「犠牲」の理を持つ男
ー「あれは人類悪だ。人類によって生み出されそして人類が抹殺しなければならない敵だ」
誰かが言った。そう言われた男がいた。
その男は少年の頃はごく普通のだった。しかしある日街全体を覆う大火災により力尽きそうになったがある男に助けられる。その男の名前は衛宮切嗣。かつて「正義の味方」になろうと、目に入るすべての人間を助けたいと願った男であった。そして月が出ている夜、男は少年に自分がなりたかった「正義の味方」の夢を語る。
「うん、しょうがないから俺が代わりになってやるよ」
「爺さんはオトナだからもう無理だけど、俺なら大丈夫だろ。まかせろって、爺さんの夢は――」
―――俺が、ちゃんと形にしてやるから。
「そうか。ああ――安心した」
そして衛宮切嗣は少年に呪いを残す。それは「正義の味方」にならなければならないという強い強迫観念であった。
そして少年は高校生になった頃にとある戦争に参加する。その戦いで多くの犠牲を払いながらも生き残るがその最中、彼は黒い泥、「この世全ての悪」に汚染されてしまう。「この世全ての悪」に汚染された願望機は願いを捻じ曲がった解釈をし願いを叶えてしまう。例えば、「すべての人間を救いたい」という願いを叶えるとしよう。しかし「この世全ての悪」に汚染された聖杯ならば「すべての人間に平等な死を」というものになってしまう。
ーそしてその少年は「正義の味方」を捻じ曲がった方向で実現しようとしてしまう。
万人を救う事は出来ない。争いは争いを呼ぶ。争いは人を不幸にする。争いは人を殺す。ならば俺がこの争い、負の連鎖に終止符を打とう。
彼が考えたのは世界中あらゆる国や勢力に一つの目的を持たせる事であった。その一つの目的とはすべての国、勢力などを自分に仕向ける事であった。その考えは実現不可と思われた。しかし少年は思いつく。いや思いついてしまった。その悪魔的発想に。
俺があらゆる国、勢力を滅ぼし、人類の悪となろう。そしてその俺が倒されることにより人類は団結し平和な世の中が続くだろう、と。
そして少年にはその力がある。聖杯からのほぼとも言える無限の魔力供給と自身に内包した武器の数々があれば。
そして少年は20歳になりその計画を実行し始める。まず男が滅ぼした国は世界の中心とも呼べる国だった。軍事力等全てが揃った国を1ヶ月で滅ぼした男は世界に衝撃を与えた。あらゆる国や勢力がその男の対策などをしたが瞬く間に次の国、勢力が滅んでいく。世界中の人々は恐怖した。
そして男の狙い通り世界は共通の敵を持つことで戦争や紛争がなくなり男を殺そうと世界中が男に攻撃を仕掛ける。
だが、男は倒れない。例え自分が描いた「正義の味方」の理想の形ではないとしても止まることは出来ない。
いつしか人々は英雄の存在にすがった。そんなものはいるはずがない。しかし世界が男に向かったとしても返り討ちにあうだけ。そして今も国は滅んでいく。世界の国の3分の2が滅んだ。
そんな時に1人の女性が現れた。その女性は彼のかつての魔術の師であり彼が尊敬した人物であり同級生であった女性。
「彼は私が倒しましょう。私の心の贅肉によって生まれた彼をね」
そう言った女性は男の元へ向かう。
そして世界の命運をかけた戦いが始まった。
戦いの映像は世界中に配信された。
聖杯のほぼ無限の魔力供給を受けている男。並行世界からの魔力を無限に受け取ることのできる宝石剣をもった女性。地形を簡単に変える戦いは3日間に及んだ。
最後は男の魔力供給が切れ地面に伏した。ほぼ無限の魔力供給を受けているとはいえ所詮は有限。並行世界から無限の魔力を受け取ることのできる彼女には敵わなかったのだ。そして男は女性に語る。
「最後まで迷惑をかけてすまなかった」と、
そして女性の目に涙が溢れた。そして助けたいとも思ったが世界はそれを許さない。しかも今まで男のしてきたことが全て無駄になってしまう。
ー世界中に配信された映像の中で男はかつての尊敬していた女性のもとで断罪された。
世界中は歓喜した。男が倒されたことで世界に平和が戻ったのだ!と。
そして女性は男を倒した功績により時計塔で階位は『冠位(グランド)』になった。世界中からは救いの女神と崇められ、平和の象徴となった。
男は世界に人類史上最も害をなした男として深く歴史に刻んだ。
男は魔術の世界ではこう語られる。
人間の獣性から生み出された七つの災害から逸脱した八つ目の災害。
文明より生まれ文明を食らうモノ。霊長の世を阻み、人類と築き上げられた文明を滅ぼす終わりの化身。そして人類が滅ぼす悪。
その名はビーストVIII
「犠牲」を理を持つ人類悪
「エミヤ」と。
やっちまった感ある。
連載するかは迷い中。