学戦都市でぼっちは動く   作:ユンケ

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比企谷八幡はシルヴィア・リューネハイムと一夜を明かす(後編)

 

キス

 

接吻、口づけ、キッス、チュウなど色々な呼び方があるが意味は同じで人が親愛や友愛の情を示す為、自分の唇を相手の額や頬、唇などに接触させる行為である。

 

またキスとはする場所によって意味が違う。

 

額なら親愛という意味、頬ならお礼と言ったように意味が違う。

 

そして唇は……愛情という意味がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

「…………」

 

俺は今まで何度も顔に熱を感じた事がある。

 

オーフェリアに抱きつかれた時、オーフェリアと一緒に寝たりした時、オーフェリアが頬を舐めてきた時、シルヴィが抱きついてきた時、シルヴィが頬にキスをしてきた時、シルヴィと一緒にお風呂に入った時など色々な時に顔が熱くなった記憶がある。

 

しかし今回の熱は今までとは比較にならない。寧ろ今までの熱が涼しいと思うくらい熱を感じる。

 

そんな風に顔には熱を感じる俺の目の前にはかつてないほど真っ赤になっているシルヴィがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺と唇を重ねた状態で。

 

(え?!お、俺い、今し、シルヴィとキスを……)

 

それを改めて認識すると更に顔が熱くなってきた。まさか自分のファーストキスが世界の歌姫だなんて完全に予想外だ。つーかこれを予想できる奴はいないと断言出来る。

 

つーかシルヴィの唇、凄く柔らかい。唇は敏感な部位と聞いた事がある。だからかシルヴィの唇の感触がよくわかって凄く気持ちが良い。この世でシルヴィの唇を上回る唇はないと断言してもおかしくないくらいだ。

 

(……って、シルヴィの唇の感想を思ってる場合じゃねぇよ!何をやってんだよ俺は?!)

 

いくら狙ってやった訳ではないとはいえ付き合っていない女子、しかも世界の歌姫の唇を奪うとか……悪い意味で後世に名を残しそうだ。

 

って、それより先ずはシルヴィから離れないと!

 

俺は若干、いやメチャクチャ慌てながらシルヴィの唇から離れようとする。

 

しかし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ…….」

 

シルヴィがいきなり自分の両手を俺の首に絡めてきて離れられないようにしたかと思ったら、自分の唇を俺の唇に押し付けてきた。おい!いきなり何しやがる?!

 

そう突っ込もうにも俺の口はシルヴィにキスされていて喋れない。それを理解しているのかシルヴィは更に強く抱きつきながら唇を押し付けてくる。

 

目の前には真っ赤なシルヴィが目を瞑ってこれでもかとばかりにキスをしてくる。それによって俺の頭の中は徐々にシルヴィの事で染まっていく。

 

「んっ……ちゅっ……」

 

ダメだ、これ以上はマジでヤバい。シルヴィ無しじゃ生きられなくなってしまう……

 

そうは思っても俺はシルヴィとのキスを止めない。シルヴィが離してくれないというのもあるが……俺自身もそこまで強く抵抗してないからだ。

 

ダメだとわかっていても……これは止められない……

 

俺は次第に抵抗するのを止めてシルヴィのキスを受け入れてしまう。悪いとわかっていてもやりたくなる……まるで麻薬だな。

 

「んっ…ちゅっ…んんっ……ぷはっ!」

 

暫くシルヴィにキスをされていると、やがて息の限界が来たようにシルヴィが唇を離してくる。ようやく終わったか……安心したような名残惜しいような……

 

そんな事を考えているとシルヴィの息が顔に当たったので考えを中断してシルヴィを見るとトロンとした表情で俺を見てくる。そして口元は若干ニヤけている。こんなシルヴィ初めて見たんだけど……

 

「おいシルヴィ……」

 

心配になったので話しかけようとすると……

 

「えへへ……八幡君とキスしちゃった……」

 

そんな事を呟いている。くそっ、可愛すぎる……

 

「なぁシルヴィ、その……済まなかったな。まだお前の告白に対して答えが出てないのに……その、き、き、き、キスをしちゃって」

 

キスの部分は恥ずかしくて言うのが大変だったが何とか謝罪した。俺の謝罪を聞くとシルヴィは急に真っ赤になりだす。

 

「あ……う、ううん!私の方こそ!その……あんなにキスしちゃったし……」

 

「いやいや。元はと言えば俺がお前にキスしたからこうなったんだよ。許してくれるか知らないがお前のファーストキスを奪った事を謝らせてくれ」

 

「別に気にしてないよ。事情は何であれ……その……八幡君とキス出来て嬉しいし……」

 

そう言ってモジモジするシルヴィを見ると顔が熱くなる。世界の歌姫にキスされて嬉しいなんて言われたら……いくら俺でも緊張してしまうぞ?

 

「そ、そうか……」

 

「う、うん……」

 

俺とシルヴィはそのままお互いに目を逸らしてしまう。恥ずかしくて死にそうだ。マジで死にたい。

 

俺達は結局同じベッドにいながら30分近く話す事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……という事で彼女は君を切り捨てるべきという考えで私はオーフェリア嬢を手放すと一対一の状況だ。後は君がどちらにするか決めてくれたまえ」

 

『てめぇはオーフェリアを手放す事に賛成なのか?てっきり俺を切り捨てるかと思ったぜ』

 

「オーフェリア嬢は彼に恋している上に君に逆らったらしいじゃないか。これは私の勘だけど恐らく彼とは今後も相見えるだろう。そうなった時にオーフェリア嬢が命令を無視するだけならともかく、彼の味方になった場合それこそ最悪のパターンだ。だから私はオーフェリア嬢を手放すべきだと思う」

 

『……ちっ!こんな事になるんだったら天霧綾斗を潰しに行くべきじゃなかったぜ』

 

「はぁ……今回のやり方については強引過ぎる。君としては歓楽街の反乱分子も排除する事も考えているようだが今後は自重してくれ」

 

そう言うと男は電話を切ってため息を吐く。その隣にいるヴァルダが口を開ける。

 

「奴はどちらの選択をするだろうか?」

 

「さあね。まあどちらにしても今後動く際は極力彼と接触しないように心掛けないとね……まさかオーフェリア嬢だけでなくあの歌姫も味方につけているとは予想外だったよ」

 

「ならば比企谷八幡をこちらに引き入れるのはどうだ?そうすればオーフェリア・ランドルーフェンも味方につく。比企谷八幡本人も強者であるのだろう?」

 

「そうしたいのは山々だけどね……」

 

男は暗闇の中近くにあるワインを飲む。ヴァルダは彼が乗り気でない事を理解したのか呆れたような表情を浮かべている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気まずい、余りにも気まずい。

 

さっきからお互いに顔を真っ赤にして目を逸らしていた。しかし偶にシルヴィを見ようとすると必ずシルヴィと目が合ってまた目を逸らしてしまう、さっきからこれの繰り返しだ。

 

「………なあ」

 

余りに気まずいので俺から話しかける事にした。

 

「な、何?!」

 

お前テンパり過ぎだからな?少し落ち着け。俺も落ち着かなくなるからな?

 

「そ、そのだな……お前のファーストキスを奪っておいてなんだけど……済まない、告白の返事はもう少し待ってくれないか?」

 

今回のキスはある意味事故だ。シルヴィの唇を狙っていた訳ではない。しかし俺はシルヴィと『シルヴィの告白を受け入れる時は俺からキスをする』という約束をしてしまった。

 

未だシルヴィの告白を受け入れるか悩んでいるにもかかわらず、俺はシルヴィの唇を奪ってしまった。虫のいい話かもしれないが告白に対する返事はもう少し待って欲しい。

 

シルヴィはそれを聞くと恥ずかしそうな表情を消して優しい笑顔を向けてくる。

 

「……いいよ。待っててあげる」

 

簡潔に、それでありながら確かな答えを口にしてくる。

 

「いいのか?」

 

「……うん。私はいつまでも待ってるよ。だから八幡君も真剣に考えてね」

 

「わかった。ありがとな」

 

「……ううん、いいよ」

 

そう言ってシルヴィは優しく抱きしめてくる。凄く温かくて気持ちが良い。そんな風にシルヴィの温もりを感じているとシルヴィが話しかけてくる。

 

「ねえ八幡君、私とのキスはどうだった?」

 

いきなり爆弾を投下してきた。

 

「ばっ!な、何を?!」

 

瞬間、直ぐに顔が真っ赤になってしまう。こいつはマジで悶死させたいのか?

 

「どうだった?気持ち良かった?良くなかった?」

 

顔を逸らして逃げようとするもシルヴィは逃すつもりはないらしく俺の顔を掴んで見つめてくる。まるで逃さないようにニコニコ笑っている。そんな顔をされちゃ答えないわけにはいかない。

 

「ま、まあ気持ち良かったな」

 

するとシルヴィは満面の笑みを浮かべてくる。

 

「そう?じゃあまたしたい?」

 

「は?そりゃまあしたいっちゃした……?!」

 

「んっ……」

 

俺が答えている途中でシルヴィは俺にキスをしてきた。甘美な感触が俺を蹂躙する。

 

暫くキスをされているとシルヴィは唇を離して艶のある視線を向けてくる。

 

「……八幡君が私とキスしたいならいくらでもしていいよ。その代わり私も今みたいにキスしていいかな?」

 

え?マジで?

 

「……いや、でもそれは……」

 

これで恋人にならなかったら凄い悪人じゃね?

 

シルヴィは俺の言いたい事を理解したようだが首を振ってくる。

 

「大丈夫。その……私が八幡君とキスしたいだけだから」

 

そう言われると……

 

「……好きにしろ。ただし俺からはキスしないがいいな?」

 

いくら俺がしたいと思ったり、シルヴィが良いと言っても開き直ってキスするのは無理だと思う。

 

「うーん。まあ八幡君ならそうだろうね。いいよ」

 

シルヴィは了承してくれた。良かった、流石に俺から自発的にキスするのは無理だからな。

 

「そうか。なら良い。つーかそろそろ寝ようぜ」

 

いつの間にか日が変わってるし。明日はディルクとの交渉もあるしな。

 

「そうだね。じゃあ……」

 

シルヴィはそう言って……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……おやすみ、八幡君」

 

俺にキスをして抱きついてきた。俺はそれによって顔が熱くなるのを感じながら目を閉じた。こんなに疲れてるのに寝れないだろうなぁ……

 

 

 

 

そんな事を考えながら俺はシルヴィを優しく抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺とシルヴィは付き合っていないにもかかわらず、友人としての一線を超えてキスする仲になった。

 

だがこの時の俺は知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シルヴィが物凄いキス魔である事を

 

 

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