海軍の優等生   作:ゆっくり

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前書きにも書きましたが、この小説は魔法科高校の劣等生の2次創作です。原作と異なる設定や、オリジナル設定を含みます。
それでもいいよとという方は――、

ゆ っ く り し て い っ て ね。


沖縄海戦

 二◯九二年、沖縄。

 巡洋艦二隻、駆逐艦四隻から成る大亜連合艦隊は、凄まじい閃光と爆音の後、影も残さずこの世からその姿を消した。

 

 質量分解魔法「マテリアル・バースト」。

 

 その威力は正しく戦略級そのものであり、日本の未来を大きく左右するものであった。

 

 ――しかし、これで終わりではなかった。

 

 質量分解魔法を放った張本人、司波達也はここより南方沖に浮かぶ、先ほど消滅させた艦隊と同規模の敵艦隊を睨みつける。

 

 ――間に合わなかった。

 

 今の達也にあるのは己の無力さのみだった。

 

「なに、心配する事はない」

 

 達也の方に手が置かれる。

 それは、風間大尉の手だった。

 

「我々、日本軍も君に頼ってばかりではない。もっとも、手を下すのは陸軍ではなく海軍だかね」

 

「海軍……? まさか!?」

 

 達也が荒れた声で疑問を放つと同時に、風間のもとに通信兵が駆け寄る。

 

「味方新戦艦大和より入電! 『我、到着セリ』。発、第一艦隊司令長官、米内政宗」

 

 この瞬間、達也の疑問が確信へと変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◯

 

 その頃、新戦艦大和司令部は――、

 

『敵艦見ユ! 十一時の方向、距離一◯◯!』

 

 敵艦発見の報告を受け、敵戦力の分析を行っていた。

 

 が、

 

「巡洋艦二隻に、駆逐艦四隻だと? 聞いていた戦力の半分程度ではないか」

 

「どうやら陸軍は、まともに情報伝達もできなくなったらしいな、ハッハッハ」

 

 二人の参謀は、情報とは違う貧弱な敵戦力にせせら笑った。

 

「あの程度の戦力、この『新戦艦』大和のみで十分よ。第二艦隊を連れてきた意味が無かったな。第二艦隊旗艦の赤城に打電。山本司令には申し訳ないが、艦上戦闘機の出番はないと伝えろ。よろしいですか、米内司令」

 

 参謀の一人、西田参謀は空母赤城へと命令を伝達すべく、米内政宗司令長官の許可を取る。

 

「まて。光矢、お前はどう思う?」

 

 米内司令の声で、司令部にいる全員の視線が、光矢と呼ばれたもう一人の作戦参謀に向かった。

 

 ――それは少年だった。

 

 米内光矢。

 中学一年になったばかりの子供ではあるが、作戦の立案で素晴らしい才能を発揮していた。

 米内政宗海軍大将の息子ということもあって、将来は海軍士官として多くの海軍兵達に期待されている。

 

「そうですね、確かに敵艦隊の戦力を見るに、この新戦艦大和の敵ではないでしょう。むしろ、過剰戦力と言えます」

 

「では、即刻赤城へと――」

 

「お待ちください、西田参謀。確かに、新戦艦大和一隻で敵艦隊を壊滅させる事は容易です。しかし、潜水艦や空母の存在を懸念せねばなりません」

 

 光矢の言葉を、政宗は目を瞑って聞く。

 

「それは我々も承知だ。だが光矢君、この戦いは他でもない、我が日本海軍の象徴である、新戦艦大和のデビュー戦と言ってもいいのだ。この大和が世界最強の新戦艦である事を、世に知らしめねばならない」

 

「だからと言って慢心すべきではありません。大日本帝国海軍はミッドウェー海戦にて、その慢心が原因で空母を四隻も失ったんです。過ちは繰り返すべきではない。赤城から艦上戦闘機『震電』を発艦させるべきです」

 

 歳下、それも中学生の光矢に論破される形になった西田はバツが悪くなったのか、視線を下に向ける。

 しかし、そんな西田に救いの手を出したのもまた、光矢であった。

 

「――ですが、西田参謀が仰ることも分かります。ですから、ここは大和の主砲でデカイのを一発浴びせてから、震電で沈めるとしましょう」

 

 その言葉で、士官達はニヤリ、と口を歪ませる。

 

「と、なると――」

 

「五式弾……ですな」

 

 五式弾。その名が出ただけで、司令部全員から喜びの声が上がる。

 その砲弾は、世界に大和の名を知らしめるために、最も適したものと言えるからだ。

 

『敵艦隊、単縦陣にて此方に接近! 距離六◯!』

 

 観測兵の慌しい声が艦内に響く。

 

 単縦陣は砲撃戦に特化した陣形。

 つまり、敵艦隊は自ら砲撃戦を望んだということになる。他でもない、この大和に。

 

 そして、米内政宗が動いく。

 

「よし、これで決まりだな。敵は恐れ多くもこの大和に対し、砲撃戦をお望みのようだ。五一サンチ砲を思いっきり浴びせてやれ。全艦、単縦陣をとれ! 取り舵三◯度!」

 

「取り舵三◯度! よーそろー!」

 

 政宗が号令を出し、艦長が復唱する。

 

『とーりかーじ!』

 

 取り舵をとったことにより、大和が徐々に左へ進路を変える。

 

「もどーせー!」

 

「もどーせー!」

 

『敵艦隊、大和射程圏内入りました!』

 

「よし、主砲五式弾装填、砲撃戦よーい!」

 

『五式弾装填、砲撃戦よーい』

 

 大和の主砲がゆっくりと左へ旋回。三基九門ある主砲のうち、一基一門ずつ、敵艦隊を捉える。

 

 大和の「四五口径五一サンチ三連装砲レールガン」は火薬弾の場合、飛距離は五◯キロ以上。レールガンであればその十倍。敵艦のフレミングランチャーとの差は歴然である。

 

『五式弾装填完了! いつでも撃てます!』

 

 光矢は父の大きな背を見つめる。

 いつか、自分もそこに辿り着くのだと。

 

「諸君、ついに大和の力を世界に知らしめる時が来た。誰がアジア最強の海軍であるか、それを忘れてしまった隣国に再び教えてやろうではないか。光矢!」

 

「はい」

 

 政宗に名を呼ばれ、すぐさま返事を返す。

 

「発砲の指示はお前に任せる」

 

「――え?」

 

 あり得ない指示だった。

 一介の中学生に号令を出せと言っているのだ。

 

「聞こえなかったのか、指示は任せると言ったのだ。今のお前はただの中学生ではない、第一艦隊作戦参謀、米内光矢であるという事を忘れるな」

 

 そう、今の光矢は参謀だ。机に座って教師に出された問題を解けばいい中学生ではない。

 将来は海軍士官として期待されているからこそ、このような経験は必要不可欠なのだ。

 

 それを理解した光矢は大きく息を吸い、余裕を持つ。

 

 そして――、

 

「撃ち方始め! てぇー!」

 

「うちーかたーはじめー!」

 

『うちぃーかたぁーはじめー!』

 

 船体が大きく揺れ、海に波紋が広がり、大気が揺れる。

 大和の主砲から、三発の砲弾が放たれたのだ。

 

 形容する言葉もない程の凄まじ爆音と共に、重量二千キログラム以上の砲弾は超音速にて飛翔する。

 

「五式弾、拡散五秒前! 四、三、二、一、起爆!」

 

『五式弾、拡散始め!』

 

 カチッ、というスイッチ音が鳴った瞬間、敵艦隊上空で五式弾が爆散。替わりに、炎の雨が降り注いだ。

 

 五式弾は、旧日本海軍の三式弾同様のクラスター爆弾。

 しかし、対地掃射や対空戦闘用に使用された三式弾とは違い、五式弾は対艦兵器である。

 任意のタイミングで爆破可能であり、爆破地点から円を描くように、雷雨の如く子弾が降り注ぐ。敵艦隊の陣形にもよるが、今回のように三発同時に撃てば、一個艦隊は丸々五式弾の範囲に収まる。

 降り注いだ子弾は、着弾と共に爆発。敵の兵装を完全かつ確実に破壊する。

 

 砲塔を砕き、通信機器やレーダーの類も容赦なく破壊する。

 

『敵全艦の兵装無力化を確認! 敵巡洋艦、駆逐艦共に速力低下、大破炎上中!』

 

 この時、光矢の心は、作戦を無事終了したという安心感と、初陣を敵艦隊撃滅という華々しい戦果で飾ることができた幸福で満たされていた。

 

 その後、空母赤城から第一次攻撃隊が発艦。敵艦隊は一隻も残さず撃沈。

 大和から艦砲を受けて、たった三十分後の出来事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◯

 

 一九◯五年、五月二八日。

 ロシア帝国のバルチック艦隊は、大日本帝国の東郷平八郎海軍大将率いる連合艦隊に敗退。ポーツマス条約へと追い込まれた。

 その後、世界では艦隊決戦こそが戦争の勝敗を左右するものとされ、戦艦こそが海の覇者という「大艦巨砲主義」の思想が世界を包む。

 

 一九四一年、十二月八日。

 ハワイの真珠湾に設置されていたアメリカ海軍基地が、大日本帝国海軍の艦上戦闘機、約三百六十機による大空襲を受けた。これが、真珠湾攻撃である。

 真珠湾攻撃により大日本帝国海軍は、米海軍戦艦八隻を沈没、または負傷により行動不能に落とし入れた。

 この日までは「航空機では戦艦を沈めることは不可能」とされていた世界の常識を、大日本帝国海軍は大きく覆した。

 

 これにより、「大艦巨砲主義」に亀裂が入る。

 

 一九四五年、四月七日。

 

 ――一億特攻の、魁けとなれ。

 

 大日本帝国海軍が建造した史上最大の戦艦、大和は沖縄に上陸した米海兵隊、及び陸軍を撃滅すべく特攻作戦を開始。

 だが坊ノ岬沖で、米機動部隊と接触。世界最強の戦艦として建造された戦艦大和は無念にも、まともな戦果を上げることもできず、海に沈んだ。

 

 日露戦争の日本海軍勝利により始った「大艦巨砲主義」の時代は、日本海軍の真珠湾攻撃により砕かれ、日本海軍の戦艦大和沈没により、消滅した。

 以後、戦艦は時代遅れの産物として世界に忘れられ、その姿を海から消した。

 

 しかし――。

 

 それから百二十年後、二◯六五年。

 突如として南シナ海に巨大な船体が出現。世界を驚愕させる。

 その正体は日本が開発した、戦艦陸奥だった。

 

 戦艦陸奥の兵装は、四一サンチ三連装砲レールガンに加え、従来までの対艦ミサイルや対空ミサイルを多く積んだ、過去の戦艦とは全く別の兵器と言えた。

 現存する海上兵器の殆どがこの陸奥には敵わず、沈めたくば数で押す他に無かった。

 この過去の戦艦とは比べ物にならない船に対し、世界は新たに「新戦艦」という艦種を追加。新たな形式として、「陸級」が用いられる。

 

 新戦艦陸奥の登場は、世界を再び「大艦巨砲主義」へと導いた。

 

 現在、「新戦艦」に定義される船は世界で七隻。

 アメリカの超陸級新戦艦「アイオワ」、「ボストン」、「ウエストバージニア」。

 イギリスの超陸級新戦艦「ドレッドノート」、「クイーン・エリザベス二世」。

 日本の超陸級新戦艦「大和」、「長門」。以上七隻が世界に現存する新戦艦。

 これら七隻は、「新世界のビッグ(セブン)」と呼ばれ、世界から恐れられることになる。

 

 

 

 

 




第一話目ということで、シリアス全開でしたが、毎回こんなにお堅い訳じゃないです。はい。
こんな風な感じになるのは、戦闘シーンだけだと思っていただければ。

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