C.E転生   作:asterism

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シャア専用ロードバイク…?…なんだって赤くすればいいわけじゃないでしょう!!

まぁさすがに35万は無理だ、自転車の趣味もないし。

HGUCイフリートシュナイド…だと…。MGアドヴァンスド・ジンクスは00 10周年企画の一環でしょうね……できればジンクスⅣを…。獅電系はお手頃で見た目も好みで買いすぎてしまって…でも雷電号は欲しいような…。



phase14かぐや襲撃事件

6月1日 かぐや外縁 ヘリウム3採集施設付近

 

「こちらウォッチャー4、定時報告。戦闘の光絶えず。流れ弾は5キロ以内に着弾なし。オクレ」

 

「ウォッチャー0了解。引き続き監視を続行せよ。通信オワリ」

 

よりにもよってこんな近くで戦闘しないでもいいだろう。月は地球より小さいとはいえ広いのに。と思いながら、ホァン軍曹はムーンRCVの見張り用ドームから顔を出す。強化ガラス製の保護ドームがくっついているもので見張りに用いられるものだ。それでヘルメットなしでも見張りが可能だ。規則上、ノーマルスーツの着用は義務付けられているが、彼はそれが好きだった。時折、宇宙が青く見える気がして。上司に話すと、なにやら慌てたような反応をされ、なんだか上の人に報告されたり、ムラサメ研を名乗る軍内の研究施設に連れていかれもした。きっと厄介なものなのだろうが、それでもこれは止められない。一度見てしまえばあの青に心を奪われてしまう…。何を言っているのだろうか、私は。

とにかく、現在我々のほぼ50㎞程先では戦闘が行われている。ZAFT軍がローレンツクレーターに拠点を作り、プトレマイオスクレーターへと侵攻、それを防ぐために月面で戦闘が行われている。…月の基地を陥落させたいというのなら間違いではない。防衛火器がその面にあるものしか使えなくなるから。しかし、月都市群は基本的に地球の国家に自治区として所属するが、国際法上は中立地帯ということになっており、普通ならばこの方法が実行されることはないのだ。まぁ、攻略方法を研究していない国はいないし、軍事拠点の無い月面都市はないから有名無実化されているといえばそうなのかもしれないが。

 

「軍曹、何が見えます?」

 

「戦闘の光」

 

「ですよねぇ…」

 

運転席にいる二等兵が残念そうに呟く。

 

「あぁ、防衛部隊とは言ってもこんな哨戒任務だなんて聞いてませんよ‼モビルアーマーや戦車、最近話題の新兵器に乗りたいのに…」

 

「そうは言ってもだな、普段使ってたドローンがオシャカなんだから仕方なかろうに。それから、これだって重要な任務だ。その内オッゴが配備されると言う話もある。そう気を落とすものでもない。戦争というのは、前線にいる何倍もの人間が後方にいる。我々はそういう役割を与えられた。それだけだ」

 

新兵にありがちな英雄症候群か。と、ホァンは二等兵の状態を結論付ける。そうそう英雄に成れてたまるか。新兵の時に、事故でおなじ班の一人が死んだとき感じた感覚から、ホァンは前線に出たくなかった。あの形容し難い感覚を二度と味わいたくなかった。尤も、事故の救助でその感覚を感じかけた時は、要救助者を見つけることができてそれに感謝もしたが。第一、機動兵器に乗りたいのなら士官学校に行けばよかったのだ。士官でも無ければ任されて戦車だ。それも、装填手から。一人で操作する以上、そいつにかなりの判断能力の要求される機動兵器は士官の乗り物だ。

 

「ん?こちらに近づく推進光を確認、パターン照合…。ザフト軍のモビルスーツ?故障か?二等兵、運転代わるぞ。お前はウォッチャー0に通信、応援を呼べ」

 

と、言っても来るのは哨戒部隊では無いだろう。ヘルメットを被る嫌な予感がする。

 

「あー、接近中のZAFT軍、こちら、かぐや所属、哨戒部隊。貴官は我が軍の哨戒範囲に進入している。退去されたし」

 

返答がない。つまり、通信器機や誘導関係の故障か? いや。

 

「二等兵、舌噛むなよ!!」

 

ムーンRCVを急発進させるとその位置に敵モビルスーツ…ジンだったか?が持っていた機銃が着弾する。撃ってきやがった!!

 

《ヒャハハハッ!!死ねぇ!!ナチュラル!!リーナの仇だ!!》

 

「っ誰だよそれ!?知るか!!」

 

「おい二等兵!!ふざけてる暇があったら本部に応援を催促しろ!!」

 

おそらく全周波数でこんな感じの呪詛をばら撒いているのだろう敵パイロットの発言に突っ込んだ二等兵にさっさと応援を催促するよう指示する。というか、その返しは火に油だ。

 

「よりにもよってヘリウム3採集施設のそばで…っ!?」

 

敵…襲ってきたジンの弾が付近に着弾する。幸いにも、命中こそしていないが、損傷で気密が怪しくなっている。施設の方向には逃げていないし、流れ弾が着弾した様子も確認できない。が、ほぼ装甲のない施設への着弾は最悪だ。

 

 

≪ウォッチャー4!!第一防衛中隊到着まで500秒、こちらに停泊中の603試験大隊到着まで600秒だ!!それまで何とか耐えろ!!≫

 

「400秒で来い!!と言っておけ!!」

 

ウオッチャー0からの通信にほぼ罵声で返す。たかが100秒というが、早いに越したことはない。というか早く来い、死ぬぅぅぅっ!!

 

ジンの脚部に搭載されたポッドからミサイルが発射されるが、それを何か巨大な影が盾となって防ぐ。

 

「あれは…、わが軍のモビルスーツか!!」

 

4つの遠隔操作砲を持つ赤と白で塗装された機体が、我々を追いかけていたジンを見下ろしていた。

 

―――――――

 

ガンバレルの機関砲が火を噴くが、その弾丸がジンを捉えることはなく、少しずれたところに着弾する。またずれた。

 

「えぇい!!まだズレるか!!」

 

ヘルメットではなく特殊ヘッドギアを使ってコクピットに乗っている鶴野は悪態をつく。頭を締め付けるような頭痛がする。ほぼ無理やりガンバレルを使っているための副作用だろう。

 

かぐやにある企業のプラントでビーム兵器の量産に関する打ち合わせを終わらせ、さらにムラサメ研の連中から新型兵器の受領をしたと思ったらこれだ。お陰でいきなり新型兵器の実戦テストをやらされるハメになった。外付け型のガンバレルと、補助飛翔体だ。おかげで現場に急行はできたが、補助飛翔体を盾にして壊してしまった。まだ代わりはあるからいいのだが。

 

「やっぱずれるし、当たらんし、妙な声まで聞こえてきやがる!!」

 

空間認知能力強化用特殊ヘッドセット。試作型MS用ガンバレルのテスト用のついでにと渡されたものだが、絶対欠陥品だろこれ。余計なものまで感じてしまう。それに効果もいまいちだ、さっき使って分かったが、微妙に意識のずれを感じる。

 

4基のガンバレルを操作するのは、メビウスゼロ隊にいるパイロットならば余裕でこなすのだろう。しかし、子供だましくらいの適正しかない僕は、そもそも動かせるのが奇跡なのだ。いかに特殊な仕込みがしてあろうと。

 

「中尉!!下がれ!!なんかおかしいぞお前!!」

 

「わかっています!!こいつを消せばぁ!!」

 

わかってねぇだろ!!というクリーブス少佐の声が聞こえる。わかっている、この声のもとを消せばこの頭痛も消える。

 

「行けよ!!」

 

僕の指示を受け付けたガンバレルがその刃を剥き敵のジンに突き刺さる。

 

(ナチュラルごときに…)

 

コクピットを貫いた瞬間、そんな声が聞こえた気がした。

 

「戦場で驕るから…そうなっちゃうんでしょう…」

 

その瞬間、視界が暗くなる。思わずそんな言葉がでた。どうしてもそう吐き捨てずにはいられなかった

 

―――――――――

 

直後、603技術試験大隊内、医務室

 

「ッつぅ…」

 

薬品の臭いにつられて目を覚ます。

 

「お、目が覚めたか?」

 

「マルティン少佐…ということは医務室か」

 

対馬の医務室勤務の医官が話しかけてくる。

 

「そうだ、あのヘッドギアの効果は知らんが。中尉、医者としてあれを継続使用することは認められんな」

 

「技術者としても同じ結論です。ガンバレルや操作プログラムのほうを改良すべきでしょう。現状では欠陥品です」

 

記録を見ないでもわかる。というか自分の行動なのに覚えていないわけがない。なんだあの強化人間みたいな言動。

 

「そのように報告するといい。被験者データが必要なら言ってくれ。わかっているとは思うが、一応そういうものも含めてバイタルデータは私が管理する規則だからな」

 

「了解です。あ、撃墜した機体は?」

 

ベットから起き上がり、たたまれていた上着を引っ掴んで羽織る。少し腹が減った。何か食べに行こうか。いや食堂は空いていないし、売店は停泊中だとやってない。基地の売店は遠すぎるな。まだ勤務時間中だ。基地の外へ出るわけにもいかない。我慢だな。

 

「現在お前さんの部下ができる範囲で検証中。とっとと行ってやれ。もう脳波やバイタルに異常はない」

 

さっさと行けとでも言わんばかりにマルティン少佐は僕を軽くあしらう。僕は敬礼をして医務室を出て、格納庫へと急ぐのであった。

 

―――――――――

 

6月5日 スラバヤ 大統領府

 

「プラントは何と言ってきたのだ?」

 

「一兵士の暴走であるが、こちらの落ち度であり、そちらの求める賠償に応じる用意がある。だそうです」

 

「ふむ…まぁそりゃ当然か。国内世論は?」

 

対プラントを担当していた外務官僚の報告にタクシンは頷くと、また別の官僚の報告を聞く。

 

「ただ、こちらの回収したMSの残骸に関しては返還を求めています。国内に関しては報道機関も面白おかしく騒ぎ立てていますし、国民世論も反プラントへと動いています。大規模な暴動やデモこそありませんけど、コーディネイターへの襲撃行為もあったようです」

 

今朝確認した数社の新聞では、まぁ面白おかしく書かれていた。防衛隊に負傷者こそ出たものの、生命線であるヘリウム3採集施設には大した損害がなくてよかった。もしあったら、ちょっと面倒だっただろう。MSも撃墜されたやつ以外には見られていないらしい。レコーダーには通信機器を切った形跡があった。知っている者はいないだろう。変な話だが、完全な命令無視の単独行動だったのが幸いした。襲撃がなければもっとよかったが。撃破されたMSの返還要求はきたが無視だ。こんなちょうどいいものを返す意味がない。

 

「返還要求は無視。襲撃行為をした犯人はさっさと捕まえて法に則って処遇を決めろ、他国の反応は?」

 

「月面都市群の自治市長たちは混乱している者が多いですね。連合軍の追い出しに動く市長もいるかもしれません。大西洋はそんなことより、2日に起こったサイクロプス使用で混乱中。ユーラシア、東アジアの反応は…まぁ予想の通りです。中立国家でもプラントに対する疑念が高まっているようです。明確なアクションを起こす訳ではないようですが」

 

外務官僚は、それ以外の国の反応も併せて伝える。…まぁ大体どこも同じか、月都市群の施政者たちは腹黒い。この状況で最大限、自分たちが利益を得るよう動いているが、このような事故が起こればそりゃ動揺もするだろう。ユーラシアは、この間カサブランカで敗北したのが効いているな。ジブラルタルの陥落が現実味を帯びてきた。東アジアは雲南、四川が膠着状態だから、か。長期戦になってあまり弱られても困るしな。国家の統制が怪しくなっての難民爆弾は勘弁だ。大西洋は結局、サイクロプスを使用した…。どうも現場の独断臭いが、アレは戦略兵器ではなく採掘機械だしな。危険なものではあるが、使用も比較的自由なのだろう。

 

「参戦の判断はせめてプラントが「何を求めていて」、「どうそれを実現するのか」を知ってからでも遅くはないと思うのだ。と、いうより落としどころのない戦争なんぞに首を突っ込みたくはない。落としどころがわかり、それが我が国にとって害となるのであれば早急に終わらせるよう動くがね」

 

勿論、おそらくは参戦することになるのでは。という会合内の大方の予想の通りになるだろうが。そもそもNJ投下の時点で我が国は「無差別攻撃を受けた」のだ。言い訳はあるだろうが、その事実だけは変わらない。今は準備期間だ。悟られないようゆっくりだがね。

 

「プラントの独立」。彼らはそう謳っているが、行動がそれに一致しているとは到底思えない。怨念返しというか、優秀な我らを支配するのは許せない的な感情が根底にあるんじゃないか?だとすればたとえプラントが勝とうが延々と革命まがいの武力蜂起が続くだけだ。認めさせるのであればかかる火の粉を追い払い、「こいつらに首輪を嵌めるのは割に合わない」と思わせるだけでいいはずなのだ。

 

―――――――

 

6月5日夜 プラント アプリリウス1 パトリック・ザラ邸

 

「何とか説得は成った…か。アイリーンやユーリも協力してくれたのが大きかったな」

 

パトリックは、書斎の椅子に座りそうつぶやく。今日、先日起こったAOCのかぐやへの襲撃に対する回答テキストを、彼らに向けて送信した。確かに一部の悲しみにとらわれた兵士の暴走ではあったが、事故と片付けることはできない。謝罪も、賠償も必要な事件だった。普段ザラ派と目されている連中にとっては気に入らない事件だったのだろうが、その分、中立派やクライン派と目されている連中が協調してくれた。相手の反応が、世論に比べて淡白なのが気になるが。重要施設に損害がなかったのだし早く終わらせたいのだろう。もとより彼らは、我々の行動に関してどうでもいいとみている所がある。さすがに世界樹やNJに関しては非難してきたが。だからと言って戦争に参加する気配はない。戦力の増産にこそ務めているが。こちらへの敵対の意思はとりあえず無い。裏で何をやっているかは知らんが。

 

「そういえば…今日はアスランが帰ってくる日だったか…?いかんな、コーディネイターも加齢による記憶力の低下には勝てんか…」

 

ふと、書斎に置かれた息子の写真が目に入り、そんなことを思い出す。確かこの写真はコペルニクスでレノアが撮ったものだったか?この時期の子供というものは数年で見違えるものである。随分と背が伸びているし、顔立ちも変わっているように感じる。なぜこんな古い写真しかないのだったか…。

 

「…そういえば、アスランが帰ってきてから家族写真など撮っていなかったな…。撮っておくのも悪くはないか。…私にとっては最後になるかもしれんからな」

 

忙しさにかまけて、そんなことも忘れていたのか…と自嘲する。コーディネイターも万能ではないな、こんな風に、大切なことを忘れてしまう。どうせなら、もう少し前に気づきたかった。そうすれば、レノアもいたのに。




そういえば、よくジオンをナチスドイツっぽいとかドイツモデルとかいう人いますけど、プラントはというとソ連っぽいんですよね。設計局とか、階級がない(すぐやめたけど)とか。○○隊っていうのはイスラエルかららしいですけど。


ニュータイプっぽい描写をしたつもりなホァン軍曹ですが、本作ではニュータイプなど他のガンダムの概念は根幹に関わってきません。もしいたらいろいろとアイデンティティがクライシスする人たちがいるのでそれもまた見ものかもしれませんがね。しかし、さらっとそれっぽいことを言ったりやったりする人は出てきます。「人類が宇宙に適応するための戸口に立っている人」といったところでしょうか?どのように適応し、どのように進むか、ニュータイプやイノベイターというのはその世界の宇宙に適応した進化の収束点であって、コズミックイラの宇宙に適合した進化の形はまた別のもの。と考えているので。SEEDだって戸口の一つなんですよ。その戸口の先にあるものが望んだ、望まれた結果とは限りませんけどね。撃墜王とほぼ同義になってしまっていったニュータイプのように。



登場兵器 

試作ウェポンラック搭載型ガンバレル
90㎜機関砲
単分子ブレード

AOC開発のMSに装備できるガンバレル。オプション式になっており、ストライカーパックとはまた別である。ブレードを搭載しているのは適性の低いパイロットでは射撃を命中させることが難しいのでは?と懸念されたため。しかし、ガンバレル自体を当てるほうが難しかった。速度的な問題で当たり前であるが。

空間認知能力強化用特殊ヘッドギア(モデルはガンコレでプルツーが付けているもの)

ガンバレル適性の低いものの適性を上げるために開発された特殊装備、実験装備なので、ヘルメットとのマッチングを全く考えていない。性能自体は満足のいくものであったが被験者の思考能力に重篤な副作用をもたらす例が報告されており、採用はひとまず中止となった。…そういえば本編で見た記憶がないがプルツーは本当にこれ使ったっけ?それとも忘れているだけ?

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