犠牲の果てに   作:ドライヤー

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この作品は俺TUEEEEEEが目的ではありません。
fateの作品に出てくる登場キャラクターの個性をドライヤーが最大限に引き出したいと思い作った作品となります。
中には面白みがないと思う人がいるかもしれませんがご了承ください。

この話の一人称はビーストエミヤ主体ですが、過去と現在で俺と私で使い分けています。


まどろみの夢の中

気がつくとここにいた。どうやらどこかの街みたいだ。私はなぜここにいるのだと思いつつ少し探索する。誰かの武家屋敷、商店街、学校、わくわくざぶーんなどとふざけた名前のテーマパークもあったりした。どこかこの街を見渡せる場所はないかと探したところ、1番高いビルがあったのでそのビルの屋上まで登った。ビルの屋上からこの街並みを眺めていると、どうしたことか懐かしい、いや、帰郷したかのような安心感や穏やかな気持ちに包まれる。どうやら私はこの街で育ったようだ。ふむ、ならば記憶があやふやでも無意識で戻ってこれるのだろうか?と納得した。しかしなぜ戻ってきたのかと、私はここには戻ってはならない、私にはそのような資格がないのだと、そんな脅迫にも似た気持ちに陥ってしまう。

 

—殺せ

 

「ぐっ!」

 

声が聞こえる。頭が割れたかのような頭痛に襲われる。記憶の底からドス黒い何かが引きずり出される。

 

—殺せ

 

これは俺が幼少から死ぬまでの記憶か。段々と露わになっていく自分の記憶に苦しむ。ーーが死んだ。この人の夢を俺が継いだはずなのに名前を思い出せない。ーーーが死んだ。その人が死んだあとは、両親のいない俺の保護者で時折見にきて世話を焼いてくれた人。第5次聖杯戦争による英霊の攻撃の巻き添えとなって死んでしまった。ーーーが死んだ。彼女は俺が英霊の襲撃によって殺されそうになったところに現れた凛とした雰囲気を身に纏う見た目の麗しい少女。彼女は英霊の激闘の末互いに相打ちとなり死んでしまった。ーーーは泥に引きずり込まれた。その少女とは敵として出会い、そして和解した。妹みたいな存在で時には姉のような不思議な雰囲気をもつ少女。彼女はーーーーーーーの泥に引きずり込まれたまま二度と帰らぬ人となった。ーを殺した。朝起こしに来てくれて、朝食の支度などもしてくれる弓道部の元後輩。彼女はーーーーーーーに魅入られ、救う手段もなく殺さなければ世界がーーーーーーーによって覆い尽くされてしまうので殺さなければならなかった。

 

「なんだこの記憶は」

 

助けたかった人がいた守りたかった人がいた、だが死んだ。

 

「何故だ!何故助けられない!」

 

ひたすら自問自答を繰り返す。ーーの夢を継いだはずの男は身近な誰かも助けられない未熟者であった。かつて赤い外套の男はこう俺に告げたのだ。「その程度もできない未熟者は正義の味方も名乗ることも許されない」と。その通りだ。実際に男は身を呈して彼のマスターであるーーを守りきったのだった。

 

「士郎、今は塞ぎ込んでいる暇はないわ。私たちが為すべきことをするのよ。死んでいったみんなのためにも」

 

最後まで残った俺の憧れていた女の子はそう言った。そして俺たちは元凶であるーーーーーーーを破壊するために大空洞へと向かう。事が順調に運んでいたのだが、突如、泥が溢れ出したのだ。ーーだけは守らなければと思い、なんとか逃すことに成功するが自分は泥に取り込まれてしまった。だが、目覚めると身体に異変はなかった。否、身体にはと言うべきであろう。この時には彼の精神はすでに変質していたのだ。そしてその少年は「正義の味方」を捻じ曲がった方向で実現しようとしてしまう。万人を救う事は出来ない。争いは争いを呼ぶ。争いは人を不幸にする。争いは人を殺す。ならば俺がこの争い、負の連鎖に終止符を打とう。

 

—殺せ

 

「ああそうだ。思い出した」

 

私は正義の味方にならなければならない。そのためには多くの人々を殺さなければならない。

 

 

 

体は剣で出来ている

 

血潮は鉄で心は硝子

 

幾たびの戦場を越えて不敗

 

ただ一度の敗走もなく、

 

ただの一度も理解されない

 

彼の物は常に独り剣の丘に骸を積み上げる

 

されども正義は折れず

 

その体はきっと、魔性の剣でできていた

 

 

 

詠唱がつむがれる。暗雲に見舞われたかのような暗い世界が形成される。空にある巨大な穴から泥が無尽蔵に溢れ出しそこから生まれた怪物達が四方八方に広がっていく。

 

「これが私の心象風景なのか。なんとも滑稽な固有結界だ」

 

正義を目指すものが世界を終焉に導く、これが滑稽と言わずしてなんになる。だがそんなことはどうでもいい。手始めにこの街全ての人間を滅ぼそう。そう考えている時だった。矢が自分に向かって凄まじい勢いで飛んでくる。それを目視した私は体をねじり回避し投影した干将・莫耶で追尾してくる矢を粉々に破壊したあとに、建物の後ろへと身を隠す。

 

「今のは赤原猟犬か?」

 

もしそうだとすれば赤原猟犬を射たのはこの世界の衛宮士郎となる。

 

「運命とは数奇なものだ」

 

このまま衛宮士郎と戦っても良いが、いかせん魔力供給が遅れているようだ。恐らくこれほどの固有結界を展開したばかりなのだからであろう。ここで戦ってしまっては勝つことはできるが私の方にも深い傷を負うことになる。ここは退くのが賢明な判断だ。

 

「あの泥が溢れ出している穴の下に行けば魔力供給は捗るだろう」

 

そう独りで呟いて衛宮士郎に見つからないように移動するのであった。

 

 

————————————————

 

 

夢を見た。それは私の憧れていたーーが私を止めに来たなんとも自分よがりな夢であった。聖杯のほぼ無限の魔力供給を受けている私。並行世界からの魔力を無限に受け取ることのできる宝石剣をもった彼女。地形を簡単に変える戦いは3日間に及んだ。

最後は私の魔力供給が切れ地面に伏した。ほぼ無限の魔力供給を受けているとはいえ所詮は有限。並行世界から無限の魔力を受け取ることのできる彼女には敵わなかったのだ。そして私は彼女に言う。

 

「最後まで迷惑をかけてすまなかった」と、

 

その言葉を聞いた時彼女の目から涙が溢れた。ああ、こんな過ちを犯した私をまだ見捨てないで未だに泣いてくれるのか。このような夢を何度見たかもわからない。いつも目覚めた時にはいつも霧のもやがかかったかのように朧げになるのだった。もし叶うのならば、いつまでもこの幸せな夢の中であり続けたいものだ。

 

 




ビーストエミヤの過去話も含まれています。

このエミヤの辿って来た道はHFルートの数倍えげつない人生を送っています。

補足

ー殺せ、とは誰の言葉でしょう。多分気づいている人もいると思いますが、この世全ての悪です。こやつは聖杯戦争の終わった後の衛宮士郎の記憶だけを思い出させることによって、過去の事をまた繰り返し行おうとしています。だから、最終決戦のことは思い出すことができません。なので夢の中では見れてもまた霧がかかったかのように朧げになってしまうのです。

「暴虐の猛威」での伏線をここで回収しておきました。

ドライヤーの語彙力のなさで伝わりにくかったのであれば申し訳ないです。
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