真・恋姫†無双 北郷警備隊副長   作:残月

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第百五十三話

 

 

 

 

 

走って息切れをしている桂花。その手に握られているのはなんだろう?

 

 

「どうしたんだよ、そんなに慌てて」

「あ、それは……」

 

 

桂花はその手に持っていた紙を俺に渡す。それは封筒の様な物に入っていたのか折り畳まれていた手紙だった。

 

 

「手紙か……差出人は荀緄さん!?」

 

 

まさかの荀緄さんからの手紙に驚く。なんでまた荀緄さんから?俺も桂花も暫く帰ってなかったから手紙を出したのかな?

 

 

「……読んでみなさいよ」

「どれどれ……えーっと」

 

 

手紙を呼んだ俺のリアクションは『!!( ; ロ)゚ ゚』だったに違いない。

ざっくりとした説明をしてしまえば、荀緄さんは街の噂や魏に出入りしている商人達から俺と桂花の話を聞いたらしく驚いたそうだ。

そして俺と桂花の関係も噂程度の話を聞いて、是非とも二人を見てみたいと思った荀緄さんは顔不さんを連れて魏の街に来ていたようで、街中で仲睦まじく歩いている俺と桂花を見て荀緄さんはこれは間違いないと判断したらしい。その際、声を掛けなかったのは二人の邪魔をしてはいけないと気を使ったらしい。

そして手紙の最後には、こんな一文が記載されていた。

『初孫は女の子が良いわね。お願いね桂花ちゃん』

 

 

俺は全ての文章を読み終えた。チラリと桂花に視線を移すと顔を真っ赤にしたまま俺を睨んでいた。

 

 

「どうしてくれんのよ!アンタのせいよ!」

「うーん、どうすると言われても」

「お、落ち着けって桂花」

 

 

車椅子に座ったままの俺の襟を掴みガクガクと揺らす桂花。俺はどうするかと言われれば答えは出てる様なものなのだが。一刀が桂花を落ち着かせようとしているが効果は薄いようだ。

 

 

「俺は……寧ろ望むところなんだがな」

「っ!?」

 

 

俺の発言に桂花は息を飲み、そしてソワソワと髪を弄ったり落ち着かない様子となった。

 

 

「一刀、これから桂花と話す事もあるし、もういいぞ。ありがとな」

「へ、あ……わかりました」

 

 

車椅子を押すのはもういいぞと言ってやると一刀は察したのか、そそくさと離れていく。頑張れよ一刀。大将は桂花以上の難攻不落の城だぞ。

 

 

「そ、その……って、アンタ煙草吸ったわね?煙管を取り上げたのに」

「あー……吸いたくなったんでな」

 

 

煙管を没収されたので煙草を吸ったのだが臭いでバレてしまった。そしてそのままマルボロも没収されてしまう。そして煙草を没収した桂花はニヤリと笑みを浮かべた。

 

 

「煙草よりも吸いたいのがあるんじゃないの?」

「……言ったな?」

 

 

自分の唇を指差して小悪魔的な笑みを浮かべた桂花を俺は抱き寄せる。

 

 

「ちょっ……ちょっと待って!?……んちゅ……ん……」

「駄目。止めない……って言うか止めらんない」

 

 

挑発的だった雰囲気から一転して顔を赤くして慌てる桂花を膝の上に座らせてから、俺は桂花の唇を奪った。

 

 

「ん……ん、ふ……んぅっ!?」

 

 

キスしてる間に悶える桂花。ヤバい……マジで止められないわ。

 

 

「は、ばかぁ……背中がゾクゾクってしたわよぉ……」

 

 

涙目でそんな事を言う桂花に俺もゾクッとした。

この後、俺は桂花の部屋に行き、傷が開く覚悟で一晩を明かす事を決意した。


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