これからリアルが忙しくなりますが、慌てず、エタらないよう頑張っていきたいと思います。
アジアオセオニア共同体軍第603技術試験大隊 旗艦対馬
うん、なんとなく理解できるぞ。技術試験大隊、原作で出てたのこれくらいだし、名前を使いたいってのは何となくわかる。MS他いろいろな兵器を利用するから、大容量のセレベス級とセレベス級改造の工作艦がつくというのもわかる。
「で…なんで俺がオリヴァーポジなんだ…」
私鶴野正史は今技術中尉として軍艦に乗っています。世話された就職先が軍の技術廠だったのだ。士官教育を一応受けたが部下を持つのは慣れない。技官は皆士官待遇だけど整備士とかを部下に持っているのだ。
「どうしたんだ?鶴野中尉」
「クリーブス少佐、いえ、今回テストする兵器の資料です。」
普段は格納庫周辺にしかいないのに士官の遊戯室まで足を運んだのは、試験大隊の隊長へと資料を渡すためだ。あとはブリーフィングの時間とか聞きだして戻ればいい。
「疾風用のビームライフルであっていたな?」
「えぇ、敵MSを撃墜するのに十分な火力を有しているはずです。」
「あぁ、そこんところは心配してないんだ。稼働時間は?」
「エネルギーパック方式を採用しているので稼働時間に影響はありません。緊急時用に本体からの電力供給で発射可能ではありますが、稼働時間への影響からあくまで緊急時用であることを忘れず、撃ちすぎないようお願いします。」
「了解した。ところで、君の機体だが、少し私が乗ってみても構わんかね?」
僕の機体、というのはムーバブルフレーム技術試験実証機である。一応、MSを与えられている。アーガマ級は規定では中隊規模のMSを搭載しているが、それで二機分の余裕がある。本来は予備機体用のハンガーだが、そこに置いてもらっているのだ。パイロットとしては予備人員となっているので、万が一の場合は出撃しなければならないだろう。そんなことがあるとは思いたくないが。
「え…、あぁ、構いませんよ、疾風と大して性能差はありませんが。」
変わっているのはマグネットコーティングとかコクピット周りだ。そして、マグネットコーティングなんか使わなきゃいけないほど頭のオカシイ機動をする人間を今まで見たことがない。疾風で事足りるのだ。まぁ、乗り心地はいいんだけど、それは陸上でしか影響しないだろう。
「それでも乗ってみたいもんさ。一応、疾風はあれのダウングレード版なんだろ?」
「ダウングレードという表現は正しくないですね。あまり必要のないと判断された機能を削っただけですから、フレームの性能自体は低下していません。むしろ出力重量比の関係で機動性は向上しています」
「なるほどな、まぁ乗ってみたい気持ちは変わらんが。それにこれのフレーム、ハイエンド機シリーズのベースになってるんだろ?」
大西洋連邦よりもたらされたG兵器関連の技術。それを使って、今AOC版Gシリーズが開発されている。何かとケチのついてしまった機体ではあるが、一番機がそろそろロールアウトするのだったか?早すぎる気もするが、元々試験機として遊びを持たせて作ってあったフレームに、それなりの期間ハイエンド機に対抗しうる機体として改修の余裕をもって作られた設計だ。PS装甲は重いから高機動型に使うには厳しいものがある気がするが、「当たらなければどうということはない」なんて言うのは簡単だが、最低でもエースと呼ばれるパイロットでもなければ実行できないだろう。僕は多分無理だ。
「確かに、この機体のデータが使用されていますが、それは疾風も同じことです。まぁ、あちらは限界まで性能を高め、エース用のピーキーな機体になるらしいですが…」
「俺に回ってこねぇかなぁ…娘に自慢できる。」
クリーブス隊長、技量も高く、指揮官としては理想だけど。…その、親バカだ。娘が二人、ムーアにいるらしく、よく自慢話をしてくる。
「モビルスーツの差や、パイロットの差が決定的な戦力差にはなりませんよ。疾風でもジンには十分に対抗可能です。重要なのは戦術と連携、それと指揮官の腕ですね。だからと言って奢るのは駄目でしょうけど。何もエース機に乗らなくったって大丈夫ですよ。」
「モビルスーツの差が戦力の決定的差ではない」このセリフって地味にフラグだよね、一矢報いたの一人しかいない。シャアは性能のせいでとどめをさせないし、いつの間にか情けなくなってるし。スティングに至っては量産機に落とされてやんの。あ、自分が負けることで証明したのか、盲点だった。
「言ってくれるじゃないの…。ま、そうだな。でも今こいつら情報封鎖中だがな」
一応、我が国がMSを開発しているというのは機密中の機密である、人の出入りが制限できる拠点でしか開発していないのだ。
「それは仕方ないということで。」
「だな」
お互い苦笑していると突然放送が入る。
《艦橋より各員。地球において大規模な通信障害が発生した模様。当戦隊は至急、コンペイトウまで帰還する。パイロットは総員、第二戦闘配置。ブリーフィングルームにて待機せよ》
あぁ、今日はエイプリルフールだったか。
「エイプリルフール…ってわけじゃなさそうだな。急ぐぞ、中尉」
「はい」
ブリーフィングルームへ行くと、副長が壇上に上がっていた。
「クリーブス少佐、鶴野中尉、遅いぞ。」
「すみません副長。で、何があったんです?」
「プラントの連中、世界樹で使った大規模通信阻害兵器を地球に投下したらしい。鶴野中尉、アレが何か技術部は把握しているのかね?」
「おそらく通信阻害機能は副次的なものであり、本命は核分裂反応を抑制するものではないか、と推測されています。原理や構造は全くわかりません」
はっきり言って、ニュートロンジャマーの機能はオカルトじみていたのだ。どんな物を使えば良いのかさえ判明していない。
「それは…マズいんじゃないか?」
「えぇ、マズいですね。我が国の国土も気候はともかく、核融合炉に転換できていない主要都市以外のインフラのストップは免れません」
核融合炉へと転換中、これだけ聞くと損害は出ないように思えるが、核融合炉に転換できている地域など主要都市とその周辺の人口密集地帯程度である。多くが核分裂炉を使用しているのだ。
「…前々から思っていたがあのZAFTという集団は正気なのか?戦争などもとから狂気の産物だと言えるだろうが、だからこそ理性的に行わねばならぬのに…これでは…」
「下手をしなくとも生存競争になるだろうな。連中よほど死ぬのも殺すのも好きと見える。圏外圏ででも勝手にやってくれると助かるのだがな」
「全くだ。戦争だってやっていいことと悪いことがある。少なくとも建前上はその方が都合が良い。味方にとってもな。」
「ま、連中の場合、条約に加盟していないし、忠実に守っていたとしても戦後色々難癖つけられそうだがな。」
「勝つしかないにしたってこれじゃあなあ…、正直引くわ。つーかコレ、ウチも参戦する可能性あんじゃねーの?」
各艦の艦長や副長たちが砕けた様子で会話する、転生者がいる影響の一つらしい、あまりよくないのではないだろうか?
「鶴野技術中尉、で?これへの対処方法はないのか?」
「現状ありません、そもそも理論すらわかっていない代物です。開発するにしてもこれからです。」
「あー…では…」
「はい、少なくとも、億単位の死者が出ることが推測されます。わが国でも動力の移行の済んでいない病院などに入院している患者などに犠牲者が出るでしょう。」
石油、石炭の枯渇はコズミック・イラに入る前の出来事だ。恐ろしいことに、病院などの予備電源にすら原子炉が使われている。核の恐ろしさが知れる前の人達が想像していた未来社会だな、CEって…。水素燃料を使った発電機や燃料電池もあるが、インフラの関係で十分な水素が行きわたるのは難しいだろう。
「ふむ…これは、ウチも巻き込まれる…か?」
「ないと思いたいなぁ…、終わりかけとはいえ装備更新中だし…最悪秋まで待ってって感じだなぁ…反攻が可能なのは来春だし」
「戦えんわけではないぞ。というか、何らかの報復措置は取ると思われるな…」
「まずは復興だろ、宇宙から物資の降下をさせるべきだ」
「すでにムーアの第4艦隊が積めるだけ物資を積み、できる限りの民間船を伴って急行中だ。発電機や毛布、衣料品などを降下させる算段らしい。支援要請を受けて大西洋連邦の西海岸地域にも落とすらしいな」
既に多くの艦隊が、地球の救援に動いているらしい。ムーアやコンペイトウでは、当初の予定通り、燃料電池や水素内燃機関工場、水素工場などが全力活動しているようだ。
「動きが早いな…、大西洋も。あの国、本気モードか?」
「ま、こんなことやられて本気にならないわけがないだろ。あのべいてーさまだぜ?」
「リメンバーエイプリルフールってか?確実なエネルギー生産拠点はうちのムーアとコンペイトウ、あとヘリオポリス…はなんかオーブが勘違いしているから使えんか。兵器を売ったりしなきゃいいのにさ」
「まぁ、勘違いしてくれていたほうがいいだろう。うちの儲けが減る。というか俺らは関係ないさ、ただ任務をこなせばいい。今の段階ではそれでいいはずだ。では解散、みな業務に戻れ。」
艦隊司令がそう纏め、緊急ブリーフィングは終了する。参戦のタイミング…教わってなかったな…。たぶんそのうちするだろうけど。
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4月14日 大西洋連邦 ムルタ・アズラエルのオフィス
「何とか一息つけましたか…」
彼の机の周りには、エナジードリンクの缶や書類が散乱している。アズラエルの顔も色濃く隈が浮かんでいる。彼はこの二週間、ほぼ不眠不休…厳密には1時間くらいの仮眠や食事を何回か挟んでいるが…で国の産業が受けた被害を処理していた。
「しかし、AOCからの支援がありがたいですね…この発電船はかなり便利です。彼らの国は災害が多いですからこの手の装備が充実しているのはうらやましい…。先ほどの報告では融合炉も重水素生産設備も複製可能とのことですし、ライセンスも契約しました。急いで増産しましょう。先ずはインフラの復興です。武器が無ければ勝てるものも勝てません。」
各部署にメールで指示を飛ばしながら。他の企業が受けた損害の書類に目を通す。
「あ…こいつらつぶれてやがるじゃありませんか。ハルバートンざまぁ…、じゃあ済みませんよねぇ…」
MS開発に関わっていた非ロゴス系の企業がいくつかつぶれていた。元々企業体力のない企業だったのでさもありなんである。
「こちらでも、試作機が地上試験中。パナマは動かしている余裕がないから…昇竜で宇宙に上げて…まぁAOCに見られても大した問題はないでしょう、大体渡したものしか使っていませんし…それで宇宙試験は…。それから…ダメだ…まともに頭が働か…ない…」
アズラエルが机に突っ伏し動かなくなる…。秘書は何かが倒れた音がしたので、アズラエルの執務室に入ると「あぁ、ついにか…」とでも言いたげな顔をして、どこかへ連絡し、彼を運ばせるのであった。
王大人「アズラエル、死亡確認」
レーザー通信は使えるというのは独自解釈です電波ではありませんしニュートロンジャマーは妨害電波のようなもので、可視光線を阻害するようなものではないと解釈しています。
実際ニュートロンジャマー投下って最悪に近い悪手ですよね、奇襲効果こそ絶大でしょうけど。エネルギー危機だけではありません。食糧輸送の混乱や、各種インフラの停止は免れません。ヘタに長く続く分、感情もそれはそれは悪化するでしょうね。ちなみに、勝手に考えたパトリック・ザラの想定していた作戦だと「物凄く都合のいい想定で、グロス単位で奇跡を起こさないとならないけど。敵の宇宙拠点を制圧、または遊兵化して主要都市や生産施設を軌道爆撃。ジェネシスの完成をもって公表し、それをタネに独立を認めさせる。分取った宇宙拠点は維持できないので適切な値段で返却。できることなら戦力の制限、最悪でも通告義務くらいは欲しい。払いたくないが、施設代を払うのも仕方ないかもしれない。独立すれば取り返せるはずだ」です。突っ込みどころは多々ありますが、とりあえず死人はシーゲル案より少ない。といった感じでしょうか。