真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第百三十七話

 

 

 

 

涼州に向かう事となり数日。馬や馬車に揺られながら俺達は涼州に入り始めていた。

流石に遠いな一日馬や馬車で移動して数日掛かるんだから……車やバイクなら一日とか考えない方が良いのだろう。馬車以外の乗り物を何か考案するべきだな、うん。

例えば……柱か何かを投げてそれに乗り移り高速飛行する世界最高の殺し屋式移動方法とか。

 

 

「いっそ試しに大河を丸太に括り付けてから投げるか?」

 

 

大河なら軽いから丸太を投げる事さえ出来たらマジで出来そうな気がしてきた。

 

 

「何、ブツブツ危ない事、言うてんねん純一」

「ん、ああ……ちっと考え事」

 

 

馬車の荷台で考え事をしていたのだが口に出ていたらしい。霞に話しかけられるまで気付かないなんて、よっぽど考えに集中していたらしい。

 

 

「なんやしたい事があるから馬やのーて馬車の荷台に乗りたい言うから荷台に乗せてんやで。サボりかいな」

「いや、やりたい事があるのはホント。今はちょっと考え事しながら作業してたから」

 

 

咎める様な霞の言い分に反論しながら俺はサイズ調整をしていた手袋を装着する。うん、サイズもピッタリだな。手を握ったり、開いたりしても違和感無いし。

 

 

「その手袋ってあれか?『なんちゃってしるばーすきん』とか言う奴かいな」

「これはその改良版。本当は調整してから、この遠征に着たかったんだが時間がなくてな。それで今やってんの」

 

 

霞はこの手袋をなんちゃってシルバースキンと思ったらしいが実は違う。これは服屋と鍛冶屋の親父に頼んで作ってもらった、なんちゃってシルバースキン第二弾。前回は時間があったからサイズ調整したけど、今回は受け取った次の日に出発したから時間がなくて、この数日間荷台で揺られながら作業に没頭していた。

 

 

「そうなん?ほんで大河を丸太に括り付けるて何する気やったん?」

「………いや、一種の修行法になるかなーって」

 

 

霞に投げ掛けられた疑問に、本当の事言っても伝わらないだろうから誤魔化してみた。

 

 

「もうちっと修行考えた方がええで?聞いたけど大河、最近修行が滞ってるらしいやん」

「んー……大河はちっと特殊なタイプ……いや、特殊な感覚の持ち主みたいなんでな通常の修行じゃ伸びが悪そうなんだよ」

 

 

霞の言い分に苦笑いの俺。そう最初の頃は兎も角、気の修行を初めた大河だが気の放出が上手くいかず停滞してる状態が続いていた。

 

 

「まあ、気の事に関しても条件付きだが使用は可能になった。後は実戦で感覚養って行くしかないかな?」

「そんならええけど……師匠がこんなんじゃ大河も苦労するでホンマに」

 

 

霞の言葉に、ほっとけとツッコミを入れようと思ったら何やら周囲が騒がしくなり始めた。

 

 

「何事や!?」

「奇襲です!涼州の騎馬部隊が奇襲を仕掛けてきました!」

 

 

霞の叫びに伝達役の兵士が叫んだ。涼州に入っていきなりこれかよ。

 

 

「狼狽えるな!こっちも騎馬隊集めて対抗すんで!」

「後方にも伝達してくれ。補給部隊は防御を固める様に指示を」

「御意!」

 

 

霞と俺の指示を聞いた伝達役の兵士は走っていく。俺はと言えば先程までサイズ調整をしていた服を身に纏い帽子を被った。

 

 

「さぁて……初めての騎馬戦だな」

 

 

俺は荷台から飛び降りると迫ってくる涼州の兵士達を見据えて構えた。

 

 

 




『桃白白式移動方』
ドラゴンボールの登場人物『桃白白』が行う特殊な飛行方法。
武空術を使えない桃白白が主に柱や大木などを上空へ投げ飛ばし、それに飛び乗って移動する。 その速度はジェット機以上とされている。

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