学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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比企谷八幡は今朝見た夢の内容を白状する(前編)

pipipi……

 

午前7時、携帯端末のアラームが鳴り出す。俺は鳴り出すと同時に手を伸ばしてアラームを止める。いつもなら目を擦ってゆっくりと時間をかけてアラームを止めるが、今日はスムーズに止めた。

 

理由は簡単、俺は7時前から目が覚めていたからだ。だからアラームが鳴っても直ぐに止められた。

 

そして、何で7時前に起きていたかというと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……俺はオーフェリアとシルヴィを無意識のうちに卑猥な目で見てたのかよ」

 

昨日の夜、俺はオーフェリアとシルヴィが俺にエロい事をしてくる夢を見てしまった。具体的に言うと2人に搾り取られまくった夢だ。

 

夢は無意識に思っている願望が関係していると聞いた事がある。

 

つまり俺は無意識のうちにあいつらに対して欲情をしているという事になる。

 

「……はぁ」

 

かなり酷い自己嫌悪になっている。俺は大切な友人をそんな目で見てたのかよ?本当に最悪の気分だ。今日顔を合わせたくないな……

 

とはいえ約束をした手前逃げる訳にはいかない。

 

そう思いながらベッドから降りて着替えを持って風呂に向かう。あんな夢を見た所為か体が熱くて仕方ない。少し体と頭を冷やすべきだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……着いちゃったか」

 

それから2時間後の午前10時5分前、俺は今小町達が試合をするシリウスドームの正面ゲートに向かっている。

 

結局シャワーを浴びて朝飯を食っても嫌な気分のままだ。まあ仲の良い友人に対して無意識のうちとはいえ欲情していたんだ。仕方もないだろう。

 

集合場所はいつも通りお偉いさんが多くいるVIP席だ。ため息を吐きながらシリウスドームの中に入ると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「あ」」

 

そこで変装をしているシルヴィとばったり鉢合わせをしてしまった。

 

瞬間、昨日夢で見たシルヴィの艶姿が頭に浮かんでしまって顔が熱くなる。自分ではダメだと思っているのにどうしても浮かんでしまう。

 

そんな顔をシルヴィに見られたくないので顔を俯かせようとすると何故かシルヴィも顔を俯かせようとしていた。

 

は?俺はともかく何でシルヴィも?

 

疑問に思ったので顔を上げるとシルヴィと目が合ってしまった。

 

「……っ」

 

それを認識すると更に顔が熱くなってくる。ヤバい、また熱で倒れそうだ。

 

するとシルヴィも真っ赤になりながら俺を見てくる。その表情を止めろ。昨日あんな夢を見たからかいつもよりドキドキしてしまう。

 

「え、ええっと……おはよう、八幡君」

 

シルヴィは挨拶をしてくる。しかしいつもの笑顔ではなくて恥ずかしげな表情をしながら俺をチラチラ見ながら挨拶をしてきた。

 

「あ、ああ……お、おはよう」

 

その可愛らしい仕草を見てドキドキしながら挨拶を返す。少しキョドりかけたが何とか挨拶を返す事は出来て良かった。

 

「八幡君は今来たの?」

 

「あ、ああ……そんで今からVIP席に行くんだ」

 

「そ、そっか……」

 

「あ、ああ……」

 

そう言うとお互い無言になってしまう。ダメだマジでシルヴィの事をマトモに見れない。これオーフェリアも来たら詰みだと思う。

 

(つーか何でシルヴィも俺みたいになってんだよ?)

 

シルヴィの仕草は今の俺が取っている仕草そっくりだ。それがかなり気になってしまう。

 

 

そして俺は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあシルヴィ……」

 

「ねえ八幡君」

 

余りに無言が辛いので事情を聞こうとする。しかしそれと同じタイミングでシルヴィも俺に話しかけてきた。

 

「「………」」

 

それによって再び無言になってしまう。もう嫌だ。マジで気まずい。

 

「……ええっと、八幡君から先に言っていいよ」

 

シルヴィが真っ赤になりながらも苦笑して俺に発言を促してくる。

 

「い、いやシルヴィから先でいいぞ?」

 

いきなり言われて俺も咄嗟にシルヴィに発言を促してしまう。言っていいと言われたら言えないのが人の常だろう。

 

「じゃあ遠慮なく……八幡君様子が変だけど何かあった?」

 

はいあります。夜シルヴィとオーフェリアに搾り取られまくった夢を見ました。

 

しかしそれをバカ正直に言いたくない。言ったらガチで引かれそうだし。

 

「……特にないな」

 

「……いや、それは嘘だよね?」

 

ですよねー。こんな嘘普通に見破れるよねー。

 

「ま、まあ嘘だ。そういうお前こそ様子が変だけど何かあったのか?」

 

こういう時は話を逸らすのが1番だ。向こうも様子が変なら成功するだろう。

 

「え?!そ、それは……」

 

案の定ジト目で俺を見ていたシルヴィは真っ赤になって慌て出す。どうやら目論見は成功したようだ。

 

しかし……

 

「ま、まあ色々だよ。それより八幡君は何で嘘を吐いたの?も、もしかして……え、エッチな事でも考えてたの?」

 

カウンターが来ました。それも2倍になって。こんな事になるなら言わなきゃ良かった。

 

「え、あ、いや……そのだな……」

 

いきなり正解を言われてテンパってしまう。そしてシルヴィはそれが正解だと判断したのだろう。顔を赤くしながら俺を上目遣いで見てくる。

 

「や、やっぱりエッチな事を考えてたんだ……そっか」

 

そう言ってチラチラ見てくる。ぐわぁぁぁぁぁ!恥ずかしい!恥ずかしいよぉぉぉぉ!

 

何でこうなったんだよ?マジで死にたい!

 

そして俺は余りの恥ずかしさに狂ってしまったのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺もシルヴィにカウンターをしてしまう。

 

「お、お前だって最初にエロい事を浮かんだって事は、お前もエロい事を考えてたんじゃないのか?」

 

やっちまった。

 

つい言ってしまった。

 

しかし後悔先に立たず。シルヴィはそれを聞いて更に顔を赤くしてくる。

 

「うぅ………」

 

その反応が正解だと告げている。間違いない、シルヴィも俺同様エロい事を考えていたみたいだ。

 

ヤバい、マジで死にたい。誰かこの空気を破壊してくれ。

 

そう思っていると俺とシルヴィの端末が鳴り出す。俺とシルヴィの端末が同時に鳴るという事はオーフェリアか?

 

とにかくこの空気から逃げる為に端末を開く。見るとシルヴィも同じ事を考えていたようで端末を開いていた。

 

そこには……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『寝坊したわ。遅くなりそうだから2人で先に見ていて』

 

無慈悲にもこの空気を破壊するようなメールではなかった。寧ろシルヴィと2人きりの空気を維持するようなメールだった。

 

「嘘……」

 

シルヴィも呆気に取られた表情でメールを見ている。そして端末を閉じる。

 

そして何度目かわからないがお互いに無言になる。そうしてお互いの顔をチラチラと見てしまう。

 

しかし何時までもここにいる訳にもいかない。今いる場所はシリウスドームの正面ゲートの真ん中だ。今は試合開始1時間以上前だからそこまで混んでいないが、あと少ししたら人が大量に来て通行の邪魔になってしまうだろう。

 

「……と、とりあえずVIP席に行こうか?」

 

シルヴィも同じ事を考えていたのかそう言ってくる。

 

「あ、ああ」

 

その意見には賛成なので俺はそれに頷く。歩いてる間にこの空気を打破する方法を見つけられるかもしれん。

 

俺が了承するとシルヴィは真っ赤になりながらも頷いて近くにあるエレベーターに向かって歩き出したのでそれに続いた。

 

顔にある熱を消す為に早歩きをしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

VIP席にて

 

 

「………」

 

「………」

 

俺とシルヴィは顔を真っ赤にしながら無言で座っている。

 

はい、結局熱は全然冷めませんでした。寧ろ更に熱が増した気がする。

 

だというのに今までの癖でついシルヴィの隣に座ってしまった。バカすぎだろ?

 

そして気まずい状態が暫く続いて

 

「……」

 

「……」

 

シルヴィの顔をチラチラ見てると向こうも目が合ってしまい顔を逸らしてしまう。この事からシルヴィも俺の事をチラチラ見てるようだ。それを認識すると更に顔が熱くなってしまう。

 

暫くこの状態が続き息苦しくなっている時だった。

 

「……ねぇ八幡君」

 

シルヴィがいきなり話しかけてきた。

 

「な、何だ?」

 

「……その、この空気はちょっと嫌だからさ、何とかして変えた方がいいよね?」

 

そう言ってくる。確かにこの空気は辛いから変えたいのは山々だが……

 

「どうやって変えんだよ?」

 

変える方法がわからない。てか変えられるの?

 

疑問に思っているとシルヴィが真っ赤になって口を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「た、例えば、何を考えていたかお互いに話す……とか?」

 

「無理だ勘弁してくれ」

 

即答する。

 

それは無理だ。マジで無理だ。シルヴィはどんなエロい事を考えているか知らないが、俺はシルヴィとオーフェリアのエロい事を考えているんだ。

 

「わ、私だって恥ずかしいよ。でもこの空気は嫌だし……」

 

他に空気を変える方法がない。言葉にはしてないが雰囲気で何となく伝わった。

 

(……まあ、一理あるけどさ……)

 

良いか悪いかはさておき、空気は変わるだろう。良いか悪いかはさておき。というか悪い方向にしか動かない気がする。

 

「……でもなぁ」

 

当の本人にはっきりと言うのはちょっと……

 

シルヴィは話す勇気があるようだが……俺にはない。話したら今より空気が悪くなるのが簡単にわかるし。

 

そう思ってシルヴィを見る。シルヴィも無言で俺をジッと見てくる。

 

暫くの間見つめ合っているとお互いに手を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺→グー

 

シルヴィ→パー

 

シルヴィの勝ちだ。という事は勝者のシルヴィの考えであるお互いに何を考えていか正直に話すという方針となった。

 

嫌だが仕方ない。負けは負けだ。

 

「……わかった。けど2人同時に言わないか?」

 

どちらかが先に言うのは不公平な気がする。

 

「うん。それでいいよ」

 

シルヴィが頷く。顔は赤いが覚悟を決めた表情をしている。これは俺も覚悟を決めないとな……

 

 

俺は息を思い切り吸って吐き出す。それを3回繰り返してシルヴィと向き合う。

 

「……じゃあ、言うぞ?」

 

「……うん。私も言うね」

 

お互いに話す事を確認する。シルヴィから了承を得ると同時に思い切り息を吸う。シルヴィも思い切り息を吸っている。

 

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シルヴィとオーフェリアの2人を相手にエロい事をする夢を見てしまった」

 

「八幡君とエッチな事をする夢を見ちゃったの」

 

息を吐き出すと同時に今朝見た夢の内容を白状する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………え?

 

 


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