真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第百二十四話

 

 

 

 

警邏を終えてから斗詩と合流した俺は城を出て街へと出ていた。私服に着替えた斗詩は俺の左腕を抱き締めながら共に歩く。ぶっちゃけ俺は今、左腕に全神経が集中している。だって桂花よりも……やめた。考えただけで後々、何か言われるような気がする。

 

この後、適当な食事所に入って夕飯&晩酌。この店は最近、気に入ってた店だ。料理が美味いし、何よりも酒の種類が豊富だから。

そんでまあ……二人して酒を楽しんでいたのだが……

 

 

「ふきゅう……せかいがまわってまふぅ~……」

 

 

既に斗詩が酔い潰れていた。斗詩ってこんなに酒に弱かったっけ?机に体を預けたまま顔が赤い。

 

 

「斗詩、飲み過ぎだぞ。親父さん、水を貰える?」

「はふゅ……らいじょうふ……れふ」

 

 

俺が店の親父さんに水を頼み、斗詩を抱き起こすがフラフラだ。斗詩は大丈夫と言ってるみたいだけど呂律が回ってない状態で言われても説得力皆無だよ。

水を飲ませたけど余程酔っているのか口から少し零れてしまう。唇に濡れた水……ほんのり赤みの掛かった頬って……いや、イカンイカン。ちゃんと介抱せねば。

この後、酔い冷ましにと少し外の空気を吸わせる為に外へ出て店から椅子を借りて外で腰を掛けていた。酔った体には夜風が心地好く感じる。

 

 

「あ、秋月しゃん……私はもう大丈夫れふから……」

「まだ微妙に呂律が回ってないからもう少し大人しくしてな」

 

 

先程よりかは酔いが覚めてきてる様だがまだ呂律が回ってない上に立ち上がろうとしたけどプルプルと足が震えて立ち上がれそうにない。

 

 

「う……はい……」

 

 

 

そう言うと斗詩は俺の隣に座り込む。俺は煙管に火を灯してフゥーと紫煙を吐く。もう少し斗詩が落ち着いたら帰るか。ここまで斗詩が酒に弱いとは思わなかった。

 

 

「んふふ……秋月さん……」

 

 

そしていつもはしないみたいに甘えてくる。俺の肩に頭を乗せてスリスリと嬉しそうに俺の腕に抱きついてくるのだ。ヤバい……超可愛い。

 

 

「あー……斗詩、そろそろ帰ろうか?」

「え……あ、はい」

 

 

このままでは俺の理性の方が耐えられなくなりそうだ。俺は煙管を消すと斗詩に帰るように促すが斗詩は不満そうにしていた。俺もね、もう少しは続けたかったんだよ。でもここ外だからね。少し乗り気になっちゃったけど夜の街の人の目って結構気になるから。

俺は店の親父さんに支払いを済ませ、帰ろうかと思ったのだが肝心の斗詩が駄目だった。酔いは覚めてきているがまだ足下が覚束無い様でフラフラと危なっかしい。

 

俺は着ていたスーツの上着を脱ぐと斗詩の腰元に袖を巻く。こうしないとスカートの中が見えちまうからな。

斗詩の前に片ひざ立になり斗詩を背負うと立ち上がる。斗詩が苦しくなさそうなのを確認すると俺は城へと向かって歩き始めた。

ある程度の酔いは覚めたみたいだけど斗詩がこれ以上具合が悪くならないように、揺らさないように歩かないとな。なんて思っていたらスルッと斗詩の腕が俺の首に掛けられる。そのままフワリと優しく抱き締められた。

 

 

「秋月さんは……優しすぎます」

 

 

弱い訳でもないが強くもない自然な力の加減で俺の体に身を寄せていた。

俺の背中にとてつもなく柔らかい物が押し付けられている。

 

 

「麗羽様や文ちゃんの所から離れて……寂しくて……心細かった私に優しくして……」

 

 

ポフッと俺の背に顔を埋める斗詩。そっか……そうだよな。慣れてきていたけど斗詩は袁紹の所に居たんだ。それが急に陣営が変われば心細いよな。

 

 

「ズルいですよ……本当に。ただ優しいだけじゃなくて皆を笑顔にして……周りに心配要らないって笑って……」

 

 

斗詩は今まで抱えていた物を吐き出すかのように告げる。もしかして今日、妙に酒に弱かったのは張り詰めていた緊張の糸が緩んだからなのかな。

 

 

「……好きになっちゃいますよ皆……私も月ちゃんも詠ちゃんもねねちゃんも華雄さんも真桜ちゃんも……でも一番なのは多分、桂花ちゃん」

 

 

斗詩の言葉に俺はドクンと心臓が跳ねた気がした。え、桂花が一番俺を好きって……

 

 

「桂花ちゃん、隠してるつもりなんでしょうけど女の子達の間じゃ噂になってるんですよ。文官さんや侍女さん達なんか『どうやって副長と荀彧様をくっ付けようか』なんて会議までしてるみたいですし」

 

 

斗詩さん?酔いのせいか口が軽くなってませんか?でも俺にとっては嬉しい情報だけど。つーか、俺の知らない所でそんな会議が行われていたとは。まあ、俺も人の事は言えない事してるけど。

 

話をしている内に城に到着。門番に事情を簡単に話すと「これからお楽しみですか?」と聞かれたので斗詩を揺らさない様に門番を蹴った。

そして門から斗詩の部屋に行くまでの間に背中からは寝息が聞こえてきた。

俺は斗詩の部屋に入ると備え付けの寝台に寝かせる。布団を掛けて寝ている様子は実に心地よさそうだ。

 

 

「おやすみ……斗詩」

 

 

俺は寝ている斗詩に軽くキスをしてから部屋を出た。キスした時に少しだけ微笑んだ様に見えたのは気のせいだったのだろうか。

 

 






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