犠牲の果てに   作:ドライヤー

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この次の話から戦闘シーンがあります。

楽しみにしておいて下さい!




暴虐の猛威

俺たちは次の日、また衛宮さんが作ってくれたご飯をいただいた。そしてついに俺たちはこの世界のことについて聞く。

 

「では話しましょう。この世界を作った敵のことを」

 

遠坂凛は語る。話は1時間にも及んだ、この世界の主。世界を脅かす人類悪。その人類悪に至るまでに通った男の道。ビーストVIII「エミヤ」の話を…

 

「エミヤのもう1つの可能性か…」

 

彼の行った行為は許されるものではない。確かに男は世界から断罪されるべき存在であったのだろう。それはビーストVIII「エミヤ」が望んだことでもあり。人類の平和を成し遂げる。そのために男は自分を犠牲にしてまでもその道を突き進んだのであろう。しかしだ、その道は孤独。誰からにも知られることはなく、誰からも理解されなかった。彼の通った道は…

 

「哀しすぎる」

 

そう。彼は万人を救いたかった。だがそれは不可能なのだ。100人の中に1人、恋人がいたとする。100人は戦争に巻き込まれたとしよう。99人救えば恋人は死ぬ。恋人を救えば99人は死ぬ。その中で全員を助けようとすると、全員は死んでしまう。そんな状況を彼は作り出すのが嫌だった。だから「正義の味方」を諦め悪に染まることを決めたのだ。

かつて英雄王は言った。本当に人類を脅かすものは人類を愛するものなのだと。ならば彼にビーストのクラスが付与されるのも当然というものである。かつて戦ったビーストI、ゲーティアもそうであった。

 

「すまない。席を外す」

 

衛宮さんは自分のもう1つの可能性を聞いて怒っているようであった。並行世界の自分であり、自分からしたら他人のようなものだが衛宮さんにも思うことがあったのだろう。マシュとセイバーは何とも言えない顔をしている。仕方がない。真実とは知らないままの方がいいこともある。この話を聞かずに人類悪として戦うのであれば問題はない。しかし知ってしまった。今から戦う敵の正体はなにより平和を願った男であったのだから。

 

「でも何でビーストVIIIはこんな世界を作ってまた人類を滅ぼそうとするんだ?」

 

今の話を聞いていたら辻褄が合わない。彼はもうこんなことをしなくてもいいはずだ。

 

「それが私にもわからないのよ。それは本人から直接聞くしかないわ」

 

今男はあの空にある穴の下、「この世全ての悪」が吐き出している泥の下にいるのだろう。方針は決まった。この世界を止めるには彼を倒すしかない。しかもこちらには遠坂さんがいる。これで彼を倒す手立てはついただろう。

 

「それと私は今この街から出ることは出来ないわ」

 

「なぜですか?」

 

「今この街は私の魔術工房になっているの。街の周りに宝石を置いておくことでこの街全体を大神殿として確立させている。つまりはこの街の周りが安全となるまで動けない。もし私のいない時に結界が破られて魔術で眠っている街の住民を殺されたりしたらたまったもんじゃないわ」

 

街の住民は無事だったのか。確かにその理由なら動けない。でも彼女が街の周りが安全だとわかったのなら動いてくれるだろう。

 

「街の周りの安全を確保するにはどうすればいいんですか?」

 

マシュが聞く。

 

「彼のところへ行く中間くらいのところに聖杯があるのよ。そこの聖杯から湧き出た泥からあの気味の悪い怪物が一定間隔で生まれているからそこのポイントさへ潰せば私は動けるようになるわ」

 

ならそこさえ潰してしまえば何とかなる。

 

「俺たちが行きます」

 

「あいつが何の策も無しにあんなところに無防備に聖杯を置いているはずない。もしかしたら死ぬかもしれないのよ?それでもいく?」

 

「覚悟の上です」

 

そういった俺に遠坂さんはジーッと見つめてくる。さっき食べた米の粒が顔にでもついているのだろうか?そう思っていると遠坂さんが、はぁー。とため息をついた。

 

「まぁいいわ。立香もこういう人間だってことはわかっていたし」

 

「なら任せるわ。マシュ、セイバー頼んだわよ」

 

「はい!」

 

「任されました凛」

 

マシュとセイバーも頷く。

 

「話は聞いた。俺も連れていってくれ」

 

いつの間にか戻ってきた衛宮さんが言う。衛宮さんの力があれば怪物でも怖くはない、断る理由がない。

 

「行きましょう、衛宮さん」

 

手を前に出す。

 

「よろしく頼む立香」

 

その手を握る。力強い握手だ。

 

「これを持って行きなさい」

 

何かを投げられる。あわててそれを拾った。これは宝石か?

 

「それは私の魔力を込めている魔術道具よ。それに向かってAnfangと言うだけで魔力を回復することができるわ」

 

何気に凄いものだ。こんな貴重な物をありがとうございます。

 

「じゃあ気を付けていってらっしゃい。死なないでよね」

 

「はい!」

 

そうして俺たちは聖杯があると言う場所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

道中はそこまで危険なことはなかった。遠くにいる怪物は気づかれる前に衛宮さんが狙撃で倒していった。だが、何もかもがうまく行きすぎている事に不安を駆り立てる。

 

そして俺たちは聖杯の元へたどり着いた。そこは黒い泥の池だった。そこの中央には聖杯が絶え間なく泥を吐き出している。

 

「あれさえ壊せれば!」

 

そして俺は走り出す。周囲の注意を怠ってしまって。

 

「◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎ーー!」

 

突如何かの方向が聞こえる。

 

「先輩危ない!」

 

マシュが俺の背後に立って盾を構える。後ろを振り向いた時には巨大な斧のような禍々しい剣を持っている巨人のようなものがいる。その巨人が禍々しい斧剣を横薙ぎにはらった。

 

ギィィィン!

 

盾と斧剣がぶつかり合う。しばらく拮抗していたが体が浮き、マシュが30メートルくらい吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。

 

「マシュ!」

 

自分の注意が怠ったせいでマシュを!遠坂さんに注意されていたのに!

 

そして斧剣が俺に向かって振り下ろされる。しかしセイバーが間に割って入って斧剣をかろうじて止める。

 

「◾︎◾︎◾︎◾︎ーーーー!」

 

「くっ!」

 

セイバーが片膝をつきながら苦痛な声を上げる。

 

「切り替えろ立香!マシュは無事だ!デミ・サーヴァントとはいえ彼女も英霊だ!この程度では擦り傷もおわないだろう!」

 

衛宮さんが怒鳴ってくる。そうだ、今はマシュの力を信じて目の前の敵に集中しなければ!

 

そして敵を見る。

 

そこにいたのは巨人と見紛うほどの巨躯を持った男。封鎖終局四海オケアノスにおいて召喚され、イアソンのサーヴァントとして圧倒的脅威を振るった男。俺たちが体を張った決死の作戦によって「契約の箱」に触れさせられようやく消滅させる事に成功したギリシャの大英雄。

 

 

 

そのギリシャの大英雄ヘラクレスが再び俺たちに猛威を振るう。

 

 

 

 

 

 

 

 




英雄王、山の翁を登場させる事に決定いたしました!

イェーイパチパチ!!!ヒューヒュー!
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