学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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番外編 エリオットの日記③

4月◯日

 

今日、全世界にノエルが比企谷さんの恋人と1人となり、シルヴィアさんとオーフェリアさんを加えた計4人で結婚する事を発表された。

 

ネットを見れば、勿論否定の言葉も多々あった。しかし……

 

『え?ノエルはあのバカップル3人の中に入れたの?街中で平然とディープキスをする3人に?』

 

『それって凄くね?俺あの3人がイチャイチャするのを直で見たことあるけど、入れる自信はないぞ』

 

『バカップル4人の誕生か?!』

 

こねように意外とノエルを凄いと褒める意見があった。まあその意見には賛成だ。僕も3人が学園祭でガラードワースに来た時にイチャイチャするのを見たが、あそこに入るのは至難どころか無理だと思っていたのだから。

 

加えてノエルは比企谷さんの事になると強気になるので記者会見でも大丈夫だろうと思った僕だった。

 

 

 

 

 

4月▲日

 

今日は例の記者会見が行われた。しかし特に波乱は起こらなかった。一部の記者は悪意のある質問をしてきたが、その記者に対して4人は質問を無視して『持っている力を全て駆使して相応の対応をする』と返して、悉く潰していった。

 

しかしそれも当然だろう。ノエルはヨーロッパ屈指の名家の御令嬢で、比企谷さんは歓楽街のマフィアとのコネ、オーフェリアさんは世界最強の力、シルヴィアさんは世界の歌姫としての権力など圧倒的な力を持っているのだから。

 

そして最後に方針を発表した。ノエルは結婚しても大学は辞めず、卒業したらガラードワースで働くか専業主婦になると返した。僕としては今後ガラードワースの発展の為にガラードワースで働いて欲しいと思った。

 

 

 

 

4月◻︎日

 

僕は今入院している。原因は数日前に起こった事件で胃が爆発したからだ。この数日、検査や手術の為に日記を付けれなかったが、今日になって漸くある程度回復したのでベッドの上で記す。

 

数日前だ。僕はE=Pの幹部らにノエルの結婚について話をしていた時にメールが来たのだ。見れば至聖公会議からで葉山グループのメンバーが『比企谷さんに洗脳されたノエルを助ける為』と比企谷さんに襲撃をしたのだ。しかも情報によれば本気で殺す気だったらしい。

 

それに対して比企谷さんは全員返り討ちにしたのだが、その時に偶然警備隊が最初から見ていたらしく葉山グループの面々はその場で逮捕された。

 

それを聞いた時は僕だけでなく一部のE=Pの幹部らも胃に大ダメージが入ったらしく、僕と一緒に入院する事が決まったようだ。

 

……そんな事があって僕は入院して数日間日記を付けれなかった。ネットを見ればガラードワースの評価は最悪で、今や悪名高いレヴォルフよりも低評価だ。

 

正直な話、僕の在学中はこの悪評を消す事は間違い無く無理だろう。これは僕だけでなくE=Pの幹部らも同意見だ。上層部からは少しでも評判を上げる為、僕に獅鷲星武祭で優勝しろと言ってきた。

 

僕は既に星武祭は2回出たので、評判を上げれるとしたら獅鷲星武祭優勝しかない。おそらくそれが僕の生徒会長としての最後の責務となるだろう。それも失敗は許されない責務だ。

 

とりあえず退院したら修行の時間を増やさないとな……

 

 

 

5月◯日

 

人口の胃を用意して退院してから2週間。僕は例の比企谷さん達4人の結婚式に参加した。と言っても比企谷さん達の要望で客については4人の友人や親族が殆どなので、総勢200人程度と主役4人の知名度から考えると小規模な結婚式だった。

 

式場は昔、オーフェリアさんが住んでいたリーゼルタニアの孤児院を兼ねた教会で行われたが客の殆どは有名人であった。

 

僕の前の席にはヘルガ・リンドヴァル隊長や比企谷さんの母親である『狼王』比企谷涼子が、後ろの席には星武祭を荒らしまくったエルネスタ・キューネや材木座義輝にカミラ・パレートに擬形体3人が座るなど豪華なメンバーだった。

 

そんな風に世界に名を馳せている有名人が集まる中、遂に件の4人が現れる。4人はそれぞれ全く別の雰囲気を醸し出しているが、全員何らかの形でこの場にいる客を魅了しているという共通点が存在していた。

 

そして神父の前に立った4人は誓いの言葉を口にしてから指輪交換をする。そして結婚式でお約束の誓いのキスを交わした。4人で同時に重ねるそれは、ガラードワースでなら咎められる行為かもしれないが、何処か神秘的な雰囲気があって思わず魅了してしまった。

 

そして唇を重ねた4人は本当に幸せそうな表情を浮かべていた。願うなら4人の人生に幸あれと心から思った。

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

「本当に懐かしい……」

 

エリオットは結婚式について記された部分を読んで感慨深くなる。実際エリオットの脳裏にはあの光景がこびり付いている。

 

「その後は本当に大変だったなぁ……」

 

エリオットはため息を吐く。当時のエリオットの労働環境は最悪だった。結婚式が終わって直ぐにガラードワースの評価を少しでも上げる為に動いたり、生徒会長として本来の仕事に取り組んだり、獅鷲星武祭に備えて訓練をするなど例年以上にハードなスケジュールだった。

 

 

その後獅鷲星武祭を優勝して多少評価を上げ、3回目の星武祭の出場を果たしたエリオットの生徒会長としての仕事は終わった。その時のエリオットの心は歓喜に満ちていた。

 

そして最近になって漸くガラードワースの評価は葉山達が事件を起こす前の評価と同じくらいになったのだ。

 

「そう言えば彼らは最近出所したようだが……嫌な予感しかしないな」

 

それについてはエリオットだけでなく、八幡や八幡の妻3人、警備隊の綾斗や小町も同じ事を考えていた。

 

「万が一再度襲撃をしたら、今度こそガラードワースの評価は地に堕ちる……監視の申請をしておくか」

 

エリオットはそう思いながら日記を閉じて、空間ウィンドウが表示して至聖公会議に連絡を取り始めるのだった。


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