犠牲の果てに   作:ドライヤー

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今回は戦闘などは一切ありません。ほんわか温かい目でご覧ください。


ひとときの安息

黒い津波を止めた女性は気高く、そして優雅な雰囲気を漂わしていた。彼女が短剣をゆっくりおろす。その途端に津波がひいていく。津波の影が薄れていく。先ほどまで俺たちの命を脅かしていたモノは女性の手によっていとも簡単に止められたのだ。結界の外で衛宮さんと女性が話している。この女性が衛宮さんの言っていた協力者であろうか?

 

「あり…とう。遠…」

 

「い…わ。それより私…来なかった…どうするつ…だったの?」

 

会話が2人との距離が少し遠くて聞き取りづらい。協力者と思われる女性に自己紹介をしなくてはならない。そのために近づいていく。

 

「はぁ⁉︎何も考えてなかった⁉︎馬鹿じゃないの⁉︎」

 

女性は衛宮さんに対して怒鳴りつける。俺だってそう思う。自分を犠牲にして誰かを助けるなんて普通はできない。

しかしだ、この声には聞き覚えがある。まさかイシュタル?いや他人の空似というやつだろう。イシュタルはここには連れて来ていない。今頃彼女はギルガメッシュ(キャスター)にもらった宝石を使って、私利私欲にまみれた裕福生活をカルデアで送っているはずだ。こんなところにいるはずはない。でも冷や汗が止まらない。いやいや落ち着け俺!深呼吸だ!スーハースーハー。よし落ち着いた。冷や汗は止まらないが大丈夫な筈だ。

 

「先輩、彼女に霊基の反応があります」

 

マシュが爆弾発言をする。イシュタルの可能性が高まってしまった。髪を下ろしているが、ツインテールにしたら後ろすがたはそっくりではないか。

 

「彼らはカルデアというところから来たらしい」

 

衛宮さんが軽く俺たちを軽く紹介する。女性がこちらを振り向く。

 

「イシュタル⁉︎」

 

その女性は瓜二つであった。思わず叫んでしまった。まだ彼女がイシュタルとは決まったわけではない。

 

「イシュタルってあの金ピカに言いよったとかいう馬鹿女神?」

 

彼女が不機嫌そうに呟く。

 

「紹介するよ。彼女が俺の協力者だ」

 

「耳をかっぽじってよく聞きなさい」

 

「並行世界では救世の女神とも呼ばれた私の名前はー「彼女は遠坂凛。この結界を展開している張本人だ」ってちよっと士郎!」

 

衛宮さんは彼女がかっこよく名乗り上げようとしたところをあっさりと言ってしまう。

 

「今まで名前を出されなかったのは私がかっこよく、そして優雅にいうためじゃないの⁉︎」

 

それ以上の発言はやめておいた方がいい。この話の存続につながる!

 

「もったいぶっていたからつい。反省してます」

 

まるで猫みたいに顔をひっかこうとするが衛宮さんはひょいひょいと綺麗に避けていく。

 

「まぁいいわこれくらいで許してあげる。次やったらガンドぶち込むから」

 

そうは言っているが一度も当たっていない。これは負け犬の遠吠えというやつか。そう思っている矢先にこちらに向いた。まさか思っていることがバレたのか?ガンドはいやだ。

 

「それで?あなたたちは?」

 

なんだ自己紹介のことか。自分たちの自己紹介をする。何故ここに来たのか。理由。目的。などを全て話す。

 

「事情は理解したわ。ここで長話をするのもなんだし、士郎の家にでも行きましょう」

 

「ええー遠坂の家でいいじゃないか」

 

「生憎私の家は人を接待できるような家じゃないのよ」

 

いいでしょ?と見事な笑顔を見せるが目が笑っていない。

 

「別にいいけどさ」

 

押し切られたのかブーブー言いながらも承諾した。なんだかんだいって優しい衛宮さんである。するとこちらに遠坂さんが近づいて来た。なんだ?と悩んでいると静かに耳打ちされた。

 

「立香はさっき失礼なことを考えていたみたいだから家についたら嘘偽りなく話してもらうわよ?」

 

やばいエスパーか!負け犬の遠吠えと思っていたことがバレてしまってたようだ。ガンドがくるのか?あの津波を止めた人のガンドだ。体に風穴があくかもしれない。プルプルと体が震える。俺は今日死ぬかもしれない。

 

「どうしたのですか?先輩」

 

「いっいやなんででもももないいいよよ」

 

「声が震えています。何があったのですか?」

 

ああマシュ純粋な心で普段は癒されるのだが、時には純粋な質問は相手を傷つける時があるのだ…

 

 

 

 

 

衛宮さんの家についた。かなり立派な武家屋敷に住んでいるようだ。門をくぐる。玄関からすぐ入ったとこの部屋に案内される。そこはどうやら食卓のようだ。部屋の中心には机が置かれてあり、近くにはキッチンがあり部屋の角にはテレビが置かれている。

 

「そこに座っておいてくれ。お腹が空いているだろ?飯にしよう」

 

衛宮さんがキッチンにいき、調理を始める。食材や調味料の匂いがしたら腹が空くのは人間の性だ。お言葉に甘えて座らして頂こう。座ったその時だった。

 

くぅ〜〜〜〜〜

 

前方から腹の鳴る可愛らしい音が聞こえた。俺の横に座っているのはマシュだから鳴らしたのは…

 

「仕方ないじゃないですか。ここに来て何も食べてないし、士郎の手作り料理は久しぶりなんですし…」

 

みんなには聞こえない声量で顔を真っ赤にしながら1人ぶつぶつ呟いている。今はそっとしておくべきだ。もしいじりでもしたら約束された勝利の剣で切りかかってきそうだ。聞かぬが仏だ。今はテレビでもつけてゆっくりしておこう。

 

「はぁーい立香何か忘れてない?」

 

後ろには、にこやかに笑う赤い悪魔がいた。

 

 

 

 

 

「お待たせ」

 

衛宮さんが料理を全部作り終わったらしくいい香りがする。マシュは目をキラキラさせて、セイバーはまだかまだかと言わんばかりにそわそわしている。

 

「立香どうしたんだ?そのデコ」

 

「テレビの角にぶつけてしまいました」

 

「立香はドジなのか?」

 

「いえ、そういうわけでもないです」

 

竜の逆鱗に触れてしまいました。といったら今度こそ風穴が空く。デコガンドだけでは済まなくなる。先ほどからいらないことは思わせないと遠坂さんが睨みつけてくるからだ。

 

「それならいいんだが。さぁみんな食べていってくれ」

 

「「「「いただきます」」」」

 

そう言った瞬間セイバーがあらゆる方向に箸を伸ばして料理を皿に取り、リスみたいに頬張る。可愛いがいつもの落ち着いているセイバーではないみたいだ。

 

「セイバーそんなに急がなくても料理は逃げないぞ」

 

「いえ士郎!食事とは勝負です。誰よりも先に美味しい料理を多く食べれるかの!」

 

確かにセイバーが急いで食べるのも無理はない。それだけ衛宮さんの作った料理は美味しいのだ。マシュもはやく食べなければと箸を伸ばし、リスみたいに頬張る。そんなに急いで食べるとむせるぞ。

 

「コホッ!」

 

ほらやっぱり。マシュが背中を撫でてと涙目でこちらにうったえかけてくる。セイバー、マシュに変なことを教えないでくれ。

 

 

 

 

そして食事を始めて30分くらいで食べ終わってしまった。

 

「色々なことがあって疲れただろう。今日はお風呂に入ってゆっくり寝よう。明日にこの世界のこと。そしてこの世界を作った敵のことも話そう」

 

はやくこの世界のことを聞きたかったが、確かに何度も死にかけた影響で精神的疲労がでたか睡魔が襲う。この状態で話を聞いてもろくに頭に入ってこないだろう。

 

「そうしましょう。私のこともしっかり立香たちには話すわ。これからは協力していく関係になりそうだから」

 

そういって解散した。疲れたので用意してもらった寝室にいく。隣の部屋、襖を隔てた向こうの部屋にはマシュが寝るらしい。すると襖が開く音がした。どうやらマシュが入ってきたらしい。

 

「先輩?まだ起きていますか?」

 

「ああ。起きているよ」

 

「今日はその…先輩を危ない目に合わせてしまい、すみませんでした。私は先輩のサーヴァント失格です」

 

どうやら怪物に襲われて俺が死にかけたことを未だに悔やんでいるらしい。生きているなら結果オーライと思っていたがマシュそうでもないらしい。今にも泣きそうな顔をしている。

 

「大丈夫だ。マシュ。あれは俺の失態だ。マシュが気にすることなんて何もない」

 

そういって頭を撫でる。泣きそうになっていたが、みるみるうちに安心したような顔になる。

 

「先輩、今日は一緒に寝てもいいですか?」

 

「布団をこっちに移動させるのか?」

 

「いえ先輩の布団で一緒に寝ます」

 

そう言って布団にもぞもぞと入ってくる。そしてすぐに寝てしまった。スースーと寝ている横から聞こえてくる。やれやれ、今日は早く寝れそうにないな。

 

 

 

 

 

 




ビーストVIIIのステータスの宝具の欄に「???」の追加しました!これでビーストVIIIがまだ切り札を隠し持っているという期待に添えることだと思います。

遠坂凛の名前が今まで出されなかったのはこのネタをやりたかったからです。

今回はゆるゆる系で攻めてみました!表現の仕方が難しいぞ笑
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