真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第百四十話

 

 

 

 

涼州に入ってから数日後。日に何度も奇襲を受ける日々が続いていた。いくら魏の精鋭と言っても毎日この調子じゃ身が保ない。因みに先日は奇襲仕掛けてきた部隊にナッパ流の挨拶をしてやった所、大変好評で即座に逃げていった。俺の体はボロボロだったが元からマトモに戦えない状態なので今更である。今回発明した『なんちゃってシルバースキン(攻)』だが、かなり体に悪い。と言うのも瞬発的に気を高めて戦う為に、その気の運用に馴れていない俺の体は着いてこれなかったのだ。結果、体の一部が筋肉痛となっている。

感覚的には『普段、体を動かさないのに久々にバッティングセンターで体を動かして筋肉痛になった』的な感じだ。

 

 

「どうにも上手くいかんなぁ……」

 

 

俺は痛む体を起こして天幕の外に出た。すると其処には荷物に体を預けて眠る凪が。

 

 

「……すぅ……すぅ……」

「凪は生真面目だからな……他の人より気苦労も多いか」

 

 

俺は毛布をソッと凪の膝に掛ける。今は少しでも寝ていてくれ。そんな俺の思いを察するかのように一刀や霞も静かに俺と合流。

 

 

「ごめんなさーい、遅れました!」

「季衣を起こしてたら遅れたッス!」

 

 

いつも元気印の季衣が寝坊とは珍しい。大河も季衣を起こして遅れたか。

 

 

「……はっ!?奇襲か!」

 

 

チビッ子二人の声に目を覚ました凪。まだ寝ぼけてるな。

 

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!」

「ちょっ!?こんな所で気弾を撃とうとするな!?」

 

 

寝ぼけてる凪は気を放ち、そのまま気弾を撃とうとしている。一刀の声も届いていない様だ。

 

 

「はぁ!」

「あうっ!?」

 

 

その直後、霞の手刀が凪の意識を刈り取った。お見事。

 

 

「た、助かったよ霞」

「こんな所で気弾撃たれてたまるかいな」

 

 

やれやれ……こんなんで、今回の遠征大丈夫なんだろうか。俺はそんな事を思いながら煙管に火を灯した。

そして、そんな俺の思いとは裏腹に大将から涼州の街へ行くようにと指示を受けた。街で行うのは工作員の補給物資の引き渡しや情報交換。こんな街にまで魏の工作員を仕込むとは……なんて思っていたら工作員をしていたのは張三姉妹だった。

表向きは張三姉妹のライブだが、三姉妹や付き人達が街で諜報活動や物資の確保など色々してくれていたらしい。ぶっちゃけ人和がメインでやっていたんだろたうけど。

そして三姉妹のライブを行う事で涼州の兵士達の奇襲の数を減らした。黄巾の乱の原動力となったものは侮れないな。

 

 

「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

傍目に見ても盛り上がりすぎだろ。どんだけ娯楽に餓えてたんだか……。

 

 

「味方の陣地でやれば士気上がるんじゃないかな?」

「ふむ……良い案ですね。検討しましょう」

 

 

一刀の呟きに稟がマジな答えを返していた。

俺は舞台で踊り歌う三姉妹を見つめた。大将達を招いたライブでは良くない行動を起こしたもんだが、こうしてみると本当にトップアイドルって感じだよな。

 

 

「俺もプロデューサーとして色々考えるか……」

「あ、それ良いですね。天和達も純一さんのアイディアの服とか着たがってましたよ」

 

 

俺の発言に一刀が三姉妹が俺の意見を求めてると教えてくれる。ふむ……なら考えてみるか。

 

 

「天和は衣装を変えてEMOTIONとか歌って欲しいな」

「ミーアですか……俺はラクス派なんですが」

 

 

俺の案に一刀は不満そうだ。別に俺もミーア派と言う訳じゃないんだがな。

 

 

「天和はラクスっぽくないだろ。それに想像してみろ……天和がミーア・キャンベルの衣装を着ている所を」

「ぐっ……似合いすぎます」

 

 

キャラ的に天和はラクスよりもミーアっぽい。スタイルとかも、かなり近いのでは?

 

 

「一刀殿も純一殿も何か邪な事を考えませんか?」

「ソ、ソンナ事ナイヨー」

「これも立派な仕事の話だぞ稟」

 

 

ジト目で禀に睨まれ一刀は片言で否定した。ショートするまで興奮するなよ一刀。

それに一刀はマネージャーで俺はプロデューサーなんだ。うん、仕事の話には違いない筈。

取り敢えず今回の遠征が終わったら服屋の親父と相談だな。

 

 


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