ダンジョンに金の不死鳥がいるのは間違っているだろうか?   作:九十九階堂

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第8話 豊穣の女主人

「くはぁぁぁ〜」

悠は普通はやってはいけないだろう飲酒を周りもやっているからという理由で豪快に飲んでいた

 

もはや、罪悪感の欠片も感じていない

 

悠は豊穣の女主人という酒場に来ていたのだった

 

(オラトリオ最高!)

そんな冗談を心の中で言っていたりした

 

一方で実際の表情は優れない

 

「…………」

悠はただ端の席に座ってボーとしていた

 

 

まだ、オッタルに殴られた場所がヒリヒリしていたからだ

 

 

「一人酒ですか?」

店のウエイトレスである

銀髪の少女が相席して来た

 

 

悠「ほっといてくれ……

ちょっと理不尽を受け入れてる最中だから……」

 

 

「ならわたしも一緒に受け入れてあげます」

 

 

悠「あなた……いま凄く他のウエイトレスさんたちは忙しそうにしてるぞ、

 

今休んじゃいけないんじゃ?」

 

 

「いいんです」

 

 

悠「俺は知らないからな?」

 

 

「で……何があったんです?」

 

 

悠「理不尽に殴られて斬り付けられた……」

 

 

「どういった経緯で?」

 

 

悠「名前が決めらんないとかいう、下らない理由でですよ……」

 

 

「それは大変でしたね……」

 

 

悠「くっそ、あの美神マジで覚えていろよ……いつか復讐してやる」

少し黒い部分が出る

 

 

どうやら随分と酒が回って来ているようだ

 

 

「か、神に復讐は危ないんじゃないですか?」

 

 

悠「そうなんだよな………

理不尽だ……一方的にこんなんされるなんて……」

 

 

「シル……あなたが人と話すなど珍しい……」

今度は金髪のウエイトレスがさらに今、話し込んでいたシルと呼ばれた女性の隣に座る

 

 

シル「だって、この人この隅の席で1人で何にも喋らずに飲んでいるんだもの……なんだか気になっちゃって

 

あなただってもっと珍しいんじゃない?リュー?」

 

 

リュー「………確かにそうですね」

 

 

悠「いいんですかい?お二人とも?」

 

 

リュー「私はともかくこのウエイトレス、シルは日頃から真面目ですから大丈夫でしょう」

 

シル「あなたの方がもっと真面目でしょう?」

 

 

悠「どんな理由があれ、飯時に良くないことだろうに……

 

あの忙しそうにしているもうお二方が可哀想じゃないか?」

 

 

リュー「本来はあの2人だけで行うはずの時間なのですが、私たちが心配なので、手伝っているに過ぎません

 

こうして、話すことに……」

 

 

悠「いや、別段あなたたちがいいならそれでいいんだよ……」

 

 

シル「………」

リュー「………」

悠「………?」

 

 

悠はいきなり黙り込んでしまった2人に疑問符を浮かべる

 

 

悠「どうしたんですかい?

お二人とも用があってきたんじゃ?」

 

 

シル「いいえ、別段これといった用はないですよ、リューは?」

 

リュー「私は、シルが珍しく声をかけていたので、その相手を見にきただけです」

 

 

悠「では、俺なんかに少し話しにきたってことですかい?」

 

 

シル「えぇ」

リュー「そんなものですね」

 

 

悠「………それじゃ、お名前を聞いても?」

 

シル「シル・フローヴァです」

リュー「リュー・リオンといいます」

 

 

悠「自分は波風 悠っていいます」

 

シル、リュー「「っ⁉︎」」

 

リュー「あなたがあの2日でレベル2になったという波風悠さんでしたか」

 

悠「軍人としての経験を入れれば五年ですよ」

 

リュー「軍人⁉︎あなたはアレスファミリアの人間なんですか⁉︎」

 

悠「なんで、軍人っていうとアレスファミリアって名前が出てくるのか分からないが、僕のいっている軍人とは武装した団体の一員のことだ

 

アレスファミリアは関係ない」

 

 

リュー「そうですか、失礼しました」

 

 

悠「ご気になさらずに………」

 

 

シル「リュー、オラトリオに来る前に戦闘経験しておけばレベルって上がりやすいものなの?」

 

リュー「レベルの上昇はファルナによるもの………オラリオに来る前にファルナを受けていたなら話は違いますがそうでないなら………どちらなんです?」

 

 

悠「ファルナは2日前に受けたな」

 

 

リュー「………やはり、あなたは異常なようですね」

 

 

悠「昨日は少しばかり事故があってな

 

おそらく、それが原因かと思う

 

牛にんげ………ミノタウロスを8匹同時にしかもそのうち1匹が強化種でな…」

 

 

リュー「⁉︎まさか、あなたはレベル1でそれを⁉︎」

 

 

悠「あまりにも必死でそのときの戦った記憶がないからどうにも……

 

俺が倒したと言いきれはしないけどロキファミリアの方達がなんでも俺が倒したところを見たっていうんでね……」

 

シル「記憶がない……ですか」

 

 

悠「自分の最大限の力を発揮するときがちょっと特殊でしてね……

 

これ以上は自分のスキルに関することなんで………」

 

 

シル「そうですか……」

 

 

リュー「レベル1で多数のミノタウルスと戦うとは………無謀すぎる

 

しかも、あなたはなんでそんな深くの階層に?」

 

 

悠「ギルドの人が言うには、自分のいた9階層には普段いないとのことなんだが……」

 

 

リュー「2日目で、9階層に行くこと自体おかしいですが、パーティーの方々は何も言わなかったんですか?」

 

 

悠「パーティー?」

 

 

リュー「………まさかとは思いますがパーティーを組んでもいないのですか?」

 

 

悠「まず、パーティーとは?」

 

 

リュー「……一緒に迷宮に潜る仲間のことですが………」

 

 

悠「いませんな……」

 

 

リュー「………1人で、ミノタウルスの集団を相手にしたってことですか⁉︎」

 

 

悠「死にそうだったけどな」

 

 

そんなときだった………

 

 

ロキ「おぉっ!!!波風はんやないか!さっきぶりやな!」

 

 

悠「ロキ様、確かにさっきぶりですね」

 

 

ロキは悠の向かいのシルとリューをまじまじと見る

 

 

ロキ「波風はん、レベル2になってさっそくナンパかい?」

 

悠は首を振り、肩をすくめる

 

 

悠「まさか……1人好きな俺が、こんな綺麗なお嬢様方をわざわざ苦労してそんなことすると思います?」

 

 

その会話を聞いたアイズは少し冷めた目を悠に向け、こう言った

 

 

アイズ「意気地なし………」

 

 

悠「それはそれはすいませんでした…

剣姫様……」

皮肉げに返す

 

 

アイズ「調べたんだ、私のこと」

 

 

悠「いや、ついさっきそこでの会話を盗み聞きしたら知っただけだけど」

 

 

アイズ「むぅ……」

またもや少しふくれっ面のアイズ

 

 

リュー「あ、あの……神ロキ……波風さんが、ミノタウルスを8匹も……しかも1匹は強化種を倒したのは本当ですか?」

 

 

ロキ「少し違うで」

 

 

悠「あれ?」

 

 

このとき、周りの目は悠のことを少し蔑んだ

 

少しサバを読んだな……と

 

しかし………

 

 

ロキ「8匹は強化種を除いた普通のミノタウルスの数やで

 

強化種を含めたら9匹や」

 

 

「「「「はぁ⁉︎」」」」

 

 

悠「あれれ?そうでしたっけ?」

 

盗み聞きしていた人たちも

「そっちかよ!」

と突っ込んでいた

 

 

ロキ「しかも、あの強化種、相当に魔石食ったみたいでな

 

うちらの子らでも手こずったんよ」

 

 

悠「俺のハードルを上げるのやめてくれませんかね

 

まだ、レベル2なんですけど」

 

 

ロキ「うちのベートとガレス倒しておいて、なに言うとんねん!」

 

 

「「「「え……」」」」

 

 

周りもその言葉にはさすがに信じられないような素ぶりだった

 

 

ベート「おい!駄神!余計なことを言うんじゃねぇ!」

 

 

ガレス「ほっほっほ……未来ある若もんになら、悪い気はせんな」

 

ベートはロキのほっぺをつねり、ガレスは笑う

 

 

 

リュー「波風さん………あなたのスキルはいったい………」

 

 

悠「特殊であることは否定しない」

 

 

ベート「何が特殊だ!あんなもん、特殊で済むか!」

 

 

悠「いや、本当にベートさんには申し訳ないことをしたとは思ってる」

 

 

ベート「いや、謝ってもらいてぇわけじゃねぇけどよ……」

怒りをぶつけようにもいつも謝られてしまいやるせないベートであった

 

ロキ「ベート、逆やろ!今度あったら礼を言うって!」

 

 

ベート「分かってらぁ!言うんじゃねぇよ!」

 

 

悠「え?」

 

 

ベート「こっちも、おめぇのおかげでその……よ……Lv5になれた………

なんだ……なんつーかよ……ありがとよ……」

 

 

悠「分かりました……ありがたく礼を受け取ります」

 

 

リュー「………」

 

 

ロキ「んじゃあ、うちらはあっちで呑むやさかい

 

そっちの2人と仲良くや〜黄金騎士さん」

 

 

悠は頭を下げて、礼をするとコップに手をつける

 

 

リュー「レベル1と戦って、レベル4がレベルアップするとは………

 

本当にあなたは何者なんですか?」

 

 

悠「波風 悠、それ以上でもそれ以下でもない普通の人間だ」

 

 

リュー「普通の人間はそこまで強くありません」

 

 

悠「まぁ、今日闘技場で、戦わされたし大まかな能力ならそうそう時間がかからず分かると思うから……」

 

 

リュー「なら今、教えていただいても……」

 

 

悠「あなたたちのような綺麗なお嬢様方に聞かれたんじゃ、ついつい色々と喋りすぎちゃうかもしれないんで

 

それはやめときます」

手を前に出し断りの意味を表す

 

 

また“綺麗なお嬢様方”と言われ、ほんのりと頬を染めてビクッと反応してしまった

 

 

シル「か、からかってますね!さっきから!」

 

 

悠「いえいえ、あなた方、目当てのお客さんが多いのでしょう……

 

本当に………」

 

 

「「⁉︎」」

シルとリューは悠が最後低い声になったのにビックリした

 

 

しかし、その理由が分かった

 

こっちに向かって歩いてきている、大柄な男3人組がいるのだった

 

 

「よぉ、にいちゃん、最速の更新で舞い上がってるかい?」

 

随分と悪意のこもった声だ

 

 

悠「いえいえ、先輩方のように、ここに慣れてるわけでもないので……」

 

 

「なにいってんだよ?こんな可愛い子ら2人も侍らしといて」

 

 

悠「ここでは、悪しき行為だったようですね……以後気をつけます」

 

 

「謙虚なこって……」

 

 

悠「他になにか用があるのですか?」

 

 

「なぁ、にいちゃん?パーティーがいないんだって?」

 

 

悠「………それが?」

 

 

「そっちの子らをよこしてくれたら入れてやるよ」

 

 

悠「生憎と、自分は1人好きの変わり者でしてね

 

パーティーを組む気はありません」

 

 

「あぁぁん?すかしてんじゃねぇよ」

 

 

悠「………では、どうしろと?」

 

 

「入れてくださいって頼み込んでみろや!俺たちゃあ、レベル3だぜ」

 

 

悠「そうですか………ですがお断りさせていただきます

 

自分は1人好きなので」

 

 

「だから、すかしてんじゃねぇよ!」

 

襟元を掴んで、担がれた

 

 

悠「ここで、見せしめするつもり……

というわけですか?」

 

 

「へへっ!レベル2のテメェなんざ、今ここで俺らが……」

 

 

ガンッ

ゴンッ

ガンッ

 

 

「いってぇ!誰だ!」

男は叩かれた頭をさすりながら後ろを振り向く

 

「私の店で荒事やるんじゃないよ!」

 

 

「「ミアお母様!」」

リューとシルがその名を呼んだ

 

 

「ひぃっ!店主だ!」

3人は即座に退散していく

 

そんな3人が金も支払わず出て行こうとするので……

 

 

「つけはきかないよ!」

 

 

 

「へ、へいっ!」

 

それを聞いて、最後の1人が財布ごと置いていったのだった

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