C.E転生   作:asterism

27 / 28
「A.O.Z Re-Boot」のアクアバーザムが好みにズドンと来ました…非常にたまらないデザインではありますが…改造は難しいだろうなぁ…作れたらうれしいけど。HGバーザムの出来が良いから夢が広がります。ゲイツの再販来た!!これ書き始めるときに買おうとして値段見て目を疑ったのはいい思い出ですw

レポート地獄()からやっと戻ってこれました。遅れてごめんなさい。


phase23 ゾディアック・プラン

プラント マティウスⅠ 造船所

 

「これが…、ずいぶんと形が変わったな」

 

造船所のドックに鎮座するナスカ級の改造型を見てそう呟く。MS用のハッチがエターナル級の物と同型になり、カタパルトもついている。…見た目は…悪いが、使えればいいのだ、うん。

 

「MSの推進剤の消費を考えると旧態依然とした方式のほうが良いとの結果が出ています。特殊部隊用の艦、というのなら変な意地を張る必要もありませんし、上もそのつもりのようです」

 

成程、まぁ、旧世紀、第二次世界大戦後期から方式を変え、戦場を変えても、「カタパルト」というものが廃れないのだから、発艦に使う利点はあるのだろうと思いながらパトリックは隣に控えていた技術者に聞く。

 

「改ナスカ級…ナカダ級とでもしようか、一番艦の艦名はヒッパルコスだったな?他ナスカ級の特務仕様3隻が就役間近、ローラシア級の特務仕様9隻は改造が完了したと聞くが、何か問題はないかね?」

 

「はい、問題ありません。しかし、良いのですか?この艦はエターナル級の試験艦であって、あくまでナスカ級を改造しただけのものです。とてもではありませんが、実戦投入するものではありません」

 

技術者が、不服といった感じで言う。確かに満足のいくものではないのだろう。しかし、満足いくまでやらせていたら時間切れだ。重要なのは、今使える戦力なのだ。

 

「時間がないのだ、現在、我々と連合の戦争は膠着状態の消耗戦となっている…、その状況でどちらが先に音を上げるか、わかるな?」

 

「…我々…です」

 

「無論、エターナル級が使えることに越したことはない、搭載機数こそ不安があるが、高速戦艦であるエターナルはある意味でこの計画では理想だ。フリーダムやジャスティスを製造することが間違いとは言わん。むしろ一騎当千を標榜するあの機体があれば大分楽になる。しかし、兵器というのは必要な時にそこになければ意味がない。これらの艦も重要なのだ、現状、警備艇一つ無駄にできんのだよ。ただテスト艦と捨てることはできん。戦線を整理し、少ないなりの戦い方をするにはな」

 

ゾディアック・プランなどと、たいそうな名前を付けたが、やることはつまらない。伸びきった補給線を整理し、戦線を縮小、そこで防衛線を構築、時間稼ぎをしつつ、精鋭部隊による後方奇襲作戦で敵を混乱、損害を与え、戦意を削ぎ政治的妥協を図る。言ってしまえばご都合主義で後ろ向きな作戦だし、国力差の前に押しつぶされる可能性が高いが、この状況ではこれしかないのだと思う。可能なら地上軍を引き上げてしまいたいが、マスドライバー5基がフル稼働されてはこちらが困る。壊すにしても、壊すだけの決死隊を残すのももったいない。月だけでも気の遠くなるほどの艦艇を製造可能なのに、地上まで加わったら時間稼ぎすら不可能になる。マスドライバーと工廠はセットだ。我々も有効活用したかったが、損害が大きすぎた。あまり壊すなと言ったんだが…。まぁ、抵抗も激しかったようだし、仕方ないのだろう。兎に角、ジンの改造型や、新型の先行量産仕様を精鋭に与え、敵の後方を撹乱する。…本当ならばアスランたちもそこに入れるべき戦果は挙げているが、入れないことにした。こういう役割はあいつらのモノではない。彼らの役割は本来戦後のほうが大きいのだ。

 

「しかし、国民が妥協を受け入れるだろうか…。せめて…、いや、過ぎたことは言わん。後悔は終わってからだ」

 

コーディネイター優越主義の緩和はするべきだった。とは口が裂けても言えなかった。自分は建前上、そういう奴らのトップなのだから。

 

―――――――――

 

AOC 会合

 

「終わりが見えてるだけに…後味悪いなぁ…」

 

「はっはっは…、どうせいなくなろうと困るわけでもない。むしろAOC的にはハルバートンの死は喜ばしいぞ。政治力は将官としてはアレだが、軍人としての能力は高い。戦後あんまり弱体化されるのも困るが、必要以上に力を残されるのも困るんでな」

 

「ま、失敗しといてでかい顔もできんし…、ぶっちゃけ第八艦隊が壊滅してくれた方が政治的には…、でも困るな、戦力が減るのは…、計算に入ってはいるんだが」

 

阿部宇宙軍司令が真顔で言う。

 

「やめやめ!!後ろ暗い話禁止!!…は無理か…。まず現状を報告してくれ!!」

 

会合では、任務を終えた第501大隊のことについて話し合われていた。第八艦隊と合流すると同時に帰されてしまった。どうも親ブルーコスモス派閥との関係が気に入らなかったようだ。

 

「まー、しゃーないんじゃないの?ZAFTの新型ミサイルのせいで被害出ちゃったけど、アレそうそう準備できるもんじゃないだろ?」

 

びっくりドッキリメカじゃないんだしと、陸軍の高官を務めている人物がそう発言する。

 

「対艦ミサイルとしてじゃなく対要塞として使われるとちょっと困るがな、対象が要塞になると一発や二発じゃ足りんから…ミサイル自体を大型化されると困るが」

 

阿部宇宙軍司令がそう答える。

 

「兎に角だ、低軌道に第十艦隊を展開できるよう準備をしとけばいいだろ」

 

「もうやっているさ。大体、あと一か月で交代の予定だったんだ、準備が大方終わっていても不思議はないだろ?」

 

「そりゃそうだ。…まぁ、不足していてもどんどん就役するセレベス級の輸送船型で運べばいい話だが…陽炎級こそ前線に配備するだけしかまだ間に合ってないが、吹雪級でも護衛任務はこなせるし、青葉級だってこなせる。MS搭載艦はパラオ級のMS対応型でいいしな」

 

元より砲戦は戦艦、MS搭載は空母、巡洋艦には汎用性。そういう計画で伊勢やアユタヤが就役してるんだし。と古賀が締めくくる。

 

「じゃあ次だな、ユーラシアでハイペリオンのロールアウトを確認。何やら特務仕様とやらが数種あるらしいが…、ガルシアは結局変えんのな。まぁ、そんなところだな。東アジアも試作機…でいいのか?これ、兎に角こんなんが確認されたわ」

 

情報部のトップを務めている人物が次々と会議室にいる面々に資料を配っていく。そこにはユーラシアと東アジアのMSが写っていた。

 

「こんな情報どこから仕入れた…。気にするだけ無駄か。ハイペリオンの仕様は変わらず…特殊型というのが気になるが、まぁ、いずれわかるだろう」

 

阿部宇宙軍司令がそう答える。

 

「気にするまでも無いか。で?こっちは…ジンだな」

 

「あぁ、胸の部分とか思いっきりジンだな」

 

東アジアのMSとして写真に写っていたのはジンを「気持ちばかりカクカクさせました」といった感じのMSであった。

 

「SEED版ザニ―とでも言ったところか?で武装は…420㎜無反動砲に180㎜4連装無反動砲、75㎜機関砲に柳葉刀、偃月刀か、物理ブレなのはバッテリーの関係か?いや、ストライクダガーあるんだし…」

 

「雲南、四川戦線は森林地帯での戦闘が主だからな、ビームサーベルは気を付けないと山火事になるし、物理ブレードの出番は比較的多いさ…。前に介入したときは空からドカドカ撃ちまくって終わらせたけど、地を這って戦うんなら物理ブレードのほうが使いやすいこともある。それにビーム兵器を搭載できるからといっても、結局はバッテリー稼働なのだからな、節電できることに越したことはない」

 

「まぁ、繋ぎなんだろうさ、ジンの鹵獲、性能試験はこちらでもしているが、コーディネイターの陥りがちな技術的限界を攻めた設計や最新技術の濫用がないらしく、それなりには生産性なんかを意識した機体にはなっているようだ。何より「国産」ってのは割と重要だしな。こいつとストライクダガーで数を補って、技術を蓄積、そのうえで純東アジア製のMSを開発するつもりなんだろう」

 

東アジアはMS技術に最も出遅れている。そのため他の理事国へのスパイ活動などが盛んにおこなわれているが、それでも芳しくはないようだ。当然である、当たり前の話だが、嘘や失敗作を意図的に流されたりしているのだから。それなので、割と、この機体は正解なのではないだろうか。

 

――――――――

大西洋連邦 閣僚会議

 

 

「切り離しましょう」

 

「アレにこれ以上仕事を見つけられると倒れるまで働くので非常に面倒です。幸いにして、かの国は反大西洋派閥と同じくらい、親大西洋派閥に事欠きませんからな。治安の安定化は現地政権の仕事…でいいでしょう。こちらも兵器の供与や格安提供でどうにかなるでしょうし、ついでに利権の2、3でも鼻先にぶら下げてやればやる気も出してくれるでしょう」

 

大西洋連邦の議会では、占領してしまった南アメリカ合衆国への対応が協議されていた。しかし、占領地域の治安維持もバカにならないので、最低限の駐留部隊を置いてとっとと切り離すべきだという声が強くなっていた。電撃的に占領したため、インフラへのダメージも少ないため、頭だけ挿げ替えてあとはその国に任せた方が良さそうである。ZAFTの派兵前に占領できたのが幸運だった。

 

「ヘタに権益拡大しようとして反感情持たれても困るし、何よりこれからは宇宙開拓だ。戦後L2に我々独自のコロニー群を持とうという計画が進んでいる中、治安出動ばかりで金食い虫の南米なぞ即刻独立させればよかろうコロニー建造用の資源衛星もアステロイドベルトより適当なのを見繕って運ぶ計画だ。こちらはもう選定が住んでいる。一号の到着は半年後、そこから三か月毎に届くようになっている」

 

商務大臣がそう言ってコロニー開発計画の計画書を皆に配る。

 

「うん、その辺は把握している。しかし…まぁ、ずいぶんと大仰な名前だな。AOCのコロニーもたいそうな名前だがね」

 

一番資源衛星マーリン、二番資源衛星ヴィヴィアン、三番資源衛星エレイン、コロニー群がアヴァロン、最初のコロニーがキャメロットと資料には書いてある。アーサー王伝説に関連する用語を使っていくつもりなのだろう。

 

「あぁ、そういえば、アフリカのZAFTが戦線縮小を企んでいるようです。大地溝帯とナイル川で囲まれた地域、あぁ、エチオピア高原は捨てないようですが、に籠るようですね」

 

「そういえばで報告するような内容じゃないだろう。というか、撤退の話は聞いていたがどこから仕入れた…」

 

陸軍の高官が呆れたような口調で聞く。

 

「まぁ、設立5年、これでは組織として未熟なのは当然でしょうし。その手のノウハウなんて無きに等しい。ここ50年、多少の掃除はあっても、大規模な作戦行動を起こした国はありません。砂漠の虎が愛人を連れ込んでいるとか、職場でイチャイチャしててうざいとか、どうでもいい愚痴と共に重要な情報まで流してくれるのは非常にありがたいですし」

 

どうやら聞きもしないのに随分といろいろ喋ってくれているようです。防諜のかけらもありません。と情報部の職員が続ける。

 

「…まぁ、無能な敵には感謝しよう。アフリカはしばらくこのままでいいだろう。時は我らの味方だ。時間がたてばたつほど有利になる」

 

皆ジェネシスを知らないので、時間を掛ければ益々戦力的に優位に立つことを理由に、時間が味方だと思っていた。この後、第八艦隊が大損害を受け、アークエンジェルがアフリカ、ZAFT勢力圏に降下したという情報を聞いて一同は顔を顰めるのであった。

 

 

 

―――――――――

 

アズラエル財団 アズラエルのオフィス

 

「タンクダガー…IFVにしてはずいぶんと高価じゃありませんかね…?」

 

「理事、これはIFVではなくIFMTです。AOCの採用しているMTを参考に、複座にして戦車乗りをそのまま使える兵器を目指し開発しました。ついでと言っては何ですが、空いた車体のスペースに兵員輸送能力を持たせ、特殊部隊での運用も考えております」

 

技術者が自信アリといった表情でアズラエルへと意見する。

 

「成程、訓練機関の短縮が可能、ということですね。まぁ、火力もあることですし、既存兵器の部品を大量に流用しているため生産もしやすい。車体の輸送スペースも、兵員以外に経戦能力の増大や、他のMSへの電力補給へ活用することもできそうですね。何より数が余っているリニアガンタンクのパーツを片付けるには最適。ということですか。リニアガンだけでなく、空挺戦車用の175㎜多目的滑腔砲やバスターダガー用の94㎜収束火線砲の搭載も考えていると…」

 

アズラエルは仕様書を見ながら呟く。リニアガンタンクは主力をMSへと譲り現在配備数が減少しているが、補給パーツはちょっと始末に困りそうなくらい余っている。このようなもので消費できるのならばしてしまいたい。

 

「他にも4連装127㎜多目的ロケット発射機や120㎜機関砲の搭載も想定しています。何より、後れを取ったとはいえ、理事国筆頭である大西洋連邦がAOCに兵器で負けるわけにはいきません。鐘釣や銭がめなど目ではない兵器を投入しなくては!!」

 

技術者がアズラエルに詰め寄るより、訴える。なんというか…、熱気がすごいですねぇ…。とアズラエルはどうでもいいことを思ってしまった。差はそう簡単に埋められるものでもない。地力はあまり差がないのだ。むしろ向こうの方が上だろう。旧国家間の格差是正のためにさんざんスポイルされたAOCの経済規模は未だ三位だが、トップになってもおかしくないくらいの地力はある。遅れを取り返すのは容易ではないだろう。だからと言って諦めるわけでもないが。

 

「わかりました。では、アームストロング大将に提案しておきましょう」

 

私に提案されても採用を決めるのは軍人なのだ。兵器採用権を握っているアームストロング大将とは懇意にしているが、それでも私の言ったものが採用されるわけでもないし、向こうの都合もある。つい最近も、速射の可能である程度弾のばらける携行ビーム兵器の開発を依頼された。成程、確かに、一発必中の射撃のできるエースばかりではない。そのような武装も必要だろうと、現在研究中である。AOCにも似たような兵器があるが、そこまで頼る必要も無い。第一ビーム兵器関係はこちらの方が発達しているのだ。おなじものを作っても、こちらの方が性能がいいだろう。と考え、技術者が退出したことを確認すると、次の書類にアズラエルは目を通すのであった。




ナカダ級はナカダさんという学者が由来ではなく、古代エジプトに栄えた文化の一つです。ナスカ級が「ナスカ文化」が由来らしいので。…まぁWikiの「文化(考古学)」から名前引っ張ってきただけですが。

次回

phase25 MA復活

「生首がッ…!?」

「通り魔的にぶん殴って潜水艦を撃沈…これだ」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。