犠牲の果てに   作:ドライヤー

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世界の姿

視界がクリアになる。そこは薄暗い世界、夜だとわかるのだが、夜のはずなのに妙に視界が明るい。遥か遠く先まではっきり見える。そして遠くの空には穴が空いていてそこからケイオスダイトに酷似した泥が絶え間なく地面に流れて泥の海みたいなものができている。そして地面には剣が突き刺さり、なにやら動物?みたいなものが蠢いている。いや、何かを探しているというべきか。そして空の穴とは真逆の方向に世界に引きずり込まれた冬木の街がみえる。なんでそんなにはっきり上から見たようにわかるのかだって?それは今空からダイブしているからだ。

 

「うわわわわわわーーー!」

 

落ちてる!落ちている!ウルクの時も空から落ちたけど、高度が違う。雲より高い位置から落ちているんじゃないかこれ?そんな時マシュが話しかけて来た。

 

「先輩は空から落ちることに愛されているのですね」

 

愛されてない!愛されてたまるか!

 

「マスターは大変ですね」

 

「セイバーこの状況なんとかならないのか?」

 

「私の風王結界で地面に落ちる衝撃は緩和できます」

 

「頼んだぞセイバー!」

 

そんな時ダ・ヴィンチちゃんから通信が入る

 

『立香くん!ザザッ…大大丈か⁉︎』

 

謎のノイズが入る。

 

「今空から落ちてます」

 

『なら…ザザッ…丈夫だろ!』

 

「大丈夫じゃないです!どうしたんですか⁉︎」

 

『今すくまマシュの宝具…ザザッ…展開するんだ!とてつもない…ザ…魔力がそちらに向かっ…ザッ…ている!』

 

穴の下からこちらに何かが向かっている。それはすべてを飲み込む漆黒の光かつて冬木で黒い騎士王が使っていた宝具でもあった。まずい。あれに呑まれてしまっては一瞬で蒸発してしまう。

 

「マシュ頼む!」

 

「わかりました先輩!」

 

「真名、開帳ーー私は災厄の席に立つ」

 

宝具を展開するために必要な詠唱される。

 

「其は全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷ーー」

 

詠唱を紡いでいる間にもすべてを飲み込む漆黒の光が空気を引き裂き刻一刻と迫って来ている。

 

「顕現せよ、『いまは遙か理想の城』!」

 

だか漆黒の光がたどり着く前にマシュの宝具が展開された。漆黒の光が白亜の城に到達する!

 

ドォォォォン!漆黒い光と白亜の城がぶつかる音がする。

 

彼女の宝具の強度は使用者の精神力に比例し、使用者の心が折れなければその城壁と正門も決して崩れことのない。人類悪、原罪のI、ゲーティアの宝具『誕生の時きたれり、其は全てを修めるもの』を防いだ彼女の守りはこの程度では崩されない!

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

徐々に漆黒の光が薄れていく。そして漆黒の光が消える。彼女は見事に防ぎきったのだ。

 

「やりました!先輩!」

 

「よくやったマシュ!もうすぐ地面に到達する!セイバー頼んだ!」

 

「わかりましたマスター」

 

地面に到達する。この速度では落ちた瞬間に即死してしまうだろう。

 

「風王結界!」

 

セイバーが風を起こす。急速に速度が減速する。そしてセイバーが着地する。マシュが着地する。俺は頭から落ちる。ゴチッと音がなる。いっ痛い…。思わず涙目になる。

 

「「大丈夫ですか!先輩(マスター)!」」

 

2人とも駆け寄ってくる。そんなに綺麗に着地できるなんてやっぱり英霊とはすごい。それに比べて俺はダサい。

 

「大丈夫だよ2人とも」

 

心配かけないように言う。

 

「脳に異常が無いか心配です。カルデアに戻ったらメディカルチェックをしましょう!」

 

「そこまでしなくてもいいよ」

 

「すみませんマスター。私の力及ばずでした」

 

「セイバーはよくやってくれた。あの速度で落ちていたら即死だったし」

 

しかしこの世界はどこを見ても剣。剣。剣ばかりだ。しかも剣の種類はすべてが違う。どこかの戦地にでも飛ばされたのではないかと思われるぐらいだ。セイバーは何か不可解な顔をしている。この世界について何か知っているのだろうか?

 

「セイバーどうしたんだ?」

 

「いえ、この世界に似た世界は見たことがあるのですが」

 

そういえばそうだ。似ている。あまりにも似ている。そうエミヤの固有結界だ。でも彼の心象風景は空はこんなに暗くは無い。彼の心象風景は燃えさかる炎と、無数の剣が大地に突き立つ一面の荒野が広がり、空には回転する巨大な歯車が存在する。さらに空は夕焼けのようだ。

 

「確かに彼の心象風景に似ているけれど気のせいでしょう。それよりマスター」

 

「よくないものが集まって来たようです」

 

すると周りには先ほど見た動物と思われるものが集まってくる。いやこれは動物ではない。あれを動物というのは動物に失礼であろう。あれは怪物だ。赤い目、そして人の肉を簡単に引き裂けることができそうな爪、実態のないようにゆらゆらと瘴気みたいなものが体からでている。見ているだけでおぞましい。容易に敵と判断できるほどに。

 

「先輩下がっていてください」

 

「マスター指示を」

 

「戦闘だ!マシュ!セイバー!」

 

「「はい!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒い聖剣をもつ男がいた。それはこの世界の主。黒い聖剣を放った元凶。

 

「かの騎士王の宝具を防ぎきったか。及第点といったところか…だが」

 

ーこの世界は人類には優しくはないぞ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪物は1匹1匹は大したことはない。しかし数が多すぎる。倒しても倒しても倒しても倒しても次々に現れる。1匹倒したら2匹現れる。2匹倒したら3匹現れる。きりがない。本来は撤退するところだが360度怪物に囲まれている。まずいこのままではジリ貧だ。セイバーの宝具を使えば切り抜けられるだろうがこんな近くで宝具を展開してしまっては俺の身がもたない。

 

まずい。まずい。まずい。

 

どんどん数が増えていく。マシュやセイバーは疲弊していく。このままではここでゲームオーバーだ。カルデアからのサポートがあれば安全な場所を教えてくれるだろうが、なぜか通信が繋がらない。そんな時だった。

 

「あっ」

 

目の前まで怪物が迫っていた。そしてその爪を俺に向けて振り下ろそうとしている。マシュとセイバーが何かを叫んでいる。でも今は聞き取る余裕もない。考えろ考えろ考えろ。俺はこんなとこで死ぬわけにはいかない。みんなのためにも、ついて来てくれたマシュやセイバーのためにも死ぬわけにはいかない!だが無常にもその爪は振り下ろされる。

 

あぁくそ。こんなとこで死ぬのか俺は。目を瞑る。

 

だがいつまでたっても死は訪れない。目を開ける。目の前にいた怪物は矢に撃ち抜かれ地面に倒れていた。

 

「I am the bone of my sword」

 

聞き慣れた詠唱。そして矢が空から降り注ぐ。周りの怪物が一掃された。これはまさか!

 

「こっちだ!」

 

男性の声が聞こえる。その声に本能が動くがままに反応した。

 

「行こう!マシュ!セイバー!」

 

「はい!」

 

「わかりましたマスター!」

 

 

 

 

怪物を振り切った先に男性はいた。男の腕には見慣れた剣、干将・莫耶が握られている。だがいつもと格好が違う。だがそんなことはどうでもいい、とにかくお礼を言わないと。

 

「ありがとうエミヤ助かった」

 

そして男は振り返る。だが男は困ったような反応をする。よく見ればいつもより若々しい。

 

「俺は君に会ったことがあるのか?俺は覚えていないから一応互いに自己紹介をしよう」

 

「俺の名前は衛宮士郎。どうしてこの世界に来てしまったんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この衛宮士郎はUBWのアニメを見たことがある人はわかるとは思うんですけど正義の味方の味方を目指していたエミヤの格好をしています。
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