衛宮視点から始まります。
「◼️◾️◾️ーー!」
奴の1つ1つの挙動を見落とせない、いや見落としてはならない。俺はかつてないほどの集中力を発揮していた。斧剣の威力はダンプカーが突っ込んでくるのと同じぐらい威力があるといってもいいだろう。マシュはともかく俺は生身の人間だ。一度でも当たれば即死亡、運が良くても二度と立ち上がることのない身体になってしまうだろう。息が切れる、鼓動が早くなる。口の中が熱く焼き切れているかのようだ。奴のように12回も復活できるわけではない。ゲームのように死んだらストックがあるので生き返りますと、都合よく生き返るような存在ではない。それを可能にしてしまう奴はやはり大英雄といえる存在なのだろう。
「◼️◾️ーー!」
奴の攻撃を見極め、ギリギリの活路を見出して避ける、受け流す。それでも足りない時はマシュにカバーをしてもらいそこから攻撃に転じる。だが、それも限界に近い。なぜなら先程も述べたように俺はどこまでいっても生身の人間であり、単純に体力の消耗というものがある。それはデミサーヴァントのマシュにも言えることだろう。正直、立香には強がってみせたがそれももう限界に近い。このままではあと数分も持たせられない。
「マシュ!衛宮さん!ヘラクレスをセイバーと聖杯の直線上まで誘導してください!」
立香からかなり無茶な指示が出る。やれやれ、優しそうな雰囲気をしておきながら案外人使いの荒いことだと思わず苦笑いした。しかしこれほどの無茶振りをふってくるのはそれだけマシュや俺の事を信頼してくれている証なのだろう。いつ奴の攻撃が当たり死んでもおかしくない状況だというのに顔が少しばかりにやけてしまった。ああ頼られるとはなんとも心地よいものだろう。思い切り返事をしたかったが生憎と今は返事をしている余裕もない。ならば行動で示そうじゃないか。そうして俺は兜の緒を締めるのだった。
————————————————————
「セイバー、君にはヘラクレスを放つのではなくあの絶え間なく泥を生産している聖杯を狙って宝具を放ってもらいたい」
俺の指示にセイバーは少し困惑した顔で質問をしてくる。
「何故ですか?外したら全滅といっても過言ではない状況ですよ?」
彼女が疑問を抱いてしまうのは仕方のない事だろう。これをサッカーで例えるならPK戦で最後にゴールに決めれば優勝といった場面でゴール枠外に外せと言っているようなものだ。理由を問いただしたくなるのは至極当然の話だ。
「俺がさっき意識が朦朧とした時にイリヤスフィールと名乗る少女にあった」
俺はあの少女との間にあった出来事を簡潔に説明した。セイバーが息を呑む。そして少し考え込み、納得したような顔をみせた。この様子だと彼女はイリヤスフィールの事を知ってあのだろう。
「わかりました。彼女が言うのであれば間違いないでしょう。ヘラクレスが私と聖杯の直線上に来たらマスターはガンドを撃ってこちらに注意をひかせてください。今から宝具を展開します」
そして彼女は風王結界を解いた。そして彼女の光り輝く黄金の剣が露わになる。
「束ねるは星の息吹ー」
かの剣は星に鍛えられた神造兵器。
「輝ける命の奔流ー」
剣から光が溢れ出す。その時、セイバーと聖杯の直線上にマシュと衛宮さんの手によってヘラクレスが誘導された。彼女たちの体力はもう限界に近いだろう。すかさずガンドを撃ちヘラクレスの注意をこちらにひきつける。ヘラクレスがこちらに向いたのを確認しマシュと衛宮さんたちは戦線を離脱した。
「◾️ーー!」
セイバーがこちらにやってくる。だが気づいたのが遅すぎた。アルトリアの宝具はもういつでも放たれる状態だったのだ。
「敬意を表そう大英雄ヘラクレス!その身がバーサーカーになろうとも禍々しい泥に犯されようとも、たとえ少女の形が変わり令呪という繋がりが切れたとしても少女を守り続けたその高潔な精神を!」
光りが集束・加速し、ち切れんばかりに輝きをます。彼女の剣は人々の人々の「こうあって欲しい」という願いが地上に蓄えられ、星の内部で結晶・精製された「最強の幻想(ラスト・ファンタズム)」。
「受けるがいい!」
その剣の名はーーー
「約束された勝利の剣ーーーーー!」
光の帯が吸い込まれるかのように目的へと向かっていく。この墓標のように剣が地面に刺さった薄暗い世界に一筋の希望を見出せと語っているかのようにも思えてしまうその光に俺はただただ圧倒されてしまった。
「◼️◾️◾️◾️◾️◾️ーー!」
放たれた時点でヘラクレスはようやく気づいたようだった。真正面で対峙したはずなのにかすかに自分と光の斬撃にズレがある、すなわちこの光の斬撃は自分に向かっているのではなく、別のものに向かっていっているのだと。そして後ろを振り返る。それは彼が守るべき少女だったものがある。ならば避けるわけにはいかない、避けてしまっては少女は壊れてしまうのだから。
「◾️◾️ーー!」
光の斬撃の前にヘラクレス少女を守るために立ちふさがる、だが放たれた光の斬撃はその程度では止まるはずもなく俺たちを苦しめたヘラクレスは一瞬で光にのみこまれてしまった。そのまま斬撃は進む。そう聖杯に、聖杯の形をした少女に真っ直ぐへ。思わず目を背けてしまいそうになったが少女を最後まで見届けたかった気持ちが優先した。そして聖杯が光にのみこまれた。それはセイバーの宝具が放たれて数秒の出来事であった。俺が指示したのであの天真爛漫な少女を殺めてしまったのかと思うと、少女の同意だったからといっても少し罪悪感を感じてしまう。夢の中で語った時のように口には出さずに消滅してしまった少女に向けて念じてみる。これで良かったのかい?と。
「ええ十分よ。ヘラクレスと私を解放ありがとう」
そう聞こえたきがした。幻聴でも聴こえたのかと呆然としたが、その言葉のお陰で罪悪感は少しずつ薄れてきたようだ。おそらく俺が罪悪感を感じるのだろうと思って何かの魔術を施していたに違いない。なんとも抜け目のない、いやしっかりとした少女なのだろう。
「マスター。そろそろ冬木の街へと戻りましょう。私は大丈夫ですがマシュとシロウは限界です」
マシュと衛宮さんの方を向く。彼女たちはもう立つことも限界そうだ。この世界には怪物がのさばっている。この辺りに怪物がいなかったのは恐らくヘラクレスが聖杯に近づくものを問答無用で討伐していたのだろう。だが。ヘラクレスがいなくなった今、怪物達が跋扈するのは時間の問題だろう。
「わかったセイバー。すぐに戻ろう」
英気を養って次の戦いに備えなければと思いながら冬木へと戻るのだった。
約束された勝利の剣の部分はほとんどwiki参照です。
自分の語彙力がないせいで、wikiのよりもかっこよく表現できなかったからです。
あまりこういうのを好きと思わない人がいるかもしれませんが許してください。