真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第百三十五話

 

 

 

 

凪、沙和の二人が一時的にだが街の警備から外された。その理由は涼州の馬騰へ魏に下るようにと交渉しに行く人物の護衛と付き添いらしい。

その話を聞いた俺は見送りにと交渉団がいるであろう門へと行く。

馬騰か……反董卓連合の時は代理で馬超が出てたらしいけど、どんな人なんだろう。そんな事を思っていると門に到着。

交渉事となれば行くのは秋蘭辺りかな?

 

 

「お、なんだ秋月。馬騰の所へ行く私の見送りか?」

「大将は涼州に火種を送り込む気か?」

 

 

なんとそこに居たのは秋蘭じゃなくて春蘭だった。一番交渉に向かない人物に俺は思わず本音が出た。春蘭を送り込むなんて『戦争しようZE!』と言ってる様なもんだ。

 

 

「私じゃ不満だと言いたいのか秋月?」

「危なっ!いや、交渉と聞いていたから秋蘭が行くもんだと思ってたから……」

 

 

春蘭は大剣を抜くと即座に斬りかかってきた。俺は真剣白羽取りで受け止めると疑問を口にする。

 

 

「華琳さまが馬騰の所へ行くのは私だと指名してくださったのだ、わかったか!」

「スマン!わかった、わかったから先ずは剣を下ろそうか!」

 

 

流石に春蘭のパワーにいつまでも耐えるなんて無理!手が痺れてきた!

 

 

「おやおや、仲良しさんですねー」

『おっと男女の仲に口を挟むのは野暮だぜ嬢ちゃん』

 

 

俺がギリギリの状態で耐えていると風と宝譿が茶化してきた。

 

 

「風……この状態を見て、そんな事が言えるのか?」

「はいー。お兄さんと純一さんはとても似てるのですよー」

 

 

つまり風視点だと春蘭に斬られてる一刀は仲良しの証拠……なるほど奥が深い。って言ってる場合じゃない!

 

 

「春蘭、俺が悪かった。勘弁してくれ」

「ふん、最初からそう言えば良いのだ」

 

 

そう言って春蘭は大剣を下ろす。最初の段階で謝ったのに……とは言わない方が良いな。春蘭はそのまま兵達への指示の為に離れていった。

 

 

「そもそも今回の交渉相手は馬騰さんなのでー、同じ位の官位を持っている春蘭様が交渉に出向くのが礼儀なのですよ」

「官位……ああ、なるほどね」

 

 

官位は実際に朝廷から授けられた位。馬騰はその正式な官位だから同じ位の官位を持つ春蘭じゃなきゃ駄目だって事らしい。

 

 

「因みに魏の内部で馬騰さんと同じ位の官位を持っているのは華琳様と春蘭様。後は元董卓軍だった恋ちゃんと霞ちゃん、華雄さんくらいですかねー」

「正式な官位ってなると、そんなもんか」

 

 

秋蘭が官位がそこまで無いのは意外だったな。もうちっと高いかと思ったが

 

 

「風様、副長。お疲れさまです」

「ふくちょー、サボりなのー?」

 

 

等と風と話をしていたら凪と沙和が来た。どいつもこいつもサボりと決め付けやがって。

 

 

「確かに俺は警邏の最中にサボる事もあるが……お前等程じゃないからな?」

「痛たたたたたたっ!?」

 

 

いつぞやの真桜みたく沙和の鼻を詰まんで持ち上げる。本当に地味に効果的だ。

 

 

「一応見送りにな。一刀も来たがってたけど書類が貯まってたからそっちを優先させた」

「………そうですか」

 

 

俺の言葉に凪は少ししょんぼり。見送りなら俺よりも一刀に来てほしい気持ちもわかるけどさ。

 

 

「副長、隊長がサボらない様に見ていてください」

「……そーだな」

 

 

凪の言葉に俺は苦笑いになった。俺もサボる事もあるし、何よりも凪の言葉の真意は『隊長の女癖の悪さを見といて下さい』なんだろうと思った。まあ、本人も気づいてないッポイけど。

 

 

そうこうしている間に交渉団は出発した。暫くの間、春蘭、風、凪、沙和に会えないな。

しかし涼州か……トラブルが無い事を祈りたい。

俺はそう思いながら煙管に火を灯した。

 

 

 


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