真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第十話

 

 

 

銅鑼の音が鳴り響いた後の話をしよう。銅鑼の音は増援の合図だったらしく外から見えたのは曹と夏の文字の旗。それは曹操と夏侯惇の旗印。

俺が手伝う必要もなく、あっという間に黄巾の連中は退治された。ドヤ顔で先程のセリフを言ったので非常に恥ずかしい。

 

 

「秋蘭、季衣!無事か!」

「危ないところだったがな……まあ、見てのとおりだよ姉者」

「春蘭様ー!助かりましたっ!」

 

 

無事、本隊と合流を果たした先遣隊の夏侯淵と許褚は黄巾を街から追い払い、仲間との再会に喜んでいる。俺は少し離れた位置でタバコを吸っていた。なんて呑気にしていたら金髪の美少女と白い服の少年が来た。あれ……少年の方は服に見覚えが……つーか学生?

 

 

「三人とも無事で何よりだわ。損害は……大きかったようね」

「はっ。しかし彼女等と彼のおかげで、最小限の損害で済みました。街の住人も皆無事です」

「……彼女等と彼とは?」

 

 

そんな金髪の美少女の言葉に楽進・李典・于禁の三人が前に出る。もしかして、あの金髪の美少女は曹操なのか?

 

 

「……我らは大梁義勇軍。黄巾党の暴乱に抵抗するために、こうして兵を挙げたのですが……」

「「あーっ!?」」

 

 

真面目に自己紹介を済まそうとしている楽進の言葉を遮る声。見れば互いに指を指して口を開けてポカンとしている。

 

 

「何、どうしたの?一刀、春蘭」

「華琳。ほら、竹籠の……」

「いえ、以前に我らが街に竹籠を売りに来ていた者と同じ人物だったのでつい……」

 

 

同時に曹操に説明を始める少年と夏侯惇。同時に言ってやるなよ。知ってる顔だったんだな。知ってる顔と言えば荀彧は居ないのかな?なんて思っていたら于禁の口を慌てて夏侯惇が塞ぐ。何やら隠したい事があるのかボソボソと話をした後に于禁もコクコクと頷いて了承した。

 

 

「あの時の姉さんが陳留の州牧様やったんやね。兄さんの方も曹操様と一緒やし」

「まさかの出会いだなぁ」

 

 

李典と少年が馴染みながら話をしてる。ふむ、話の筋からすると別の街で楽進・李典・于禁が竹籠を売ってる時に曹操、夏侯惇、少年と会ってたって事か。

 

 

「……で、その義勇軍が?」

「はい。黄巾の賊がまさか、あれだけの規模になるとは思いもせず、こうして夏侯淵様に助けていただいている次第です……」

「そう。己の実力を見誤ったことは兎も角として……街を守りたいという、その心がけは大したものね」

「面目次第もございません」

 

 

曹操の問い掛けに楽進は不覚と言った表情で答える。真面目なんだな。あ、なんか少年がチラチラとこっちを見てる。

 

 

「とはいえ、あなた達がいなければ、私は大切な将を失うところだったわ。秋蘭と季衣を助けてくれてありがとう」

「はっ!」

 

 

曹操の言葉に頭を下げる楽進。なんか既に主従って感じに見える。いや、曹操が女王様って感じでもあるんだが。

 

 

「あの、華琳様。もしよかったら凪ちゃん達を華琳様の部下にして、もらえませんか?」

「義勇軍が私の指揮下に入るということ?」

 

 

許褚が曹操と楽進の話に参加する。曹操の疑問に楽進が曹操に説明を始めた。どうでもいいけど俺、かなり蚊帳の外だな。

 

 

「聞けば、曹操様もこの国の未来を憂いておられるとのこと。一臂の力ではありますが、その大業に是非とも我々の力もお加えいただきますよう……」

「ふむ……そちらの二人の意見は?」

「ウチもええよ。陳留の州牧様の話はよう聞いとるし……そのお方が大陸を治めてくれるなら、今よりは平和になるっちゅうことやろ?」

「凪ちゃんと真桜ちゃんが決めたなら、私もそれでいいのー」

 

 

李典、于禁も楽進の意見に賛成し頷く。それを見て、曹操は夏侯淵の方を向く。

 

 

「秋蘭。彼女達の能力は……?」

「一晩共に戦っておりましたが、皆鍛えればひとかどの将になる器かと」

 

 

曹操に楽進達の能力を聞かれて答える夏侯淵。なんかチラッとこっちを見たか?

 

 

「そう季衣も真名で呼んでいるようだし良いでしょう。三人の名は?」

「楽進と申します。真名は凪……曹操様にこの命、お預けいたします!」

「李典や。真名の真桜で呼んでくれてええで。以後よろしゅう頼んます」

「于禁なのー。真名は沙和っていうの。よろしくお願いしますなのー」

 

 

曹操は三人の名を聞き、楽進・李典・于禁は曹操に真名を預ける。良かったね三人とも。あ、曹操がこっちに視線を向けた。

 

 

「そう凪、真桜、沙和ね……それと、そこの男は?」

「その者は楽進達と同じく我々と戦ってくれた者です。まだ荒削りですが相当の気の使い手です。そして恐らく桂花の言っていた「あの馬鹿」と思われます」

 

 

曹操に聞かれた夏侯淵は俺の事を説明を始める。いや、持ち上げた説明と「あの馬鹿」呼ばわりは止めてくれ。

 

 

「あら……あの桂花が「あの馬鹿」って言う程の男はアナタなのね?」

「荀彧はいったいどんな説明をしてたのか非常に気になりますな」

 

 

俺はタバコの火を消すと曹操に歩み寄る。この子、背は低いけど威圧感半端ねぇんだけど……

 

 

「話は時折、桂花から聞いているわ。異国から来たそうね?」

「そのようです。自分には何がなんだか解らぬ内に巻き込まれたのが妥当な説明になりますが」

 

 

曹操の問いになんとなく敬語で答えてしまう。

 

 

「それは、そっちの彼も同じだろ。なあ、学生君?」

「あ、そうですね。俺も華林に拾われてから大変だったので」

 

 

俺が笑いながら少年に話し掛けると少年は苦笑いを浮かべながら答えてくれた。

 

 

「まあ、そう言うな。この世界を体験するなんて学校じゃ学べないぞ」

「そうなんですけど……」

 

 

俺の言葉にハハッ……と苦笑いの少年。やっぱりこの学生君も俺と同じか。

 

 

「アナタ……一刀と同郷なの?」

「え……あっ!」

「やっぱりか……学生服だからまさかとは思ったけど」

 

 

俺は上着を脱いで肩に担ぐ。曹操の言葉に学生君も気が付いた様だ。

どうやら目の前の学生君も俺と同じく日本から……未来から来たらしい。

 








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