真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
<< 前の話 次の話 >>

12 / 178
第十二話

 

 

 

 

俺は軍議に呼ばれていたので、軍議が行われる大きな天幕に向かった。本来なら物資の配給の手伝いでもしようかと思ったのだが大将から「一刀の補佐になるなら軍議に出る機会も増えるから学んでおきなさい」と言われた為に軍議に参加。天幕に到着すると既に大将や夏侯姉妹、季衣と荀彧に凪と真桜もいた。

 

因みに部下になるって事で楽進・李典・于禁の真名を授かり、季衣からも真名を預かった。季衣には荀彧の言っていた「あの馬鹿」呼ばわりはなんとか止めさせた。

凪・真桜・沙和は俺の事を『副長』と呼ぶようになり、夏侯姉妹からは『秋月』と呼ばれる様になり真名も預かる事になった。なぜかと言えば秋蘭が『一晩ともに戦い、背を預けたのだ。真名を預けるには足りぬ理由か?』『しゅ、秋蘭が真名を授けるなら私も預ける!』との事。

 

荀彧は真名を預けてくれなかった。何かを言いかけた段階で大将が待ったを掛けたのだ。『あら、桂花?一刀の時は私が命じたけど無理に純一に真名を預ける必要は無いわよ?』

等と言った為に荀彧が何を言おうとしたかは判らず仕舞い。しかも『純一の最初の目標は桂花から真名を授かる事ね』と超ドヤ顔で言ってきやがった。わかってて邪魔しに来やがったなドSめ。

それは兎も角、どうやら天幕に来たのは俺が最後だったらしく、俺が天幕に入ると軍議が始まった。因みに沙和は補給物資の配給作業の為に此処にはいない。

 

 

「さて、これからどうするかだけど……新しく参入した凪達もいることだし、一度状況をまとめましょう。春蘭」

「はっ。我々の敵は黄巾党と呼ばれる暴徒の集団だ。細かいことは……秋蘭、任せた」

「やれやれ……」

 

 

大将の後を引き継いで春蘭が説明を開始と同時に預けてくれなかったにバトンタッチ。

いつもの光景なのかな。秋蘭が諦めた様子で春蘭の代わりに前に出る。あ、なんか苦労してるッポイな。

 

 

「黄巾党の構成員は若者が中心で、散発的に暴力活動を行なっているが……特に主張らしい主張はなく、現状で連中の目的は不明だ。また首領の張角も、旅芸人の女らしいという点以外は分かっていない」

「分からないことだらけやなぁ」

 

 

確かに分からないだらけだ。分かってるのは暴力行為と首領の名が張角って事とその人物が女旅芸人って事か。あ、張角も女なのね。

 

 

「目的とは違うかもしれませんが……我々の村では、地元の盗賊団と合流して暴れていました、陳留の辺りでは違うのですか?」

「同じようなものよ。凪達の村の例もあるように、事態はより悪い段階に移りつつある」

 

 

悪い段階って事は小さい集団のバカ騒ぎが同じような集団や盗賊団と手を組始めたって事か。

確かに昨日の連中も数は凄かったな。これ以上、増えると軍でも対応しきれなくなるって事ね。

 

 

「これからは、暴徒と言えど一筋縄では行かなくなったわ。ここでこちらにも味方が増えたのは幸いだったけれど……これからの案、誰かある?」

「この手の自然発生する暴徒を倒す定石としては、まず頭である張角を倒し、組織の自然解体を狙うところ……ですが……」

 

 

大将の質問に荀彧が答えるけど……そりゃ無理な話だな。だって……

 

 

「張角って何処にいるんですか?」

「もともと旅芸人だったせいもあって正確な居所は掴めていない。というより、むしろ我々のように特定の拠点を持たず、各地を転々としている可能性が高い」

 

 

そう。張角の居場所が分からん事には討伐もクソもない。噂を聞いて捜索したとしても、確証がない上に空振りに終わる可能性の方が高い。現代ならネットとか目撃情報とか出せるんだろうけど。

 

 

「成程。本拠地が不明でどこからでも湧いて出る敵か……そりゃ苦労するな、攻めようもないし」

「そうよ。でもだからこそ、その相手を倒したとなれば、華琳様の名は一気に上がるわ」

 

 

一刀の呟きに荀彧も頷く。ふむ、だけどまあ……凄い人気なんだな。ただの旅芸人から黄巾党が生まれるまでに人が集まるとは。現代のアイドルグループだってテレビとかの広報で人気が出るもんだけど、人伝の噂くらいしか話を聞く機会がない人達の間でそこまで人気が出るもんなのか?

 

 

「す、すいませーん。軍議中、失礼しますなのー」

「どうしたの、沙和。また黄巾党が出たの?」

 

 

等と俺が考えていると沙和が恐縮しながら天幕の入口から顔を出していた。

 

 

「ううん、そうじゃなくてですねー」

「何だ。早く言え」

「街の人に配ってた食糧が足りなくなっちゃったの。代わりに行軍用の糧食を配っていいですかー?」

 

 

春蘭の促しに用件を伝える沙和。ああ、早くも食料が足りなくなったか……ん、食料が?

 

 

「桂花、糧食の余裕は?」

「数日分はありますが……義勇軍が入った分の影響もありますし、ここで使い切ってしまうと、長期に及ぶ行動が取れなくなりますね」

 

 

そういや、昨日の連中も数は凄かった。そう俺達でさえ食料が足りなくなっている。

 

 

「とはいえ、ここで出し渋れば騒ぎになりかねないか。いいわ、まず三日分で様子を見ましょう」

「三日分ですね。分かりましたなのー」

 

 

大将の指示を受けて、沙和は天幕を出る。それを見送った大将は荀彧に視線を移して指示を与えている。

 

 

「桂花、軍議が終わったら、糧食の補充を手配しておきなさい」

「承知しました」

「すみません。我々の持ってきた糧食は、先程の戦闘であらかた焼かれてしまいまして……」

 

 

ふむふむ。義勇軍の食料は焼かれた。だけど黄巾の連中は未だに元気に動いていると……チラッと一刀を見れば何かを考え込んでる。ふむ、同じ答えに行き着いたかな?

 

 

「気にしなくていいわよ。アナタ達がそれ以上の働きを見せてくれれば」

「なあ、華琳。糧食の補充は相手もする。けどあれだけの部隊が居ると相当な糧食が必要となる……よな?」

 

 

大将の会話に横やりで参加した一刀。その言葉に大将もピンと来たようだ。

 

 

「……なるほど」

「にゃ?」

「その手があったわね」

「ど、どういう意味だ?」

 

 

文と武で明らかに差が出たな今の会話。主に大将と荀彧、春蘭と季衣で分かれたが。ならば俺が説明しよう。

 

 

「あれだけの部隊が動くには武器はともかく、糧食は現地調達じゃ無理がある筈。だからその糧食や武器をどこかに集めてる集積地点がある筈って事だ」

「あら、純一も理解していた様ね」

「一応……勉強はしてたものね」

 

 

俺が一刀の説明を引き継いで発言すると大将は感心した風に。荀彧は笑いを堪えながら……今、荀家での俺の勉強風景思い出してるなコイツ……

 

 

「華琳様、すぐに各方面に偵察部隊を出し、情報を集めさせます」

「ええ。桂花は周辺の地図から、物資を集積できそうな場所の候補を割り出しなさい。偵察の経路は、どこも同じくらいの時間に戻ってこられるように計算して。出来るわね?」

「お任せ下さい!」

 

 

秋蘭が即座に偵察を出すと大将は次いで桂花に指示を出した。即決の判断スゲーなマジで。

 

 

「他の者は、桂花の偵察経路が定まり次第出発なさい。それまでに準備を済ませておくように!」

 

 

黄巾党を確実に仕留める捕らえられるとなり一気に忙しくなり始める。さて俺は……どうしよう?

思えばやる事、ねーわ。俺、部隊持ってるわけじゃねーし、軍師みたいに知恵を出すタイプでもないし。

沙和の手伝いにでも行ってこようかな?








※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。