学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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シルヴィア・リューネハイムはガンガン攻める(後編)

 

 

シルヴィア・リューネハイム

 

クインヴェール女学園の生徒会長で序列1位、それでありながらアイドル活動をこなしていて『世界の歌姫』と称される世界一有名と言っても過言ではない程の有名人だ。

 

圧倒的な美貌を持ち世界中の男を虜にしているが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え?」

 

彼女の一糸纏わぬ姿を見た事のあるファンは世界広しと言えども俺くらいしかいないだろう。

 

レヴォルフ黒学院近くにある高級住宅地が並ぶ街のある寮の一室、その家の主である俺比企谷八幡は風呂場にて世界の歌姫の一糸纏わぬ姿を見ている。

 

無言が続く。シルヴィはキョトンとした顔で俺を見ている。おそらく俺もキョトンとした表情を浮かべているのだろう。

 

そんな中、俺は本能に従ってシルヴィの一糸纏わぬ姿を見ている。

 

世界中の人々を虜にした美しい顔、王竜星武祭で沢山の強者を蹴散らしたにもかかわらず美しい状態を維持する手足、そしてバスタオルがなくなった事により見えるようになった圧倒的なオーラを感じる母性の象徴に、その先にある桜色の先端、シルヴィが女性であるという事を証明する聖域……

 

それら全てが俺の目に焼き付いている。おそらく俺は一生鮮明に覚える事になるだろう。それほどまでにシルヴィの裸は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……美しい」

 

幾ら金や美容品を積んでも同じ物を作るのは無理だ、それぐらいシルヴィの裸は美しい。

 

俺がつい呟いてしまうと……

 

「は、八幡君?!」

 

シルヴィはキョトンとした顔から、真っ赤で恥じらいのある表情に一変する。

 

それと同時に俺も再起動して自身の取った行動を理解する。

 

(何やってんだ俺は?!)

 

俺はさっきシルヴィの裸が見たい故に、シルヴィとの約束を破ってしまった。自身の欲求を満たす為だけにシルヴィが傷付くような事を……

 

「すまんシルヴィ!!」

 

それを理解すると同時に俺は頭を下げる。風呂に浸かっているからか格好はつかないがそんな事を言っている場合ではない。

 

「……八幡君」

 

「すまない。俺が悪かった。正直に言うと……お前の裸が見たくなって……魔が差して……本当にすまなかった」

 

そう言いながら俺は星辰力を込めてーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「刎ねろーーー処刑影刀」

 

俺の真横に真っ黒な刀を作り上げる。その刃は黒色でありながら鈍い輝きを放っている。

 

「八幡君?!何をするつもり?!」

 

頭の上からシルヴィの驚いたような声が聞こえてくる。何をするかって?

 

「決まってんだろ。お前に最低の事をしたんだがら死んで詫びるんだよ」

 

俺は大切と思えるシルヴィに最低の事をしたんだ。俺の命じゃ足りないかもしれないが命で償うしかない。

 

「じゃあなシルヴィ。これで許してくれるとありがたい」

 

そう言うと影の刃は穂先を俺の方に向けてくる。短い人生だったな。まあ今回は俺の自業自得だ。来世に期待しよう。

 

そして刃に指示を出す。

 

影の刃はそのまま俺の首に向けて一直線に飛んでーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だめー!」

 

 

 

行ったがシルヴィが俺に抱きつきながら浴槽に押し倒したので首を刎ねずにそのまま壁にぶつかりヒビが入った。

 

壁に影の刃が当たり、そのまま霧散するのを確認すると同時に俺は顔にお湯が当たるのを感じる。シルヴィに押し倒されたので全身が湯船の中に入ったのだろう。

 

とりあえず水から出るか。いつまでも潜ってたら息がヤバい。しかもシルヴィも潜ってるし。

 

俺は恥を捨ててシルヴィの肩を押しながらお湯から上がる。壁を見るとヒビが入っていた。もし今日死ななかったら明日修理屋に電話しないとな。

 

そんな事を考えていると……

 

「……八幡君」

 

シルヴィから声をかけられたので意識をシルヴィの方に向けると絶句してしまう。

 

シルヴィが涙を流して俺を見ていた。

 

呆気に取られている中、シルヴィが口を開ける。

 

「……八幡君は悪くないよ。元はと言えば八幡君がお風呂に入っているのに入った私が悪いんだから……死のうとしないで」

 

そう言ってシルヴィは涙をポロポロ零している。

 

「いやだって……見るなって言われたのに自分の欲求を満たす為だけにお前の裸を見たんだぞ?お前だって嫌な気持ちになっただろ?」

 

いくらシルヴィが俺が風呂にいる時に乱入してきたからって俺がした事が正当化される筈がない。俺のやった事は許されない事だ。

 

すると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ううん。恥ずかしいとは思ったよ……でも好きな人に見られて嫌な気持ちにはならないよ」

 

そう返してくるが……

 

(ちょっと待て!何か今とんでもない爆弾が落とされたぞ?!)

 

俺の聞き違いじゃなかったら……シルヴィは俺の事が、その……

 

顔が熱くなるのを感じている中シルヴィが更に口を開ける。

 

「……私は八幡君に見られる事は嫌じゃないから八幡君が気にする事はないよ。だからお願い……もうあんな風に死のうとしないで。もう好きな人が行方不明になったり目の前からいなくなるのは嫌なの……!」

 

そう言って風呂に涙を零す。それを見た俺はさっきまでの顔の熱はなくなり申し訳ない気持ちで一杯になった。

 

それを認識すると俺の口は自然と開いていた。

 

「……わかった。もう2度と自殺はしない。約束する」

 

「……うん」

 

シルヴィはそう言って抱きついてくるので俺は優しく頭を撫でる。オーフェリアの時と同じだ。あいつ同様絶対にシルヴィを悲しませない。

 

そう強く決心しながらシルヴィの頭を撫で続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから20分後…….

 

 

風呂を出た俺はベッドに倒れこんだ。沈み込んでいるとさっきの風呂場でのやり取りを思い出してしまう。

 

状況を整理すると……

 

①魔が差してシルヴィの裸を見てしまう

 

②シルヴィにバレる

 

③死んで詫びようとする

 

④シルヴィに止められて好きな人と呼ばれ、自殺するなと言われる

 

⑤自殺しないと約束したら裸で抱きつかれた

 

 

こんな所だろう。振り返ると再び顔が熱くなってきた。

 

うあああ!死にたい!死にたいよぉぉぉ!あんなの俺のキャラじゃねーよ!馬鹿じゃねーの!バーカバーカ!

 

心中で叫びまくり、唸りながらベッドをゴロゴロする。

 

「はぁ……どうしてこうなったんだ?」

 

小さい声で呟く。トラウマのフラッシュバックは二段階ある。初めにハイテンションに破壊的衝動が訪れ、その後にローテンションな憂鬱が襲ってくるのだ。

 

それにしてもシルヴィは俺の事を好きな人と言っていたが……

 

(信じ難いが……アレは異性としてという可能性も低くないんだよなぁ……)

 

俺も鈍感ではないから何となく予想がついていた。頬にキスをしてきたり、寮に泊まりに来たり、終いには風呂に突撃してきたり……ただの友人ならここまでしないだろう。

 

そこであんな言葉を聞いたら……

 

そう思うと顔が熱くなる。でも、もしも……そうだったら俺はどうすればいいんだ?

 

シルヴィの事は素晴らしい女性だと思う。そんな女性に想われるのは本当に嬉しい。

 

しかし俺はシルヴィの横に立つのに相応しくない。

 

目は腐ってるし悪名高いレヴォルフの人間だ。問題に対しても碌でもない方法でしか解決出来ない男だ。それに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故か異性の事について考えるとシルヴィだけでなくオーフェリアの事も浮かんでしまう。

 

いつもそうだ。シルヴィの事を考えているとオーフェリアの事を、オーフェリアの事を考えているとシルヴィの事も考えてしまう。

 

この事について理解して解決をしない限り俺は……

 

思考に耽っているとドアの音がしたのでつい反応してしまう。

 

ドアを見るとパジャマを着たシルヴィが頬を染めながら寝室に入ってきた。ヤバい、風呂場の事を思い出してしまう。

 

顔が熱くなるのを感じているとシルヴィが歩いてきて俺のベッドに上がってくる。

 

「……八幡君」

 

顔を赤くしながら話しかけてくる。話す内容なんて簡単にわかる。

 

「……さっきのお風呂での事なんだけど……」

 

やっぱり風呂での事か。風呂から出る時シルヴィは「私、何を言って……!」とテンパっていたしな。

 

しかしシルヴィは真っ赤になりながらも真剣な表情を浮かべている。それを見た俺も顔の熱に耐えながらも真剣に聞く事を決心した。

 

そして……

 

「アレ、嘘じゃないから」

 

そう言ってくる。

 

「アレってのは俺の事を……」

 

最後まで言わないでシルヴィに確認を取るとシルヴィは頷いて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん。私は八幡君の事が好き」

 

そう言ってくる。

 

俺はそれを黙って聞く。今は不思議と顔が熱くない。落ち着いてシルヴィの言葉を真摯に受け止める。

 

真摯に受け止めた上で口を開ける。

 

「シルヴィ。お前の気持ちは嬉しいが「今は返事が出来ないの?」……ああ」

 

相応しい云々を除いて俺自身も理解出来ていないオーフェリアに対する気持ちの正体について理解するまではシルヴィの告白に対する返事は出来ない。

 

「ひょっとしてオーフェリアさんが関係してる?」

 

「ああ」

 

「やっぱりね。まあ気持ちを伝えただけだから気にしないで」

 

「え?」

 

「だから返事はいつでもいいよ。私はいつまでも待ってるから。一生懸命考えて出した結論を私に伝えて。どんな返事になっても受け入れるから」

 

そう言ってシルヴィはいつもの笑顔を浮かべてくる。それを見ると直ぐに返事を出来ない事に対する申し訳ない気持ちが少し薄れた。

 

「……わかった。しっかり考えて返事をするから待っててくれ」

 

「もちろん。それじゃそろそろ寝よっか?」

 

時計を見ると11時半、確かに眠い。明日も試合があるし早く寝た方がだろう。それは良いが……

 

「……一応聞くが寝る場所は俺のベッドか?」

 

「うん。好きな人と一緒に寝たいから」

 

そう言われると顔が熱くなる。いくら返事は後でいいと言われても、はっきりと言ってくるのは勘弁して欲しい。

 

しかしシルヴィを見ると譲る気配を感じない。もうどうにでもなれ……

 

 

「……好きにしろ」

 

ため息を吐きながら電気を消す。部屋は暗くなるが月明かりが窓から入るので真っ暗という訳にはならずほんの少しではあるがシルヴィの顔を薄っすらと見える。

 

俺が自身の体に布団をかけると……

 

「ふふっ……」

 

シルヴィも布団の中に入って抱きついてくる。シルヴィの良い匂いが俺の鼻を刺激してくる。

 

内心ドキドキしていると……

 

 

「八幡君」

 

俺の名前を呼んだかと思ったら、シルヴィは俺の頬にそっとキスをしてきた。

 

いきなりの行動に驚いている中、シルヴィは笑顔を見せてくる。

 

「もしも私の告白を受け入れてくれたら……八幡君から私の唇を奪ってね」

 

そう言ってシルヴィは更に強く抱きしめてきた。シルヴィの奴、告白したからか凄い大胆になってやがる……

 

これ、もしかして返事をするまでずっと続けるのか?

 

 

 

あり得そうな未来に辟易しながら俺はゆっくりと意識を手放した。

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