C.E転生   作:asterism

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酷いことしてる自覚はあります、まぁ、やっていることは全く擁護できませんけどね。ガンダムシリーズのお約束というやつでしょうか、まぁ、初め書いたプロットではまんま「あくのそしき(笑)」だったのでその名残でしょうか。


phase9 L5事変

C.E69年後半

 

L4宙域、新星 指令室

 

「プラント駐留艦隊のの董提督はなんと?」

 

「我らだけでも問題なし、空のバケモノどもへの折檻は任されたしと」

 

…毎度のことながら認識が甘いなぁ…と思いながら新星指令、青磁釉色の軍服に身を包んだ、陳于建中将は部下の報告に耳を傾ける。わかってはいたが艦隊の派遣は断られてしまった。司令部も政府も認識が甘い。メビウスは完成したがまだ各国併せて一個大隊がいいところだし。そのうち一個小隊、アジアオセオニア共同体の取り分は戦力としてカウントできないだろう。ほかならぬ彼らの方針上、民間人の安全確保にのみ走るはずだ。それが間違いだとは思わん。軍とは国民の守護のために存在するのだ。それに「奴らは何を隠しているかわからない」、何を頼りにあれほど明確に独立を叫びだしたかはわからないが、何か不気味なものを感じる。もしかしたら『世界を敵に回しても勝てる何か』を持っているかもしれないのだ。人口たかが6000万のコロニーに対して過大評価かもしれないが、そうでもなければここまで強硬姿勢を貫ける理由がわからない。希少資源の精製など、アジアオセオニアがやっているように自前でやりだせば連中など用済みなのだ、そうしないのはひとえに金の都合に他ならない、必要ならばやる。が、せっかく作った工場を使わない手はないのだ。ついでに今はコロニーを作っている時間も余裕もないのだ。

 

/////////

 

そのころ…

 

L5宙域、プラント近隣宙域、プラント駐留艦隊旗艦『李舜臣』

 

「これであの空のバケモノ共もおとなしくなるだろう!!」

 

「この艦隊の威を見ればおとなしく跪いて許しを請うに違いない!!」

 

 

無駄に気勢を上げる艦長や司令を見ながらやれやれ…どうしてそうお気楽なんだ…と思いながら東アジア共和国軍少佐、楊文成は溜息を吐く。

 

「そもそも普段から駐留している艦隊を見ていないわけがない。連中はこれを覆しうる何かを持っているはずだ。」

 

その何かがわからないのが歯がゆいが、そこを気にするのは踏ん反り返っている彼らの仕事だろう。

 

参謀の一人である彼が気にすることでもあるのだがそんなことを思いながら楊少佐は窓から宇宙を見る。我が国は資源や工業製品の多くをこのプラントに依存している、だからこそ今回のプラントの行為は非常に都合が悪いのだ、しかし、いきなりこのような示威行為に出るのは間違いではないだろうか。

 

「アジアオセオニア艦隊が離脱します。」

 

…そういう意味ならば彼らは賢い選択をしたのではないだろうか。彼らの艦隊が護衛している輸送船や貨客船には我が国や大西洋連邦、ユーラシアを含めた民間人が乗っている。とりあえず民間人の犠牲者が出ることはないのだろう。我々の不運は、この艦に座上している董提督が持ち回りの艦隊司令となっていたことであろうか…。国連からの「プラントの事態の鎮静化に努めよ」という指令を誇大解釈しこのような示威行為に出るのは現状悪手ではないだろうか。何より相手がわからない。

 

「フン、腰抜けどもが」

 

「東夷や南蛮の末裔どもに勇気などあるわけがないでしょう」

 

…いったい何を根拠にしている自信なのだろうか。自分が間違っているとは思わないのだろうか。先の第三次世界大戦、再構築戦争で散々痛い目にあわされたのを忘れたのかどうなのかは知らないが彼らを侮るのは間違っている。幸か不幸か我が国の拡張は海洋方面でかの国に止められた。個人的には良かったと思う。我が国もそうだが、アジアオセオニア共同体の抱える地域は人口密集地帯だ、戦争で荒らされればそれだけ難民が出る、我が国にそんなものを養う余裕はなかったのだ。だから再構築戦争後の国家復興で出遅れ、よりプラントへの依存が高まってしまった。日本や台湾、インドなどを抱えていた未来を考えると寒気がする。…彼らは食糧生産拠点としてオーストラリアがあったからよかったがもしわれわれがオーストラリアを手にしていたらそのような施設は使い物にならなくなっていた。激しい戦いが展開されただろうし。

 

「プラントより反応、…これは、大型のMA?」

 

来たか…彼らの反抗の根拠が何かはわからないが用心すべきだろう。

 

 

この後理事国艦隊はMS部隊の攻撃を受け董中将以下司令部要員の多くが重症(奇跡的に楊少佐は被害を免れ、臨時に李舜臣を指揮)、指揮を引き継いだ大西洋連邦のデュエイン・ハルバートン大佐の元艦隊は退却することとなり理事国艦隊は事実上の敗北を喫した。

 

/////////

 

アジアオセオニア共同体プラント駐留艦隊旗艦『ヤマモト・イソロク』

 

「敗北…だろうな」

 

その場にいなかったことを喜ぶべきか…それともその場にいればこうはならなかったと嘆くべきか。アジアオセオニア共同体プラント駐留艦隊指揮官であったアーロン・マクレガー少将は重い溜息を吐く。手には先ほど終わったプラントでの戦闘の記録がある。

 

「上層部が用心していた理由はこれか…」

 

高々民間人の避難程度、元のプラント駐留艦隊でも行えたはずなのに司令部は私にもう一つ戦隊を預けてきた。それもこれもこの人型兵器のせいなのだろう。

 

「なんにせよ我々は任は果たした、あとは政治家の仕事だろう…。」

 

今更彼らの救援に動いてももはや時機を逸している。戦略的にも戦術的にもなんの意味もないだろう。何より我々に与えられた任務は民間人の避難だ。それを放棄するわけにはいかない。

 

「マーク32オレンジαより熱源接近!!先ほどのプラントの兵器です!!」

 

「チィ!!こちとら護衛対象がいるってのに、全艦対空戦闘用意、イーゲルシュテルンは弾幕を絶やすな!!それから艦隊を密集させろ!!護衛対象は陣形の中心に、砲火を密にするんだ、MA隊は出すな!!退避を優先するぞ!!ヘルダート照準、ミサイル発射管コリントス装填、発射タイミングは第一斉射後、各個に任せる、撃ち方始め!!」

 

先の戦闘ではMA隊はいいように翻弄されていた、おそらく出しても気休めにもならないだろう、有効な戦術として一撃離脱が考えられるが、それを行うには現在開発中の新型が必要だろう、ミストラルでは最高速はどうにかなっても、機動性が足りない。どのような動力機関を積んでいるのかわからないが核ということはないだろう、反応炉であれ、融合炉であれ、あのような兵器に搭載できるほどの『信頼性のある小型化』は不可能だったはずだ。いかにプラントとはいえそのようなことはしないだろう。ならばバッテリー切れまで耐え切ればいい。

 

/////////

 

ZAFT スティーブンソン隊

 

≪敵艦発見!!ナチュラルめ、こんなところに隠れていたか!!≫

 

「よく見つけた、各員対艦攻撃用意」

 

自機のシグーを敵艦隊へと突撃させる、部下のジンのパルデュス3連装短距離誘導弾発射筒しか有効な対艦攻撃手段がないがそれでも対艦攻撃は可能だろう。ナチュラルめ、逃げられると思うな!!

 

≪スティーブンソン隊、帰還しろ!!こちらの観測ではエネルギーゲージゲージイエローだぞ!!、深追いはするブチッ!!≫

 

うるさい通信を切る、こんな連中を倒すのに五分とかからないだろう、エネルギーゲージも推進剤もまだあるのだ、何の問題がある。

 

「全機、突げ…なっ!?」

 

襲い掛かってきたミサイルをよけ、フレアやジャマーを展開する、敵艦隊を見ると濃密な対空射撃が上がっている。これでは時間がかかりすぎてしまうだろう

 

「えぇい!!退却する!!」

 

とにかく、ナチュラルの艦隊は追い払ったのだ、これでいい、と自分を納得させ部下に退却の指示を出す、この屈辱はいつか晴らしてみせる。

 

 

//////

 

C.E69年12月初旬 アジアオセオニア共同体 会合

 

「さてと…連中、原作通りの手段をとって来たが…理事国の会議のほうはどうなんだ?」

 

古賀参謀総長がタクシンに聞く。

 

「はっはっはっ…独立なんぞ認めるわけがなかろう、もともとウチ以外の連中は強硬姿勢だ、ウチだって融和姿勢って訳でもないがな、ついでに国内でもかなり強烈なキャンペーンを実行してやがる、文字通り戦争秒読みだ」

 

最近業務が立て込んでいたタクシンのテンションがおかしなことになっている。これはまずい。

 

「国連は?」

 

「あんなとこのいうことを誰が聞くと?旧世紀の昔から肝心な時に役に立ったためしがないだろう。」

 

ついでにオルバーニーの野郎は余計なことしかしねーし、マルキオとなんか企んでる疑惑まであるし…、とタクシンは溜め息をはく。

 

「そりゃお疲れさん、んで…確かその重要な回答期限である来年の元旦にテロでプラント評議会員の一人が死ぬんだっけ?」

 

「おう、ブルコスの連中のテロでな。…ってよく考えるとよく連中入国できたな…今のプラントって侵入制限かかってるはずなんだが…」

 

「まぁ、不法入国の手段なんてコロニーでも腐るほどありますし、もしかしたら反独立運動派なんてのもいるのかもな。」

 

「普通評議会がその筆頭にならんかね?うまい汁吸ってるだろうし。」

 

「…というか連中兵器とか作ってるからブラック勤務になってるんじゃねーの?ほかの国のノルマは知らねーが。」

 

「諸悪の根源評議会ってか?…ありえなくもないから困るな。」

 

「んで…さ、誰か経済関係者(あいつら)に触れないの?」

 

いままで政治家や技術者たちが触れないようにしていたいかにも悪役、といったような笑みを浮かべている経済関係者達に誰かが言及する。

 

「ふふふ…他国から資源の売却要請がこんなに…どれほど値段を釣り上げてやりましょうか…」

 

「アズラエルコロニービルダーズ?ほう、うちのハヌマーン級コロニービルダーを買いたいと、最重要機密なんですがねぇ…どうしましょうかねぇ…」

 

「我が世の春が来たァァァァー!!」

 

こんなものを持ち出していいのか不安になってくる資料を読みながら不気味な雰囲気を醸し出しているため誰も触れたくないのだろう。

 

「いや…だってな…」

 

「まぁ、あいつらはここから戦争中ずっと大儲けできるってことで。軍のほうは大丈夫か?確かMS運用前提の新型艦の就役ラッシュが始まってるだろ?」

 

「あぁ、宇宙軍はアレキサンドリア級モデルの『カイラス級巡洋艦』、コロンブス級モデルの『セレベス級MS母艦』新型駆逐艦『陽炎級』が現在急ピッチで増産中だ。ネェル・アーガマ級相当の『アーガマ級強襲巡洋艦』は一番艦と二番艦が建造中、まぁ艦隊としてそろうには多少時間がかかるが、MS部隊の錬成は順調だ、拠点防衛と船団護衛は可能だ。。」

 

「海軍もギャロップ相当の『六九式強襲揚陸艇』、ジュットランド級戦艦相当の『やまと型戦艦』、ベーリング級(ガンダム00)相当の『たいほう型航空母艦』、ユーコン級相当の『R-400型潜水艦』の建造も完了した。だが、融合炉の製造は約束通り続けている、MS部隊こそまだだがドン・エスカルゴはかなり充実しているし、ジンワスプには負けないだろう。」

 

「陸軍はMS部隊の錬成はすでに完了、それからリジーナを真似た『六三式対艦対戦車誘導弾』も腐るほど溜まっている。リニアガンタンクこそかなり減ったが、各種支援車両部隊やMT部隊はかなりの充実を見せているな。それと、一応ビックトレーやヘヴィーフォーク級相当の兵器ももう少しで就役する予定だ。」

 

「空軍は迎撃機のコスモファルコンのほかに戦闘機のワイバーンと、戦闘爆撃機の先行量産型のジェットコアブースター相当の機体、レイヴンソード先行量産型が充実してきたな。あとレイヴンソードのビーム兵器搭載型が試験中だ、ドン・エスカルゴも海軍ほどじゃないがそろっている。とりあえず初戦は空戦型MSが敵にいないみたいだし空爆やら対地攻撃が仕事だ。問題はない。MS部隊は基地で待機だな」

 

「…なんというか、かなりの充実具合だな…というかジュットランド級結局作ったのか…」

 

「当然だ、六一糎自動砲搭載型戦艦、浪漫じゃないか」

 

「ロマンしかねぇじゃねーか…NJ状況下なら役に立つかもしれんがなぁ…」

 

「MS自体がそのNJを想定した兵器だ、そして地球にNJが展開されるのはほぼ確定だろう。」

 

おそらく今の世論ならばプラントの核攻撃はほぼ確実であろうし、そもそも戦争が起こらないということはあり得ない、これで戦争にならなかったら暴動祭りだろう。ついでに現政権は次の選挙で大敗、次はブルーコスモスそのものが政界に進出してが政権を握るだろうな。そして戦争が起こればおそらくプラントはNJを展開する。国力が違うのだ、スタートダッシュにいくら成功しようが長期戦になればなるほど状況は理事国側、連合に傾く。それはいくら何でも分かっているのだろう。

 

「まぁ、戦争は不可避、これは確定事項だ、だが我々は当面、なるべく消極的な姿勢を貫いてほしい、今我々に前面に出る力はない、そもそも思いっきり装備更新のタイミングぶつけてるしな。順次就役艦が戦列に加わるが、それでも宇宙軍が全力を出せるようになるのは早くて再来年五月頃だ」

 

国防長官が軍の状況をまとめて言う。

 

「再来年五月頃…というとオペレーション・スピットブレイク頃か、割とギリギリだな…というか大丈夫なのか?古賀さん、それまでに失う艦もあるだろう?」

 

タクシンが古賀宇宙軍参謀総長に聞く。

 

「それを計算に入れて…といってもあまり大きな損害が出ると修正を余儀なくされるが、まぁそれでも、ほかの理事国連中はそれまで主力張ってたんだ、ウチに主導権握られたくないだろうからあまり口うるさくは言わんだろうさ、戦後プラントへの発言力は低下するが…まぁ正直あんなところの利権なんぞ捨てる、完全にムーアの工業プラントに移行するんだろう?そういえば万が一のためにジェネシス対策でコロニーレーザーも準備しているが…、これ使うのかね?」

 

「隕石破砕用だからいいんだよ、兵器として使えるけど、隕石破砕用だから。ほら、いざというときあった方がいいじゃん、ベースマテリアルを使った収束機構のおかげで高威力を実現、炭酸ガスレーザーだから地球に撃っても安全だよ。やったね!!」

 

「よくねぇわ!!というかあんなの地球に撃って安全な訳がねぇだろ。」

 

「まぁ、用心というものは必要だろう、再構築戦争のときに劣化版アサルトセルをばらまく計画もあったくらいだ、使わないに越したことはないが、最悪の切り札というのは必要だろうな」

 

「あ、そのことで報告なんですが、環境破壊兵器(アスタロス)完成しましたー」

 

「とんでもねぇもん軽く報告すんじゃねぇ!!ブルーコスモスに渡ってプラントテロで使用されたら文字通りプラントが死ぬぞ!!つーかよくできたな、あんなデタラメ…」

 

「いやぁ…ほら、キサラギですからバイオ関連には強いっすよ」

 

「…AMIDAとか作ってないよな…?」

 

タクシンがキサラギの代表、アミダをにらみながら聞く。タチの悪いことに本名だ。

 

「はっはっは、まっさかー、作れるもんなら作ってみたいっすけど」

 

「絶対作るな!!…そういえばお前ら、なんかヒビキ博士の遺体を回収したらしいが…」

 

ヒビキ博士の安否は書かれていないが、少なくともこの次元ではテロで死亡している。こいつらは絶対に好き勝手させてはいけないと思いながら古賀が聞く。この世界GGユニットなる脳髄でやらかしてる技術があるので「ヒビキ博士の意識を再現」とかできてしまうかもしれないのだ。

 

「あぁ、結論から言えばヒビキ博士の意識の再現には成功しました、現在はムラサメ研にてその頭脳を奮って頂いていますよ」

 

真面目な話だがジョークか何かに聞こえてしまう。ムラサメ研はガンダムで日本ならコレがないと、という意見のもと作られた研究施設だ、遺伝子や医療についての研究を行っており、最近は医療用義肢の開発で有名になっている。

 

「ソキウスシリーズ擬きか?」

 

「いえ、キラのクローンなどは作らせていません、キラ・ヒビキに関する遺伝子データのレポートを現在書かせています」

 

「つまりはスーパーコーディネーターの遺伝子データか、まぁ、役に立つだろうな、研究には」

 

「クローニングは当然犯罪ですからね。尤も、スーパーコーディネーター量産などしても最早遅いのですが。」

 

「だな、戦闘用に調整して産み出されたとは言えガキを戦場に送り出す気にはならん。というかその手の研究ってガンダムだと大して役に立たんだろ、無駄に深刻な欠点抱えてる連中が多すぎる、マトモに運用できそうなのって超兵位じゃないか」

 

クスリ漬けにしたり洗脳したりするのだから当たり前だがと誰かが続ける。

 

「どちらかというとこの手の兵器って、何から何まで金のかかる人間より、AIや疑似人格コンピュータとかバイオ脳とかのほうがユニットコスト安いですからねぇ。ただ戦わせるためだけの存在ならそちらのほうがいいですよね。最終的にモビルドール的なものを投入するとして、初期段階として教育型コンピュータを応用した疑似人格コンピュータtypeK.Yの制作ができればいいんですけど…、まぁ、それでも倒しちゃうのがイレギュラーなのでしょうけどね。」

 

アミダの言っていることは大概だが、この世界、無駄にコンピュータ関連と遺伝子関連の技術が発展しているのだ、そのようなものをある程度研究しておかないとほかの理事国と戦争状態になった場合対応できない可能性がある。

 

「気に入らんな、人形に兵士のかわりができるとも思えん、何よりそのような戦場は悲しいよ」

 

「西村大佐「トレーズだ」…いやにしむ「トレーズだ」…、はぁ…、トレーズ大佐、そうはいってもだな」

 

転生者の中には極稀にソウルネームを名乗りたがる人がいる、西村大佐、否、トレーズ・クシュリナーダ大佐もその一人だ、…しかし典型的な醬油顔でその名前はないと思うのだ、無駄に声が似ているのが何故か腹立たしい。

 

「無論、私とてわかっている、だが、やはり人形は好きになれんよ、アレはあっていいものではない、兵士の死なぬ戦争、聞こえはいいが実現してしまえばその先にあるのはくだらぬ争いの繰り返しだろう、尤もこの世界はそのようなものがなくとも際限なく争い続けそうだが」

 

「まぁ、無人機に関して忌避感のあるやつがいるのは仕方ないとして、疑似人格コンピュータtypeK.Yに関して言えば、ストライクの稼働データがあれば可能だな。万が一…というか二三度連中とは敵対するし必要だろう、そうだな、オデュッセウス計画とかどうだ?ラクスという怪物(セイレーン)とその眷属を倒す計画だしな。」

 

「カッコつけすぎじゃないか?というかオデュッセウスはセイレーンを倒したわけじゃ…まぁ、いいけど、そうだな、オーブ解放作戦には参加しないとマズい立地だし、ヤキンは文字通り総力戦になるだろうしな、二度は敵対の可能性があるんだ、ユニウス戦役はなぁ…あの狂信者(ジブリール)が余計な事しなきゃ参加なんぞしたくないなぁ…」

 

「デスティニープランを認めるか、と言われれば別の次元の話だがな、というか、あんなもんいきなりあんな場所で言われて即導入できる連中のほうがおかしいだろ、憲法とか法整備とか…関連施設の整備とか、初期導入に最低数年はいるぞ…、そっから完全に導入できるまでは十年以上かけなきゃいけないだろうし…性急に導入するなら完全に社会体制ぶち壊さなきゃ…だからロゴスを敵にしたのか、納得。」

 

「むしろロゴスを倒した後の社会保障的な意味でデュランダル議長はアレを推し進めたんじゃないか?まぁ、起こりもしてないことを論じるだけ無駄だな、むしろ直前まで敵だった国の指導者の言葉であそこまで暴れる連中に不安を覚えるな俺は」

 

「サクラだろ…というかこの手の話は議論しだすと答えが出ないぞ…、そうそう、諜報部から報告なんだが、コペルニクスでコトをしでかそうとしている連中はこいつらだった。」

 

「コペルニクス独立会議…?なんだそいつらは?」

 

聞いたことのない組織である。

 

「どうもコペルニクスの独立を狙っている組織の一つらしい、あまりに活動規模が小さいんで公安もマークしていなかった、ほら、こないだ、よりにもよってキサラギの資源採掘プラントを襲った連中のお仲間だ…ちなみに、ユーラシアから相応額の支援があったことが判明している、まぁ、意図は不明だが何か陰謀があるのか…まぁ戦争がしたいらしいな。」

 

「あー、今頃キサラギの研究施設で人間ドック受けてる奴らな、まぁ、思い当たるやつらが多すぎて困るな、…ふむ、で、こちらが会議に送り込むのは外務大臣でいいんだよな、後任は野村君だっけ?」

 

「あぁ、叩けばホコリしか出ない奴を今まで飼っておいた上、ほんの二週間とはいえ外務大臣の椅子をくれてやったんだ、本人も文句はないだろうさ。」

 

「うん、まあいいや、あいつ何かと問題ばかりだし、よし、次の議題は…」

 

よくもそんな人物を外務大臣にしたものである、とタクシンは思いながら会合の議題を次に進めるのであった。

 

 




コズミックイラの世界ってたぶん、デスティニー終了後も割とすぐ戦争は起こるし、ナチュラル、コーディネイター間の対立は続いていくんでしょうね、おそらくは戦後こそ難しい舵取りが要求されます。果たしてどのような世界となったのでしょうか?…ってカズィが老人になるまで平和にならなかったっていう資料があるんですよね…SEEDのころの設定らしいのでデスティニーで変わっているかもしれませんが。まぁ、ユニウス戦役もその、ずっと続く戦争の一つと考えればわりとしっくりは来ますね。あと戦闘描写って難しい。

TWILIGHTAXISアニメ化…、マジか。Arkさんの作品好きなのでうれしいですね。

3/25 改変しました。

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