Fate/Grand Order~農民は人理修復を成し得るのか?~ 作:汰華盧顧
まだまだ浅いにわかの為、あれ?と思うことがあったらドンドン教えてくださいお願いします三百円あげるから!
あ、できればお手柔らかに。
3月30日 加筆修正しました
2/17 加筆修正しました
その墓標はさとうきびだった
「はぁ………かはっ………っ!」
息を切らしながらも、目前に迫る蛮族に対して、ボクは全力で“伝説の首領パッチソード”を振るう。
一瞬の鍔迫り合いもなく、ボクの振るう首領パッチソードが、蛮族を剣もろとも真っ二つにする。
見た目はネギでも(実際ネギだけど)伝説の名は伊達じゃない。そんじょそこらの剣では相手にならない。
「はひゅ…………っ!」
崩れ落ち、血や臓物をぶちまける蛮族と共に、ボクの膝からも力が抜ける。
………まったく、これで真っ二つにしたのは何人目だろう。50までは数えていたが、そこから先は数える余裕もなかった。
「は───………」
常日頃の農作業のお陰で体力のあるボクでも、ぼちぼち限界が来ている。
でも、ここで倒れるわけにはいかない。
今倒れたら二度と立てなくなる。だからこそ───まだ、倒れるわけには行かない。
「く………ぁぁ…ああ”あ”……!!」
なけなしの気力を振り絞り、足に力を込めて立つ。
───力んだせいか、体中の傷から血が吹き出す。
足下にびちゃびちゃと落ちた血で血溜りが出来、それがどんどん広がっていく。
…………くそ、流石に血を流しすぎた。
医学に精通してないボクでもわかる。この量は致死量だ。
戦わなければいけない。その意思に反して、視界がどんどん狭まってくる。
「────やっぱ、慣れないことはするもんじゃないな」
意識がぼんやりしているのに、何故か頭にいくつもの過去の出来事が、早送りされたビデオのごとく流れていく。
これは所謂、走馬灯ってやつだろうか?
ボクは所謂、転生者という奴だ。
生前は■■■■と言う名前の男で、その人生は大晦日の日、あと一日で42歳の厄年が終わるというときに雷に打たれ、一瞬で終わった。
そして気がつけば一面真っ白な空間に。
そして目の前の神様と名乗る人から言われたテンプレな話。そしてチートを持って転生しないかと誘われ、ボクはすぐに食いつき───
───俺(♂)はボク(♀)になった。
……………まさかの性転換だった。
確かに神様は性別が男のままとは限らないと言ってはいたが、これはなかなかクるものがある。
おまけに顔はアルトリア顔だ。
中身四十のオッサンでアルトリア顔とか、需要なんてねえよ。いくらなんでもマニアック過ぎるわ!
………まあ、それはともかく。
ボクは転生する際、ある注文を付けた。
農業があまり発展していない時代に送ってほしいと。
生前学んできた農業の知識で『農業の先駆者』になるためだ。
男なら何か大きなことをしたいと思うのは当然だろう?
───今は女だけど。
それと特典は、身体能力の向上とボーボボの世界のような真拳を使えるようにしてもらった。
名前は『野菜真拳』野菜を武器に戦う力だ。
農家のボクには我ながらピッタリの能力だと思う。
今持ってる二振り“伝説の首領パッチソード”と“魔剣大根ブレード”も、この真拳の力だ。
まあそんなこんなで村長の孫という立場を生かして村で農業改革をしていると事態が急変した。しかも、悪い方にだ。
いつも通り、鍛練や農業の日々を過ごして早十数年、王様からの使いが村に訪れた。
この国って王様いるんだな~とか呑気に考えてたら、使いの人がとんでもないことを言い始めたのだ。
言った内容は───戦とかで食糧足んないからこの村の食糧軒並み寄越せ───大体こんな感じだ。オブラートに包んでいるが、実質、死刑宣告と同じだった。
これには村長も面食らって思わず抗議。まわりの大人達も参加し、辺りに険悪なムードが漂い始める。
使いの騎士達が剣に手を掛け始めた所で、それに待ったをかけたのがボクだった。
使いの人と村のみんなの間に立ち、何とか宥めつつどれくらい食糧が要るのか聞いたところ、連れてきた馬車が全て埋まるぐらい必要らしい。
馬車はかなりの台数があったが、ボクの野菜真拳なら埋められないこともなかった。
野菜真拳を使いこなせていないのもあってか、荷をいっぱいにした所でボクは気絶し、三日三晩眠り続けた。
目覚めた次の日にはお爺ちゃんに連れられ、村民会議であれはなんなのか話すことに。
化け物呼びも覚悟してたが、村のみんなはボクの事を受け入れてくれた。
それと、あんな無茶はするなと拳骨も一発。
まあ何はともあれ問題は解決したかに思われた。
─────王様から召喚命令が下るまでは。
「……………おっ、と……」
倒れかけた体を地面に突き刺した魔剣大根ブレードで支える。今のボクにはおちおち走馬灯を見る余裕すらないらしい。ちょっと気を抜いただけでこのザマだ。あの世に旅立つのも時間の問題だろう。
だけど、怖くはない。もう一回死んでるし。
この国の王様のお陰で国全体の農業改革も行うことが出来た。これでボクは『農業の先駆者』になれたわけだ。
これで実質目標は達成。
………そうそう、王様なんだが、なんとびっくり、アルトリア・ペンドラゴンだった。
初めて見た時はほんとに驚いたのを覚えている。
というかあの時まで自分の住んでる国の名前すら知らなかったんだよな。田舎とはいえ、もう少し常識を学んどけば良かった。
まあそれも、今となってはいい思い出だ。
この人生もなかなか楽しかったし、遣り甲斐もあった。アルトリアの協力のお陰で農業改革も出来たし、円卓の騎士達とも知り合いになれた。
それに、アルトリアとも仲良くなれた。個人的にはこれが一番嬉しい。
話を聞いたり、ご飯を作ってあげたりしてたら名前呼びをしていいともいってくれた。
「……よっこい………しょっと…………」
村人達は蛮族が攻めて来る前に大人も子供も全員逃がした。家族は最後まで渋っていたが、そこは説得してなんとか納得してもらった。
───父さん、母さん、爺ちゃん、ごめんなさい。
『生きて帰る』って約束は、破ることになりそうだ。
今この村にいるのは、足止めに残ったボクと、王都から派遣された騎士達。
騎士の皆は最後まで供に戦ってくれた。
………だけどその騎士達はもういない。
ついさっき最後の騎士を看取ったばかりだ。
今この場に生きているは、死に損ないのボクただ一人。
村のあちこちから火の手が上がる。また新手が来たか。蛮族どもが嫌がらせで放ったのだろう。今日はだいぶ乾燥している。これだとすぐに燃え広がるだろう。
そうしてこの村は消えて無くなる。何も残さずに。
様々な野菜や作物が植えてあった畑も、蛮族共に踏み荒らされ、ぶち撒けられた血肉で汚れてしまっている。
「……………気に入らないな」
この村はボクの二つ目の生まれ故郷だ。
短い人生だったが、この場所にはかけがえのない思い出が沢山ある。
そんな場所を、奴等に好き勝手させる訳には行かない。
これ以上、奴等をのさばらせる訳には行かない。
奴等に、死に損ないの最後の意地を、やる気になった農民の怖さを思い知らせてやる。
「物質ハジケ融合…………っ……!!!」
“伝説の首領パッチソード”と“魔剣大根ブレード”が融合することで、ボクの最強武器“聖魔支配剣 さとうきびセイバー”が顕現する。
その姿は、本来なら皮が剥かれたサトウキビになるはずだった。
だが、アルトリアのエクスカリバーに影響されたのか、その形状は緑をメインとした色違いのエクスカリバーのようになっている。
「───みんな、ボクに力を貸してくれ」
ボクの呼び掛けに答えた植物から光が放たれ、それらが掲げたさとうきびセイバーに集結していく。
刀身から溢れる光が柱となり、辺りを暖かく照らし出す。
「──────────」
ボクのなけなしの魔力を、命を、存在の全てを、さとうきびセイバーに込め────
「さとうきびぃぃ───────」
────解き放つ!!!
「セイバァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
解放された極光が、直線上の物を無差別に薙ぎ払う。
これで大体の蛮族は消し飛ばせたが、まだ生き残りがいる。
一人たりとて逃しはしない。全て消し飛ばしてくれる。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ───!!!」
極光を放つさとうきびセイバーを振り回し、全域を余すことなく薙ぎ払う。
やがて光が尽きたとき、この場に立っていたのはボクだけだった。
手からさとうきびセイバーがこぼれ落ち、ボク自身もその場に倒れこむ。
ひどい有り様だ。只でさえボロボロだったのに、余波のせいで右腕がちぎれ、左目が潰れてしまった。ボロ雑巾のほうがまだマシな見た目をしているだろう。
ま、それはどうでもいいことだ。
さとうきびセイバーで薙ぎ払われ、土が剥き出しになった大地に、新たな命が芽吹く。それらはみるみる内に成長し、辺りを緑で埋め尽くしていった。
どうやら無事に生命力を還元できたようだ。これでまた、ここで農業ができる。
これでボクのやることは終わった。
地面に突き刺さるさとうきびセイバーに触れる。途端にボクの体も光に変換され、吸収されていく。
どうせ死ぬんだ。だったらこの体の全てをつかって、皆の力になりたい。
“───…………───”
…………………。
“───……ィーナ───”
…………声が聞こえる………。
“───エフィーナ…───”
…………これは記憶だ………。
“───エフィーナ! おむらいすとはなんですか!?───”
…………あの子とした、約束………。
“───村の子らに大変美味だと聞きました!私も是非食べたいです‼───”
“───え……? 卵がないから作れない……?───”
“───………わかりました。では、次来たときは必ず作ってください!いいですか?約束ですよ?───”
…………アルトリア……ごめんね………。
その約束も、守れそうにない。
声はもう出ないのに謝罪の言葉が零れ落ちる。
未練はない。そう思っていたはずが、まだ残っていたか。最後の最後で思い出すなんて、タイミング悪すぎだ。
そんなことを考えながら、ボクの意識は、完全に途絶えた。
はずだった。
「───ここ────どこだ?」
あの時ボクは確かに消滅した筈。
なのにボクはここにいる。五体満足になってだ。
………頭の中に情報が流れ込んでくる。
どうやらここは、英霊の座という場所らしい。
そう。つまりだ───
───ボクは英霊になった。
「……………………」
英霊になれたのは光栄なことだ。だけどまぁ……素直には喜べそうにない。
ボクはただ名を残して教科書に載りたかっただけだ。
それなのにまさかの英霊化───流石型月ワールド、農民を英霊にするとは。
そういえば、ボクのクラスはなんなのだろうか。
ファーマー(農民)?
ダメだこりゃ。
ボクはどこぞのNOUMINじゃないんだぞ。燕返しも出せないし。それにボクは戦闘は苦手だ。剣より鍬を振り回す方が性にあってる。
まあ、このよくわからないエクストラクラス(?)のお陰でそうそう呼ばれないだろう。聖杯戦争にはエクストラクラスの枠はないし。
そんなことを考えていたのが裏目に出たのか。
足下に現れた魔方陣。それがダイソン顔負けの吸引力でボクを吸い込んだ。
どこかに転送されながら、頭に知識が植え付けられる。
これが聖杯による知識なんだろう。やり方のあまりの荒っぽさに文句が言いたくなる。
「─────っ?」
なんだろう。今なんか妙なものを感じた。
無理やり後付けパーツを付けられたような、そんな感じが。不快だったから振り払ってしまったが。
そうこうしてるうちに召喚されたらしい。
固い大理石のような所に着地する。
どこの誰だか知らないが、とりあえず名乗るとしよう。
セリフは思い付かないから、シンプルにいこう。
「───サーヴァントファーマー。召喚に応じ参じょううぅぅぅうっ!?」
──────嘘でしょ。
頭を上げながら名乗りをあげ、召喚者の顔を見て思わず声が上擦る。
色の抜けた肩までの短い金髪に、黒いM字の額当て。
黒がメインの衣装に、竜の顔が描かれた旗を掲げる美少女。
FGOの中でも性能とあざとさと所々に伺えるポンコツさが魅力的な人気キャラ。
ジャンヌ・ダルク・オルタが、ボクのマスターだった。