真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第百十九話

 

 

 

 

「あー……ツラいなー……」

 

 

医務室から自分の部屋に戻った俺は部屋で寝ながら煙管を吹かしていた。だって暇なんだもの。

かと言って出掛けるほど腰の痛みが引いた訳じゃない。つーか、飲んだ痛み止めが超効いてるんだけど怖いくらいに。

医務室から出るときに大将の妙な笑みが気になる。あれは詠にする質問が楽しみなのか、調合した薬の効き目が知る事が出来たのが嬉しかったのか……いや、両方か。

 

しかし……医者の話じゃ過労って言ってたが、そんなに疲れが溜まっていたのだろうか。思えば、この世界に来てから色々あったからな。体は休めても心が休まってなかったのだろうか。

 

気を覚えて自爆して。大将の所に行ってから自爆して。反董卓連合で自爆して。桂花と仲良くなって自爆して。大河を弟子にしてから自爆して。

 

 

「自爆しかしてねぇ……」

 

 

思い返してみると自爆しかなかった……新技開発も八割は失敗してるし。

 

 

「風呂行こ……」

 

 

俺は溜め息と吐くと煙管の火を消して風呂場へと向かった。腰痛の時は風呂に限る。しかも今回は五右衛門風呂ではなく、大将達が使ってる大風呂を使っても良いと大将から言われている。医務室から出る時に沸かし始めると言っていたからそろそろだろう。

 

 

「副長、お疲れさまです。準備できてますよ」

「ああ、ありがとう」

 

 

大風呂へと行くと侍女が風呂の準備は済んでいると教えてくれた。

と言うわけで大風呂。五右衛門風呂も嫌いではないが大風呂で広々と入るのも好きだ。

俺は痛む腰を我慢しながから服を脱ぎ、浴場へ。

 

 

「さて、入るか」

「はい。では、お背中流しますね」

 

 

いざ入ろうかと思った俺の独り言に返事が帰ってきた。しかも背中を流してくれるとはありがたい……じゃなくて!

 

 

「ゆ……ゆえ?」

「は、はい……」

 

 

振り返れば手拭いで前を隠している月。恥ずかしいのか頬は赤く染まっている。

 

 

「あ、あの……なんで」

「そ、その……華琳様から『純一は後でお風呂に行くだろうから体が不自由な純一を助けてあげなさい』……と」

 

 

なるほど、あの時の笑みはこの事を予想してたからか。完全に掌で踊らされてるな俺。月は月で顔を真っ赤にして俺を見上げてる。

 

 

「あー……その、お願いできるかな?」

「は、はい!」

 

 

俺の頼みを月は聞いてくれた。俺が腰を下ろすと月は背中を洗い始めてくれる。

無心だ……無心となれ。この状況で欲望を出すのはダメだ。

 

 

「……くすっ」

「どうかしたのか月?」

 

 

俺がこの状況下で無心になろうとしているのを月が笑った。そんなに可笑しかったか?

 

 

「あ、いえ……詠ちゃんも同じだったのかなって……思ったら」

 

 

月の言葉に俺は思考が止まる。そういや詠の事をどう話せば……

 

 

「詠ちゃんとの事……詠ちゃんから聞きました」

「え……詠から?」

 

 

ちょっと待て。詠から昨夜の事を聞いたってのか?

 

 

「あー……ごめん。俺は……」

「謝らないでください。詠ちゃんにも謝られたんですけど私は怒ってないんです。寧ろ嬉しかったんですよ」

 

 

謝ろうとしたが月に止められた。え、って言うか嬉しかった?

 

 

「詠ちゃんはいつも私に遠慮しちゃうんです。でも、詠ちゃんが自分から純一さんと一緒になったって聞いて嬉しかったんです」

「そっか……」

 

 

体を洗ってもらってから二人して湯船に浸かる。月は俺の隣にピッタリと並んでいる。

しかし、聞くと月と詠って似てるんだよな。互いが互いの事を思うところが。

月は詠の事を思ってるし、詠は月の事を思ってる。正直、俺が関係を持つのが詠が先じゃなくて月だったとしても同じように『良かった』と言う気がした。

 

 

「月……」

「え、純一さ……ん」

 

 

俺は月にキスをした。密着してる分、月のドキドキが伝わってるみたいだ。

 

 

「俺は……その……他の国から来たから感覚が違うだろうけど……みんな大事にしたい……だから」

「わかってます……私だけじゃなくて詠ちゃんも華雄さんもねねちゃんも桂花さんも斗詩さんも真桜さんも」

 

 

俺の言葉を遮って月は皆が同じ気持ちだと教えてくれた。

 

 

「他の誰かが言うことかだからと、ご自身の気持ちに無理をしないでください。純一さんにとっての一番が誰かはわかっています。それでも……私は、私達は貴方をお慕いしています」

「そっか……うん」

 

 

 

途中から泣きたくなっていた。俺が思う以上に彼女達はしっかりと俺を見ていた。寧ろ俺が躊躇っていた事や悩みも見抜かれていた。

 

 

「純一さん?」

「ん、ああ……酒飲みたいと思ってな」

 

 

月はが不安そうな顔で俺を見ていた。俺は誤魔化すために咄嗟に酒を飲みたいと告げる。いや、嘘じゃないよ。風呂に入りながら熱燗って最高じゃん?

 

 

「だ、駄目ですよ!」

「わかってる。言ってみただけだからさ」

 

 

プクッと頬を膨らませた月を抱き寄せる。

わかってるよ……体を治してからだよな。

 

そんな事を思いながら俺は月と風呂を堪能した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、ニヤニヤと笑みを浮かべた大将に詠の事も含めて質問攻めにされた。

 

 








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