真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第百四十三話

 

 

 

詠のお陰で気力を取り戻した俺は張り切って修行に専念……出来たら良かったのだが、ここ数日ボーッとしていた為に書類が溜まっていた。大将からは「今回の事は馬騰の事もあったから見逃したけど……次は無いわよ」と言われた。しっかり見抜かれてたな。

 

 

「やれやれ……骨休みをする事もままならんな」

 

 

サボってた俺が言えた義理じゃないか。山と積まれた書類に一枚一枚に目を通していく。

 

 

「役満姉妹衣装案……マジか」

 

 

確かに考えるとは言ったけど普通に書類に混ざってるとは……人和辺りだな、こんなやり方するのは。

 

 

「ま、ある程度は考えてるし……ガンダムかマクロスで行くか」

 

 

どうせなら面白可笑しくしてやろう。前にも思ったが天和ってミーアが似合いそうだし。

 

 

「人和はランカ辺りか……地和はどーすっかな」

 

 

考えれば考える程に面白くなっていきそうだ。特に三姉妹はノリノリでやってくれそうだからな。

 

 

「ま、この件は後だな。他には……」

 

 

大半の書類は警備隊絡み物なのだが一部は違ったりする。先程の役満姉妹の衣装案が良い例だ。城内の厄介事を解決する役もしてる……なぜ俺にお鉢が回ってきたのかは謎だが。そんなこんなで書類を処理しているけど終わりが見えない。

 

 

「ん……真桜の奴また発明を部屋でやってやがるな」

 

 

苦情の類いの書類も混じってるし。やれやれ気晴らしも含めて殴りに行くか。ボキボキと指の骨を鳴らしながら立ち上がろうとすると俺の部屋の扉が開く。

 

 

「あれ、桂花?」

「………」

 

 

入ってきたのは桂花だった。桂花は不満顔のまま部屋に入るとそのまま椅子に座ってる俺の膝の上に乗って来た。

 

 

「あ、あのー……桂花さん?」

「……ん」

 

 

桂花は俺の膝に座ったまま体を預けてくる。柔らかい……良い匂いが……ヤバイな……遠征とかあったし、帰ってきてからもボーッとしてたから女の子と触れ合う機会がなかったから理性が……

 

 

「け、桂花さん……ぼかぁ……まだ仕事がですね……」

「何よ、詠とはしてたのに?」

 

 

しっかり見られてたか。

 

 

「しかも詠のは下着が合わなくなる程度に揉んでたんでしょ」

 

 

 

そういいながら自分の胸に手を置く桂花。天然に男を誘う仕草はしないでマジで。

 

 

「ズルいわよ……本当に」

「いや、その……詠ばかりを構ってた訳じゃないんだぞ。詠の胸が大きくなったのは、たまたまで……」

 

 

少し俯いた桂花に捲し立てる。なんの言い訳をしてるんだ俺は。

 

 

「違うわよ!ズルいわよ、アンタばかり!いつもいつも私がアンタを追いかけてばかりじゃない!」

「あー……」

 

 

そういや、最近は桂花から来てくれる事も多かった気がするが……こんな事を言ってくれるとは本当に素直になったし可愛いもんだ。でも俺だって我慢してる方が多いんだぞ?

だって本能のままに動いたら止まらなくなりそうなんだもん。

 

 

「何よ……言いたい事があるなら言いなさいよ」

「あー……もう」

 

 

桂花はプーッと頬を膨らませてる。桂花は俺に不満なんだろうけど俺は俺で耐えてるってのに。

 

 

「あんまり騒ぐと、その口をまた塞ぐぞ」

「っ!」

 

 

耳元で囁いた俺の言葉の意味を察した桂花は顔を真っ赤にして唇に指を這わした。

 

 

「やってみなさいよ……この馬鹿」

 

 

桂花は顔を赤くしたまま俺を見上げた。その顔は少し挑発的だ。

 

 

「超喜んでやるんだから」

 

 

そう言って笑う桂花にドキッとした。カウンターにも程があるぞチクショウ。


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