学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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比企谷八幡は看病?される(オーフェリア編)

 

 

 

 

「……という訳で今日は応援に行けないわ」

 

俺は今実の妹の小町と連絡を取っている。

 

『それが普通だよ。というか応援に来たら殴るよ?』

 

「ちょっと小町ちゃん?殴るなんて言わないでくれる?」

 

『いやいや。それが普通だからね?何せ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

40度近い熱を出してるのに会場に行くなんてバカだからね?』

 

 

そう。俺は風邪を引いてしまいました。

 

四回戦が終わって、エンフィールドと電話をしたら急な頭痛が起こりそのままベッドに倒れ込んだ。

 

原因は多分アレだ。

 

鳳凰星武祭初日の夜にシルヴィと会って以降、オーフェリアの家に泊まっている時以外は殆ど毎日歓楽街に行って遊んだりウルスラを探しているからだろう。レヴォルフの校則には門限関係の物がないので問題ないと少しウロつき過ぎたようだ。

 

 

 

そんで翌日になって目が覚めると体が熱く気分も最悪だった。体温を測ったら39.6度と高熱だった。流石の俺もこれは無理だと判断して会場に行くのを諦めた。そして今後は深夜2時には寮に帰るように心がけよう。

 

「まあそれはわかってるよ。とりあえずオーフェリアとシルヴィにも連絡しないといけないからもう切る。五回戦頑張れよ」

 

『もちろん。お兄ちゃんも早く治してね。バイバーイ』

 

そう言って空間ウィンドウが消えた。さて、次はオーフェリアに連絡を……

 

「……ぐっ」

 

オーフェリアの端末に連絡を入れようとしたら再び頭痛が襲いかかる。ダメだ、電話は時間がかかるからメールにしよう。

 

即座に『すまん。今日は熱が出ているから休む。2人で見てくれ』とオーフェリアとシルヴィの携帯にメールを送る。

 

メールが送られたのを確認するとベッドに倒れ込む。熱なんて久しぶりに出したな……

 

 

俺はそのまま意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

pipipi……

 

 

耳元でアラームが聞こえたので目を覚ます。頭は未だに痛いので意識は朦朧としている。

 

痛みに耐えながら空間ウィンドウを展開する。

 

『来訪者です。取り次ぎますか?』

 

機械音声が流れて空間ウィンドウに『Yes』と『No』のボタンが現れる。

 

来訪者?誰だ?考えられるとすれば偶にうちに来るイレーネとプリシラあたりだろう。

 

一瞬そう思ったが違うと決定づけた。あいつらは確か昼過ぎに退院だった筈だ。今は12時前だから違うだろう。それに退院して直ぐにうちに来るとは考えにくい。普通まず始めに自分の寮に戻るだろうし。

 

とりあえず玄関と繋ぐか。

 

そう判断してもう一つ空間ウィンドウを開いて玄関にあるカメラに映る映像を見てみる。すると予想外の客に目を見開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……オーフェリアにシルヴィ?」

 

そこには今日一緒に鳳凰星武祭を見に行く約束をした2人がいた。

 

『あ、八幡君。起きてたんだ?お見舞いに来たんだけど開けて貰っていい?』

 

シルヴィがそんな事を言ってくる。いや、開けるのは構わないが……

 

「何で俺の寮の場所知ってんだよ?」

 

オーフェリアもシルヴィも俺の寮には来た事がない筈だが……

 

『八幡君私の能力を忘れたの?』

 

シルヴィが苦笑いしながらそう言ってくる。あ、そうだ。シルヴィは探知能力もあるんだった。頭が痛くて抜け落ちていた。

 

(……っと、とりあえず開けないとな)

 

『……今開ける』

 

俺は何とか腕を動かして空間ウィンドウに表示されている『Yes』のボタンを押す。それと同時に腕を下ろす。腕上げるのも一苦労だな。

 

それから30秒もしないで2人が俺の部屋に入ってくる。

 

「……大丈夫?」

 

「……全然」

 

マジでヤバい。それ以前に久々に風邪を引いたからな。

 

「ちょっと熱測るね」

 

言うなりシルヴィの手が額に当たる。シルヴィの白魚のような綺麗な手が俺の額に……

 

「………」

 

ヤバい。熱以外の理由で更に顔が熱くなってる気がする。

 

「うわ、本当に熱いね。しかも制服で寝ちゃダメだよ」

 

あー、そういやエンフィールドと話してから風呂に行かないで寝ちゃったんだよな。汗をかきまくっていて気分が悪い。

 

そう思っているとシルヴィが爆弾を落とす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあオーフェリアさん。私今から八幡君にお粥作るからオーフェリアさんは八幡君の体を拭いたりパジャマを着せてあげてね」

 

………は?今なんて言った?

 

「……わかったわ。八幡、タオル借りるわよ」

 

オーフェリアはそう言って立ち上がる。ちょっと待てちょっと待て!

 

「い、いや……それくらい自分でやるから……」

 

「……駄目」

 

「却下。そんなに酷い状態なんだから寝てなさい」

 

2人が俺の提案を一蹴する。いや、そうなんだけどさ……

 

体を拭くのはマジで恥ずいから止めて欲しい。以前オーフェリアに体を拭かれた事はあるがアレは俺の意識がない状態だったからまだセーフだ。

 

しかし今回は話が違う。意識のある状態でオーフェリアに体を拭かれるなんてマジで無理だ。

 

考えを改めてくれと頼もうとしたが時遅く、既に2人は俺の部屋から出て行っている。

 

(……ああ、これは詰んだな)

 

俺は抵抗する事を諦めた。オーフェリアもシルヴィも頑固であるのは知っている。だから無駄な抵抗は止めて、これから起こりうる恥ずかしい事に耐えるように精神統一をしておこう。

 

俺は目を瞑って覚悟を決め始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……お待たせ」

 

それから1分もしないでオーフェリアがタオルを持って部屋に入ってきた。遂に来たか……

 

俺が再度息を吐くとオーフェリアは右手で俺の体を起こして左手で倒れないように背中を支える。

 

「……直ぐに終わらせるから頑張って」

 

そう言うなりオーフェリアは俺の制服に手をかけて脱がし始める。

 

(……ヤバい。女の子に服を脱がされるって……恥ずかしい。そして……何というか、何かが込み上がってくる)

 

俺がドキドキしている間に制服を脱がされてオーフェリアはシャツに手をかける。

 

「……じゃあ脱がすわ」

 

そう言われるので仕方なく手をばんざいする。シャツがどんどん上に上がっていき遂に脱がされる。

 

上半身は丸裸になり汗がびっしりだった。まあ夏の夜に制服で寝たらこうなっても仕方ないかもしれない。

 

上半身が丸裸になるとオーフェリアは頬を染めながらタオルを手に持ちベッドの上に上がってくる。

 

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおっ……」

 

体を拭き始める。余りの気持ち良さについ変な声を出してしまった。濡れたタオルってのもあるがオーフェリアの拭き方が凄く優しくて気持ちが良い。これについては完全に予想外だ。

 

「……お前上手いな」

 

ついそう言ってしまう。

 

「……孤児院にいた頃に年下相手によくやっていたから」

 

俺の胸あたりを拭きながらそう返してくる。相手を気遣うような……そんな優しい拭き方だ。

 

気持ち良くなっているとオーフェリアは後ろに回って背中を拭き始める。

 

するとタオル以外にオーフェリアの手が背中に触れてきた。

 

「……っあ」

 

くすぐったくて変な声を出してしまう。

 

「……八幡。変な声出さないで」

 

オーフェリアからは蚊の鳴くような小さい声でそう言われる。どうやら狙ってやっていた訳ではないようだ。

 

「す、すまん。気をつける」

 

そう返すとオーフェリアは拭くのを再開する。ヒンヤリとしたタオルによって汗が拭かれているのがわかる。気持ちが良いな……

 

その後脇や臍を拭かれた時はまた変な声を出してしまってオーフェリアに注意されたが何とか上半身は全部拭かれた。

 

問題は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまんオーフェリア。下はマジで勘弁してください」

 

ベッドに倒れ込んだ俺は今オーフェリアを見上げながら頼んでいる。

 

上半身が拭き終わってタオルを変えてくるなりオーフェリアは

 

 

 

 

 

 

『……次は下ね』

 

はっきりとそう言ってきた。

 

それを聞いた俺も更に顔が熱くなるのを感じながら止めてくれと頼み出した。以前は下を拭かれずに済んだが……

 

「……頼む。拭くのは勘弁してくれ」

 

改めてそう頼む。

 

「……わかったわ」

 

オーフェリアは暫く考える素振りを見せてから頷く。良かった、これで辱めを受けずに済んだ……って、うおおい?!!

 

「お、オーフェリア!」

 

頭が痛いにもかかわらずつい叫んでしまった。

 

 

 

 

 

 

理由は簡単、オーフェリアが俺のベルトを外してズボンを下ろし始めたからだ。いきなり何をしやがる!

 

「……拭きはしないわ。パジャマに着替える為に脱がせるだけよ」

そう言われてズボンを下された。それによって俺の下半身はパンツ一枚になってしまった。さっきまで汗をかいていたので涼しく感じる。

 

 

 

それはいい、それはいいが………

 

 

「……あのだなオーフェリア。そろそろズボンを履かせてくれないか?」

 

さっきから下半身をガン見しているオーフェリアについ話しかけてしまう。

 

「っ……ごめんなさい」

 

オーフェリアは顔を赤らめながらパジャマのズボンを持って履かせてくれる。

 

(……ダメだ。顔が熱い)

 

看病してくれるのは本当にありがたいがもう2度とオーフェリア……いや、女子に看病されるのは勘弁して欲しい。思春期の男子にこれはヤバすぎる……!

 

パジャマに着替えた俺は精神的に疲れ果てたので再びベッドに倒れ込む。とにかく休んで回復しないと……

 

 

 

 

「……制服は汗臭いから洗濯するけどいいかしら?」

 

「ん?ああ、頼んでいいか?」

 

俺がそう頼むとオーフェリアは頷いて制服を持って俺の部屋を出た。

 

否、出ようとしていた。

 

「オーフェリア?」

 

オーフェリアは部屋を出る直前ドアの近くにある本棚をガン見している。ん?変な物でもあったのか?

 

疑問に思っているとオーフェリアは制服を地面に落として本棚に近寄る。え?マジでどうした?

 

俺はオーフェリアに話しかけようとすると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………八幡。これ何?」

 

オーフェリアがドス黒いオーラを出しながらある物を見せてくる。

 

オーフェリアの手にあったのは肌色成分が多い成人向けの雑誌だった。

 

「……あ、いや、これはだな……」

 

しどろもどろになってしまう。

 

普段自分の寮に人を入れないから堂々と置きっぱなしにしていたのが仇になってしまったようだ。

 

「……揉み天国。……八幡はこういうのが好きなの?」

 

ドス黒いオーラを纏ったオーフェリアは雑誌を開いて俺に見せながら近寄ってくる。

 

「あ、いや……それはだな「はっきりと答えて」あ、はい」

 

余りのオーラの強さについはっきりと答えてしまう。ヤバい、今日が俺の命日か?

 

内心ビクビクしながらオーフェリアを見るとオーフェリアは雑誌を元の場所に戻して俺の手を取ってくる。何?俺の手をちぎるのか?

 

 

すると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーフェリアはいきなり自身の胸に俺の手を運ぼうとしてきた。待て待て待て!

 

「ちょっと待て!」

 

「……何?」

 

「何はこっちのセリフだ。何をしようとしてんだよ?」

 

「……だって八幡はこういうのをして欲しいのでしょう?だったら私がしてあげたらこんな本を読まないと思って」

 

待て!それだったらもう2度と読まないから止めてくれ!マジで理性が崩れて犯罪者になっちまう自信がある。

 

そう叫んで止めようとするもさっきから叫んだ為か声が出ない。オーフェリアは俺をじっと見てから再び手を運び始める。

 

(ヤバいヤバいヤバい!!)

 

手を離そうとするも力が出ないので振り払えない。このままじゃマズい。

 

俺の抵抗を意に介さないで遂に俺の手はオーフェリアの膨らみに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……八幡?」

 

触れる直前、オーフェリアの不思議そうな声を最後に視界が真っ暗になった。

 


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