真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月
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第百五十一話

 

 

 

 

 

◇◆side桂花◇◆

 

 

定軍山から帰ってきたあの馬鹿は、予想通り怪我をして帰ってきた。が、思いの外重症で帰ってきた。秋蘭や流琉から話を聞くと遠征に出てからすぐに体調が悪くなり、更に馬超との戦いで脇腹を刺されたらしい。城の中では『副長が遂に女に刺された』と噂が広まりつつある。

 

 

「本当にあの馬鹿は……」

「純一殿も怪我をされましたが生きているわけですし……」

「そうですよー。それに純一さんの頑張りがなければ秋蘭様も流琉ちゃんも危なかったのですよ」

 

 

私の呟きに、まあまあ、と禀と風が宥めに来る。最近、この軍師での集まりでこの手の話が多い。

 

 

「それに口では不満が多い桂花ちゃんも人の事は言えないのですよー」

「そうですよ。一刀殿から秋蘭様の危機と聞いたときに真っ先に純一殿の心配をしてたじゃありませんか」

「う……それは……そう、あの馬鹿でも魏には必要な人材だからよ!」

 

 

風と禀の発言に私は言葉を詰まらせてしまう。絞り出した答えに間違いはない筈。

 

 

「まったく……素直に心配だと言えば良いものを。最近、素直になったと思っていましたが……」

「この『つんでれ』具合が純一さんの心を掴むのですねー」

「う……私は素直にしてるわよ」

 

 

禀と風がジト目で私を見るが私は顔を背ける。

 

 

「素直ですかー……おっと、こんな所に最近、風が描いた絵がヒラリと落ちてしまったのです」

「何が……って、なっ!?」

 

 

風が懐からわざとらしく一枚の絵を落とす。そこにはつい最近の出来事が。

 

 

「おやおやー。これは『純一さんと話をした後で何かもう一言、言いたそうで言えない桂花ちゃん』ですねー」

「おや、上手ですね風。この切なそうな表情が実に上手く描かれてます」

 

 

妙に達筆に描かれた絵には私と秋月が描かれていた。その絵を見て禀もニヤニヤしている。

 

 

「風は色々と特別なので。更に此方は『ねねちゃんに突然抱きつかれている純一さん。それを物陰から見てる桂花ちゃんの表情が何とも羨ましそう』なのですよー」

「あ、あんた……いつこんなの描いてるのよ……」

 

 

これも少し前にあった出来事。まさか見られていたなんて……

 

 

「風は最近、絵を描くのに凝っているのですよ。他のもまだまだあるのですよー」

「ほう……これは興味深い」

「鼻血を垂らしながら見入ってんじゃないわよ」

 

 

風は他にも絵を描いていたのね……私のだけじゃなくて他の子達のもある……

 

 

「これなんかお勧めなのですよー『お兄さんの意外な逞しさに驚きつつも頬を赤く染める華琳様』なのです」

「風、同じ絵を描けるかしら?」

「あ……わ、私にも……」

 

 

風の描いた絵に禀が真っ先に食いついた。私もその絵が欲しくなった。

 

 

「桂花ちゃんにはこれがお勧めなのですよー『鍛練場を見つめる桂花ちゃん。その優しげな視線の先に居るのは……純一さん』」

「…………」

「おや、遂に言葉を発せずに震えるだけとなりましたね桂花」

 

 

私は風の描いた絵を見て動けなくなっていた。こんな……こんな恋する乙女が私だって言うの?

 

 

「他の娘達も沢山あるのですね。どれも相手が一刀殿か純一殿ですが」

「それほど種馬兄弟が活動してると言う事なのですよー。あのお二人は人当たりが良いので、さほど嫌われてもいませんし」

 

 

禀と風が話を続けてるけど私は顔が熱くなっていくのを感じていた。まさかこんな表情をしていたなんて。

 

 

「そして、これは禁断の一枚『接吻直後の桂花ちゃ……』」

「駄目ぇ!」

 

 

私は風が取り出した絵を奪う。流石に見られたくなかったから……って、あれ?白紙?

 

 

「流石に冗談だったのですがー……予想以上の反応でしたねー」

「桂花、その反応から察するに……」

「ふ、風も禀も馬鹿ぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

 

自分の早とちりと自爆に私の顔は瞬間的に熱を増した。それに気付いた風も禀がニヤニヤとしていたので私は堪らず部屋から逃げ出した。






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