「ガンダムMk2、もとい、ムーバブルフレーム技術試験実証MS完成だ。名称は現在会議中なので省略とする。」
「…マジで半年でできちゃったよ」
教授ほか開発チームの目の前にはガンダムMk2が屹立していた。とはいってもカラーリングは赤と白、自衛隊の実験機でよく使われていた色でで頭部はV字アンテナはなく、目のくぼみのところを覆ったゴーグルアイだ。パッと見ゴツいジムである。武装もビーム兵器はなく、新開発の120㎜バトルライフル『八咫烏』や360㎜無反動砲『グプ』、単分子ロングブレードの『同田貫』と『バロング』対装甲ナイフ『マキリ』などを装備している。なぜ装備に名前が付きだしたのかというと「SEED世界なんだから装備に厨二病な名前がないと」という声が開発チーム内で強かったためである。名前なんてどうでもいい気がするのだが…。ついでにムーバブルフレーム技術試験実証MSの名称も決まらなかった、一部では殴り合いのケンカになったそうだ、僕はとにかく1分でも長く動かせと言われていたので、操縦訓練でその場にいなかったのだが。おかげでMS1号実験機は現在関節がヘタって改修中だ、量産試作機で使う技術を試すらしい。
「さぁ、さっそくデータ取りだ、鶴野!!」
「はい」
とにかく今はムーバブルフレームのデータを取るしかないだろう、名称とかそういうのはほかの人が決めればいい。MSを動かすのは楽しいし、日々完成度が高くなっているという実感もある。このMSがなんと呼ばれるのかはわからないけど、僕は作って動かせればそれでいいのだ。と結論をつけ、試験場へとMSを動かすためにコックピットへと移動するのだった。
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白兎、月面試験場
≪これよりムーバブルフレーム技術試験実証機の性能試験を始める、試験プログラムに従い、機体を動かしてくれ。≫
「了解」
白兎実験場、周囲に月面都市がなく、白兎自体に入市制限がかけられているためこういう極秘の研究の成果を極秘裏にテストすることを、作られた実験場。結構な広さがとられており、常に警備部隊が周囲を警備している。そんな中でテストを開始する。
「まずは射撃プログラムか」
ランダムに出てくる様々な的を120㎜バトルライフルを使い指定された条件で撃ち落とす。月面で、空中で、止まった的を、動く的を、指示通りに撃ち落としていく。動く的も決まったパターンにしか動かない上に、FCSが大方完成しているためので外すことはもうほとんどない。
「次は!!」
新型の携行レールガン『大蛇』を使いもっと遠い目標を狙っていく…性能はいいのだが、なぜ見た目を
「よし、次!!」
しかし性能は良好である。それこそ悔しいくらいに。次は近接武器のテストである、ロングブレード『同田貫』に持ち替えるとテスト用の切断目標が試験場に投下される。鉄柱に様々なセンサーのついたものや、鉄板などである。
「よし」
ブレードを使い目標を切り裂いていく、問題なく切れる。ビームサーベルには劣るのだろうけど。
≪試験プログラム終了、帰投してください≫
試験プログラムが終わったのでブレードを腰部のラックに収める。ブレードは日本刀のような形をしている、この形状も、結構な議論の末決まったそうだ…俺、あまり開発陣の会議に参加できてない…まだ学生なのもあるかもしれないけど、開発者っていうよりテストパイロットだな…開発の手伝いはしているけど。ほかにテストパイロットがいれば…もっと開発に参加できるのだろうか。
帰投し、着替えて湯野教授の研究室へと入るとそこには正座させられている技術者が数名いた。皆湯野教授の研究室の先輩たちだ。
「…で?あなた方がこの素晴らしき無駄機能の宝庫を作りやがった訳を教えていただけるかな?」
事務員さんの声にはどこか底冷えするような雰囲気がした、あ、これ
「そ…それは、リニアシートはパイロットへのストレスを考えるとだな…」
「全周天モニターはこの時代のMSならば標準装備だろう」
「サイコフレームの理論はすでに完成している、最も同じ効果を発揮するかは不明だが、だからこそ実験のための機体は必要だ」
「それこの機体でやる意味ありますか?」
穏やかな口調なのに怖い…というか、ガンダムMk2にこの機能は当たり前だと思って何の違和感もなく乗っていたけど、確かに新技術のオンパレードだったな…今回のコクピット。
「テスト機だからこそだ、教授にも了承を取った。」
「教授…?」
「実証機は長く使えるものがいいだろう、各部の換装が容易にできるようになっているのはこのためだ、いいじゃないか、再現に走ったって。」
「よくありませんよ、無駄遣いです。特にサイコフレーム用ソケットは」
確かに、フラガ家の血縁でも連れてこないといけないんじゃないか?もしくはガンバレル適正持ち…前に検査した時僕のガンバレルの適正は使えないわけじゃない、ただそれに回す労力を別のことにつぎ込むべきなだけで。ということらしい、インテンション・オートマチックシステムみたいなシステムが開発されればそれは僕に最適なシステムなのだろう。僕は戦場に出ないし、そんな高級なシステムを使うことはないだろうけど。
「これらの機能オミットすれば量産型へのムーバブルフレームの採用も可能じゃないですか!!」
「それは…そうだがな…」
「それZAFTは知りませんけど連合は初期GATシリーズからムーバブルフレームに近しきものを採用しているような表現が存在しているんですから、こちらもそうできるのならばできるに越したことはないではないですか!!」
「…まぁそうだな…」
この後事務員さんによるコストカットが行われ、ムーバブルフレームが量産型にも採用されることになった。
ちなみに出てこなかった武装の名称は
90㎜ブルパップマシンガン『水破』
90㎜マグナムライフル『兵破』
となります。
伝説の武器とか史実の有名な武器とか当たって考えたのですが。なんかSEEDっぽくない…カタカナで表記すればそれっぽいのでしょうか?ちなみに『同田貫』はキマリスヴィダールのサーベル、『バロング』はグフカスタムのヒートブレード(ヒート機能なし)「マキリ」の形はドイツ軍のKM2000みたいな感じです。…こういうのって設定考えるの楽しいですよね…傍から見たら刃物の画像見ながらニヤニヤしてる危険人物かもしれませんけど。
キマリスヴィダールはバンダイホビーサイトで見て一目ぼれしちゃいました、なんか不穏な、というかエグそうな武装積んでるところが最高ですね。これからどんな話になるのか楽しみです。