をしていたら学生時代に記していた日記を発見してパラパラと捲る。

 

そしてその日記の最後のページーーーノエルが実家に帰って結婚の許可を貰う事を記したページを見て昔を思い出す。

 

「そうだった……あの時のノエルは凄い鬼気迫っていたなぁ……」

 

当時エリオットはノエルの鬼気迫った顔を見て驚きを露わにしていた。

 

その事を懐かしく思いながら日記を閉じて、その日記の隣にある日記を持ってため息を吐く。

 

「そしてその後には様々な問題があって僕の胃が爆発したんだよなぁ……」

 

エリオットは哀愁を漂わせながら最悪の事件について記された日記を開くのだった。




明日から旅行で14までお休みとなりますがご了承ください

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