真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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今年最後の更新になります。来年もヨロシクです。


第百三十一話

 

 

 

 

桂花にドキドキさせられた次の日。俺は大将に呼び出されて、大将の部屋に来ている。詳しくはまだ聞いていないが恐らく重要な事なのだろう。

 

 

「さて……秋月純一。貴方は一刀と同郷……そうよね?」

「ええ、間違いないでしょう。お互いの情報交換もしたけど、その情報に齟齬は無かったんで」

 

 

開口一番に聞かれたのは一刀と同郷の事か……となると、やはり話の内容は天の国の事か?でも、その割には一刀は呼んでないみたいだし。

 

 

「なら聞きたいのだけど……一刀は天の国だと学生と呼ばれる立場と聞いたわ」

「ああ。俺は社会人で一刀は学生だが?」

 

 

思えば一刀は普通の学生だったんだよな。それが魏の警備隊隊長と人生とは分からないものだ。俺が言えることではないが……

 

 

「そう、そうよね。でも貴方も数年前までは、その学生だったんでしょう?」

「ん、ああ。大学を出たときは22だったからな」

 

 

さっきから何故か大将は既に知っている内容ばかり聞くんだ?ん……もしかして。

 

 

「元学生だし、一刀と同郷だから一刀の趣味や思考もわかるだろうから、教えて欲しい……か?」

「…………」

 

 

俺の問いに無言の大将。沈黙は肯定ってね。

 

 

「そういや、俺の作った服を迷わずに着て一刀に見せに行ってたな」

「そうだったかしらね」

 

 

俺の言葉に惚けた様子の大将。ヤバい面白すぎるぞ、この状況。

まさか大将が一刀の為に俺に相談を持ち掛けて来るとは……

 

 

「ふむ……一刀は無理に迫ったり高圧的な態度を取るよりも普通に接する方が良いぞ。後、春蘭や秋蘭みたいに接するみたいじゃなくて……」

「私は何も聞いてないわよ」

 

 

俺の言葉を遮る大将。その割にはピクピクと耳が動いてるから興味津々と見た。

 

 

「ああ、俺も聞かれちゃい無い。だからこれは俺の独り言だな」

「そう……勝手になさい」

 

 

そう言う大将は落ち着きなく脚を組み直したり、トントンと指で自身の腕を突いている。一刀の事となるとボロが出やすいな。

今なら『死刈☆華琳』の衣装を進めたら着てくれるだろうか?いや、話を持ち掛けた段階で俺の首が刈られかねん。

 

 

「ま、俺に言える事があるとしたら、自然体で付き合うのを進めますよ。曹孟徳としてではなく、只の華琳として……ね」

「………覚えておくわ」

 

 

俺は大将に最後のアドバイスを送ると大将はそっぽを向いた。多生なり自覚はあるのね。

そんな事を思いながら部屋を後にした俺だが、その帰り道で一刀と会う。

 

 

「どした一刀?」

「あ、その……華琳、俺の事何か言ってました?純一さんだけ呼ばれたから……」

 

 

なるほど……俺だけ呼ばれたから自分の事を怒る話でもしてたと思ってるのか。

 

 

「ちげーよ。今後の相談だよ」

「わ、そうなんですか?」

 

 

俺は少し乱暴に一刀の頭を撫でる。少し戸惑った様子の一刀に俺は笑ってしまう。

大将は一刀の事を知りたいと俺を呼び、一刀は大将と俺がどんな話をしているかを気にした。

それはつまり互いが互いを思って行動してるって事だ。立場は違うんだろうけど学生の恋愛を見て相談に乗ってる気分た。

 

 

「ま、心配はいらんさ。それよりも報告書纏めて大将の所へ行ってきたらどうだ?」

「は、はい。そうします!」

 

 

俺が手を離すと一刀は行ってしまう。頑張れよ若人よ。

 

 

「何、ニヤニヤしてるのよ」

「おおっと、このタイミングで毒舌かよ」

 

 

少しいい気分で一刀を見送ったと思ったら昨日とは違ってツンツン状態の桂花が書類を抱えて俺を睨んでいた。

 

 

「なーに怒ってるんだよ」

「……別に」

 

 

俺の言葉にフン!とそっぽを向く桂花。何をそんなに怒って……あ、もしかして。

 

 

「俺が大将の所に行ったのは今後の相談があったからだ。桂花が思うような事は無かったぞ」

「ふ、ふーん……そう。わ、私は別に華琳様にアンタが呼ばれた事なんか気にしてないし、華琳様がアンタの毒牙に掛かるかもなんて心配してないし……この種馬」

 

 

素直な心情吐露ありがとう。お前は俺をなんだと思ってる?あ、種馬ですよね。

それにしてもこれはどっちに焼き餅焼いてるんだか微妙な所だよな。しかも最後には毒吐かれたし。

 

 

「ま、ともあれ……」

「な、何よ……」

 

 

俺は笑みを浮かべると桂花に歩み寄る。

 

 

「そーんな、悪い事を言う口は塞がないとな」

「え、待っ……ん……」

 

 

俺は桂花の唇に自身の唇を押し付ける。昨日とは立場が逆になったな。

キスを終えて名残惜しいが離れると桂花はトロンとした表情になっていた。さっきのツンツン状態からのギャップが激しいから破壊力ハンパないです。

 

 

「じ、じゃあ……今後は毒舌は控えるようにな」

 

 

俺は早足にその場を後にする。自分で言った先程の発言が恥ずかしかったのもあるが、今の状態の桂花を見ていたら色々と……主に理性が止まらなくなりそうだったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆side桂花◇◆

 

 

私の唇を強引に奪った馬鹿は自分で言った事が恥ずかしくなったのか逃げるように去って行った。

私は自分の唇を指でなぞる、さっきまで押し付けられていたアイツの唇を思い出す。

本当に馬鹿よね。私が悪口を言う度にアイツが口付けをしてくるなら……

 

 

「もっと……言いたくなるわよ馬鹿」

 


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