真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第百九話

 

 

 

◆◇side趙雲◆◇

 

 

強い……正直な感想だ。華雄が精鋭と言っていた血風連は見事な動きで私を翻弄していた。

血風連は私が攻勢に出ると数人が前に出て私の槍を受け止める。そして受け止めた数人とは別に背後から両脇に私を挟むと七節棍を振るう。私が退がり七節棍を避けると追撃で正面から突きが来る。

それを受け止めれば、今度は側面から蹴りが飛んできたので私は距離を取るが血風連は私の包囲を崩さずに居る。

 

非常にやりづらい相手だ。血風連は集団戦闘の専門家と言った所か……付かず離れず。それでいて私の間合いの外から中へと切り替えが早い。私の距離での戦いが出来ない……やっかいなものだ。

それに血風連を率いていた華雄も同様のようだ……愛紗が相手をしていたが分が悪そうだ。

 

 

「くっ……はぁ……はぁ……」

「どうした……お前の実力はこんな物なのか?」

 

 

息切れを起こし満身創痍が目に見える愛紗と息切れを起こさず、悠々としている華雄。どちらが優勢なのかは明らかだ。

愛紗の油断もあったのだろうが華雄は凄まじく強くなっていた。あろうことか華雄は愛紗との戦いの最中にも回りに居た血風連以外の兵達にも指示を出しながら斧を振るう。つまり愛紗との戦いは余所見をしながらでも出来ると言う事の現れだ。

 

ギリッと歯軋りが聞こえた。それは愛紗の物なのか私自身の物なのか……いや、両方か。私も愛紗も桃香様の剣となると誓って戦ってきた。なのになんだ……華雄や血風連が現れただけで先程までの優位性が失われた。

しかも、この血風連は魏の精鋭とは言っても兵の一部にしか過ぎない筈。なのに私は足留めをされて愛紗は格下と見ていた華雄に劣勢。

 

なんて……なんて惨めなんだ……

 

 

「頃合いだな……退くぞ」

「なんだと……逃げるのか!?」

 

 

華雄の一言に私を取り囲んでいた血風連はザッと一気に引いていく。ここまで統率が取れているとは、やはり侮れないな。

愛紗は華雄が逃げると思っている様だが、それは違うだろう……

 

 

「ふん……私の仕事は撤退援護だ。貴様等を討つ事ではない。それにそろそろ追い掛けないと追い付けなくなりそうだから……なっ!」

「ぐぅっ!?」

 

 

 

華雄は我々に事情説明をすると同時に愛紗に重い一撃を放つ。なんとか防いだ愛紗だが、その隙に華雄は血風連と共に既に退却していた。

反董卓連合の時は猪武者にしか見えなかった華雄だが今は違う。周囲と状況の判断を冷静に下し、自身も前に出る理想的な将軍となっていた。この短期間の間にどうやったら、そこまで強くなれるのだ?

 

 

「逃げられたか……逃げ足だけは速いようだな」

 

 

愛紗は華雄が去った方角を見て呟いたが私はそうは思わない。恐らく愛紗は先程の戦いも自身の油断が招いた事だと思っているのだろうが、それも違うだろう。華雄は何かの切っ掛けで化けたのだ。只の猪武者から有能な将へと。

やれやれ……魏には誰かを育てるのに優秀な人材が居るようだ。まさか噂の天の御遣いか?まさかな。

 

 

 

 

 

◆◇side秋月◆◇

 

 

 

 

「いっくしょ!」

「風邪ですか純一さん?」

 

 

一刀や他の兵達と全力と城へと戻った俺達。恋とねねが兵を纏めて退路を確保してくれて本当に助かった。そして城に到着したと同時にくしゃみが出た。誰か噂でもしてんのか?

 

 

「なんとか戻ってこれて良かった。華雄達もこっちに向かってるみたいです」

「足留めの後に直ぐにこっちに来たみたいね。下手に追撃をするよりも良い判断だわ」

 

 

一刀の話の通り、華雄も関羽達の足留めをした後に直ぐに後を追ってきたらしい。良かった……昔の華雄ならそのまま突撃していたかもしれないと思うとゾッとするわ。

 

 

「華琳も助けて、華雄や恋とも合流して……なんとかなるかもな」

「なんとかするのよ」

 

 

ふと一刀と大将を見てみれば一刀は少し震えていた。そっか一刀は武将との戦いを間近に感じたのは今回が初めてだったのか。

 

 

「そっか……そうだよな。ハハッ……まだ少し覚悟が足りなかったみたいだ」

「あら、私を救ったのだから貴方達は英雄って言われるかもしれないわよ」

 

 

そんな一刀を察したのか大将は冗談混じりの話を始める。

 

 

「俺は英雄なんて柄じゃないよ」

「一刀……」

 

 

一刀は大将の言葉を首を横に振って力無く笑った。そんな一刀に大将も掛ける言葉を失ってる。ふむ……ならば。

 

 

「心配するな一刀。遊び人は悟りの書がなくてもレベル20で英雄になれる」

「純一さん、それは賢者です」

 

 

 

俺のボケに鋭いツッコミが入った。だが、それと同時に先程までの笑みから本当の笑みへと変わったのを感じる。大将の顔色も少しはマシになったか。やっといつもの調子になってきたか。

 

 

と……そんな話をしている間に華雄と血風連も城に戻ってきた。城門を閉じて遂に始まる籠城戦。もう一踏ん張り頑張りますか。

 

 

 




『悟りの書』
ドラクエ内のレアアイテムで悟りを開くための書物で、これを持っていると『賢者』に『転職』できるようになる。特定のモンスターが落とす超激レアアイテム。ドロップ率は約1/2048と言われている。
因みに悟りの書無しでも『遊び人』を鍛えれば賢者になれるので大半のプレイヤーは遊び人から賢者に転職させた。








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