真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
<< 前の話 次の話 >>

150 / 204
第百五十話

 

 

 

「…………よう」

「おはようございます」

 

 

目を開けて最初に飛び込んできたのは天井。そして視線を移した先には本を読む禀の姿が。起き上がろうとしたら脇腹に痛みが走った。

 

 

「痛……たたた……」

「無理はしない方が良いですよ。浅かったとは言っても脇腹を削られていたのですから。倒れた時の記憶はありますか?」

 

 

倒れ……そうだ、確か馬岱に頼まれていた遺言を話してから城を出て……

 

 

「大変だったみたいですよ。城を出た瞬間に意識を失ったと聞いています」

「ああ、段々思い出してきたよ……」

 

 

思い出してきた……確か城を出てから気が抜けたのか意識が遠退いたんだった。

 

 

「季衣や流琉が泣きながら貴方を抱えて本陣まで走ったと聞きました。少々乱暴な運び方だったので途中で何度か落としてしまったらしいですが」

「覚えの無い傷が増えていたのは、そういうことか」

 

 

手を見れば擦り傷が複数出来ていた。でも乱暴な運び方だったにせよ心配してたからなんだよな。

 

 

「貴方を国に搬送してからも騒ぎになりましたよ。『副長が遂に女に刺された』と」

「間違っちゃいないが意味合いが明らかに違うよね。戦場で馬超に刺されたんだからね俺!?」

 

 

脇腹は痛むが思わず叫ぶ俺。その衝撃で傷が開きそうだよ。

 

 

「興奮すると傷口が開きますよ。それと桂花が居ないのは貴方が運ばれて来たのを見て動揺して冷静な判断が出来そうに無いので今は貴方の代わりに仕事をしている筈ですよ」

「疑問と解説どーも」

 

 

俺が知りたかった事を先に教えてくれた禀。まあ、遠征に行く度に怪我して帰ってきてれば心配にもなるか。

 

 

「一刀殿も貴方達が遠征に出てから倒れたと聞きます。似た者同士ですね純一殿」

「一刀も倒れた?」

 

 

俺達が遠征に出てから倒れた?そういや俺も遠征に出てから体調が悪くなったけど……

 

 

「そういや一刀が秋蘭の危機を知らせたって聞いたけど?」

「ええ、華琳様にその旨を伝えて援軍を出しました。その後でまた倒れたらしいですが」

 

 

一刀も倒れた……二回も……

 

 

「……一刀が二度目に倒れたのは?」

「貴方達を救出した日だと聞いています」

 

 

 

だとすれば……俺の体調不良と一刀が倒れた日と時間が大体同じって事になる。

 

 

「純一殿?」

「ん、ああ……ちょっと考え事」

 

 

いくらなんでも考えすぎか……

 

 

「私はまだ仕事があるので失礼しますが……部屋から出ない事をお勧めしますよ。部屋の外には恋が待機してますから外出したら止められますよ」

「止めるって何、息の根?」

 

 

 

読んでいた本を持って部屋を出る禀。その前に部屋の番人が恋ってどうなの?俺が部屋を出たら確実に息の根止められるよ。

やれやれ、後は寝て過ごすか……桂花に会いに行こうと思ったのに。

 

この後、見舞いとして大将や月達が来てくれた。桂花は来なかったけど。ああ、もう……ふて寝してやる。怪我が治ったら死ぬほど構ってやる。覚悟しとけよ、ちくしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと……起きなさいよ」

「…………桂花?」

 

 

深夜の時間帯。完全に寝ていた俺を起こしたのは桂花だった。話しかけながら俺の頬を指で突いてくる。

 

 

「お前……なんで……」

「仕方ないでしょ。アンタが怪我したせいで書類が溜まってるから処理に時間かかったのよ」

 

 

つまり最初から来るつもりだったと何とも可愛い事を……

 

 

「なによ……ニヤニヤして」

「ん、幸せを噛み締めてた」

 

 

桂花は俺の表情をジト目で睨むが顔を赤くしたままじゃ怖くもない。

 

 

「まったくもう……時間がないから、行くわ」

「え、もうかよ」

 

 

あまりにも早い帰りだ。もう少し位居てくれても……

 

 

「まだ仕事があるのよ……また来るから我慢しなさいよ」

「わーったよ」

 

 

俺が仕事しないから負債が増えてるんだし文句は言えないか。

 

 

「でも……安心した。怪我したって聞いてたけど……大丈夫そうだったから」

「………」

 

 

桂花の言葉に俺は察した。本当なら直ぐにでも来る予定だったんだろうけど仕事が多くて本当は今も来る暇も無い筈。そんな中で桂花は時間を無理に作ってきてくれたんだろう。

 

 

「ありがとな桂花」

「そう思うなら態度で示しなさいよ」

 

 

俺の言葉に桂花は俺の寝台に片膝を乗せて俺に近づき、チュッと触れる程度の口付けをしてくれた。

 

 

「あ、あの……桂花さん?」

「体が治ったら埋め合わせしてもらうからね!」

 

 

俺が話しかけたら桂花は振り返らずに、そのまま行ってしまう。

 

 

「あー……もう。反則過ぎだよ」

 

 

男嫌いと公言してた時が嘘みたいだ。超乙女になってるよ………とりあえず早く体治そ。

 

 






※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。