原作キャラの親族なキャラ出してしまいましたけど…書ききれるかなぁ…これ。書きたいことを書いていたら読みづらい文章に…。
コンペイトウ 近隣宙域 ZAFT ホーク隊旗艦 キュリー
「無理だろこれ…」
「新星はこの戦力で攻略しました」
バカか?こいつ…。と思いながら、マクシミリアン・ホークは、今回本部より預けられた作戦参謀を見る。どうしてこう頭が固いのだ。いくらなんでもナスカ級9隻、ローラシア級12隻でコンペイトウを攻略しろ?冗談も休み休み言え。「まったく損耗していない上にMSを保持した艦隊と要塞戦力」を相手にどうしろというのだ?というか、新星を攻略した損害を誰でもいいからまともに検証したのか?消耗戦になって軽くはない損害が出ていただろうに。…多分やっていないんだろうな、戦果に目がくらんで。平均5対1、MS対MAの戦力差はこの程度だ。こちらの損害は0じゃない。奇跡的に艦船にこそ損害がなかったが、MSは何機か撃墜されているし、パイロットの損耗も馬鹿にならない。
「…新星とは規模も、練度も装備も違う。その前提は間違いだな」
「ナチュラルのMSなど恐るるに足りません!!ここは攻略を!!」
「馬鹿かね、貴官は?現状、情報が少なすぎる。敵など恐れないという雄弁は買うが、無謀な作戦、多くの損害は我々の首を絞める。臆病なくらいが丁度良いのだよ、戦場は」
ただでさえ、気の遠くなるような国力差があるのだ。人死には敗北に直結する。…よく考えると酷い状態だな今のZAFTは…。出世の目が消えたからと言って、安易にこちらに移住したあの頃の私を殴りたい。
「とにかく、敵MSの情報がない状態での攻略など賛同できん。最悪、無為に屍を晒すだけだ」
ジンに対抗できないものを実戦に投入するはずがない。勝てるから投入するのだ。数で押すのか、単体が強いのかはわからないが。…せめてカメラの映像くらい持ち帰れよ、生き残りども。そこからわかることもあっただろうに…極限状態だったのだから責めることはできないが。
「とにかく、攻略など無理だとは思うがね、勿論あなたも出るのでしょう?MSの搬入は確認していますし、何より、その自信だ。さぞ素晴らしい技量をお持ちのことでしょう」
死んでくれればうるさくなくて助かるしなと、ある意味最悪なことを考えながら黒服に言う。そういえば名前なんだっけコイツ…、覚えてないや。兎に角、黒服とはいえ能力だけなら前線に出れるだけの訓練はしていると聞いている。厄介払いではないが。とりあえずどこかに行ってくれたほうが助かるので出撃を促す。案の定乗ってくれたので助かった。
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コンペイトウ 演習宙域 第501試験戦闘大隊
プラズマ砲の輝きが宇宙を駆ける…また外れた。
「はっ…やい!?」
高機動型とはいえここまで機体を手足のごとく動かしてもらうのは開発者冥利に尽きる。と思いながら鶴野はプラズマ砲のゲージに目を向ける。チャージ率5%。これではあたっても有効打にはならないだろう。というか実戦なら装備の選択ミスだな。あくまで対艦装備だ。と思いながら左腕に保持したビームサブマシンガンのトリガーを引く。
《そいつは見切ったぞ!!》
そんな通信が聞こえて弾幕の中を一機の疾風改が単分子ブレード『バロング』を構えながら突撃してくる…ビームを斬った!?
「ならっ!!」
ブレードが迫る瞬間に背中のスラスターを最大出力に、思い切り上にずれながらミサイルを撃つ。攪乱目的のスモーク弾だ。
「これで!!」
チャージ率30%、一応、MSを撃墜するには十分な威力を持ったプラズマが発射されるはずだ。しかし、トリガーを引く前に視界が黒く染まった。
「胸部にビームが命中…撃墜判定。状況終了」
コンソールに赤く光る文字を確認し、結果を呟く。悪くはなかったと思うのだが、まだ及ばなかったようだ。
《お疲れ様、大尉。悪くはなかったが…、やはり懐に入られてはそいつの相手は難しいか?》
視界が紺色の宇宙に戻るとともにシュレスタ少佐から通信が入ってくる。ズルフィカールのCICにて今回の演習を監督していたはずだ。
「単純に機体用途の違いではないかと思います。私の機体は、謂わば対艦攻撃機です。収束プラズマ砲も、MSのような小さな目標を撃つための兵器ではありません」
ディフェンサーユニットの火器のほとんどは対艦を目的に作られている。もちろん、拡散ビームキャノンやビームマシンガン、試作型ビームガトリングガン、120㎜ガトリングガンなど、取り回しによってはMSとも戦える装備もあるが…、敵艦隊への攻撃任務をこなすほうが効果を発揮するだろう。というかこれ全部一応試験は終わっているんだよな…試験配備とはいえ今ここにあるんだから。180㎜対艦多薬室砲とか…文字から犇々とロマンの漂ってくるヤバい奴もあるが…、こいつは運用に難がありすぎる。標的艦をチクワにするくらいの威力はある。しかし、冷却性能とか、消費エネルギーとかが酷過ぎる。大容量バッテリーを複数搭載したこの機体が一発でエネルギーエンプティとか…。そんなもの作っているからADTRDが「変態の巣窟」とかって言われるんだ。…なんでも大口径化、地上配備型にして基地防空と軌道爆撃の戦域高高度迎撃のために量産するらしい…。ストーンヘンジかよ…。そりゃ…射程は異常と言ってもいいくらいだ。しかし特殊合金を採用した弾薬が高い。しかし、ミサイルが誘導効かなくなったのでそのようなものも必要…ということだろうか?正直火砲の開発部署は浪漫に生きている連中が多すぎて困る…。運用試験をする側の身にもなれって話だ。オーバーロードとか怖すぎる…。
《各員、第二戦闘配置、接近する所属不明の艦影21、付近の哨戒部隊は現地へ急行せよ》
戻ろうとするといきなり、司令部からの緊急通信が入る。
「ッ!?少佐!!」
《演習中の各機に通達、直ちに帰還、戦闘装備に換装の後、コクピットにて待機せよ。》
少佐は僕たちに命令を出す。おそらくは自分もMSデッキへ向かうのだろう。
《「了解!!」》
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ZAFT ホーク隊
「うん、知ってた」
NJの効果範囲であろうと、レーダーが完全に使えないというわけではない。1960年代前半くらいの精度はあるし、当たり前だが、こちらがレーザー照準器を使っているのだから、逆探は問題なく作動するのでロックオンすればこちらの位置はバレる。そして未だに、理事国が削減こそすれ、完全に廃止していない見張り員を「旧時代の遺物」などと揶揄している連中にはわからないだろうが、目視とは案外馬鹿にできないものだ。熟練の見張り員に性能のいい双眼鏡の一つでもあれば、この距離だろうと捕捉されるだろう。
「各機散開、砲撃とは当たらないもの…という時代に逆戻りはしているが、砲撃の中を密集していいことはないしな」
部下12機に散開命令を出す、ほかの隊にまで忠告を飛ばす時間はない。砲撃が始まるだろう。
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《セキ、ホイヘンス、ベルヌーイ中破!!クーロン轟沈!!MS14機喪失!!》
「言わんこっちゃない!!」
キュリーのオペレーターから伝わってくる悲鳴のような叫びに思わずそう吐き捨てる。隊の母艦に被害がないのが救いだが、ローラシア級2撃沈、ナスカ級1ローラシア級1中破…、いくら沈んでも代わりのあるような国ではないので、ZAFTにとっては痛い損害だ。…というか、どうして白服が功に焦って撃墜されてるんだよコンチクショウ、クルーゼが無駄に活躍したからか?それとも戦争の認識が、英雄が生息していたころの認識なのか?残っている白は俺と…フーリエのグラディス艦長だけか…。とにかく連合のMSの性能は脅威だと結論付け、ライフルを乱射しながら突っ込んできたライトグリーンとネイビーで塗装された機体に無反動砲をぶち込む。まだまだ対MS戦術は未熟…なのはこちらもだな。当たり前だが。
「あー…もう、残存兵力はポイントA-23に集結、撤退だ!!一転突破を図る。押っ取り刀で押しかけてきた連中をぶち抜くぞ!!」
既に包囲状態ではあるが、まだ戦力の薄い地点を突破、撤退するように指示をする。
《了解。ホーク隊長、MS隊の指揮は任せます》
「こちらも艦隊の指揮は任せるぞグラディス艦長」
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第501試験戦闘大隊
《一機特務仕様がいるな…まぁ、いい。各機、深追いはするな、しかし損害は与えろ。ここで与えた損害が後々多くの味方の命を救う》
「了解!!」
《了解!!》
48機、大隊に所属するすべての機体からの返信が聞こえる中、試作型精密照準バイザーを作動させる。砲撃型や支援型、電子戦用に開発されている装備の試験型だ。頭部ごと換装する必要があり、頭部機銃がオミットされている事が欠点といえば欠点か?
「逸っている奴がいる…」
一機、突出している機体がある。おそらく、隊長機と思われるシグーが止めようとしている気があるが、聞く耳を持たないようだ。狙撃してみよう。使うものは高出力化を施しただけのビームライフルだが、別に狙撃ができないわけでもない。
「こちらから狙撃して敵の勢いを挫きます。鶴野機の射線上に入らないでください」
《わかった。大尉、しっかりやれよ》
少佐からの通信を聞き、狙撃に集中する。
「そこっ!!」
照準の中央に敵の胸部が入った瞬間、引き金を引いた。
「あ…当たった?」
狙いからは少しずれたが、敵MSの腹部を打ち抜き爆散させる。…照準器の問題ではない。搭乗者の技量の問題だな。
《ナイスショット、大尉。そのまま支援を…という装備ではなさそうだな。無茶はするなよ》
「了解」
余裕、といった感じの少佐の声に反応し、右のハードポイントに搭載していたビームマシンガンを装備する。今回は試作した大型マガジンを装着しているため、使用時間は長くなっていると思う。
「無理はせず…、慎重に」
そう言い聞かせるようにつぶやきながら近くにいたジンに向かい引き金を引く。
《ナイス援護!!》
結果的に撃墜には至らなかったが、味方パイロットの援護につながった。
《大尉、特務仕様がそちらに向かっている!!》
「は?ってアブねっ!?」
少佐の警告を受けるとほぼ同時に、ミサイルが数発、先ほどまでいた場所を通り抜ける。赤と黒で塗られたシグーが無反動砲と重粒子砲を構え突撃してくる。
「鷹?」
肩に描かれたエンブレムが目に入りつぶやく。
《よう、いい機体に乗っているじゃないか》
敵からの通信が入ってくる、周波数を合わせたのか?
「お褒めの言葉どうもっ!!」
背部ミサイルを発射しながらバイザーを上げ、左でビームサーベルを抜刀。弾切れなのか無反動砲を捨て、ミサイルを躱し突っ込んでくるシグーに叩きつけようとするが、敵の腕に阻まれる。
「ガントレットかよ!?」
《いい趣味しているだろう?対ビームコーティング付きだ》
左腕には小型の盾が装着してあり、それで防がれる。よく見るとシールド裏に刃物が仕込まれているようだと認識したところで、右腕のガントレットの刃でビームマシンガンを切り裂かれる。いつの間にか重粒子砲も捨てていたようだ。
「ニャロ!?」
咄嗟に肩部に搭載された閃光弾を発射し距離をとる。ビームライフルを再び装備しようとする…いや、時間がない!!と判断し対装甲ナイフを抜く。
《身持ちが固いな…うらやましいよ》
左手にライフル。右はガントレットのままで突撃してくるシグーを何とかいなし、周りを見る。ZAFTはほぼ撤退を成功させたか。こちらに隊の仲間たちが近づいてきている。すると、赤黒のシグーは撤退しようとする。おそらくシグーのスピードならば、追撃は振り切れるだろう。
《おい背負子付き、その命、預けとく》
赤黒のシグーのパイロットがそう吐き捨て、シグーを加速させる。
「は?」
去り際にいきなり何を言ってくるんだこいつは?というか背負子付き?もう少しいいネーミングがあったんじゃ…。まぁ、敵につける異名なんぞ皮肉か忌み名のどちらかか。忌み名なんぞつけられる技量がないのなら、間の抜けた名前にもなるか…。
《大尉、よく生き残った。帰艦するぞ》
少佐から通信が入り、ズルフィカールとパゴタが目に入る。…なんとか生き残ったが、いつ死んでもおかしくなかった。戦場では当たり前のことではあるし、覚悟はしているが。やはり、技量はまだまだ…か。
シグー(マクシミリアン・ホーク機)
M68キャットゥス 500mm無反動砲
M69バルルス改 特火重粒子砲
M68パルデュス 3連装短距離誘導弾発射筒×2
小型ブレードガントレット×2
ホーク隊隊長、マクシミリアン・ホークの乗機であるシグー。パーソナルカラーのメインを赤、ところどころに黒を配置した配色で塗装されているほか、装甲が追加されている。ホーク隊長の戦闘スタイルは砲撃寄りであり、ジン用の大型武装を好んで使用している他、重斬刀と専用シールドが重量の都合で装備できなくなったことを補うために、近接用として現地改修装備のブレードガントレットを装備する。